二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【視点小説】クリスタルの物語2【参加者募集中】 ( No.806 )
- 日時: 2016/04/05 23:53
- 名前: 涼月 ◆eVf1G29mRc (ID: mOKQW.49)
【番外/ユキエが水上機母艦になる話】
艤装装備──
艦娘なら、だれしも持つ能力。
普通の人間でも取得可能なのだが、多額の料金と長い訓練が必要とされている。
私たちは、政府に保護されて審神者として旅立つ前に言われた。
『大分訓練も積んだ。料金は私たちが保障しよう。どうだ?』
その時に手を上げたのは二人。
「「やらせてください」」
ユウマと、ルイちゃん。
人間の取得は、艦娘と違い『ありえない改造』も可能だった。
例えばルイちゃんだったら、軽巡→航巡→空母という具合に。
今でいえば、清霜ちゃんが言ってる駆逐艦→戦艦もできるのかもしれない。
私とマヤは、それほど期待していなかったのだ。
『艦娘』という存在に。
それから時がたった。
ルイちゃんは事故で一時潜水艦になっていたものの、今は軽巡洋艦としての復帰を果たした。
いや……『改二実装』の使用で潜水もできるのだが。
そうそう、その改二実装後の演習の事だ。
私が水上機母艦に憧れたのは。
「よーし、今日はまず4勝……っと。つーぎーは……あ、ユキエ。久々じゃん」
ふふ、と笑うルイちゃんの顔。
「フィールドどうする?ルイちゃんが得意な所でいいよ?」
「いいの?……それじゃあ」
戦闘が開始して数分経った。
戦況は、『最悪』だった。
「もう終わり?歯ごたえないね」
水面に座り込む私を、下卑た目て見る。
それ悪役だよ。
「ねえ、ユキエ。君の剣術って、見せるだけかな?」
……違う。
彼女がそう言って見せた隙を、私は突いた。
「っ、おおっとぉ?」
彼女の頬が裂ける。
艤装装備状態のお陰で、溢れ出るのは血ではなく燃料だった。
「私は!ルイちゃんみたいに強くない!」
「そう?それでも君は頑張ってるよ。でも、私の速さにゃ“追いつけない”よ」
「わかってる!だから!こんな!本気で!やってるのに!」
太刀を握る手は、大きな手応えを感じる。
ルイちゃんは、大きく後ろに飛んだ。
水飛沫が大きく跳ね、燃料の匂いが鼻につく。
「まだ……届かないの?」
「いいや、届いたさ」
やけに長い水飛沫の後、彼女は姿を表した。
「改ニ(ここ)まではねっ!!」
後ろに。
足の酸素魚雷が、一斉発射される。
「面白かったよ、ユキエ。また遊ぼ」
それは、私の心臓を打ち抜く。
『ユキエの轟沈を確認。演習終了と致します』
負けた……
やっぱり……艤装装備……強い……
「おいルイ、やりすぎやしねえか?演習だから死なねえって……」
「久々に歯応えのある相手だったからね。本気出しちゃった」
演習が終わったあと、私はある人の元に行った。
「『おや、ユキエちゃん。』『僕を呼ぶなんて……何かあったのかい?』」
「明日、政府のところに連れていってください」
「『その目は……』『あれを実装する気か』」
これが、私の水上機母艦としての第一歩である。