二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【毬栗から棘鎧への進化】 ( No.97 )
- 日時: 2015/08/26 15:58
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: wyieLVt/)
- 参照:
化石研究所は、コウジンタウンに化石が発見されたことにより、建設された建物で、棚には化石が置いてあり、パソコンや本には化石に関するものばかりだ。
辺りを見回していると、白衣を着た男と女が出迎えてくる。
「ようこそ!化石のロマンに導かれた学究の徒たちよ!」
「初めまして、僕はカルム」
「あたしはサナ♪いきなりだけど、メガシンカについて何か知らないですか?」
「おお、君たちがプラターヌ博士の!聞いてますぞ」
「メガシンカですか……残念ですが、不思議な石が関係する……それしかわかっていないのです」
プラターヌから聞いた情報そのまま。メガシンカについての情報は奥が深く、知っている人も数少ないようだ。
サナは残念そうに肩を落とす。
「ですが、化石から復元出来るポケモンが、そのメガシンカに関わっている可能性もあるわ。化石の復元なら輝きの洞窟にいる助手なら詳しいわ!」
メガシンカに纏わる話はなかったが、せっかく来たのだ。輝きの洞窟に行ってみる価値もある。
「うーん……せっかくだから、その助手さんに会おっか」
「うん♪行こ、カルタロ!」
◆
9番道路。引退したサイホーンレーサーが道なき道を進んで出来た道らしい。そのせいか、この先の道はデコボコになっており、歩けそうにもない。
どうしようか、と悩むカルムとサナ。
ふと、ポケモンがいることに気付く。
額に角の生えた灰色の四足歩行のポケモン。あれには見覚えがあった。
『No.50 サイホーン 刺々ポケモン
脳みそが小さい為、頭が悪い。曲がるのが苦手で、ただひたすら突進する』
母親のサキが所有していて、サイホーンレースには欠かられせないポケモン、サイホーンだ。
説明書には、このサイホーンに乗って道を進め、と書いてある。
しかし、此処にいるサイホーンは一匹。カルムとサナ、どちらかが先に乗って行くしか──。
「こうなったら、一緒に乗るしかないな……」
「ええっ!?カルタロ、大丈夫なの?」
「僕を誰だと思ってるのさ?なんたって、僕はあのサイホーンレーサー・サキの息子だぞ!こう見えても、サイホーンには乗ったことがあるし、大丈夫。僕を信じろ!」
黙っていればイケメンなのに、性格が軽いカルムだが、彼は有名なサイホーンレーサーの子供。なので、サイホーンに乗った経験も豊富だろう。此処は彼に任せるしかない。
サイホーンにゆっくりと股がるカルム。それに続いて股がるサナ。いきなり勢いよく乗ってしまうと、サイホーンに刺激を起こしてしまうからだ。
サナはカルムの背後に褐色の両腕を回す。
「しっかり捕まってろよ」
「うん」
サナに注意を促した後、前を向くカルム。
サナは彼の横顔を伺った。
その表情は、プリズムタワーでポケモンたちを助けたあの真剣な表情によく似ていた。
「頼むぞ、サイホーン」
カルムがサイホーンの額を軽く叩くと、サイホーンは一直線で走っていった。
勢いよく走るので、カルムとサナが揺れる。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
「カルタロぉ、何とかスピードを落とせないの?」
「む、無理だよ……。昔幼馴染みと一緒に乗った時も、こうだったし……!」
任せろ、と言ったのはカルタロじゃないか。
あまりにも激しく揺れるので、サナはカルムの背後に顔を寄せて、しっかりと掴む。
サナはカルムの横顔を見る。イケメンなのに、中身がこうとは残念だ。ポケモンへの想いは人一倍だが。
なんて、そんなことを考えていると、ガタンと振動が発生し、緩めていた両腕がカルムの背後から離れる。
「わっ!」
青い袖から飛び出す掌がサナの腕を掴む。
カルムは片手にサイホーンを掴んだまま、真剣な瞳でこちらを見据える。
「大丈夫か!?」
「う……うん」
カルムの支えにより、サナは何とか落下せずに済む。
カルムが腕を掴んでくれなかったら、サナは落ちていただろう。
サナはカルムを抱き寄せるかのように両腕を回し、背中に顔を寄せる。
普段は軽い調子の彼だが、こういう時に限ってはイケメンになる。だからピカチュウも、ゼニガメも彼について来たのだろうか。
否、こんな軽い彼だからこそ、こんなことが出来るのだろう。