二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- コウドウ-red maneuver- ( No.153 )
- 日時: 2016/02/08 22:41
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: T2uN9H3j)
これは、裏切り者通達が出た付近までに遡る。
理乃は、一人で軽く散策しつつ、オアシスまでやって来た。
(一応、こんなんでも風の司って言われてるし、後で風の神殿に一回は行きたいな…。)
そんなこんなでオアシスの水辺まで近づくと、そこには先客がいた。
「あら、リングアベルさん。」
「おっ、理乃じゃないか。」
そこにいたのは、リングアベルだった。
休憩がてら水を飲みに来たのだろうか。
「ふー、やっぱりここの水は美味いな。」
「ええ、透き通っていて、綺麗ですよね。ここで水浴びでもしたいくらいです。」
それを聞いたリングアベルの耳が、ぴくぴくと動く。しかも、目がキラーンと輝いた。
「そんな理乃にこれを進呈しよう!」
そう言って取り出したのは、かなり際どい、いや、殆ど紐のビキニだった。
「ふぇっ!? あ、あの、それは…!」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれた。これはブラボービキニと言って、かの老師が作あがぁっ!」
「あ。」
説明している最中に、リングアベルが思いっきり吹き飛んだ。
「…純粋な子に何勧めてるんだしリングアベルさん。つか殆ど紐じゃねぇかそれ!」
先程までリングアベルがいた場所には、陽介がいた。どうやらアニエスと別れた後に、彼が何かを察知し、このオアシスまでやって来てリングアベルを蹴り飛ばしたようだ。
ザパッ、と水の音が聞こえ、リングアベルが起き上がる。どうやらうまく浅瀬に落ちたというか落とされたようだ。
「何を言う! 理乃のようなプリンプリンのポヨヨンが着るからこそ映えるのだろう! それに、ビキニは男のロマンだ! それが何故わからないんだ、陽介!」
「よし、今の言葉、余す事無くイデアちゃんに伝えておくから、覚悟しといてくれ。」
「待て! 話せばわかる! だからイデアに告げ口するのは待ってくれ!」
恋人のメテオ(物理)は食らいたくないのか、かなり必死に陽介に弁解するリングアベル。そしてそれにドン引きする理乃。
「…リングアベルさんの変態。」
「ぐぼぁっ!!」
理乃がボソリと呟いた言葉が聞こえたのか、リングアベルが変な声をあげて撃沈した。
「はぁ…。つか、殴られたくないんだったら自重しろよ、リングアベルさん。」
「プリンプリンでポヨヨンな体系の女性にビキニを着せてみたいっていうのは、男なら誰しも思う事だろう!」
「そろそろ自重しようか。俺からも【ガルダイン】行くぞ。」
「すみませんでした。」
リングアベルは未だオアシスの中で土下座で謝罪をした。
「あはは…。あら?」
苦笑する事しかできなかった理乃は、ふと、端末がけたたましい音を鳴らしている事に気が付いた。それは、陽介とリングアベルも同じだった。彼らは自然な動作で、端末を取り出し、リングアベルは水辺を脱出して二人の側に来る。ちなみに、端末は防水加工はばっちりですのでご安心を。
「メールですね。ミッション…ではなさそうですね。」
「ああ、だな。…って、何だよこれ!」
届けられた内容を見て、陽介は叫ぶ。
- コウドウ-red maneuver- ( No.154 )
- 日時: 2016/02/08 22:47
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: T2uN9H3j)
『通達:裏切り者募集
これから111分までの間、裏切り者を募る。逃走者の位置を通報し、ハンターが確保すれば一人当たり賞金10万円をボーナスで獲得。ただし、ハンターに捕まれば賞金は0となる。』
そう、裏切り者を募る通達だ。
