二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ポケモン 風変わりな旅道中 ( No.12 )
- 日時: 2016/08/08 13:23
- 名前: アーリア ◆IYbi.dCFgs (ID: 3qG9h5d1)
カインは手を叩いたリーフの顔を見て——”凍り付いた”。
彼女は笑っていたのだ。先ほどまでとは違う、どこか恐ろしさを感じさせる笑みで。
リーフはカインを傍まで抱き寄せると、博士にも自分の背後へ回るように伝える。
博士が自分の後ろへ回ってきたことを確認すると、リーフは笑顔のままあたりを睨みつけた。
「そろそろ出てきてくれないかしら。ポケモンちゃん達が怖がってるのよ」
そう言われてふとゲージの方を見ると、リーフ達が世話をしているポケモン達が怯えているようだった。
ポケモンは自身が窮地に追い込まれると身を隠す本能が働く。それゆえ、特に幼いポケモンは自分の身を守れるほどの力がないので防衛本能が強い。そんなポケモン達の視線の先は、家の陰であったり、あるいは森の方角であったり……。
(これは——)
考えるまでもなかった。囲まれている。
カインが察知したその瞬間、どこからともなく声が聞こえた。
「察しが良いですねえ。話も短く済みそうじゃないですか」
そして、声と共にポケモン達が警戒を向けていたあらゆる場所から人影が飛び出す!
それはポケモンにも引けを取らない身軽な身のこなしで宙を舞い、三人を囲むようにして着地した。
例の黒いローブ。
何となくそうではないかと思っていたが、隣町で会った『黒い男』の仲間だ。
数は六人、といったところか。
その内の一人はやはり見覚えのある顔だった。
「さっきぶりだな!生意気なガキんちょ!!」
「テメェは——尻尾巻いて逃げてった”負け犬”!」
間違いない、ポチエナを連れていた例の黒い男だ。
「うるせー! さっきはちょっと油断しただけだッ!」
男はカインの言葉にムキー!と怒りを露わにしていた。
そんな問答を繰り返していると、彼の傍にいた同じような姿をした糸目の男が口を開く。
「無駄話はその当たりにしておきなさい。騒ぎが大きくなっては厄介です」
「は、班長。すいません」
班長、そう呼ばれた糸目の男は後ろに手を組み一歩前へ出た。
カイン達が警戒する中、男は淡々とした口調で話し出す。
「さて、ご婦人。我々は貴女の後ろに隠れている男に用があるのです。大人しく引き渡していただけませんか」
「シラカシ博士ですか? あいにく今は私たちと——」
「大人しく引き渡していただけるのなら」
男は拒否するリーフの言葉を遮った。
男が何やら目配せ(糸目ゆえカイン達には分からなかったが)をすると、仲間の内の数人が素早くボールを投げ、ゲージの中のポケモン達を囲む。
「貴女が大切に育てているポケモン達に危害は加えませんよ」
ニッコリ笑顔を浮かべる男。
(ポケモンを盾にとりやがったか!)
イラッときた。カインが「テメェ!」と怒鳴りながら一歩前に出たが、リーフがそれを止める。
解せぬとカインはリーフの顔を見上げるが、彼女は毅然とした態度のまま男に尋ねた。
「言いたいことは他にもあるのだけれど……それにしても、取引相手に名乗りもしないなんて失礼じゃないかしら?」
「おや、あぁこれは失敬」
一瞬豆鉄砲を喰らったような表情をした男だが、男はどこか得意げに笑って改まった態度を示す。
「我々は”S.W団”。まぁ、いわゆる何でも屋みたいなものですよ」
S.W団? 聞いたことのない名前だ。
しかし、何らかの組織であることは明確である。
まぁ、何でも屋とは言っているが、碌な事しかしていないのだろうが。
リーフは話を続ける。
「S.W団、ね。で? 目的は何かしら」
「彼、シラカシ博士が大事そうに持っている『資料』を、我らのボスが欲しがっているのですよ」
資料。というとあれか、モンスターボールが入っていたケースの中にあった紙の束の事だろうか。
どうやらカインの考えは当たっていたようで、カインが博士の方に視線を向けると、顔には汗。スーツケースを守るように腕に抱えていた。そんな博士にカインは耳打ちをする。
「おい博士、さっきのポケモンであいつら蹴散らせねえのか?」
フーディンとか言ったか。あのポケモンならこの数でも相手にできるのではないか。
そう思ったが、博士は顔を横に振った。
「駄目だよ、下手に刺激するとリーフちゃんのポケモンが危険だ。ポケモンが傷つくのは嫌なんだ……!」
「じゃあどうすんだよ。その資料だのを渡すか?」
「それも駄目だ、この資料だけは絶対に渡せない。これを奴等みたいな悪人に渡せば、多くのポケモンが不幸になる」
悪用されれば多くのポケモンが不幸になる、か。一体何の資料なんだ。
研究所を出る際にも片身離さず持っている資料、そうとう大事なものなのは分かる。
少なくとも、何やら訳の分からない組織が狙う程のもののようだが——
「さて、話は終わりです」
そんな事を考えていると、糸目の男が軽く咳ばらいをした。
そこで我に返ったカインが男の方を見ると、男の手にはいつの間にかモンスターボールが握られていた。
男は言葉を続ける。
「これ以上は時間が惜しいのでね。さてご婦人、もう一度聞きます。シラカシ博士を引き渡してもらえますか?」
「それは……無理な相談ね!」
リーフが再度拒否すると、男はどこか分かり切っていたと言わんばかりにため息をつく。
「そうですか。では仕方ありません」
そして、手に持っていたボールを放り出す。
「ノクタス、シラカシ博士を連れてきなさい」
>>021
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前回次の話で序章終了といったな。あれは嘘だ
なんだかんだ3話くらい伸びそうです、すいません!
が、オリキャラは予告通り募集したいと思います。
序章は終わっていませんが、近いうちにキャラシー作るので少々お待ちを
今回も見直してないので誤字あればすいませんです
ヒコザル(今回出番なかった…)ショボーン