二次創作小説(映像)※倉庫ログ

バイヨウ-gift of god- ( No.58 )
日時: 2016/01/14 22:39
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: g8eYpaXV)

鈴花達は、先程手に入れたマメを持って、苗床を探していた。

「うーん、苗床ってどこだろう。」
「海岸近くにあるのでしょうか…。」

移動しやすそうなのは、海岸沿いにあるパターンだ。

「この辺りで海岸って言われても、思い浮かばないよね…。」
「港町なら、ガテラティオが該当しますが…試しに行ってみますか?」
「そうだね。苗床があるといいけど…。」

二人は仲良く、ガテラティオへと向かっていった。
別の場所では、エインフェリアと氷海がフロウエルを目指して歩いていた。

「苗床は見つかったが、マメ屋とやらはどこだ?」
「姿もわからないから、探しようがありませんよね…。」

どうやら、二人は苗床らしきものを見つけはしたが、肝心のマメ屋が見つからない上にその姿が分からないと来たらしい。ゲームなんてろくにしない二人だから当たり前だろうが、これではどれだけかかってもミッションクリアは難しい。

「誰かわかる奴に連絡をとってみるか。氷海、頼めるか?」
「そうですね、そうしましょう。」

氷海は端末を操作し、誰かに連絡を取った。











エイゼン・ハルトシルト…。

「ん?」

この街に来た直斗と雪子と合流し、いまだに祭りを周っていた烈が、端末が鳴り響いているのに気づき、自然な動作で取り出した。

「確保情報?」
「それなら先輩らにも来てるだろうが。おっ、氷海から電話だ。もしもーし、どした?」
『あぁ、烈。ミッションやってる?』
「まぁ、今、雪子先輩に直斗と合流してマメ屋探してるとこ。で? 用件はなんだ?」
『えっと、今エインフェリアさんとミッションしてるのだけれど、マメ屋さんがどんな人か分からなくって…。』

烈はそれを聞いてなぜ電話してきたか納得した。

「お前もエインフェリアさんも家庭用のゲームなんかしねぇもんな。」
『今度から少し手を出そうかしら。それで、烈。マメ屋の人ってどんな人?』
「マメ屋の主人は…。」

説明しようとしたが、どうやって説明したら氷海達に理解できるのだろうかと悩んだ。

『烈?』
「…あ、あぁ、悪い。そうだな…。丸々太ってて、袋からマメか何かを取って食べてて…。」
『丸々太って何かを食べているのね。わかったわ。』

氷海はそこまで聞いて、通話を切った。

「大丈夫かあいつら…。」
「不安ですが、信じるしかありませんよ。幸い、あちらにはまだクマ君やマグノリアさんがいますし、わからなくなったらあの二人が何とかしてくれますよ。」

そう、まだあちらには知ってそうなマグノリアやクマがいる。いざとなったら彼らが何とかするだろう。

「だよな…。」

不安はあるが、信じるしかない。
そんなこんなで、烈達もマメ屋探しに歩き出した。

バイヨウ-gift of god- ( No.59 )
日時: 2016/01/14 22:44
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: g8eYpaXV)

程なくして、氷海から再び連絡が来たのか、烈は再び端末を取り出した。今度はメールのようだ。

『烈の言う豚さんを何人か見つけたけど、誰がマメを持っているの?』
「は? 何複数見つけてんだよ。つか豚って何だし。」

嫌な予感がして、烈は添付されていたファイルを開き、そして…。

「ブーッ!!」
「え、どうしたんですか烈く、ブフゥッ!!」
「何か面白いのが、ブフゥッ!!」

吹き出した。横にいた直斗も雪子も同じように吹き出した。

「あ、あははは! 本当に豚がいる!! 豚が、豚が集まってる!! あははははははっ!」

その添付ファイルに写っていたのは、テレポーク、オーク系モンスター、カ・ダだった。ちなみに、テレポークというのは街から街へとテレポートさせてくれる豚で、オーク系のモンスターは総じて槍を持つ二足歩行の豚で、カ・ダは薬師のアスタリスクを持つ豚…のように肥えた男である。しかも手足も短い。
あ、ちなみにテレポークは今、テレポート機能を制限しているので、最早ただの豚です。

