二次創作小説(映像)※倉庫ログ

エピソードナナ6 ( No.119 )
日時: 2016/04/28 14:14
名前: 敷島クルル ◆vhkHu4l20g (ID: 9XXAAjqY)

「古代林の素材集めね、初めてのモンニャン隊としては普通の内容なんじゃないかニャ…?」
「そうだニャー、俺としてはもっと優しい難度がよかったニャー。」
「ニャニャニャーッッ!!腑抜けニャ!お前ら全員腑抜けニャ!!」
「あても?」
「人間は話がややこしくなるから黙ってるニャ!!」


なおもナナに尻尾を掴まれ宙ぶらりの状態でリュウが叫ぶ。


「ここで採集もして、モンスターを倒して!!ニャイト様やルカ様に褒めて貰うのニャ!!将来ルカ様のオトモやニャイト様の側近をするにはこのくらいを初クエストでやらないとダメだニャ!」
「ニャ…ニャア…、そう言われても僕らフィールドに出ることがまず初めてだし、モンスターも倒すなんて無理だニャア…。」
「かっ〜!ハクサイ!なんだニャその後ろ向きな思考!大丈夫だニャ!俺様が付いてるニャ!」
「…そうは言ってもリュウ、古代林の地形把握してるの?」
「ぐはっ…!!」

涙目のハクサイをフォローする形でオスカーがリュウに問いかける。

「何が採集出来るかちゃんと把握してるかニャ?」
「ニャニャッ…!」
「どんなモンスターが出て、どこが弱点か調べてあるニャ?」
「ニャニャニャッ…!!」
「………だめリーダー。」
「ニャニャニャーッッ!!五月蠅いニャ!そういうオスカーはちゃんと把握してるのかニャ!?」
「俺も分からないの、全員が分からないフィールドで採集、なおかつモンスターも討伐って考えが危険って言いたいニャー。」
「…ぐぬぬ!」






「あて知ってるぞ?」





「ニャにッッ!?そっ、それはホントかニャ!?」





少女の発言にリュウが驚愕する。
先ほど自分で黙ってろという口は知らず、ナナへ掴みかかる。


リュウにとっては渾身の揺さぶりにも近い力だが人間のナナからしたら小動物がじゃれついてきてるのと大差なく、なすがままそれを受け入れている。



「あて古代林行ったことあるから案内できるぞ?」
「ニャ…ニャニャ…。」
「あ、リュウが頭下げようか迷ってる。」
「だっ!誰が下げるかニャ!!」
「…だけどモンニャン隊でもない部外者を同行させるのは、そのっ、万が一何かあったら僕らの責任になるんじゃ…。」


オスカーが含み笑いを込めてリュウを流し見る。
そのやりとりをみてハクサイが涙目を浮かべている。



「そうだニャ!」
「あ、リュウが何か思いついた。」



リュウがナナを指さす。
堂々たる態度を取っているが身長差のため見上げているのは指を指しているリュウというなんとも滑稽な絵である。



「人間!貴様は今回だけモンニャン隊に入るニャ!そうすれば問題ないニャ!」
「え、あてはにーさん達と仕事が……———
「大丈夫大丈夫ニャ!!今日だけ!今日だけニャ!」
「…えと。」
「さて人間!俺様達に古代林について教えるニャ!」

エピソードナナ7 ( No.120 )
日時: 2016/05/01 12:05
名前: 敷島クルル ◆vhkHu4l20g (ID: 9XXAAjqY)

「注意すべき点はマッカォってモンスターを筆頭に毒虫、毒キノコ、そうだな?人間。」
「そうだねー、あてらが行ったときは大きい奴は出てこなかったからそこは分からないや。」


船に積んであった紙とペンでナナが情報を軽く書き起こす。
見てくれ能天気な少女が書いたとは思えない情報の多さに三匹は驚きを隠せずにいた。


「ナナさん、でいいかな?」
「いいよ、そっちはオスカー?」
「ですニャ。」


オスカーと呼ばれた巨躯のアイルーは物怖じした様子も見せずナナと会話をする。

「俺達が活動するのは夕方から夜にかけての時間ニャ、夜に帰って、朝に村に戻ることになってるニャ。」
「ほい、ご飯は各自現地で調達かな?」
「そうなるニャ、ともかく夜は何が起きるのか分からないニャ、離れないようにして欲しいニャ。」


