二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- プロローグ ( No.1 )
- 日時: 2015/12/06 19:54
- 名前: 敷島クルル (ID: QRmoI/Ul)
唐突で申し訳ない。
僕は夢の中にいる、そして夢の中の仮想的対人物想定概念、すなわち僕が今話している君、そう、四角の手のひらサイズもしくは机の上の折り畳み式機関で僕を覗いて幸せそうな顔をしている、そう!
そこの君だ、君の性別なんて関係ない。
少し話し相手になってもらえないだろうか。
そう変な顔をしないでくれ、これは別に奇を衒った何の伏線もない作者のマスターベーションで描かれている仮想小説空間もしくは意味のない脱線話とかそういうもんじゃないから安心してくれ。
本を読んだんだ。そう、僕が、昨日。
僕が生活している外の世界の話で、外には色んな生物とか見たことのない人間とか金色だか銀色に光っているリオスのつがいとかがいるらしい。
その本を読んでしまい僕は夜更かしをしてしまった。
それで今この状況に至る訳なんだけど。
ごめん話変えるね。
君には幼馴染はいるかい?居ない?居る?居たとしたらどんな感じ?可憐で清楚?男勝りでがさつ?それともちょっぴり黒炎王(ダークネスロード)な腕を持つ幼馴染?
僕にはいるんだ。
決して、決して今思い出したくない幼馴染が。
いや別に死んでるとか過去に壮絶なトラウマもしくは他人が聞いて超絶ドン引き超ありえないんですけど的なものは無いけど今思い出したくない幼馴染が居る。
何で思い出したくないか?
そこをもう突っ込むのか君は、え?突っ込んでもないし聞いてもない?
え?そもそも興味がない?
ちょっと待ってくれ、今君にどこかに行かれると僕はとてつもなく困るんだ、いやホントに、マジで。
だからその右手もしくは少数派は左手をブラウザバックにカーソルを合わせないでくれお願いだから、よしそうだ。
僕は昨日間違いを犯した、昨日というか昨夜?
さっき本を読んだって話をしただろう?そう、それを読んでたらついつい机で寝てしまったんだよ。
そして気が付いたらもうこんな時間。
察しが良い君ならもう分かるだろう?
そう。
僕は寝坊してしまったんだよ。
いやいやいや、いやいやいやいや、まさか寝坊をするなんて僕は夢にも思ってなかったよ…
え?
なら急いで現場に向かえ?
それは無理な相談なんだよ、普段ならいける、でも今日、今日に限って寝坊してしまっては僕には為すすべがないんだ。
だから僕は今こうして寒冷期の中狭い一人暮らし用の空き家にわざわざ鍵を掛けておびえているのさ。
今の僕にとってはそれはイビルジョー、いや、黒龍伝説のミラボレアスよりも怖い存在なんだよ。
ほら。
聞こえてきた。
奴はいつも乱暴に僕のドアのカギを壊すんだ、だから僕はあいつを家に入れたくないんだけど今日に限っては僕に非がある。100パーセント。
…うん、ありがとう君、仮想的対人物想定概念。
君が居てくれたから僕は奴が来るまでの約5分、恐怖で震えて待つ5分を味わなくて済んだ。
ありがとう。
あ、でも君さえよければまたいつでも僕に会いに来てくれ、っていうかこのままここに居てくれたっていいんだよ?
