二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【毬栗から棘鎧への進化】 ( No.96 )
日時: 2015/08/26 10:22
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: wyieLVt/)
参照:

 カルムは倒れたハリマロンを支えて、抱き抱える。体はボロボロだが、ポケモンセンターに行けば大丈夫だろう。
 カルムが呼び掛けると、ハリマロンの瞳孔が微かに動く。

「お疲れ様、ハリマロン。よく頑張ってくれたな」

 そう労るカルムだが、ハリマロンは膨れっ面になる。 そんなにあのバトルに勝ちたかったのだろうか。それはカルムも同じだ。出来れば勝ちたかった。だが、負けは負け。それを認めなければポケモントレーナーとして失格である。
 シュトゥルムからの歓声が飛び交う。流石シュトゥルムさんだ、グランデュークの名を持つのに相応しいわねぇ、子供も頑張ったと思うけどやっぱりシュトゥルムさんには敵わないわ。
 誉め言葉が称えられても、シュトゥルムは口元を綻ばせなかった。
 シュトゥルムはカルムの元に歩み寄る。

「カルム君、良いバトルだったよ。対戦ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました。僕もっともっと強くなって、またシュトゥルムさんに対戦を挑みます!」
「……その時を楽しみにしているよ」

 お互いに微笑み、握手を交わした。
 アルフレッドも握手をしようとしたが、ハリマロンは振り払い、アルフレッドを睨み付けていた。

 ◆

 ポケモンセンターでポケモンたちを回復させた後、カルムは次の街、コウジンタウンに辿り着いた。
 バトルシャトーも楽しいが、シュトゥルムを追い越せるようにする為に、沢山のジムバッジを集めて強くなりたいからだ。
 コウジンタウンは元々水族館しかなかったが、化石が発見されたことにより、今に至る。
 コウジンタウンは高台になっていて、崖から海がよく見える。

「ほらハリマロン。海を見て、元気だせよ」

 カルムはハリマロンを抱き抱えて海を見せるが、ハリマロンは膨れっ面のまま。未だにあのバトルを根に持っているのだろうか。
 今まではこんなことはなかったというのに、バトルシャトーから様子がおかしい。呼んでもいないのに、勝手に飛び出してきたりする。その時は何とか彼を宥めてボールの中に戻すが、強引に戦う時もある。

「……なぁハリマロン。最近なんかおかしいぞ?今までこんなことなかったのに、一体どうしたんだよ」

 ハリマロンは答えず、膨れっ面のまま。カルムに目もくれない。
 カルムは追求せず、ハリマロンを見詰める。あんなに可愛かったハリマロンが、いつの間にか好戦的になっているなんて……。
 暫く海を眺めていると、背後から明るい声が聞こえた。

「カールタロ♪」

 振り返ると、サナと目が合った。
 相変わらずサナは変わっていない。見た目も性格も、サナのままだ。

「サナ、久し振り!ミアレ以来だね」
「そうだね、ミアレではあまり話せなかったけど、こうやって話すのは久し振りだね♪」

 サナはカルムが抱き抱えているハリマロンを見て、首を傾げる。
 普段は友好的な彼だが、不機嫌になることは滅多にない。

「ハリマロン……どうしたの?」
「さっき、バトルシャトーでシュトゥルムさんとバトルしたんだ。だけど、負けちゃってさ。僕は気にしてないんだけど、ハリマロンはまだ気にしているんだ」
「シュトゥルムさんとバトルしたの!?カルタロすごーい!負けちゃったのは残念だけど、カルタロたちはもっと強くなれるよ!サナわかるよ!だって、カルタロとハリマロンたちは最高のコンビだもん♪」

 にっこりと笑うサナ。感受性の高い彼女はカルムに元気を与えるような力がある。
 それを聞いてハリマロンは反応し、カルムは微笑んだ。

「……ありがとう、サナ」
「?あたし何もしてないよ。ところでカルタロ、これから行くところはない?」
「ないけど」
「だったら!あたしと一緒に化石研究所に行こう!あそこには化石の話が出来るし、ひょっとしたらメガシンカに関わる不思議な石についてわかるかもしれないよ!」