「裏切り者募集だなんて変だな…。あの人達がんな事するか? なぁ、理乃ちゃん。」
「…。」
陽介が同意を求めるも、理乃は難しい顔をしながら考え込んでいる。
「…裏切り、か…。」
リングアベルも過去の事を思い返しているのか、少し苦い表情を見せた。
「…やっぱり、この逃走中…おかしいかも。」
「おかしいって?」
声に出ていたことに驚いたのか、陽介が訊ね返してきたことに理乃はちょっと驚くも、すぐに表情を変えた。それはもう、見た事のないくらいに真剣な表情に。
「…実は、逃走中が始まって…いえ、始まる前から、少し嫌な何かを感じたのです。」
「何かって、具体的には?」
「…抽象的なものなので、うまく言葉で説明できないのですが…。この逃走中が始まる前から、悪意のようなものが渦巻いている、そんな気がしてならないのです。」
旅をしてきたからか、何らかの邪な気はうっすらと感じる事が出来るようになっていた。そしてその気を感じた時、確実にろくな目に遭わなかった。理乃は今回もその気を感じ、恐らく最悪の展開を想定していたのだろう。そんな気を感じ取れない二人は首を傾げるばかりだったが、何かがおかしいとは感づいていた。
「うーん、理乃ちゃんの感じてる悪意はわかんねぇけど、ろくでもないことが起ころうとしているのはわかる。じゃなきゃ、昴さんがこんなふざけたメールを送るはずないからな。いや、MZDはどこかやらかしそうだが、多分昴さんが止めるだろうよ。『送っても無駄だ。』って言ってな。」
そう、今回の逃走者には、仲間を裏切り、金を得ようとする下種はいない。
危ういのは葉月とガイストだが、前者は仲間を蹴落として金を得ようとするような輩ではない上に、既に確保されており対象外だ。後者は一見かなり危ない怪しい男に見えても仕方ないし、過去にかなり残虐非道な事をやらかしたが、本性を紐解いてみれば、世界疫病の犠牲者を最小限に止めるよう努力した、息子思いのいいパパだという事がわかったので、まずそんな事はしないと考えた。
「そうですね。今回、誰も裏切り者が出ない状況なのは、昴さんも十分ご存知かと思います。」
「そうだな。」
今回裏切り者を募っても、誰も仲間を欺くような人間がいないのは、昴も重々承知しているはずである。それなのに今回こんなふざけた通知が届いたのには、恐らく理乃の感じた悪意が関係するのであろうという事は、二人にも分かった。
このまま誰も名乗り上げずに、時間ばかりが過ぎていくだろうと思ったその時、
「…? メールだわ。」
理乃の端末だけに、メールが届いた。理乃はすぐに、そのメールを開いた。陽介とリングアベルも、内容を覗き見る。
「…!」
「な、何だよこれ!」
- コウドウ-red maneuver- ( No.155 )
- 日時: 2016/02/08 22:52
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: T2uN9H3j)
『逃走中は既に我らの手に落ちた。我らの思惑通りになるならば、カルディスラに無残な死体の山が築かれるだろう。』
その内容は、今、理乃が感じていた悪意を体現するかのような内容だった。
「…あの人がこんな痛い言い回し、すると思うか?」
陽介は二人に聞く。二人は首を横に振る。
「恐らく、これは昴さんが送ってきたものではありません。というか確実にあの人がこんな痛々しい文章を書けるはずもないでしょう。」
「女性にこんな痛々しい文章は似合わない。というかそんなのを書いている昴が想像できない。仮に他の奴がいたとしても、まずこんな痛すぎる言い回しは使わないだろう。」
こんな言い回しを日常的に言ったり書いている人に失礼な事を言ったが、その辺りは後で謝罪をするとして、これは昴達が送ってきたものではないと悟る。
しばらく、三人でメールの内容について考えていたが、ふと、陽介があることに思い至る。
「…なぁ、この逃走中、中止にした方がよくないか?」
思い至った考えを、陽介は二人に提案する。
