二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- prologue ( No.2 )
- 日時: 2016/01/25 18:57
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: cWF1aDDB)
クソッ!間に合わねぇか……!
ど、どうするの護!?早く逃げないと!
わかってる!けどっ……!
聞こえる!?三池!梓!ダメ!プログラムを破れるのはもうこの時間が限界!
柿崎!どうにかならない!?
出来ればやっている……思った以上に、ワクチンの効力がはやい故……
これ以上、入口のロックを解除するのは不可能だ……!
今は逃げろ二人共!三池の気持ちもわからんでもないが……
お前のその体じゃ、今は何もできないぞ!
……あぁ、そうだな……!
ごめんな。助けられなくてよ……
prologue
ようこそ 地下都市ジェネシスへ
ーUNLOCKー
→YES
NO
PASSWORD?
「●●●●●●」
OK
OPEN?
→YES
NO
ピー!ピー!ピー!ピー!
ウイィィィィィン……
「ん」
目の前のほの暗い闇が、徐々に白い光に照らされだす。
体中を包んでいた身も凍るような冷気が、外気にさらされて霧へと変わっていく。
「……」
かなりだるい体を起こす。
紫色のショートヘアに、髪には羽をあしらった髪飾り。首の後ろにはヘッドホン。
そして体に……白衣のような白い服を着ている。
……これが、私の服なのだろうか?
「目が覚めた?」
目の前に、赤いサイドテールの女の子が立っていた。
その女の子は活発そうな見た目のショートパンツとカーディガンを着ている。
「……ここは……?うっ」
頭痛がした。視界が定まらない。足元がまるでおぼつかない。
なんだか随分長いあいだ眠っていたような、そんな感覚だ。
「無理しちゃダメよ。さっき目が覚めたばっかりなんだし」
その女の子に抱えられるようにして歩き、私はベンチの様な場所に座った。
「今は落ち着いて、深呼吸して」
……事情が飲み込めなかった。
どういうことなのだろう。
まず、ここはどこなのだろう。
……いや、その前に。
「私は……誰だ……?」
つい、女の子の横でそう言った声をあげてしまった。
「え?」
女の子は面食らったような顔をして、私を見つめる。
「それって……どういうこと?」
「……え?」
その言葉を聞いて、私はようやく我に返った。
「もしかして……記憶がないの?」
「……」
私はゆっくりと頷いた。
ここがどこなのか、私がどこから来たのか、私は何者なのかですら、私には分からなかった。
「まぁ、無理もないか……あたしだって、なんでこんな場所にいるのかわかんないしさ」
「どういうことだ……?」
と、その時だ。
「どうだ。調子は……って、成功してるじゃないか」
「あはは。ダメもとでやったらできちゃった」
黒い髪の明るいパーカーを着た男が現れた。
「まったく、お前の運の良さにはある意味呆れるな」
「本当。まぁ、あたしは大した才能じゃないと思うんだけど……」
唖然とする。
「……あっ。ごめん。自己紹介が遅れたよね。
あたしは寺本 遥(てらもと はるか)才能は、{超高校級の幸運}だよ」
「じゃ、俺も言うかな。俺は島津 蓮(しまづ れん)。
まぁ。大声でいうこともないが、才能は{超高校級の不運}だ」
「……超……高校級」
私がそう言うと、寺本と島津は向かい合った。
「あ、ごめん。記憶がないなら今置かれてる状況もわかんないんだもんね。説明するよ」
あたしたち超高校級の集まりは、希望ヶ峰学園って学校に入学するつもりだったの。
私立 希望ヶ峰学園。
政府公認の超特権的な学園で、あらゆる世界における有能な人材を育て上げてきた学園。
事実、各界の著名人は、この学校の卒業者が多く……
様々な職業で、様々な希望の象徴となる人が多いの。
この学校への入学資格は二つあって。
まず、現役の高校生であること、
そして、その道における「超高校級の才能」を持っていること。
あたしにはよくわかんないんだけど、20年前をもって一度募集をやめてたんだって。
だけど最近、また新しく募集を始めたの。新しい校舎を建てた上らしいけどね。
で、あたしたちはその学校に確かに入学した……はずなんだけど……
「気が付けばここってわけだ」
島津の声。
超高校級……
その人物がここに集められたということは、私も才能の持ち主なのだろうか?
「で、今みんなと一緒にこの街を散策してるんだけど……
その時に島津と一緒にキミが入ってたカプセルを発見して……」
「街……?」
「ま、それはおいおい説明していけばいいだろう」
……わからないことが多すぎる。
私はまだだるい足で立ち上がる。
「大丈夫?」
「あ、あぁ。もう大丈夫」
「そういえば、お前の名前をまだ聞いていないな」
まっすぐ私を見つめる島津。
「……」
「あ、そっか。記憶を失ってるんだもん。名前も知らないはずだもんね」
と、私の頭を見る寺本。
「……そうだね。とりあえず、ツバサって呼んでいいかな?」
「どうして」
「ほら、羽を模した髪飾り、つけてるでしょ?ツバサって名前がしっくりくると思うんだけどさ」
……ツバサ。うん。いい名前だ。
「わかった。とりあえず私のことはそう呼んでくれ」
「ありがと。改めてよろしくね。ツバサ!」
私は寺本、島津とともに、部屋を出ることにした。