細目でちゃんと目の前が見えているのか不安な顔立ちだが、今の言葉には確かな警告の意を汲み取ることがナナには出来た。




「おミャーら、そろそろ着くニャ、防具を整えるニャ。」



小舟の積み荷の箱からリュウが出てくる。
所々錆がついているが、世界中のアイルー達から高い評価を得ている防具、どんぐりメイルを一式に包んでいる。



「あては皆のお手伝いをしたらいいの?」
「そうニャ、人間は俺様達が仕事している姿を遠くから眺めてるがいいニャ。」
「…えとね、ナナさん。基本的にはそれでいいんだけど、危険があったらすぐに知らせて欲しいニャ。」
「ほい、了解。」
「俺様を無視とは良い度胸だニャ、ハクサイ。」



未知の、危険が迫っている土地に入る前のハンター達と同じように、信頼できる仲間達と軽口を言い合って自身の表装を保とうとするのはどこの世界でも同じか、と心中でナナは思う。






小舟は既に古代林の端、小さな川に差し掛かろうとしている。
夕日が差し込み、自然と夕色が混じった水面を一隻の小舟が渡っている絵はなんとも幻想的である。




「そろそろ着くニャ、準備はいいニャ?」
「ニャー/…いいよ!/ほいー。」

エピソードナナ8 ( No.121 )
日時: 2016/05/29 21:30
名前: 敷島クルル ◆vhkHu4l20g (ID: lFjIi3Je)

採集は順調に進んでいた。
初めてのフィールドに戸惑いながらも、ナナの案内によって比較的危険が少ないルートを行き、貴重な薬草や木の実を2人1組で周囲を警戒する役割、採集をする役割を交互に行い効率よく進む。

危惧されていた食糧問題も水辺で休んでいるリモセトスを偶然にも見付け、これから生肉を摂取しようとしている段取りである。

サバイバルではこういった生肉や内臓からの新鮮なたんぱく質やビタミンが重要だ、そしてそれが分からぬ3匹と1人では無い。

…ないのだが。



「…でかいニャ。」
「でかいねー。」
「…でかすぎですニャ。」


3匹はナナの後ろから顔をだして様子を伺っている。
目標との距離はおよそ20M。

リモセトスの巨体からして体感はその半分の距離に感じる程である。


「「…ゴゴォゥウ。」」



のっそりと、リモセトスが動き出す。

日が落ち、夕焼けの微かな光が大地を照らしている。
恐らくリモセトスは仲間が待つ巣に帰るのだろう。



「ニャッ!?立ったニャ!!」
「リーダー!今こそリーダーとしての威厳を見せる時ニャ!」
「リーダー!がっ…がんばってニャ!」
「都合の良い時だけ俺様をリーダー扱いするニャ!!」



軽口を叩くものの、3匹の足は竦んでいた。
その様子を見かねたナナが身を乗り出す。



「じゃああてが殺してくるから、良く見ててねー。」
「へっ?…にっ、人間の貴様が俺様より先にモンスターを討伐ニャんて言語道断だニャ!!」
「リーダー足震えてる。」
「…ここはナナさんに任せよ?ニャ?」


態度だけ偉そうにリュウは近くの岩に座る。
それに習い2匹も手ごろな岩をみつけ様子を見る。


「…。」



少女がナイフを抜く。
ツインダガー改、安物の武器ではあるがそれでも武器。

目の前の食物連鎖の下層に位置している草食動物を屠るには問題ない。



「…ッ!」


ゆったりとした足取りで接近したと思うと、次の瞬間、何かが跳ねたかのように俊敏な動きで斬撃を加える。
狙っている箇所は地面から身体を支えている脚、それも健だ。


「…ほぃっ!」


巨体が音を立てて倒れる。
立ち上がろうにも健が断たれ、身を悶えることしか出来ない。


苦悶の声をあげる喉に2刀が添えられる。



そして引き抜く。



血の軌跡がナイフから引かれる。

数度の痙攣の後、巨体はやがて動かなくなる。




「…うん、もういいよー!」


ナナの声を合図に3匹が集まる。


「わー!凄いですニャ!ナナさん!かっ、かっこよかったですニャ!」
「うんうん!見事な手際だったニャ!」
「こっ、これくらいの腕!ルカ様の仲間なら出来て当然だニャ!」