悪意が何かはまだわからないが、何か事が起こる前にその芽を協力して潰さないといけないと感じ取っているのだろうか。だが、それに待ったをかけたのは、理乃だった。
「…メールの内容からして、運営は既に悪意の手により、乗っ取られていると見て間違いないでしょう。このメールは昴さんの書いたものではないとすると、恐らくメールの権限は既に奪われています。いえ、下手をするとメールだけでなく通信権限も、この端末の権限やハンターへの指揮系統の権限も何もかも、既に奪われていてもおかしくありません。山岸さん達が通信してこれるのは、恐らくその部分だけ別に彼女達に権限を与えたのかも知れません。ですが、そちらに気づいて奪われるのも時間の問題でしょう。」
「じゃあ、指定した奴にメールを送るのは…。」
特定の誰かに送れば通じるはず。陽介のその考えを、理乃は首を横に振って否定した。
「それも難しいかと思います。メールや端末の権限を奪われていたら、指定した相手にメールを届けているつもりでも、一度運営まで送信され、内容を改竄されてから送られる可能性が高いです。通話も恐らく難しいでしょうね…。内容を傍受され、不利な事を話したら、操作一つで強制的に通話を切られる可能性もありますから。」
技術面で高い知能を持つ理乃の言葉には説得力があり、二人は直接話すしか方法がないと悟った。同時に、リングアベルの胸にある人物の姿がよぎった。
(こういう時にあいつの出番だったんだがな…。ハンデになりそうだから置いて来たのはまずかったな…。)
自分の相棒とも言える、∞の羽根を持つ存在。もしこの場にいれば、全員に連絡を直接飛ばす事も可能だったのではないかと思うと、置いてきたことを後悔し始めた。まぁ、仮に連れてきたとしても、イデア達の前まで出そうとは思えなかったが。
「…?」
頭をボリボリと掻くリングアベルの横で、陽介は理乃の端末に届けられたメールを再び見ていた。
「どうかなさいましたか? 花村さん。」
「それ、何か添付されてるみたいだな。」
「え? …あ、本当ですね。メールの内容が衝撃だったので、気が付きませんでした。」
理乃は陽介に指摘され、添付ファイルを開いた。どうやら画像データのようだ。
「…!」
「な、何だよ、これ…!」
「嘘、だろう…!?」
それを開くと同時に、理乃は思わず端末を落としそうになり、残りの二人は息をのんだ。
- コウドウ-red maneuver- ( No.156 )
- 日時: 2016/02/08 22:57
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: T2uN9H3j)
そこに写っていたのは、運営にいるはずの昴達の、無残な姿。恐らくこの様子では既に事切れているであろうと、人の死に数多く触れているリングアベルと理乃は察知していた。
「そ、そんな…! MZDさんやマスターさんまで…!」
「もう、手遅れだってのかよ…!」
あまりの衝撃に絶望している三人の耳に、再び端末が鳴り響く音が聞こえた。
「! またメールです!」
理乃は不安に苛まれながらも、端末を操作してメールを開く。
『運営は、これより未来へと送られる。お前が裏切り者になるならば、お前の通報した仲間達を未来へと送ろう。ミッション3開始まで、せいぜい足掻くがいい。』
次に届いたのは、裏切りへの催促とも呼べるメールだった。このメールを見て、リングアベルはある核心を抱いた。
「二人とも、恐らくまだ昴達は無事だ。」
「え? どういう事だよリングアベルさん。」
訳が分かっていない陽介が聞くと、理乃も内容を読み返して、「成程ね。」と呟いた。どうやら彼女も、リングアベルが言いたい事を理解したようだ。
「あくまでもこれは、そのメールの送り主を信じるなら、の話になるがな。まず、あの写真はその“事”が起こった後の未来で撮られた写真だろう。“未来へと送られる。”なんて書いてあるんだ。奴等、いや、単体かも知れないが…黒幕は時間軸の跳躍が好き勝手できるような奴だろう。そうして撮ってきた写真をメールへと添付し、動揺を誘おうとしたんだろうな。そして奴等はミッション3で事を起こすか、ミッション3前に何らかの方法で仲間達を未来へと送れなくするかのどちらかを行う。」
