二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【視点小説】歪んだ世界【参加者大募集中なのだよ!】 ( No.31 )
- 日時: 2016/01/08 00:18
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: KQb493NG)
むかしむかしーーーそう、途方もなく昔のお話。
現実という世界にひとりの少女がいた。少女は醜く、息苦しく、見苦しい現実に嫌気がさしていた。でも生きなきゃならないのも現実で、抗うことは不可能だった。
その事に傷ついた少女は、現実に目を逸らすことにした。その方法は、自分の意思だけを現実から逃がすという、愚かな手段だった。
少女が辿り着いたのは、後に【魂の楽園】と呼ばれる場所の周りにある、ひとつの世界だった。
その世界を例えるなら神秘的な紫。ただ、その例えしかものがなかったので、少女はその世界を自分だけの秘密基地に改造しようと、決めたのだ。
自分の思いに呼応したその世界は、まるで天国のよう。その嬉しい感情で純白で美しい魂が沢山生まれた。反対に、楽しくなかったり、悪いことを考えると真っ黒な魂が生まれた。
こうして色々作って、遊んで、疲れた少女は、他の世界へと足を伸ばした。
すると自分のような同じ存在がいるという事に気付いた。その存在も、彼女がいたという事実に驚き、思わず彼女を傷つけてしまった。
当然彼女は恐怖し、逃げた。その恐怖で記憶を無くし、辿り着いた場所はーーー
「………なーに人のモノ読んでんだ、結」
「!…マスター」
昼も夜も分からないこの場所は薄暗く、寂しい所で。その場所の壁一面に並ぶのはこの書塔を作った伊那谷ユウナが書いた書物と集めた本だった。普段は伊那谷の配下でも立ち入り禁止である場所に、和束結は立ち入ったのだ。
「今回は見逃してやる。だからその本を直せ」
「この本は…マスターの人生が書いてある本、ですか?」
「まさか。四條畷の書じゃあるめーし…それは、過去に書いた伝記的なものだよ。全てが書いてある訳ではないし、全てが真実という訳でもない…いいから戻せ」
「分かりました」
結はそっと本棚へと戻す。暗くてよく顔が見えないが、明らかに伊那谷は怒っていると分かる。結は謝罪を述べ、伊那谷と共に書塔をあとにする。
「マスター」
「…んだよ」
「怒らないで下さい」
「何も言わず土足で踏み込まれてもキレない馬鹿がいたら知りたいわ」
「…黙れって言いたいんですね?分かりました、黙ります」
そう言って庭を歩いていると、屋敷から女性が慌てた様子で出てきた。女性の名は和束解。結の妹である。
「ますたー…大変っ」
「どうした、解?お前が血相変えるだなんて」
「あの【紅葉の御前】が行方不明になったって…」
「!?」
【紅葉の御前】とは、別次元の世界にて活動する女性…葉月の事を指す。彼女はベクトルが違えど別理者に近い存在で、伊那谷とは長い付き合いとなる。彼女は見た目に反して混沌が大好物な上、テンションが常におかしいが、根は質実かつ実直で、思いやりのある優しい女性だ。だからこそ、何も言わず行方不明になったというのはありえない話なのだ。
「館の連中は、何か言ってたか?」
「それが…皆分かんないって。あとこれ…館のカメラに映ってたって」
解は写真を渡した。少しブレていたが、それでも人間だというのは分かる。伊那谷は暫く目を凝らして見ていると、徐々に目を開いていった。
「!?なんで、」
「マスター?」
「……結、解。葉月さんを探しに行くぞ。今すぐ、準備しろ!!」
「!う、うん」
「承知しました!」
二人は準備をしに館へと入っていく。伊那谷はというと、ずっと写真を眺め、言葉を漏らす。
「……で…だよ…」
ーーーこうして、様々な思いが交錯する中、事件はゆっくりと動こうとしていた。
【プロローグ】
悠久と呼び難い時の中で
(なんでだよ…)
(お前はあの時、私の目の前で死んだ筈だろ…!?)
☆
微妙に書き方を変えてます。備考です。
伊那谷の領域世界は屋敷に庭、書塔があり、庭には様々な品種の薔薇をはじめとした四季折々の花が咲いてます。大体は結の趣味ですよ。
伊那谷は空間の別理者だから、他人の領域世界のベースを作ったり、建造?したり出来るので自分の世界も中々改造しまくってますね。気まぐれで和風の屋敷やら庭やらにチェンジしてます。そして地下には簡易的なトレーニングルームと温泉が完備されてます。正にいたりつくせりってやつですね。
そして【紅葉の御前】という葉月さんの異名というか呼び名は勝手ながら作っちゃいました(笑)。紅葉は勿論、紅葉の館から。最初は【紅葉の館の主】にしようかと思ったけど、『の』が多いので御前を付けた訳です。つーかこの紅葉の読みは『こうよう』と『もみじ』、どっちなんだ…?こうよう、か…?
知らない人もいるだろうし、別理者について詳しい事はいつかどっかで語りたい。あの不死身な希少種族とはちょいと違うのでね…
さて次回はどうなるのか。カメラに映っていた人間は誰なのか。続きはまたいつか!