二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- カイホウ-imitation- ( No.73 )
- 日時: 2016/01/17 21:43
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0zbVOBmK)
【牢獄 de トーク】
「(やっとついた…!)皆さん、大変です! 今すぐこの逃走中を」
直斗が牢獄に辿り着いた時…。
「ぎにゃんっ!」
バンッ! という激しい音と共に、突然千枝が何か見えない壁にでもぶつかったかのように現れた。
「…ふむ、やはり結界が張られておったか。」
「おじいちゃん、気づいていたなら早く言ってよ!」
「いや、すまんすまん。ちと、考え事に夢中だったからのう。」
ユルヤナは千枝に謝りつつも、考え込む仕草をした。
「あ、直斗君。お帰り。」
「あ、ただいま戻りました、杉山先輩…って、挨拶してる場合じゃないんです!」
「…急にできたこの結界で察しています。老師様が持っていた通信機も機能しないようで、私達で見に行こうとしたのですが…。」
いつものように挨拶する葉月とそれに一瞬乗っかる直斗だが、すぐにそんな場合ではないと話を進めると、アニエスがそう語った。どうやら彼女らも何かを感じ、風花達の様子を見に行こうとしていたらしいが、いつの間にかユルヤナの森の仕立て屋付近に結界が張られており、それに千枝がぶつかったというわけだ。
「ど、どーすんのさ! このままじゃ風花さんと影君の様子を見に行けないよ!?」
「うむむ、仕方あるまい。うまくいくかどうかわからんが…。アニエスちゃん、手伝ってくれんかの。ワシの…魔界幻士のジョブでの。それから、アビリティ【召喚】じゃ。」
「わかりました。」
アニエスは言われた通り、すぐに魔界幻士のジョブになった。
「僕らも一緒に破壊しましょう。」
直斗は拳銃に弾薬を装填し、準備した。
横では千枝も脚甲をはめ、完二も盾を構えた。葉月も弓を構えている。
「…あれ?」
そんな準備をしている中、レヴナントが声をあげた。
「どうしましたか、レヴナント君。」
「ねーねー、ティズとリングアベルはー?」
レヴナントが言い放った疑問に、その場にいた全員はっと息を飲んだ。
「そ、そうだよ! 直斗君の前に捕まったあの二人は!? 確か、裏切り者に通報されたはず…!」
「ティズもリングアベルも、勝手に牢獄に来て勝手に抜け出すような方ではありません。リングアベルは…まぁ、怪しいですが、ティズはそんなことはないと思います。それに、ティズが来ているかどうかは私には何となくわかりますし、リングアベルは真っ先に老師様のところに来るでしょう。二人で、イデアいわく不埒な話をするでしょうから。」
「ティズさんはともかく、リングアベルさんはやりかねん。」
「お主ら、それワシにも失礼じゃないかの? それにそもそもの話じゃが、この狭苦しい仕立て屋で、ティズとリングアベルが来たのを誰一人気づいていないのはおかしい話じゃ。故に、その二人は来ておらんよ。」
ほぼ全員認めたリングアベルの信用度は置いといて、確かに、この狭い仕立て屋で男二人が来たことに気づかないのはおかしい話だ。直斗は再び考え込んだ。
「結界の張られた牢獄。裏切り者に通報されて捕まったはずの二人が来ない。通信が途切れた理由…。」
「やはり、何かが起こっているのでしょうか。…逃走中の悲劇と呼ばれるような何かが…。」
「恐らく、そうでしょう。とにかくまずは、この結界を破壊して不死の塔に行かないと…!」
アニエスの問いに答えた後、直斗は拳銃を構えた。
(…これは、スバルさんに連絡した方が良さそうですね。)
そんな直斗の横で、アニエスはそっと胸のポケットに触れた。
…一冊の手帳が入った、その胸ポケットを。
- カイホウ-imitation- ( No.74 )
- 日時: 2016/01/17 22:02
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: IkrWl/TY)
ミッション2が発動される前に一緒にいたフランシスと風雅は、互いに見合い、頷いた。
「まさかこんなことで呼ばれたとはな。」
「何も聞かされてなかったの?」
「ああ。全くな。ただ、このナダラケスを出ないでウロウロしてろ、ってMZDに言われただけで。」
「相変わらず人に話を通さないんだね…。」
呆れた風雅だが、そんなことを言っている場合ではない。動かねば、ハンターが追加される。
「行こう、フランシス。風の神殿に!」
「だな。」
風雅はフランシスと共に、風のクリスタルが祀られている風の神殿に急いだ。
■
同時刻、エタルニア・墓標の村…。
「ローズは勉強熱心だな。イデアとは大違いだ。」
まだローズと一緒にルクセンダルクの歴史を勉強していたブレイブは、つい娘と比べて呟いてしまった。