「あの説明でどうしたら豚大集合したんですか! だ、駄目、笑いが…!」
「マジ、俺も、無理っ…!!」

何をどう理解してこうなったのかはわからないが、明らか検討違いである。
ひとしきり笑っている最中に、また端末が鳴った。またもメールだ。

『ちなみに、袋を持ってたカ・ダが最有力で、エインフェリアさんが脅してみたんだけど、中身キノコしかなかった…。キノコでも大丈夫かしら?』

明らか間違った物を手に入れた氷海達がそれを植えに行こうとしたので、烈はすかさずメールを送り返した。

『いや、どれも違うって! キノコ植えても何も生えねぇから! もうクマ呼べ! 現地で聞け!』

そう送信して以降、氷海からの返事は来なかった。クマに聞いた方が早いと察したのだろう。

「はぁ、どっと疲れた…。」

疲れている場合でないとわかっているのだが、思わず言ってしまう烈だった。

「とにかく、私達も探さないとね。」
「そうですね。随分笑わせていただきましたし、行きましょう、烈君。」
「もうあの笑いでお腹一杯だが、行くか…。」

そして再び、マメ屋探しに歩き出したとさ。

バイヨウ-gift of god- ( No.60 )
日時: 2016/01/14 22:49
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: g8eYpaXV)

ナダラケス・イスタンタール…。
先程アニエスを捕まえたハンターは既にどこかへと行き、再び街は静まり返った。

「ふぅ、イスタンタールに到着しましたね。」

そこに、理乃、陽介、リングアベルがやって来た。

「よっ、理乃達じゃねぇか。」
「お、ジャンか。」

彼らを見つけたジャンがニコライと共に声をかけた。

「ジャンさんも警備でこちらに?」
「まぁな。色々と話は聞いてるから、ここを受け持ったわけ。まぁ、なんの心配もしてねぇけど。あ、リングアベルに聞きたいことがあったんだ。」
「俺にか?」

ジャンはリングアベルの姿を見つけるなり、話し始める。

「なぁ、旅している間、アニエス様ってよく道に迷ってた?」
「ああ、そうだな、よく道に迷っていた。迷子になって捜索するのが面倒だから、大体宿屋にいてもらったな。」
「マジか。やっぱりその頃からずっと方向音痴なんだな。それにフリーダムが混ざって今のアニエス様ができたのか。」
「なぁ、何かあったのか? アニエスさんが捕まった時。」

陽介はジャンの微妙な表情を見て、思わず訊ねてしまった。

「聞いてくれよ、陽介。アニエス様な、自分がラーメン食べたいからってハンターを止め」
『わーわーわーわー!! じゃ、ジャン! お、おおお乙女のぷらいばしぃですよ!』

無理矢理頼み込んだのか、牢獄にいるアニエスがハロボットを使い、慌てて通信を試みたようだ。

「はぁ、わかったよ、ったく…。」
「まぁ、何となく予測はできました。ところでジャンさん、この辺りにマメ屋さんはいませんでしたか?」
「マメ屋? あぁ、ミッションか。マメ屋のおっさんなら、学園のノルゼン教授の部屋で見たな。」
「サンキュー!」

有力な情報を得られた三人は、イスタンタール学園に向かった。











エイゼン・ハルトシルト。

「魔法のマメ、三つ、持ってって。」
「サンキュー!」

烈達は街中でさらっと行商人をしていたマメ屋の主人をようやく見つけ、マメを譲り受けた。

「さて、あとは苗床を探すだけですね。」
「だな。由梨先輩やティズさんやガイストさんにも協力してもらおうぜ。」

この広いエイゼンを闇雲に探すのは難しいだろうと感じた烈は、同じくここの大陸からスタートのティズとガイストに協力を仰ごうとしていた。アルテミア? どうせ動かないだろうからと思っているので連絡しないのだとか。
そんなことを思って連絡しようと端末を取り出したところで、通話が入った。

「あ、ティズさんだ。もしもーし。」
『ああ、烈。今、海岸の廃屋近くに苗床っぽいのを見つけたんだけど、マメ屋の在りか、わかるかな?』
「今、マメを手に入れたから、そっちに行くよ。海岸の廃屋だな。」
『仕事が早いね、烈は。うん、海岸の廃屋近くだから、そっち向かっていれば大丈夫。じゃあ、待ってるね。』

相手はどうやらティズのようで、しかも今探そうとしていた苗床の側からかけてきたようだ。

「ティズさんですか?」
「ああ、しかも苗床を見つけてた。」
「凄い偶然だね。でも、これでエリアが広がるね。」
「ああ。」

烈達はエイゼン最東端にある、海岸の廃屋へと向かった。











フロウエル・フロウエルの入口。

「ヒーチャン、エイチャン、どこをどう考えたらマメ屋の主人が豚になるクマ…。」
「だ、だって、丸々太って何かを食べてるって、豚以外にいないでしょ?」
「もうヒーチャンの思考回路はクマわからんクマ。とりあえず、レツに後で謝っておくことをおすすめするクマ。あと、やられて当然だったとは言え、人違いでボコボコにしたカダにも謝っとくクマ。コッチは確実にやっておくクマよ。エイチャンも。」
「はい…。」

