二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 人間未満の聖杯戦争[Fate] ( No.25 )
日時: 2016/11/14 13:20
名前: 明星陽炎 ◆4fD6znnZvI (ID: YiQB1cB2)

続章執筆中につきスレ落ち防止の為の幕間
戦争一日目、深夜のゲーム大会。※別作品ネタを含みます
〝Hunting!〟

 ──その部屋の中は薄暗い。広いとは言い難い空間、更にその中央にある炬燵の中に住人が集まっているから灯りが然程必要ないのは分かるが、屈強な男二人に挟まれた少女は一人だけ微妙な顔をしていた。流石に狭いし暑苦しい、という言葉は辛うじて口の外へ飛び出すことはなかったが。
 三人の間に現在会話はない。響き渡るのはカチカチという小さく乾いた音だけであり、またその三人の視線もそもそも互いに向けられることはない。何せ目の前の画面に釘付けで、その瞳は俄かに真剣な光を帯びているのだ。これで互いが互いに話しかけようものならば小規模でも戦争が起きる。実に残念なことに、少女を挟む男二人はそれが出来る実力を有しているし、またそれをやらかす程度には大人げない。
 正直なところ物申したいことは山ほどあったが、少女──時雨は溜息を一つ吐くに留め、画面の向こう側の龍を狩るべく操作に専念するのだった。
 画面の中の龍は相変わらず空にその真紅の身体を映えさせながら大きく吼えている。その視線はPTの二人組に向けられており、幸いにしてヘイト値が少ない自分への注意は向けられていない。しからば、と閃光弾を使用すれば一瞬画面が白く染まり、次の瞬間にはその巨躯が地面へと叩き付けられていた。

「よし、よくやった兎ぃ!!」
「はははは!!ここが貴様の墓場だチキン火龍が!!」

 巨体を斬りつけながら、漸く二人は声を上げる。歓喜を含みつつも、既に怒鳴り声寄りになったその声は存外にうるさく、時雨は眉を顰めた。此奴らは今何時だと思っているのか。ちなみに時雨の位置からはよく見える柱時計は先程、短針が2の数字を差していた。勿論そんなことは人外系ゲーマー男子は知る由もない。散々にため込んだ息を深く深く吐き出しながら、時雨も黙って画面に向き直る。今日は疲れたのになあ、なんて言葉はもう出ない。

 三人が寝落ちするまで、あと一時間。

【深夜の狩人+α】