「えへへ、ありがと、じゃあ皆ご飯の支度しよっか。」




岩場の影、動物達の死角となる位置に一同は食事をするための簡易なキャンプ作りに取り掛かった。

エピソードナナ9 ( No.122 )
日時: 2016/06/04 14:25
名前: 敷島クルル ◆vhkHu4l20g (ID: lFjIi3Je)

「ニャー!食った食ったニャ!」
「そうだね、久しぶりに沢山お肉食べたニャ!」
「ふニャ…」


採集も一通り済み、岩場が多い地帯で周囲から見えない絶妙な位置に野営を敷いていた。
リモセトスの肉は、牧場での料理経験が多かったハクサイが居たお陰で難なく進み、予定通りの時間に3匹と1人は食事にありつけていた。

「リュウー肉球触らせて〜。」
「寝ぼけながらこっち来るニャ!!」


寝ぼけ眼でナナがリュウに近付く。
形でこそ否定していたもののリュウはため息を一つ吐くとナナに身体を預ける。


「…人間、ルカ様は上手くハンターとして立ち回れているかニャ?」
「ルカ?…そうだなぁ、多分強いよ。」
「多分?貴様ルカ様の仲間では無いのかニャ?戦う姿を見てないのかニャ?」
「まだ一緒にクエスト行ってないんだよ、でもでも強いよ絶対。」
「?分かるのかニャ?」
「背中に軸が一本綺麗に立ってるし、頭良いし。」


自分が戦うと手こずるだろうなぁ、と口には出さないものの、心ではそう続ける。
焚火の煙が空に揺蕩うのをぼんやりと見ていると腕の中のリュウが満面の笑みを浮かべている。


「そうだニャそうだニャ!ルカ様は強いんだニャ!それでこそルカ様だニャ!」
「嬉しいの?」
「そうに決まってるニャ!俺様達を拾ってくれたルカ様は心も強さも強いんだニャ!」
「…。」
「…ニャ。」


リュウの顔がこわばる。
ナナはこの顔を良く知っていた、尋問にかけたシックバザルの一員が自分で情報を漏らしたときにその人間が良くする顔だ。


「拾ってくれた?」
「聞くニャ!!」


きっぱりとした拒絶。
数瞬の沈黙にナナはリュウの小さな身体に手を回し優しく抱く。



「にしし、一緒だねリュウ。」
「なにがニャ。」
「あてもね、拾われたんだ。」




「えっ!?」
「ニャ"!?」
「ニャ…。」


声は三か所で上げられた。



「なんだ、皆聞いてたんだ。」
「ご、ごめんなさいニャ、ついつい聞いてしまったニャ…。」
「俺も寝る前に心地良さそうな声だったから聞いてしまってたニャ…。」
「いいよいいよ、気にしないで。」


「に、人間、人間達は誰もが裕福で家族がいて、そんな環境になるなんてことは無いんじゃないかニャ?」
「う〜ん、そういう人が多いみたいだけど、あては違ったかな?少なくとも。」
「ニャ…。」
「あんま覚えてないんだけどね、身体を売られそうになってたあてをにーさんが拾ってくれたんだ。」
「…。」


周囲が黙り込む。
みな信じられない、といった表情をしている。

それはそうだ、人身売買はこの世で最も忌み嫌われている犯罪の一つで国の取り締まりも容赦がない。

だがそれでも膿は存在する。

世間から隔絶された集落に確かに拠点は存在し、世界各地から人間をさらって商売をするのだ。
…自分もそこにいた。



「ごめんニャ!!」



リュウが突然飛び退く。
そして頭を下げる。


「そんな経緯も知らずに今まで酷い扱いをしてたニャ!」
「あ、違うよ、謝らせたいために言ったんじゃないよー?」
「ニャニャ…。」
「あて、嬉しかったんだー。おんなじ境遇の子を見付けて、しかも3人も。」