だって君は僕の想像が生んだ対人物的な概念そのもののあえて—————
「何をぶつぶつ布団にくるまってしゃべっとんじゃい!!このアホー!!!!!」
「すいません!許してください!何でもしますから!」
後頭部に大ダメージ、頭部部位破壊、サブターゲット達成。
クエストレベル☆☆☆☆☆☆☆☆【幼馴染サクラの討伐または撃退】
- プロローグ ( No.2 )
- 日時: 2015/12/06 19:56
- 名前: 敷島クルル (ID: QRmoI/Ul)
寒冷期のドンドルマの朝はとにかく早い。
大陸でも中心に位置するドンドルマは山と山の合間の広い空間に作られた都市だ。
もともと大老殿の大長老がモンスターから身を守るべく人間たちが結託して作った町であってハンターの人口が大陸でもズバ抜けて多い大都市だ。
ハンターが多いということはそれに準じた仕事も多くなる。
例えば貿易業、そして次にハンター達が集う酒場。
しかし酒場に至っては盛んではあるものの朝っぱらからやっている店はそうそうない。
あるとしたら小さい個人経営店、多くの店は朝は休み時だ。
「アオト?おはよう、目覚めの良い朝ね?こんな綺麗な女の子に起こしてもらえて。」
「すいません、そういったセリフはヘッドロックをかましつつ脚で見たこともない絡み技を披露しながら言わないでもらえますか?」
「えいっ☆」
アオトの臀部骨を入手しました
「え〜?何々?私とのデートすっぽかしてなにをしてたかと思ったら本読んで寝坊?は?へそが茶を沸かすわ。」
「誠に申し訳ありませんでした。」
つまり酒場の従業員の多くは朝は休み時、それぞれ家事やら睡眠やらをする時間、そう、フリータイムだ。
よって僕、とこいつ、サクラもこの時間は休みの時間。
「ほら、じゃあさっさと支度しろ。」
「え?行くのでありますか?」
「早くしろ、経費全部オメェの財布から落とすぞ。」
「かしこまりました!」
サクラが淡いピンクの髪を弄りながらベッドに腰掛ける。僕とこいつは小さいころに居酒屋のマスターに拾われた。
それ以来2人で仕事を任されたり、2人でマスターから叱られたりあれよこれよと十数年。
今では立派な(容姿だけ)看板娘と店内を忙しく回る従業員だ。
「てかサクラ、お前この時期にスカートって絶対寒いだろ」
「だって店の中に入れば寒さは多少は凌げるじゃん、それなのにアオト来ないからさー、待ちぼうけだよ待ちぼうけ」
ぷいっとそっぽを向かれる。
ほんと容姿だけなら可愛い部類だと思うし自分の幼馴染ながら美人だとは思うが性格が飢餓ジョーや激昂ラージャン並みの破滅的だからな。
「えい☆」
「なんでっっ!?!?」
目つぶしを食らった。
アオトの眼球を手に入れた。
「なんか私に対して嫌な感情を感じた。」
「お前のその能力はきっと古龍観測所に重宝されるぞ。」
いつも通りのやりとり。
腐れ縁なだけあってこういった会話をしつつお互いの状態を確かめ合っているのだ、本当にイヤなことはサクラはやらないし僕もやらない。
戯れているだけなのだ。
「うい、支度できた。」
「よく私の前で着替えれたわね」
「いや、だって流石にお前に出てけとは言えないだろ…」
「おめぇが外で着替えるんだろ?」
「おーし!行こうかサクラ!見てごらん!澄み渡る青空!今日もトンビが飛んでるよ!」
- プロローグ ( No.3 )
- 日時: 2015/12/06 20:02
- 名前: 敷島クルル (ID: QRmoI/Ul)
「おはよーございます!ばっちゃん!いつもの!」
「はいよ、今日はサービスしちゃおうかな。」
「ホント?ばっちゃん大好き!」
サクラを連れて商店街へと来た。
ウチの店行きつけの食材屋へ注文していた食材を取りに来たところだ。
そこの店主とサクラは大変仲が良くマスターからの信頼もあるこの食材屋のおつかいを頼まれているのはサクラと僕だけだ。
「今日はアオトちゃんとデートかい?」