「恐らく後者の方と思われます。…時間制限があるとでも言うような語り口調です。ミッション3開始前に何らかのアクションを取り、その後に何かを行うと考えてもよろしいと思います。それまでは、昴さん達は恐らく無事です。」
「そ、そうか…。よかった…。」
リングアベルと理乃の、少なからず願望を含んだ言葉に、陽介は少し安堵した。あくまでもこのメールの送り主を信用するならば、だが、まだ昴達が無事であることに安堵を覚えずにはいられなかった。
一通り話した後、理乃は「そう言えば。」と言って衝撃的な写真が添付されたメールを開いた。
「えっと、運営があるのはカルディスラ、という場所のようですね。そこに無残な死体を築くという事は、この場所を丸ごと未来に飛ばすのでしょうか? そもそもこんな場所はいったいどこに…。」
「いや、恐らく“島ごと”だ。“街”一つのみ飛ばすとは考えにくい。」
「え?」
場所の名前らしきものを理乃が話題に出した時、リングアベルはぽつりと呟いた。
「さっき影が言っていただろう? 演出上、ある地方の名前を記憶から消した、と。元々、ルクセンダルクには六つの地方があるんだ。そこまでは覚えていたが、完全に覚えていたのは見えている五つの地方のみだ。恐らく、これは本当に昴とMZDの力だろう。あの地方を隠し、最後に現して逃走フィールドとして加える演出を狙ったんだろう。それを、黒幕に悪用されたわけだが。」
「何か知っているのですか? その…この、カルディスラという場所の事を。」
理乃が訊ねると、リングアベルは頷く。
「名前を聞いて思いだした。隠された地方の名は、カルディス。そのカルディス地方の首都である、始まりの…いや、始まりの国であり、終わりの国とも呼ばれている、カルディスラ。そこに、運営を置いたんだろう。恐らく風花達はサブ的な人員としてカルディスラとは別の場所に配置したと見ていい。それと、自首用電話がどこにもないのも、普通の状態で自首するような奴らはいないだろうが、体力がなくなってきたり、怪我でどう考えても逃走不可能だと考えた奴等が現れるであろう最後の方で機会を与える為に、カルディスラに置いたんだろうな。」
そこまで聞いて、理乃と陽介も何か枷が外れたかのように、一気に情報が流れ込んできた。
始まりの国、そして終わりの国と呼ばれる首都・カルディスラ。
二年前にルクセンダルクを襲った災厄で大穴が開き、被害を受けたティズの故郷であるノルエンデ村。
「ホーリーピラーとエアリーの力によりもたらされた平行世界の境界の破壊行為。その被害を被り、大穴が開いてしまったティズさんの故郷、ノルエンデ村。ああ、色々と思い出しました。」
「成程。今回昴さん達がしたのは、ヨーコの再現か。」
「多分な。」
ヨーコというのは、リングアベルが所属する組織が追っていた妖狐の事で、ユウ達がアニエス救出の為に旅をしていた際、今回のようにカルディス地方の存在を隠し、その記憶をもルクセンダルクの人間全てから奪った程の相手である。
恐らく昴達はそれを見て、何か今回に利用できないかと思って、現在こうしてカルディス地方の事を抹消したのだろう。だが、メールに記された名前がきっかけで、あのルクセンダルクに長年住んでいるリングアベルは思い出し、ゲームをしていた理乃達も情報を聞いているうちにはっきりと思い出したのだろう。
ちなみに、ミッション3の時に烈が言っていたホーリーピラーを利用した境界破壊がもたらした何かというのは、ノルエンデ村の消失、そしてその跡地に大きく開いた大穴の事である。
「では、黒幕はカルディス地方ごと未来に飛ばすつもりなのですね。そして、その未来へと助けを送らなければ、あの写真のように昴さん達が死んでしまう。…ならば、私がすべき事はひとつですね。」
