二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【視点小説】クリスタルの物語2【参加者募集中】 ( No.883 )
- 日時: 2016/05/20 23:06
- 名前: 涼月 ◆eVf1G29mRc (ID: w4lZuq26)
- 参照: 気がついたら千代田が改ニ。伊19はいない
【もしも私が深海棲艦になっちゃったら 2(終)】
「キタノ……ネェ……?エモノタチ……ガァ……フフ……ハハハ……!」
……潜水艦。
普段ならなんの驚異でもないのだが……
「アナタノ……カエリミチハ……ナイノ……。モウ……ナイノヨォ……!」
変わり果てたその姿を。
『ねえ師匠』
『本当に貴方は私がいないとだめだなぁ』
……あいつだと思うと。
まだ信じることができない。
「ちっ……やるしかないのか……」
と、発艦準備をしたところ。
「日向さんっっっ!!」
反応が一歩遅れる。
水から飛沫を上げて出てくるのは魚雷──
そうだ、敵はこいつだけじゃないんだ!
もはや避ける隙もない。
当たる覚悟でいた時。
私に魚雷は当たらなかった。
「ち、よだ……?」
「ほんっと、危なっかしいわ……ね」
「おい、なんで庇った!?私は大破しても構わないのに……」
「大丈夫……私も小破よ……だから、早く」
……わざわざ……
「川内、那珂、到着!」
「二人とも……頼みがある」
「「?」」
「───」
ただ、確信があるだけのことを言っただけ。
だから、
私は。
ほかの三人に。
「ソ級ちゃんー!那珂ちゃんにちゅうもーくっ☆」
ほかの敵を任せる。
その間に私は、海の上を歩く。
鎮座している、あいつの元へ。
「なあ……」
「エモノフゼイガ……ナンノヨウ?」
「君は……」
手を伸ばす。
次の瞬間。
私の頬を何かが突っ切った。
「なっ……」
砲撃?
「センスイカンダト……ナメナイデ!!」
そうか、やっぱり。
「潜水巡洋棲姫……と言ったところか」
やっぱり、やっぱり。
「なあ、答えろよ。ルイなんだろ!?」
「ナニヲ……イッテイルノ?」
「私だよ。忘れたのか──日向だ。戻って……きてくれ 」
「シ……師匠?ナンで……イルノ……キタラ……ダメ、逃げテ……」
「逃げてたまるか。君と帰るんだ」
「ダメ……だよ。ワタシは……モウ帰れない……」
「でも……」
「あ…………アアアアアアアッ!!」
っ……
少しでも損傷を与えなければ。
撃て、撃て。
動け、動け!
「さあ……艦爆隊、艦攻隊!出番よっ!」
千代田の声。
共に飛んでくる艦載機。
あいつは、避けることなくそれに当たった。
「イタイ……ヤメテヨォ……!」
否、避けられていない。
……
「総員、攻撃を続けてくれ!」
「「「御意っ!!」」」
「思い出してくれよ、ルイ!!本当はどうしたいんだよ!!」
「……カエリタイ……帰りたいヨ……タスケテ……」
「ああ、“今度こそ”助けるっ!」
この間は、助けられなかった。
だから、今度こそ。
今度こそ!
「ジャマ……スルナァ……」
「まだまだ!!軽巡、攻撃を続けて!」
「はい!」
「りょーかい!」
「クチオシヤ……ニクラシヤ……!」
砲撃。
「「「日向さん!!!」」」
それは、
確かに。
私に来る。
避けず、
受け止めた。
反撃、
しなければ。
だが、
無理だ。
あいつだ。
あいつなんだ。
だから、
撃てない……
撃てない。
でも。
このまま帰ることが、本当にあいつの望むことか?
いや、違う。
撃たなければ。
撃て、
撃て。
撃て!!
──パァン。
『那珂に借りた連装砲』の音が響く。
深海棲姫の、
素顔が見える。
笑ってる。
あいつが笑ってる。
「あリガと、日向」
久しぶりに、彼女は私の名を呼んだ。
気づいてしまった。
私は。
「あ……ルイ、ルイ」
彼女を撃った。
「撃った……私が、撃った……ああ、ごめんな……」
「いいノ……あたしガ望んだことなんだかラ……」
「ルイ……」
「アア、」
「空ッて」
「あんなに青いんだね」
水面にゆっくり倒れ込む彼女を見る。
「ああああああっ!!ルイイイイイイイイイ!」
叫び声は水平線まできっと響き渡るだろう。
また、救えなかった──
約束したのに。
今度こそ。
「守るって……いったのに……」