「デートだなんてまたまたそんな…ねぇ、アオトも何か言ってよ。」
「…。(なーにがデートだ!こんなんこいつの暇潰しに付き合ってるだけじゃねぇか!俺必要ないじゃん!という俺の心の声!)」
「ア・オ・ト?」
「いやぁ!嬉しいなぁ!こんな超絶可愛い最強美少女と朝からラブラブランデヴーなんて!あは!あは!あははは!」
「おやおや、ラブラブだねぇ、じゃ、2人の将来を祝ってほら、サービスだよ。」
「きゃー!ホント!?ばっちゃん大好き!愛してる!」
「はいはい、ありがとね。」
店を後にする。
貰う食材の量は僕の両手の袋だけのはずがサクラの両手もサービスの食材が詰まっている袋で埋まっている。
「お前ホントあのばーさんと仲いいよな。」
「ばっちゃん可愛いじゃん、ラヴだよラヴ。」
ほくほく顔のこいつを見て寝坊しなければ良かった、とふと思ってしまった。
「で?次はどこ行くんだ?」
「とりま店にこれ置いてからまた出かけよ、流石にこれ持ちながらはしんどいわ。」
「はいよ。」
商店街を抜けて、石畳で出来た大通りへと抜ける。
リオレウスとリオレイアを模した色の屋根が朝日に照らされなんとも気持ちの良い朝立ちを演出している。
ドンドルマは寒冷期でも雪があまり降らないのが特徴で、旅を終えた荷車の上に被っている雪を見て風情を感じるのが風情的で個人的に好きだ。
隣にいるサクラも同じようで、2人そろってアプトノスが引く荷車をぼんやりと眺める。
「なぁサクラ。」
「なによ。」
「今日も頑張るか。」
「え、なにその自分の中だけで何かが始まって終わるみたいな13〜17歳に良くみられる邪悪腕的な意識の切り替え。」
「…。」
- プロローグ ( No.4 )
- 日時: 2015/12/06 20:07
- 名前: 敷島クルル (ID: QRmoI/Ul)
大通りを抜けて入り組んだ路地を2回も3回も曲がった蛇のような狭さの道に僕らが務めている店がある。
【ガルフレッド】
マスターがハンターを引退してから建てたお店でこんな狭いところにありながら店はいつも満席御礼。
名のあるさる人から店をもっと大きい所に建てないか、という話を「俺は自分の店をハンター達の隠れ家みたいにしてぇんだ、俺にはこのネズミ路地がお似合いですよ」と話を蹴ったこともある。
そんなマスターの漢気に惚れたハンター達に愛され開店創立以来一度も客足の途絶えたことはない。
「という、対人物想定概念への僕からのありがたい解説であった。」
「アオト、早くこっち来てよ、そんな顔店の外に晒してたら客足減るよ」
「いやその結構クル突っ込みやめてもらえます!?」
ブサイクではない!断じて!彼女が出来たことはないが!
もう一度いう!ブサイクではない!
と心の中で百万回ほど自己肯定しつついつもの店の裏口から入る。
ざっと30人は余裕で入る店内にいつも驚きながらマスターの元へと向かう。
1階がお店でマスターが寝ているのは地下なのだ。
「あ、蝋燭潰れてる、マスター客への気配りはいいんだけどオフのところはてんでダメね。」
階段を下り、突き当りの木製のドアを2回ノックする。
「マスター起きてる?食材。」
「あぁ、ありがとう、入れ入れ。」
「ほい。」
ガチャ、と手入れをしていないドア特有の嫌なドアと接着面の摩擦音をしながら扉が開かれる。
こじんまり。
人一人ようやく住めるかどうかのスペース。
さっきの1階を見た後だとここの主が本当に住んでいるのか疑いたくなる程の狭さと家具や装飾品の質素さだ。
「おお、お前たちまたあのばあさんたぶらかしたのか。」
「うん、アオトが」
「違いますからねマスター、いくら容姿端麗美少女でも信じちゃいけないことはありますからね。」
「アオトは、減給だな。」
「糞マスター!」
ハッハッハ、とまだ黒い髭をなぞり(僕としては早くその若干ハンサムで髭が似合うダンディーな顔が年老いて欲しい!)まだ若さを見せる陽気な顔を見せる。