あの後、近くにいてくれたクマにマメ屋の特徴を聞き、一緒に探したお陰でなんとかフロウエルのショッピング街にいたマメ屋からマメを手に入れることができた氷海とエインフェリアは、クマに言われてしょぼんと項垂れてしまった。
え? カ・ダに何があったか? 袋を強奪するためにエインフェリアが乱れ突きを執拗に食らわせて今は気絶してます。クマが【ディアラハン】かけておいたので、そのうち目が覚めるでしょう。多分。
あ、そうそう、エキストラへの攻撃が封じられていたはずじゃないのかっていう件ですが、これはカ・ダが持っていた即死級の毒キノコが原因でお咎めなしです。影も風花も黙認しました。

「まぁまぁ、見つかったんだからいいじゃない! 後はこれを苗床に植えるだけね。」

同じくあの後一緒に来てくれたマグノリアの仲裁で、微妙な空気だったのが元に戻った。

「苗床の場所はわかってるクマ?」
「ああ、ダスク遺跡近くの海岸にあった。色々と迷惑をかけたし、私が植えてこよう。」
「じゃあ、ここはエインフェリアに任せましょうか。」
「ああ。【ジャンプ】を使ってちょっと行っ」
『エインフェリア、【ジャンプ】は反則。』
「そ、そうだったな…。」

【ジャンプ】を使って行ってこようと考えたエインフェリアだが、影にそう言われて素直に引き下がりました。

バイヨウ-gift of god- ( No.61 )
日時: 2016/01/14 22:54
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: g8eYpaXV)

全員、マメを入手し、あとは苗床に植えるだけとなった時、エタルニア・ガテラティオ…。

「とーちゃーっく!」

ユウと鈴花が二人仲良くガテラティオに到着した。
そして目の前に見える港にある物を見て、喜んだ。

「あ、鈴花さん、ありました! 苗床です!」
「ほんとだ! 苗床あった!」

船着き場の先端にあった苗床を見て、一目散に駆け寄る二人。

「よし、苗床に植えちゃおう! あ、私がやるからユウ君はハンターが来ないか見てて!」
「わかりました! お願いします、鈴花さん!」

ユウにハンターの見張りを任せ、鈴花は丁寧に魔法のマメを植えた。
だが、ここで疑問が一つ。

「ところで、肝心の水はどうするんだろう?」

そう、水の問題だ。植物が育つには、水が必要不可欠だ。

「ここらへんの海水で代用できませんか?」
「いやー、海水は駄目だよ…。」

だが、この辺り一体に水になりそうなものはないのも事実だ。

「影君、水はないの?」
『すべての地域が全箇所植えたのを確認して水を出すから安心して。』
「そうなんだ! 早くみんな植えないかなー。」

運営にどうするか聞いたところ、その答えが出た鈴花は安心してワクワクしながらその時を待った。
鈴花達が植えてからまたしばらく経ったエイゼン・海岸の廃屋近く…。

「ティズさん! ガイストさん!」

ここに、マメを持ってきた烈、直斗、雪子が合流した。先にここにいたガイストとティズが久しぶりに会う仲間の表情に安堵の笑みを見せる。裏切り者がいるかもしれないこの状況だが、会えて嬉しいのは事実だ。

「無事にマメを手に入れられたみたいだね。」
「ああ。余計な手間がかかっちまったが、なんとか。」
「余計な手間、とは?」

ガイストが気になって聞き返したので、烈は自分の端末をあるメールを開いた状態でガイストに渡した。

「ん? メー、ぶはっ!」
「え、何々ガイス、ブッ!」

見せたのはもちろん、氷海からのメール。ええ、豚ちゃん勢揃いのあのメールです。

「氷海がマメ屋をわかんなかったらしくてさ、俺に特徴を聞いてきたんだけど、何をどう勘違いしたのかわからないけど、豚を勢揃いさせてもうどうしようかと。」
「ぶ、豚ばっか、豚、豚ばっか…!」
「ティズ、笑って、笑ってやるな、グッ、クッ!」
「ガイストさんも笑っていますよね…。(その恰好と顔で笑わないでください。怖いです。)」

