二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【ポケモン】風変わりな旅道中 ( No.53 )
- 日時: 2016/08/08 13:31
- 名前: アーリア ◆IYbi.dCFgs (ID: 3qG9h5d1)
「ご協力ありがとうございます。彼らの行方は仲間の警察官が追っています。もし、また何かあればすぐご連絡ください」
あれからすぐにピジョットの背に乗った警察がやってきた。
1人は逃走したS.W団を追うため、上空から彼らを探している様子だが——いつの間にかその数は5,6と増えている。カイン達は駆け付けた警察官から事情聴取を受け、間もなく三人目のシラカシ博士の話が終わったところだった。カインが警察官と話し終えた博士に近づくと、カインに気づいた博士は申し訳なさそうに口を開く。
「いやぁ、面倒事に巻きこんじゃってごめんね、カイン君。まさかこんな事になるだなんてね……」
ハハハ、と困った様子で笑う博士の顔には疲弊の色が見えた。カインは気にするなと顔を横に振った。
「ま、資料も守れて、あの細目野郎も追い返して、誰も怪我せずに済んだんだ。万々歳だろ」
「結果的には、ね。君達が勝負を吹っかけてった時はどうなるかと思ったよ……」
そう言ってまた博士は苦笑を浮かべる。かと思えば、今度は眉を吊り上げて真剣な顔つきになる博士。
「カイン君。分かってるとは思うけど、今回はたまたまリーフちゃんと僕がいて、なおかつ”作戦”が成功したからこそ勝てたんだ。けど——」
(作戦、ねぇ)
心の中で、博士の言葉を繰り返す。
あの時の作戦は実にシンプルである。
砂嵐が止むまでアメモースとヒコザルは砂嵐の影響を受けない上空へ上がり、待機。
手薄になる地上を博士のフーディンで守る。かつ、砂嵐が止むまでの時間稼ぎをする。
砂嵐さえ晴れればこちらのもの。
砂嵐のせいで大気中にはいい感じに砂塵が舞っている。それに後押しして、アメモースの”ぎんいろのかぜ”で鱗粉を巻いて、とどめに”ひのこ”で着火し、爆発を起こす(ちなみに、この辺りを考えたのは博士だ。「粉じん爆発」からヒントを得て利用したらしい)。これでフェニッシュだ、こうなれば流石の相手もひとたまりもないだろう。
問題は、砂嵐という視界の悪さと、エスパータイプの技が悪タイプのポケモンに一切通用しないことだった。
しかし流石はポケモン博士と言えよう、博士はこの2つの問題をクリアしてみせたのだ。
先ほどのバトルの時、博士が興奮気味に何やら言い始めた後の事。
『”攻撃が当たらないなら、当たるようにすればいい”?』
『どういう意味だよ』
リーフとカインがさっぱりといった様子で首を捻っていると、博士はフッフッフ、と怪し気に笑う。
『そのままの意味さ。悪タイプのポケモンにエスパータイプの技を、それもこの砂嵐の中、見事に命中させられるようになる”技”があるのさ』
『技?』
『主にエスパータイプのポケモンが使える技なんだよ、ね!』
博士はそう言いながら、いつの間にか手に持っていたモンスターボールを投げた。
中から現れたフーディンは軽く辺りを見渡した後、博士の方に向き、コクリと頷く。そして目を閉じた。
『フーディン、”ミラクルアイ”!!』
その声と共にフーディンの目が見開かれた瞬間、何やら体と頭を突き抜ける不気味な衝撃破のようなものを感じ、カインはゾクリと体を震わせた。そして、見開かれたフーディンの目を見てギョッとする。
(桃……いや、紫色?)
フーディンの瞳は先ほどの黒色とは違い、不気味な紫色に光っていたのだ。
『この技は……ま、名前のとおりさ。まぁ詳しくは解明されていないんだけど、どうやら相手の本質(オーラ)?のようなものを視る事ができる技らしいんだ。”かげぶんしん”でもどれが本物かすぐに見分けることができるよ』
『それってつまり』
『そう、この砂嵐の中に隠れているノクタスの位置を正確に捉えることができるって事さ。そして、よく分からないけど、悪タイプのポケモンにエスパータイプの技が通用するようになる』
『よく分からないのかよ』
『仕方ないじゃないかー! ポケモンってまだまだ謎が多いんだ』
まぁ、それがポケモンの魅力のひとつなんだけどね! と、目を輝かせて語り始めようとしたので止めた。
そんな感じで2つの問題は解消され、あとは作戦通りになったってわけだ。
ちなみに、砂嵐の中からノクタスを攻撃したのは、「サイコカッター」というエスパータイプの技である。
「ちょっとカイン君、聞いてる!?」
と、その時、何やら説教じみた話をしていた博士がカインの名前を呼んだ。
そこでようやく我に返る。
「え? あ、あぁ……」
「とにかく! 今日みたいな連中を見かけても絶対に関わらない事! そして戦わずに逃げる事! 歯向かうなんてもっての外なんだからね!」
博士はカインに注意をする。ほとんど話を聞いていなかったカインだが、その言葉で博士が大よそどんな話しをしていたかは想像がついた。
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