二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- シドウ-introduction- ( No.22 )
- 日時: 2015/12/21 22:33
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UNL2z9Yl)
創世島、モード『ルクセンダルク』。
ここに今、二十七人の逃走者達が集められた。
だが…。
「何でバラバラに集合するんだし。」
溶岩流れる火山地帯、エイゼン地方。その町の一つ、ユノハナ前。烈は目の前にあるハンターボックスを見つつ、ぼそりと呟いた。
ここエイゼン地方には、烈のほかに、由梨、雪子、直斗、ティズ、ガイスト、アルテミアがいた。
「さてな。つかハンター凪かよ。」
「でも、この分だとオープニングゲーム的な物はないよね。いきなりハンターボックス目の前にあるし。」
「天城先輩、随分と研究してきてますね。あと、野上先輩、これ、先輩達がこの世界に来る前にやった戦闘中でのアンドロイド忍、NAGIを逃走中のハンター用にリメイクしたものなので、凪君に似ていても仕方ないです。」
由梨はざっと五メートル先にいるハンターに見覚えのある影を見つけ、直斗が説明した。その横では、雪子が冷静に分析していた。
「これが逃走中なんだねー。ちょっとワクワクしてきたかも。」
「それはいいが、レヴと離れてしまって少し不安だ…。」
「メフィリアお姉さま、絶対に一緒に行動するよう、言ってた。離れた。どうしよう…。」
いつもののんびりで眺めているティズに対し、家族と別れて不安そうなガイストとアルテミア。息子と姉、共に一緒に行動するよう言い聞かせたり、言っておいたりしたのだろう。
「まぁ、探せばその内ちゃんと会えるだろうよ。…さて、と。あ、雪子。アルテミアの前だ。変な事言うなよ? 言ったら姉ちゃんから色々食らうだろうからな。」
「酷くない!?」
開始時刻まで、そんな話をしながら逃げる準備と体を温める一同だった。
- シドウ-introduction- ( No.23 )
- 日時: 2015/12/21 22:38
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UNL2z9Yl)
所変わって、花と水を湛える島、フロウエル地方。その山の中にある町に、葉月はいた。
「ふわぁ…高い…。」
「高いから落ちないよう気を付けてね、葉月。…サジッタからスタートなのね。」
「た、たたた高すぎて怖いクマぁ…!」
「く、クマ君、離れて、あたしも怖い。」
この場をよく知っているマグノリアが注意を促しつつ、怯えたクマは千枝にしがみ付き、千枝は千枝で怯えていた。
「何だ、この高さで怖いのか? 情けない。」
「あの、エインフェリアさんが高さに慣れてるだけだと思います。ジャンプ的な意味で。」
そんな怯えるクマと千枝に、エインフェリアが喝を入れるも、氷海に突っ込まれてしおらしくシュンとしてしまった。
「というか、ハンターってあのNAGIなんだね…。懐かしいやら何とやら。」
「あの時のチエチャンとヒーチャン、マジオニクマ。」
「あんたが悪いんでしょうが。」
「凍らせるわよ?」
こちらも、ハンターもとい、NAGIを見て懐かしく話していた。途中、クマが震えたが、自業自得なのでスルーしておこう。
「にしても、あれから逃げなければならないのか…。メフィリアやアルテミアと離れて不安だな…。」
「あぁ、やっぱりエインフェリアも不安なのね。私もユウと離れて不安だわ…。」
「ああ、特にアルテミアが離れて不安だ。不安すぎる。」
「…特にその二人、純粋だしね…。」
家族や恋人が純粋な子だと苦労するだろうな、と葉月は心の中で思いつつ、準備をした。
- シドウ-introduction- ( No.24 )
- 日時: 2015/12/21 22:44
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UNL2z9Yl)
更に別の場所、砂漠に覆われた島、ナダラケス地方。
「イスタンタールからのスタートですか…。」
学園都市、イスタンタール。ここではアニエス、リングアベル、メフィリア、ベアリング、陽介、理乃、風雅がいた。
「確かこのイスタンタールは、ユウとジャンが過ごした学校があるんだったな。」
「ええ、このイスタンタール学園で学問を修めたそうです。」
「私もここの生徒にはいろいろとお世話になったわね。」
この学校出身者とは色々と縁があるアニエスがリングアベルの言葉に答え、同じく色々と縁があるメフィリアも同様に返事をする。
「オレ、学問は苦手だぁ〜…。」
「けど、整体師の資格とか持っててすごいじゃねぇか。色々あこがれるよ俺。」
そう、ここにいるベアリングは何だかんだで整体関連の資格を結構保持している。夢はホーリーと一緒に接骨院を開く事らしい。