「イデアってそんなに勉強嫌いなのー?」
「勉学よりも剣術を磨くタイプだからな、あいつは…。方々から贈られたドレスよりも、剣を取るやつだからな。」
ブレイブははぁ、と溜息をついた。
「いずれこのエタルニア公国を背負う元帥という立場になるのだから、帝王学も少し勉強してほしいものだが…。」
「なんか、揉め事は物理で解決しそうだよねー。」
「私の選択は、間違っていたのだろうか。色々な意味で。まぁ、だが…少しずつ、話し合いでの道も模索しているようだから、まだ大事には至っていないがな。」
もう溜息しかつくことができないブレイブに、ローズはかける言葉が見つからなかった。
「ローズ!」
そんな話をしている間に、ローズに声をかける人物が、二人。ずっとここエタルニアに残っていた鈴花と、エタルニアに戻ってきたイデアだ。
「あ、鈴花に、勉強嫌いな元帥さんだ!」
「ちょっ、誰から聞いたのローズ!」
「私だ。」
父の前で変なことを言われたので、慌てて取り繕うイデアだが、その父から話されたと知り、一瞬にして口をつぐんだ。
「ローズはこうも言っていたぞ? 揉め事は物理で収めそうだと。あの剣と盾の話はどうした? 力ずくということは、剣のみを取るということだが。盾はどうした? た て は 。」
「」
イデア、父の威圧の前に何も言えず、雛鳥のように縮こまってしまった。
「そ、それはローズが勝手に言ったことじゃん! こう見えても少しは女性元帥として振る舞って」
「では、諸国の長からドレスをいただこうとしたら、剣を要求した理由はなんだ? それと、以前マグノリアがお前の部屋にあったドレスの山と剣の山を見てこう言ったそうだな。『ドレスはイデアに似合わない。剣の方がイデアに似合うと。』」
「む、むぐぐ〜! 反論できないのが悔しい…。」
反論するも、すぐに父に言いくるめられて終わったそうだ。
「ローズ、ローズの力が必要なミッションが来たの。手伝ってくれる?」
「うん! ボクにまっかせてー! でも、どんなミッション?」
「あのね…。」
そんな父子を完全にスルーし、鈴花はローズにミッションの詳細を話していた。
「うん、わかった! この海とかを戻すには、ボクがクリスタルの前で祈ればいいんだね!」
「何か話を聞いていると、二年前の災厄まんまだねー…。あの時のことを思い出すよー。」
「…。」
当事者であるイデアはしみじみ語る横で、ブレイブは険しい顔をしていた。
「…鈴花。本当にローズが祈るだけで事は済むのか?」
「え、どうしたのブレイブさん。メッセージによればそう書いてあるけど…。」
「…本来、クリスタルはアニエスのようなクリスタルの巫女でしか干渉ができないのだ。それを易々とローズ達が扱えるとは思えない。」
「あれ? そーだっけ? クリスタルって巫女でしか解放できたりしないんだっけ?」
「お前はアニエスから何を聞いていたのだ、まったく…。」
呆れる父はさておき、本来ならばクリスタルはアニエスのような巫女でしか解放できないはずだ。それどころか、干渉すらできない。ブレイブは元クリスタル正教の司祭なのでそれを知っていたのだ。
「うーん、でも、ルクセンダルクは再現しても、クリスタルとその機能については殆ど再現しないんじゃないかな? 巫女がこのミッションに不可欠なら、もうミッションクリアできないのが確実だし…。」
「あー、確かにアニエスが捕まった時点でこのミッション出す意味ないよね。解放できそうなレヴも捕まっちゃってるし。」
「レヴの場合はアニエスを操っての解放だ。巫女には当てはまらん。かつては水の巫女候補であったヴィクトリアもいるが、彼女にクリスタル解放をさせるのは酷だ。それは昴殿達もわかっているだろう。」
この逃走中でクリスタル解放ができる巫女と呼ばれる存在は、アニエスただ一人。彼女が捕まったからには、このミッションは出す意味がない。既にミッション失敗は確定なのだから。
それにも関わらずこのミッションが出たということは、アニエスよりもメッセージにある通りジョーカー一味が必要不可欠だということだ。
「ま、こうして指示されたってことは、正しいってことなんじゃないの?」
「…それならばよいが…。」
ブレイブの胸には、不吉な予感が渦巻いていた。手練れの剣士としての勘が何かを察知したのだろうか。
“逃走中の悲劇”という言葉が、絶えず頭をよぎる。
「何が起こってもおかしくない。気を付けてくれ。」
「うん、わかった。じゃあ、ブレイブさん、また後でね!」
「じゃーね、お父様! また田楽巡りしよっ! あたし、あまーい練乳かけてあげ」
「いらん。」
「ひどーい! あのあまーい練乳と田楽はベストマッチなんだよ! それを」
「人の立場に立てぬ者に、人を治める資格はない。帰ったら覚悟しておけ。」
娘が何か言う度に、父は即座に一刀両断する。鈴花はそれに苦笑しながらも、イデア達の話が終わるのを待った。正確には、イデアが折れるのを、だが。
