二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ポケモン 風変わりな旅道中 ( No.6 )
- 日時: 2016/08/08 12:56
- 名前: アーリア ◆IYbi.dCFgs (ID: 3qG9h5d1)
ポケモンの力を侮ってはならない。
たとえ体の小さなポケモンでも、その体には大きな力を秘めているのだ。
それを身を持って痛感したカインは、吹っ飛ばされた体を起こしつつ笑みを浮かべた。
(す……っげぇな!なんつー力だ!)
あのポチエナというポケモンの身長はおおよそ0.5mといった所だろうか、自分よりもはるかに小さい。
にも拘わらず、スーツケースを盾に身構えている自分を軽く蹴散らせてしまった。
流石のカインも身の危険を感じたのか、その頬に汗が伝っていた。
しかし、それでも彼はこの危機をこの上なく”楽しい”と感じていたのだった。
「あ”————ッ!?」
と、その時。
黒い男が突然慌てたように声を荒げた。
それでふと我に返ったカインは異変に気付く……あれ、手に握ってるスーツケースに何か違和感が。
そう、異様に軽いのだ。恐る恐るスーツケースの方へ視線を向けると、スーツケースは開け、中身があたりに散乱していた。スーツケースの中に入っていた資料が今にも風に攫われようとしている。
とは言っても、そこまで風は強くないので、散らばったその場に留まってはいるのだが。
しかし、カインの目に留まったのは資料ではなく、その束の中に埋もれていた3つの『モンスターボール』だった。どれも「早く出してくれ」と言わんばかりにフヨフヨと不自然に動いている。
カインはその3つのモンスターボールを迷わず手に取り——ニイィィ、と悪い笑みを浮かべた。
資料に気を取られていた黒い男は、手元のモンスターボールを見て少々驚いた様子で少々目を見開く。
「お前、そのモンスターボール……まさか!?」
「へっ、ご名答! いっけえええッ!!」
カインはそう答えると、手に持っていたモンスターボール3つを同時に投げた!
地面に落ちたボールが開き、ポチエナが現れた時と同じように、三体のポケモンがカインの前に現れる!!
一体は”炎の尻尾を持つサルのような赤いポケモン”、
一体は”背中に大きなタネを背負った緑のポケモン”、
一体は”大きな顎を持ったワニのような青いポケモン”だ。
三体ともカインの知らないポケモンだ。いずれも状況をよくわかっていないのか、不思議そうにあたりをキョロキョロと見渡していた。
されど、状況は三体VSポチエナ一体。黒い男は声を荒げた。
「一体相手に三体だと……!? やるならやるで1体1で堂々と勝負しろよ、この卑怯者め!」
「うるせぇッ! テメェこそ丸腰の相手に卑怯な真似しやがって!」
ギャンギャン騒ぐ男に、負けず劣らずな声量で張り合うカイン。
互いににらみ合うと、カインは再びニヤリと笑う。
「ともあれ、これで形勢逆転だなァ」
そういいながら、カインはポケモン達の方に視線を移す。
すると、三匹のうちの一匹——”赤いポケモン”と視線が合致した。
赤いポケモンはカインと視線が合うと、力強く頷く。
赤いポケモンを見て、カインはふと「コイツだ」と確信した。
カインは赤いポケモンに頷き返すと、黒い男とポケモン達の方を指さし叫ぶ。
「赤いの!野郎共に一泡吹かせてやろうぜ!」
「ウキャッ!」
カインの声に応えるように、赤いポケモンはポチエナの方に向き直り鋭く彼らを睨んだ。
そして、赤いポケモンの声に反応し、他の二体も男たちの方へと向き直る。
身構える三体、その迫力に気圧されたポチエナは少々仰け反り、困ったように男を見上げた。
流石に男も武が悪いと思っているのか、難しい顔をしながら必死に考えを巡らせてるようだ。
しかし、そのタイミングでようやく例の「白衣の男」が追い付き、息を切らしつつカインの横に並んだ。
「追いついた…ッ! その”資料”だけは絶対に、持っていかせるわけにはいかない……!」
そう言うと、白衣の男は一つのボールを投げた。すると、中から”両手にスプーンを持ったポケモン”が現れる。
ここにいるポケモンの中で一番大きなポケモンだ、身長はおおよそ人間の大人程度といったくらいだろうか。
白衣の男は資料を拾い上げると、息を整えるのも忘れてポケモンに指示を出した。
「フーディン! ”テレキネシス”!」
フーディン、そう呼ばれたポケモンは両腕を前に出した。すると、フーディンの周りに不思議なオーラが漂いだす。間もなく、黒い男とポチエナの周りにも不思議なオーラが現れた。そして、フーディンが目を見開くと、彼らの体はなんと宙に浮き始めたのである!
「うわっ!? な、なんだこれ!」
男はもがくが、腕や足は宙をきっただけだった。
どうやら自由が利かないらしい。それを察したカインはポケモン達と視線を合わせ、互いに頷く。
「赤いの!青いの!緑の! あの悪党共に向かって一斉攻撃だ!」
カインが指示を出すと、一歩ずつ前に出たポケモン達は男に向かって炎を、水を、あるいは草を飛ばした!
それを避けることもできない男たちに三匹の攻撃が襲い掛かる。
「おっ……覚えてろォ〜〜ッ!!」
男とポチエナは悲鳴を上げながら、後方へすっ飛ばされたのだった。
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