「しかし砂漠かぁ…。熱くてばてそうだな…。」
「確かに、ナダラケスの砂漠はかなりの暑さですからね…。」
「あ、お二人とも、それなのですが…。なんでも、昴さんにお伺いしたところ、確かに見た目は砂漠ですが、暑さまでは表現していないようですよ?」
風雅が砂漠の暑さにげんなりし、地元であるアニエスがそう話した時、理乃が昴から聞き及んだ話をした。
「え、じゃあ、ここから飛び出ても熱くないの?」
「はい。ですが、砂漠特有の砂地は再現してあるので、足を取られるのは確実ですね。同様に、エタルニアの寒さは表現していませんが、雪で足を取られるのはそのままだそうですよ。それと、エイゼンのマグマは危険なのでただの着色した粘着性のある水を流しているそうです。何でも、ナチュレ様から自然に還る着色料を貰ったそうで。」
「あ、その点は計算してるんだねあの人。」
流石に死んでもらっては困るので、その点はしっかり計算している昴に、全員何だか納得の表情をした。
- シドウ-introduction- ( No.25 )
- 日時: 2015/12/21 22:52
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UNL2z9Yl)
そして、豪雪舞う島、エタルニア。
「寒いかと思ったら寒くない。不思議だねー。」
寒いのが苦手な鈴花が、その先に見える山に降り注ぐ雪を見て、そうポツリと呟いた。
「ホント凄いよね、あの神様。あたし、エタルニア出身だけど、こう、寒くないエタルニアって何か初めてだよ。」
「オレも初めてです。ずっとこのガテラティオに住んでいますが、こんな現象は初めてです。」
「僕もー。パパと一緒にずっとこの島にいたけど、あったかい状態で降る雪は初めて。」
地元であるイデア、ユウ、レヴナントが口々にそういうと、横にいたホーリーもちょっと苦い顔をした。
「確かに雪が降ってるのに暖かいって気持ち悪いねぇ…。まっ、それだけすごい神様だって事だろ? あの二人が。」
「普段から想像つかないッスけどね。ちょっと、失礼ッスが。」
ホーリーの言葉に完二も同意する横で、七海はちょっと苦い顔を見せていた。
(…何だろ。何か…。)
七海の心にくすぶった、その何か。
(…嫌な、予感がする…。)
彼女はその予感を、しっかりと覚えておくことにした。
- シドウ-introduction- ( No.26 )
- 日時: 2015/12/21 22:58
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UNL2z9Yl)
『はいはーい、休憩時間は終わり! さぁ、本番始めるよ!』
唐突に、影の声が聞こえた。
辺りを探すと、いつしか目の前にガンダムのハロをモチーフにした、ハロボット・改がパタパタと浮いていた。
「え、影、オープニングゲームは?」
『えっと、あの馬鹿神がんなことまで考えるのめんどくさいって言ったから、オープニングゲームをかっ飛ばして即座にゲームスタートするよ。』
「おい。」
全員、同じツッコミを繰り出した。影に突っ込んでも仕方ないとわかっているが、どうしても突っ込みたいのだ。
『そのツッコミはごもっとも。じゃあ、もうアップは済んだ? 済んだね。済んだことにするね。』
「お前も強制的にそう決定するなって。いや済んでるけど。」
影の言葉に烈はそう返すも、取り合ってくれそうにないのでこれ以上は黙っておいた。
『んじゃ、十秒カウントしてから逃げてね。で、みんなが逃げてから一分後にハンター放出してゲームをスタートしちゃうちゃうからねー。…カウント、ダウン!』
「十! 九! 八! 七! 六!」
その場にいる全員が、背後のハンターを警戒しながら、逃げる準備を整え、カウントダウンをする。
「五! 四! 三! 二! 一!」
残り僅かのカウント。全員、警戒を始める。
「ゼロ!」
この掛け声と同時に、全員散り始める。
「先輩、絶対残ろうな!」
「お前もな、烈。アタシより先にとっ捕まんじゃねぇぞ?」
師弟関係のある者は、互いに健闘を祈りあい、
「まずはレヴと合流せねば…!」
「アルテミア、大丈夫かしら…。変な人に襲われていないといいけど…。」
家族を心配する者は、合流を目指し、
「絶対逃げ切ろうね、完二!」
「おう! お前もとっ捕まんじゃねぇぞ? 鈴花。」
互いを思いあう者は、逃げ切る事を願った。
そして、一分後。エタルニア奥地にある不死の塔・運営支部…。
「さぁ、みんな、思う存分逃げ惑え! 風花!」
「了解。ハンターボックス、オープン!」
影によって合図を貰った風花が、手元のパソコンを操作すると同時に、ハンターが放出され、ゲームが始まった。
- シドウ-introduction- ( No.27 )
- 日時: 2015/12/21 23:03