ひょい、とリュウを抱き上げる。

よくよく見て見ればまだ幼さが抜けない可愛い顔をしている。


「あてにも同じ境遇の子が近くに居たんだって思って、嬉しかったから話したんだ。」
「ニャ…!」


かっと目の前のアイルーの顔が赤くなる。
じーと見つめると恥ずかしさで顔をそらすのが面白い。


「…お、俺様たちは元々人間に雇われていた召使いだったニャ。」
「うん。」
「だけど…、だけどいつも仕事を失敗したりお皿を割ったりして、遂に捨てられたんだニャ。」


じんわりとリュウの目に涙が浮かぶ。
やがて声をだすと涙がこぼれる寸前まで行き、みかねたハクサイとオスカーが自分の元までやってきた。


「それで僕たちは捨てられて、人間不信になってたんだニャ…。」
「でー、野生のアイルー達と徒党を組んでルカ様の家、ベルナ村一番の大金持ちの家に襲撃したんだニャー。」


すっかり涙で顔がぐしゃぐしゃになったリュウを定位置の腕の中に入れて話を聞く。


「それで、家の中に入ってそれはそれは暴虐の限りを尽くしたんだニャ、僕ら。」
「そこでルカ様と出会ったんだニャー。悪いのは完全にこっちなのに、「君たちがこんなことをした訳を聞かせて欲しい」って、話し合いの場を設けたんだニャ。」
「ルカ様の言うとおり理由を話したら「村にそんな人間が居たのに放置していた村の責任だ、そして村の責任は僕の家の責任だ、良ければ君たちを全員雇わせてほしい」って。」
「それで今の牧場が出来上がったんですニャ!」


「じゃあ…ルカは凄い奴なんだな!!」
「「ですニャ!」」



宴は続く。
にぎやかな声をあげながら。


途切れることなく、焚火が消えるまで。








エピソードナナ10 ( No.123 )
日時: 2016/06/16 15:25
名前: 敷島クルル ◆vhkHu4l20g (ID: lFjIi3Je)

まだ彼方の山から太陽が見えるか見えないかの、光だけが逆光としてそこに太陽の存在を示している時間。
薄ら意識で目が覚める。

「ニャ…確か俺様は…。」

頭が痛い。
なぜこんな時間に目が覚めたのか、そしてなぜこんなにも目覚めが悪いのか。

後者の答えはリュウの手元にあった。

【マタタビ】。

それに加え野生の果物の果汁を加えたオリジナルドリンクを昨日の宴の際に浴びる程飲んだのを頭を押さえながらなんとか思い出す。



「み、水…。」


アルコールは含まれていないはずだがアイルーにとってはマタタビも似たような物。
乾いた喉を潤そうと荷物を探す。



「ニャ…?」


しかし、無い。
あるはずの場所に荷物が無いのだ。


横目に考えられない体勢のナナとハクサイ、そして少し離れたところで寝ているオスカーを確認して、再び荷物を探す。



よくよく見て見ると荷物が散乱している。
それも昨日原生林で採取をした植物や果実、肉などが辺りに散らばっている。


念の為、自分が酔っぱらって荷物を辺り一面に放ったのではないかと冷や汗を掻きながら手の匂いを嗅ぐ。

…マタタビジュースの匂いしかしないことに安心を覚える。
が、それと同時に新たな懸念が生まれる。



なら犯人は誰か。



よくよく見て見ると果実や肉は原型を留めず、何者かが乱雑に食い散らかしたかのよう。


「…。」


仲間が酔った勢いで食べたのではないかと、傍までよる。
口元に採取した果実の破片が無いか確認。




ハクサイ…いつも通りのむかつくほど健やかそうな寝顔。



オスカー…コイツもまた変わらずに涎を垂らしながらいびきを掻いている。



ナナ…。
まるで子供のような寝顔で寝ている。


ここまで無防備な人間の顔を見た事が無かった。




「…ぅうん?…リュウ?」


「…。」


「どしたの?…ふぁああ〜。」


「ニャ…。」


「?」


「ニャんでもないニャ!!」

エピソードナナ11 ( No.124 )
日時: 2016/06/20 14:38
名前: 敷島クルル ◆vhkHu4l20g (ID: lFjIi3Je)