ティズも、ティズを制止するガイストも、堪えきれずに笑っているのを見て直斗は突っ込むが、ガイストの今の姿に引いていた。

「ねぇねぇ、直斗君。今【ブフダイン】使える? 水がないと育たないよ。」
「って、もう植えてるんですか天城先輩!」

そんなやり取りをしている間に、雪子が既にマメを植えていた。マイペースすぎである。

「そういえば、水の問題を忘れてたな。ティズさん、【ブリザガ】使えっか?」
「うん、できるよ。氷を溶かして水にするんだね。」
『あー、今、技放とうとしてる二人に連絡。各大陸みんなが植えたのを確認したら水を出すから、別に大丈夫だよ?』
「じゃあ、あとはみんな待ちか。」

影からの通信で、二人はそれぞれの力を消し、待つことにした。

バイヨウ-gift of god- ( No.62 )
日時: 2016/01/16 09:22
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: xV3zxjLd)

フロウエル・ダスク遺跡近くの海岸。
エインフェリアは【ジャンプ】したい気持ちを押さえ、ようやくここまで辿り着いた。

「ふぅ、あったあった。」

そして目の前にあった三つの苗床に、そっとマメを植えた。

「さて、後は水だな。近くに水源もないし、海水で代用するか。」
『いやいやエインフェリア、水のクリスタルを祀るこの島は水が豊富にあるのに海水で代用しないでよ。せめて湧き水汲んできてよ。』
「しかし、そこまでいくのが面倒だ。なので【ジャンプ】の許可を」
『いやいやいやいや、認められないって。どんだけ【ジャンプ】したいの。水は後で他の大陸もマメを植えたらちゃんと出すから、そのまま待っててね。【ジャンプ】したら牢獄にぶちこむよ。』
「うぅ、空を飛べないのは不便だ…。」

エインフェリアはどうしても【ジャンプ】がしたいのか、待っている間ずっと体がウズウズしていたとか。
そして、ナダラケス・ラクリーカ北にある桟橋…。

「ありましたね、苗床。」

無事、マメを手に入れられた理乃達は、途中で出会ったジャッカルにこの桟橋にある苗床のことを聞き、道案内で同行され、現在に至る。

「よし、あとは植えるだけだな。」
「はい。花村さんとリングアベルさんはハンターが来ないよう見張っていてください。」
「わかった。」

植えている間にハンターに追いかけられれば逃げられる確率は低い。故に、見張りを頼んだのだ。理乃はハンターの見張りを残りの二人に任せ、丁寧に魔法のマメを植えた。

「よし、これでもう大丈夫。さて、あとは水ですが…。」
「そこの海水で代用すりゃいいんじゃね?」
「海水は駄目ですよ。植物に毒です。」

ジャッカルがそう提案したので、理乃はその提案を一刀両断した。

「だけどよ、ここには海水ぐらいしかないぜ? オアシスまでひとっ走り行くか?」
「うーん、それもそうですね…。あ、そうだ。」

理乃はなにかをひらめいたのか、ポンと手を打った。

「花村さん、お手伝いお願いします。」
「ふえ? なんだ?」
「移動が面倒なので、オアシスに竜巻を起こして雨を降らせます。ここから。」
「なるほど、その手があったか。」
「へー、お前、頭いいな。」
「無茶苦茶だよ理乃ちゃん! リングアベルさんもジャッカルさんも納得すんな!」

かなりの無茶ぶりをされ、陽介は愕然として思わず突っ込んだ。

「むぅ、仕方がありませんね。私がやります。一人で。」
『あのさー、君達は海水で代用しようとか竜巻起こそうとかもう何ふざけた考えを実行しようとしてるのー。』

理乃が本当に竜巻を起こそうとした時、それを制止するかのように影が止めた。

「だって、水がないと育ちませんし…。それに、私ならサクッとできますので…。」
『サクッとできても駄目。ボク達の方で用意してあるから大丈夫だよ。…さて、全部植えたね。』

影は全箇所マメが埋まっているのを確認し、こほんと咳払いをした。

『それじゃー行くよ! ぱんぽろぴろぴろー!』

何事か呪文を唱えると、海の様子がおかしくなる。荒れ狂い、海岸に激しく波打つ。

「…おい、まさかこれ…。」

陽介が何かを予知する。
そして…。

『海水だっぱーん!』
「結局海水じゃねぇかあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

その波打った水が、いや、海水が、苗床に思いきりかかった。

『安心してください。一瞬だけ真水にしました。』
「納得できるかあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

もちろん、世界各地で同時に突っ込みが響き渡ったのは言うまでもない…。