二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- エピソードナナ13 ( No.127 )
- 日時: 2016/09/14 11:20
- 名前: 敷島クルル ◆vhkHu4l20g (ID: G.nGjsd9)
夜。
星が満ち、今にでも煌めいた星達が零れ落ちそうな錯覚に陥るかのよう。
夜。
満月が、丸々とした満月が周囲を照らす。
3匹と1人はその明かりが及ばない岩陰に潜んでいた。
「ナナ、そろそろ俺様達に何が現れるか教えるニャ。」
リュウが標的に仕掛けた罠に集中しながら、自身を抱いているナナに質問する。
その光景にハクサイとオスカーは思わず顔がほころぶ。
「ん〜、じゃあそろそろ教えてもいいかな。」
「ほんとかニャ!まぁどんな奴が出てきても俺様がけちょんけちょんにしてやるニャ!」
「ナナさん…あいつですかニャ?」
3匹の中で最も目が良いハクサイが暗闇に動く影を見付ける。
続いて草が揺れる音にオスカーが巨体をのっそりと動かし、応対する。
「やっぱり…!」
ナナが野生じみた笑みを端に浮かべ、腰のナイフに手を伸ばす。
そして徐々にその標的が罠に釣られ、月明かりの下に晒される。
昨日とほぼ同じ位置に昼間皆で採集した果物が置かれており、標的は鼻を鳴らしながら近づく。
「ニャ、にゃんだニャアイツ…!」
「見た事ないですニャ…!」
群青色の、のそのそと鼻を鳴らしながら果物に近付いていく。
特に目を引くのは暗がりでも分かる前脚の甲殻だろうか、おろし金のような質感を思わせる甲殻は挑んだ者に凄惨な状況を予感させるに難しくなかった。
「アオアシラ、あてが生まれたとこには良くいたモンスター。」
「ナナさん、どうみてもあれ中型モンスターじゃないですかニャ…!?俺達の手に負える相手かどうか…!」
「装備もまともじゃないですニャ…!僕たちだけじゃ討伐なんて…!」
「ニャー!どいつもこいつも腑抜けだニャ!俺様があんな奴けちょんけちょんにしてやるニャ!」
「リーダー、脚が震えてるニャ。」
「う、うるさいニャ!!」
リュウの声に反応したのか、アオアシラがリュウ達が潜んでいる岩陰に顔を向ける。
「ニャニャ!こっち見てるニャ!」
「じゃあ作戦通りよろしくね、あてが引き付けるから3人はさっき言ったことお願い!」
「ニャッ!ナナ!たのんだニャ!」
「リュウもね!」
岩陰からナナが殺到する。
突然の襲来にアオアシラがワンテンポ遅れて威嚇の咆哮をする。
2本脚で立ちあがり敵に向かっての咆哮は、四肢の強靭さを敵対する者に与えた。
————だが先に動いているのはナナ。
アオアシラへと駆ける足を更に速めて腰のナイフ、ツインダガー改へ手をかける。
そして流れる動作で引き抜き、右のナイフで袈裟方向で頭部を裂く。
否、裂くつもりだった。
ナイフは宙を空振りし、ナナの反応が遅れる。
次の瞬間、嫌な風切り音と共に剛腕がナナへと振り下ろされる。
「……ッッ!」
避けられた、種族は違えど両者が感じた感情に相違は無かった。
だが直撃を避けたのはアオアシラの方、ナナは肩の服が裂け、生肌にうっすらと爪痕が薄い傷となり、血が滲み始めている。
(やるね…!)
状況とは対照的にナナの口元に笑みが浮かぶ。
そして再び前へ、アオアシラへと駆ける。
対してアオアシラは、体躯の大きさに物を言わせナナを正面から押し倒そうと前脚を振りかぶる。
それを横に躱しながらアオアシラの背後を取る。
———ナナが刃を振り下ろすのと、アオアシラが振り返るのはほぼ同時だった。
振り向きを先読みし、頭部へと下袈裟から2双の刃がアオアシラの顎から頭頂へ襲う。
突然の痛みにアオアシラが苦悶の声を上げながら闇雲に腕を振るう、がナナには届かない。
2回、3回とナナは攻撃を後ろへ巧みに躱しながら、先ほどの攻撃の効果を見張る。
ナナのナイフには鮮血が滴るほどに付いていた。