「おつかいご苦労様。予定より30分ほど遅れているが、まぁ勘弁してやろう、アオトの目の下のクマに免じてな。」
「あっ、すいませんでした。」
「何をしてたんだ?」
「…えぇと。」
言葉を濁す、本を読んでました!なんてそんな子供みたいな理由は恥ずかしい。
「アオト、サイテー、私みたいな女の子がいるんだからイカ臭い話はやめてよね」
「お前のことセクハラか俺への名誉棄損で訴えてやるからないつか!」
「俺が貸した本か?」
「…はい。」
ハンター冒険譚。
ハンターが各地を回り、その土地の食材やモンスター、武器や防具を綴った本、マスターから借りていた本だった。
「俺もお前くらいの年ごろの時はハンターに憧れていたよ。」
「いやマスターはハンターだったでしょ。」
「マスターはハンターでハンマー使いだ。」
「いや聞いてないです。」
「ほらマスター、アオトが似たような片仮名言葉が続いて困惑してるからやめなよ。」
「お前俺への侮辱罪と名誉棄損で訴えてやるからな!いつか!ほんとに!」
まぁまぁ、と俺達をマスターが笑顔でなだめる。
「いくら夢を見てくれても構わないが、アオト、お前はハンターになられたら俺が困る、俺がくたばったら誰がこの店を継ぐんだ。」
「…はい!」
急な言葉で胸が熱くなる。
ハンターには憧れてはいる、しかしそれ以上にこの店が好きだしマスターが好きだ。
俺はここを離れるつもりはない、仕事前や仕事終わりのハンターたちを労う、僕はこの仕事に誇りを感じている。
「継ぐのは私よね?マスター。」
「そうだな、今時可愛い娘がマスターの店が主流だろ?サクラお前が継ぐか。」
「もーあんたら大っ嫌い!!!!!」
- プロローグ ( No.5 )
- 日時: 2015/12/06 20:13
- 名前: 敷島クルル (ID: QRmoI/Ul)
他愛のない、無駄で、それ以上に充実した会話を終え、一階の掃除へと移る。
掃除と言っても掃き掃除くらいで、食器や調理器具の類はその日の内にサクラが全て終わらせてしまう。
トイレ掃除もあるのだが、【ガルフレッド】に来る客は皆自分の酒の限界を知って、もしくはマナーが良く、店内で許容限界に達する人はまずいない。
よって軽い掃除を終えればいつもピカピカ、ここも【ガルフレッド】が誇れるところだ。
「よし。」
埃を袋に詰めてあとは捨てにいくだけ。
前準備を終えてあとは客が来るのを待つ、今は正午ほどだが店が開くのは夕方から、料理の下準備はいつもマスターが行うから僕とサクラの仕事はとりあえず終わり。
蛇口から水を出し、コップに水を埋める。
テーブル席で座っているサクラの横に座り、水を勧める。
「ん、ありがと。」
渡すや否やゴキュゴキュ、と喉をならして水を飲み終える、お前はオッサンか。
…。
無言が続く。
しかし嫌な無言ではなく、満たされた無言。
ただ隣にいるだけで、お互いが満たされてる、という感覚。
僕は彼女が好きだ。
よくある文学系小説の恋愛に疎い主人公ではなく、ハッキリと自覚して言える、サクラが好きだ。
そしてそのこともサクラは知っている、僕は言ったことはないがなんとなく、雰囲気を察しているらしく、それでいて嫌悪感を出されたことは(多分)一度もない。
「アオト。」
「ん?」
「マスターになんかあったらさ。」
「なんだよ、縁起でもないこと言うなよ。」
ごめんごめん、と手でジェスチャーしながらサクラは続ける。
「私とアオト、2人でこのお店継ごうよ。」
「お、いいなぁそれ。」
こいつとならそれはそれで面白いかもしれない。
「マスターも奥さんと二人でお店きりもみしてたじゃん?あれすっごく憧れてさ!」
「僕も!なんかかっこいいよな!」
「うん!主人とその奥さんで経営するお店!私すっごくそういうの好き!」
「僕も!って…………」
つまり、サクラは僕とサクラ自身で、マスターと亡くなった奥さんのようなお店を作りたいってことだ。