「ええぇえ!?昨日採取した果実や肉類ほとんど無いニャ!」
「ハクサイ…朝から大声を出すなニャ…。」
「呑気にあくびしてる場合じゃないニャオスカー!事件ニャ!どうしようニャ!」
「だ〜か〜ら〜そのこれからどうするかをこれから考えるってリーダー言ってるニャ。」
「その通りだニャ。」


一通り荷物を片付けて、一同は現状の把握をしていた。
被害にあったのは大半が果実、次に肉類。

薬草や鉱物には手は出されていなかったことから犯人は飢えた野生の生物だということは皆理解していた。



「俺様としてもこのまま帰るのはモンニャン隊の今後の評価に関わる、犯人を見事探して打ち取るのが良いと思うニャ。」
「そうだけど…あてがあるのニャ?」
「ハクサイ!貴様は人に尋ねてばかりニャ!少しは自分の頭で考えるニャ!」
「そういうリーダーはどうニャ?何か考えが浮かんだニャ?」
「…目下思案中ニャ!」
「考えてないと…。」
「うるさいニャ!!」


「あ、ねね、見てこれ。」



三匹が議論を交わしてる最中、現場を散策していたナナから声があがる。
しゃがみ込み地面を見つめるナナに一同が何事かと思う。


「ナナ、何か見つかったニャ?」
「うん、犯人の足跡じゃないかな。」



そそくさとナナの元に駆け寄るリュウ。
彼を見て二匹がニヤついてるのを知らずにリュウは話を進める。



「このおっきな足跡、何かわかる?」
「ニャ〜、初めてみたニャ、昼間のあいつらとは明らかに大きいニャ。」



地面に残された足跡は確かに荷物が置いてあった現場の土にうっすらと残されてあった。



「……、体重的にはリモセトスなんかより全然少ない…、けどあてらよりかは全然大きい、でも寝てるあてらには目もくれずに荷物だけを食べた…。」
「ん?どうしたニャ?ナナ。」
「犯人は多分一匹だよ。」
「ニャ、もう分かったのかニャ?」
「こんなの簡単だよ、昼間のマッカォは必ず群れで来るし、そしてこの足跡はあいつらよりよっぽど大きくて重い、けどでっかい竜まではいかない。」


「…なわばりを持つ中型モンスターってことですかニャ?」



ハクサイの問いに笑顔で答える。



「そして犯人、多分あて知ってるぞ。」
「ニャんと!ナナさん凄いニャ!凄腕ハンターみたいだニャ!!」
「フフン!俺様が認めたモンニャン隊ナンバー4なんだから当然の事ニャ!」



問題が解消されたことにより喜ぶリュウ達。
それとは裏腹にナナの顔は先ほどよりも曇っていた。

エピソードナナ12 ( No.125 )
日時: 2016/06/23 21:42
名前: 敷島クルル ◆vhkHu4l20g (ID: lFjIi3Je)

「ニャ?滞在を一日遅らせる?」
「うん、犯人を捕まえるには夜まで待たなきゃなの。」


ナナの申し出にリュウが腕を組む。

時刻は真昼に回り、再び採取に取りかかろうとしていたところ。
本来ならば今日の夕方に帰る手筈。


「…ニャイト様からは滞在期間は三日頂いているニャ、問題ないニャ。」
「ほんと!?」
「けどこの三日が過ぎたらアウトニャ、クエスト失敗でモンニャン隊は解散ニャ。」
「そっか…、う〜〜ん。」


相手が相手だ、下手をすれば丸一日討伐に時間がかかる場合もあり得る。
そして自分も戦うのが初めての相手。

果たして間に合うかどうか。



「ニャ"ニャ"ニャ"!!」


茂みからオスカーの声が聞こえる。
モンスターとの遭遇かと一同構えたが、その気配は無く、ただオスカーの低く鈍い声が続く。


「どうしたニャオスカー、そんな間抜けな声あげて。」
「ニャ"ー!ハクサイ!この茸痺れるニャ!」
「マヒダケだニャ!そりゃそうニャ!…ってあー!茸つまみ食いしてるニャ!!」
「美味しくってつい。」
「バカ!バカバカ!オスカーはそこで痺れてるがいいニャ!」



「あっ、」



「ん?ナナどうしたニャ?」
「ありがとオスカー!オスカーのお蔭でいいこと思いついちゃった。」