- カイホウ-imitation- ( No.75 )
- 日時: 2016/01/17 22:23
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: .Cs7UCz5)
エイゼン・ハルトシルト…。
「確か大食い会場にリリィはいたはず…。」
烈は再び、大食い大会の会場に戻ってきた。
『優勝は、ソリッド・スネークウゥゥゥゥッ! 食べたラーメンは二十五杯! リリィは一歩及ばず二十四杯と言う結果に終わったが、互いに一歩も引かずに戦ったぞ! 二人に大きな拍手を!』
歓声と共に、拍手の音が響き渡る。どうやらリリィはスネークに一歩及ばなかったようだが、それでも通常サイズのラーメン二十四杯は凄い。
「リリィ!」
場が解散になったのを見計らい、烈はリリィの元に駆け寄った。近くにはまだメタナイト達もいたのか、スネークの前に駆け出していった。
「スネーク、任務を放棄して何をしている!」
『全くお前は…。何で大食い大会に参加したんだ。』
「ぽよぽよ!」
「カービィ、自分も出たかったと言うのはやめてくれ。お前が出ると会場の食べ物が全部なくなる。それで、スネーク。何で大食い大会に参加したんだ。」
「決まっているだろう。タダ飯が食えるからだ!」
「予想通りの答えで何か安心したぞ。」
スネークがルカリオとメタナイトに怒られているが、ひとまず烈はスルーしておいた。
「リリィ、何で大食い大会に出てたんだよ。」
「タダでご飯がお腹いっぱい食べられるから。」
「もう分かりやすくてにーちゃん泣けてくるんだけど。」
どうやらリリィもスネーク同様、タダ飯を狙ったようだ。お前らマジで何してる。
「んな話してる場合じゃないんだよ。リリィ、お前が必要なミッションが出た。俺と一緒に源泉洞に来てくれ。」
「ミッション…。行きたいけど…。」
「何かあるのか?」
リリィが一緒に行けない理由がわからずに、烈は困惑するも、その困惑は要らぬものと次の言葉で知った。
「お腹いっぱい。浮けない。動けない。運んで。」
「食い過ぎだよお前は!」
ラーメン二十四杯はかなりこたえたようで、現在リリィは動けないらしい。いつものように浮遊できないと言うことは、かなり来ているようだ。
「はぁ、仕方ねぇ。」
烈はここでこうしても始まらないとわかったのか、リリィを持った。
「って、重っ!」
と同時に、普段とは桁違いの重量に驚いて、落としそうになった烈だった。
「一リットルのペットボトルかよお前は!」
「女の子に重い、失礼。」
「動けなくなるまで食い過ぎてる時点で女かどうか怪しまれんぞ。」
「私、可憐な女の子。何か言うなら、お兄ちゃんの顔、デコる。」
「やめろ。公式通りにデコるならお前を部屋から追い出してイカ抜きの刑にすんぞ。」
「それはやだ。」
イカ抜きの刑が嫌なリリィは、烈にそのまま運ばれていった。
- カイホウ-imitation- ( No.76 )
- 日時: 2016/01/19 23:05
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: Uj9lR0Ik)
「…。」
雪子は一人、ユルヤナ地方を回っていた。
(裏切り者、どうして裏切ったのかな。)
思案しているのは、裏切り者のこと。
何故自分達を裏切ったか、検討もつかない。同時に、怪しい人物も見当たらない。
(ガイストさんっぽい気がしたけど、ティズさんが違うって言い張っていたから、多分違うのかも。)
一番怪しいのは、彼のかつての所業的にガイストだろうと思ったが、ティズは彼は裏切り者ではない、と話していた。
(うーん、わっかんないなぁ…。直斗君も捕まっちゃったし、閃きと筋力抜群の千枝も捕まったし…。ん? 閃き筋力、縮めてヒラメ筋力?)
何やら変なことを思い浮かべた瞬間、ブハッ、と雪子は吹き出して膝を折った。
「ブッ、あははははははっ! ひ、ヒラメ筋力、ヒラメ筋力って私何思い浮かんで、あはははははははっ!!」
雪子はしばらく、その場で笑い続けていた。
『!』
その声を聞き付け、ハンターがその肩に手を置くまで、ずっと…。
76.41
天城雪子 確保
残り15人
「あ、あはははははははっ! 笑ってたらハンターに捕まっちゃったし! あはははははははっ!!」
…お気楽なものである。
とにかく、雪子はすぐに転送された。
■
確保者の言葉
十二人目:雪子
雪子
「あはははははははっ!! ち、千枝、ヒラメ筋力って面白くない!?」
千枝
「いや笑ってる場合じゃないからあんたは!!」
直斗
「非常事態だと言うのに、気楽ですね、天城先輩…。」
完二
「あの人のことだし、いつも通りだろ…。つか、自称特別捜査隊、あと花村センパイだけか…。」
※「自称特別捜査隊」とは、いわゆるペルソナ4組である