何かを決心したかのように、理乃はぐっと端末を握った。そして、ある番号にかける。呼び出し音の後、カチャリと出る音が聞こえた。
- コウドウ-red maneuver- ( No.157 )
- 日時: 2017/04/11 22:19
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 2QWuZ1bi)
「桜坂理乃です。裏切ります。」
ただ、その一言を告げる。相手から返事はなかったが、恐らく受諾しているだろう。
そして、通達の募集時刻が過ぎた。今度は全員に、メールが届く。陽介達と理乃とでは、内容が違うようだ。
『裏切り者が君達の中から誕生した。裏切り者はこれ以降、ハンターに逃走者の位置を通報するようになる。』
『桜坂理乃、裏切り者として認証。これ以降裏切り者として行動せよ。なお、通報されてハンターに捕まった逃走者のみ、未来へと飛ばす。』
これで、理乃の裏切り者としての役割が成立した。理乃は心の中で全員に謝罪をすると、すぐに陽介達に向き直った。
「ごめんなさい、花村さん、リングアベルさん。例え非難を受けようとも、わずかな希望があるのなら、それに賭けたいのです。あんなメールを見ては、放ってはおけません。」
「分かってる。理由を聞いちゃ、理乃ちゃんを責められないよ。」
「英断だったと思うぞ、理乃。だが…“君一人だけには背負わせない”から安心してくれ。」
「え?」
リングアベルは理乃から端末を奪い、自分の端末に理乃の端末を近づけた。そして何らかの操作をし、すぐに理乃に端末を返す。
「さっきの写真とメールをコピーして赤外線で送らせてもらった。俺も事情を話して、みんなにわかってもらうさ。」
「あ、じゃあ俺も。」
陽介もリングアベルに頼み、先程の写真とメールを自分の端末に保存する。
「理乃、これで俺達二人はお前の共犯者だ。…これは一人で全て背負う問題じゃない。全員で取り掛からなければならない問題だ。」
「ああ。理乃ちゃん、辛いなら、どこかに隠れて通報だけしてくれればいい。俺達二人でみんなに事情を話し、わかってもらうさ。まぁ、すぐにわかってくれそうなお人よしばかりだろうから、別に辛くもないけどさ。」
「…ありがとうございます、お二人とも。少し、楽になりました。」
自分は一人ではない。仲間がいてくれる。それを知った時、理乃の心は少し軽くなった。
「恐らく、そろそろ最初のミッションが発動されるでしょう。…今回はチーム対抗の潰し合いではないと思われるので、この状態でハンターが増えるようなミッションはまずやらないかと思います。」
「となると、エリア拡大。いや、各地方を行き来できるようになるミッションが来る可能性が高いな。」
「はい。そして、地方間の行き来ができるまで、動かない方がいいと思います。恐らく、今動いてしまえば、更なる疑心を生むでしょう。下手をすれば、何も事情を知らないアニエスさんや緑谷さん達を巻き込んでしまいます。内部分裂をさせない為にも、エリア間の行き来ができるようになるまで、通報する行為は控えようと思います。」
今、通報行為をすれば確実に直斗辺りにこの地方で裏切り者が出たと悟られる。そうしたら、何も知らないアニエス、風雅、メフィリアに迷惑がかかってしまう。下手をすれば疑われ、仲間同士で争わなければならないような事になってしまうだろう。そうならない為にも、今は通報する事は控えた方がいい。そう、理乃は考えた。その考えに、リングアベルも陽介も同意した。
「ああ、今は仲間同士が一丸となる時だ。こんなくだらない事で諍いを起こし、分裂してしまっては相手の思う壺だ。」
「だな。まずはミッションをやって、エリア拡大してから、本番だな。」
三人は互いを見合い、頷きあった。
「やりましょう。全てが手遅れになる前に!」
「おう!」
そして、ここに、裏切り者と共犯者…否、救済者と協力者が誕生したのであった。
直後、ミッション1を知らせるメールが届き、三人はミッションクリアに向けて動き出したのだった…。