それはつまりどういうことかというと、マスターとその奥さんは婚姻関係であって、つまりマスターと亡くなった奥さんは亡くなった奥さんがマスター……———
「今のなし!」
唐突な鳩尾と人中という人体での危険な急所への同時打撃を喰らい悶絶する。
「ほらアオト、そんな所で横になってたら風邪ひくよ?」
「お前は悪魔か!」
「小悪魔(はぁと)」
「くたばれ!」
カランカラン。
店の入り口にある鈴が鳴る。
誰かが入ってきたのだ。
たまにこういうことがある、店の前の看板には開店時間が記されてなく、一見さんはたまにこういった時間帯に来るのだ。
「すみません、まだお店はやっていないんですよ……——
「あぁ知っていますよ、お構いなく、我々はこちらの主人とお話に来たのです、お客さんではありませんから。」
整った顔、しかし陰険な目つきでギョロリとこちらを見ている、帽子の所為かはわからないがかなり高身長だ。
そしてそいつの後ろに何人か、屈強そうな男たち。
…、ヤクザ者だ。
- プロローグ ( No.6 )
- 日時: 2015/12/06 20:19
- 名前: 敷島クルル (ID: QRmoI/Ul)
「でしたら申し訳ありません、ただ今こちらの主人は留守にしておりまして。」
サクラが持ち前の営業スマイルで先頭の男に告げる。
凄い度胸に、幼馴染である僕も感銘を受ける。
「———ッッ!」
後ろの男がサクラの前に立ち、そいつにどつかれて床に倒れる。
それを見て、くっくっく、と陰湿な笑みを浮かべる帽子の男。
「とぼけるんじゃありませんよ、もうお宅の主人がこの店にいることは知ってるんですよ。」
「…張っていたんですか?」
サクラの前に立つ。
その様子を見て後ろに控える男たちが囃し立てる、しかしそんな挑発に乗るほど僕の頭はあったまっていない。
・・・・
「たまたま手下が店の中に入るところを見ていたもんでね。」
「そーですか」
男に啖呵を切る。
「お帰りください、まもなくお店が始まります、申し訳ありません。」
「…おや?このお店は夕方からのはずでは?」
「今日はお得意様のご予定が入っておりまして、誠に申し訳ありません。」
言葉だけ謝るが目線は帽子の男を睨んだまま。
もちろんお得意様なんてものは嘘だが、そんなものはどうにでもなる。
あとからこいつらに責められても、突然のキャンセルと言えば良いのだ。
「時間はかかりません、主人をこちらへ呼んでください。」
しかしこういった手合いは狡猾だ。
口喧嘩の修羅場は19歳の自分とは文字通り場数が違う。
…なら。
「わかりました、マスターをこちらへお呼びしますので少々お待ちください。」
「話が早いですね、少年。」
「それと。」
先ほどサクラをどついた男の前に移動する。
背丈が頭二つほど足りないそいつを睨みつける。
そいつが笑う、手が出せないことをしってるんだろう、喧嘩をしたら自分には勝てない、そういう奴の目だ。
「——シッッ!」
無防備な身体に打撃を入れる。
鳩尾、人中、加えて回し蹴り、左のかかとが見事に顎を揺らした。
巨体がへしゃげたように倒れる。
・・
「ここは僕達の店だ、店員に手を出したらどうなるか分かってんだろうな。」
さっき僕の頭はあったまっていないといったが、あったまるなんて次元はとうに超えて全身が沸騰していた。
「…これはウチの者がとんだご無礼を、お前ら、外で待ってろ。」
「で、ですが!このガキ!」
倒れた男を担いで、また一人男が喚く。
バカな頭だ、物事をうまく捉えることが出来ないらしい。
「ウチの可愛い看板娘に先に手を出したのはそちらですよね?そしてここは僕たちが経営する店だ、これで済んだだけありがたく思ってくださいよ。」
僕の言葉に血管が青筋を立てる後ろの男たち、しかし話は理解したようで声にならない声を上げている。
先ほどとは立場逆転だ。
先に手を出したのは相手、つまり正当防衛はこちらにある。
「ったく、何の騒ぎかとおもって見れば、何やってんだお前ら。」
「マスター!」