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: UNL2z9Yl)
フロウエル・サジッタの隠れ里で、葉月は辺りを散策していた。
「ふぁー…。流石は水のクリスタルに守られている土地。奇麗な水が流れてるなー。」
「おや、可愛いお嬢さん、この土地が気に入ったのかい?」
歩いていると、葉月は誰かに声をかけられた。その方向を向くと同時に、嫌そうな顔をした。
「おいおい、出会って早々嫌な顔をしないでくれよ。おじさん、傷つくなぁ。」
「マジで黙ってくれない、赤い変態のおじさん。」
赤いおじさんこと、赤魔導士フィオーレ・ディローザがどこからか薔薇を取り出して残念そうな笑みを見せた。
「つれないねぇ…。せっかくおじさんがエスコートしてあげようと思ったのに…。」
「ほおずきよりも紅い魂を散らせたいですか?」
葉月は早くも武器を取り出し、ディローザに向けて放とうとしていた。
『おいこら葉月ー。掃除が面倒だからやめてー。』
「そこなのか影!? あ、えーと、葉月ちゃん。エキストラやハンターに危害を加える事は一切禁止だからね。危害を加えたら強制的に失格にされちゃうよ? それでもおじさんに攻撃する?」
「くっ、色々と卑怯な…!」
どうしても一発ぶちかましたい葉月だが、エキストラへの攻撃は禁止されているので、それができない。だが、ここで思わぬ助けが入った。
「じゃー、ウチが一発ぶちかましちょったら、それはセーフなんね?」
『うん、同じエキストラのエイミーがぶちかますならセーフだよ。』
にっこにっこしながら現れたエイミーが、自分の武器であるSアクスライフルを既にディローザに向けていた。
「おっと、恐ろしいお嬢さんだ。ここは退散するとするかね?」
「かまへんよ? ここから動かんでも、余裕でどたまぶち抜いたるわ。」
「あ、私はこれで。エイミーちゃん、お願いします。」
「おう、葉月も気ぃつけてなー。」
背後からパンパン銃撃が聞こえるが、葉月はスルーして先を急いだ。
(こっちはエイミーちゃんに任せていいか。あ、フロウエルにも行ってみたいな。後は水のクリスタルが祀られてる神殿も…。あっ、やばっ!!)
色々と考えている間に、目の前に黒い影が見えたので、葉月は急旋回をした。
『!』
黒い影…ハンターだ。
ハンターは葉月の姿を見つけると、素早く追いかける。
「きゃーっ!」
葉月は慌てて逃げるも、相手も黙ってはいない。ハンターは、逃走者としてインプットされた存在を、その視界から外れるまで追い掛け回すのだ。
しばらく走り、いつしか先程ディローザに声をかけられたところまできた。そう、いまだにディローザがエイミーにボコボコにされているあの現場にだ。
「わ、わわっ、エイミーちゃんどいてえぇぇぇぇっ!!」
「へ? うわわっ!」
葉月の影に気付いたエイミーは、邪魔にならぬようすかさず道を開ける。
だが、エイミーの攻撃でほぼ死んでいたディローザは、彼女の障害になるように、地面へと倒れこんでしまった。
「わー! おじさん邪魔あぁぁっ!! きゃあっ!!」
葉月は叫ぶも、時既に遅し。彼女の脚はディローザの顔面にめり込んで、そのまま倒れこんでしまった。
ハンターはその隙を見逃すはずもなく、すかさず彼女の肩にポン、と手を置いた。
117.25
杉山葉月 確保
残り26人
「おじさん。後で私とデートしようよ。八寒地獄へ。」
去りゆくハンターを見つめながら、葉月は捕まった原因であるディローザに向け、ボソリと呟いた。
「あーあ、厄介なのに捕まったなぁ、あのオッサン…。南無南無…。」
エイミーはそっと、ディローザに向けて合掌をしたとか。
- シドウ-introduction- ( No.28 )
- 日時: 2016/01/03 22:14
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: PMN5zCv8)
「ん? メール…つか割と早いからミッションじゃないな。何々…『杉山葉月、確保。残り26人。』いや早すぎんだろ葉月!!」
逃走者の確保情報は、逐一端末のメールで知らされる。
ユノハナの建物の陰に隠れていた由梨はこのメールを受け取り、思わず叫んでしまった。
「は、葉月、流石にこれは早過ぎよ…。」
「最初の確保者が葉月って…。」
同じく、ラクリーカへと向かっていた理乃と、巡教の森で遊んでいた七海が苦笑を浮かべる。いや、無理もないだろう。よりにもよって最初の確保者が身内からだとは思わないだろう。
「あー、何かようやく始まった感じがするな…。」
「すごく怖いです…! まさか、こうして追いかけられるとは思いませんでした…。」
陽介は葉月確保の一報を受け、横にいるアニエスと共にようやく始まったと実感した。
ハンターから逃げた時間に応じて、賞金を獲得できる。
それが、
Ran for Money 逃走中!
舞台は、創世島・モード『ルクセンダルク』。
六つの大陸からなる、ユウ達ブレイブリー組の住む世界をモチーフにしたモード。
今回はその大陸を縮小し、各大陸東京ドーム一つ分の大きさにした。すべて集めると、東京ドーム六つ分となる。
牢獄はユルヤナ地方のユルヤナの仕立て屋…現ブレイブの仕立て屋にある。
また、このゲームをその時点での賞金を得て途中リタイアできる自首も可能だが、現在はある事情で自首用電話がない。
ブレイブリー組にとってはほぼ地元と言えるこの世界内を逃げ回る。
■
葉月の確保から少し経ち、千枝がある事に思い至った。
「そういえば、大陸と大陸の間の移動ってどうなってるんだろ?」
大陸間は海で囲まれており、船か何かがなければ大陸と大陸の間を移動できない。それに気づいた千枝は、影に聞いてみる事にした。
「ねぇ、影君。大陸間の移動ってどうするの? まさかこのままってことはないよね?」
『おー、鋭いね、千枝。でもそれはまた後でね。』
影はそう言って、千枝の問いかけに簡単だが、答えた。
また別の場所で、烈は端末の表示を見ていた。時間と一緒に、現在の賞金額が表示されている。
「おー、すげー…。本当に上がってる…。」
賞金は一秒ごとに200円ずつ上昇。制限時間の120分逃げ切れば、賞金144万円を獲得可能。
「つか、こんな額の賞金どこから…。」
『あ、クッパとピーチとマルスとゼルダのポケットマネーです。』
「ポケットマネー!? ポケットマネーでこんな額をPONと出していいのか王族!!」
そこのところはツッコミを入れずにはいられない烈だが、その後影は完全にスルーを決め込んだので、これ以上何も言わなかった。
「あれ? 影、そういや自首はどうなってるんだ?」
『自首はできるけど、今はできないよ。自首用の電話はちゃんとあるけど、ある場所にあるから今はできないんだ。』
「ある場所って?」
『…ここ、ルクセンダルクは本来六つの大陸からなるんだけど…。マップを見てもらえれば分かるように…。』
烈は端末を地図に切り替える。だが、そこにはどう見ても五つの大陸しかなかった。
「…五つしかねぇな。あと一つ…あれ?」
あと一つの島を思い出そうとしたが、何故か頭にちくんと痛みが走った。
『悪いけど、ある事情でもう一つの島の事は君達の記憶から抹消させてもらったよ。安心して。時期が来たら思い出させてあげるから。』
「ある事情ってのが分からんが、まぁいい。じゃ、俺はしばらく逃げっかな。」
烈は影との話を終え、逃げる事にした。
エリアには各島一体ずつのハンター。捕まれば失格。賞金はゼロ。
彼らから逃げるのは、容易ではない。
果たして、逃げられるのは誰か…。
■
確保者の言葉
一人目:葉月
葉月
「あーあ、あのおじさんが寝っ転がっていなければ今頃逃げられてたと思うのに…。」
ユルヤナ
「できればもうちょっとプリンプリンでポヨンポヨンのおなごが入ってきてほしかったのぉ…。」
葉月
「ユルヤナのおじいちゃん、何か言った?」
ユルヤナ
「もうちっと胸がプリンプリンでポヨンポヨンなおなごが来てほし」
え、この後何があったって? 察して。