二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.164 )
日時: 2016/11/16 19:25
名前: ロード (ID: aU0XF0c4)

ボム・フェネクスの轟炎が、真薄に襲いかかる! このままでは、真薄は3600のダメージを受けて、石崎に負けてしまう! 真薄は……! 

「罠カード発動! 『エレメンタル・チャージ』! 自分フィールドの『E・HERO』の数×1000ポイントライフを回復する! 今僕の場にはアナザー・ネオスがいるため、1000ポイントライフを回復する! 同時に、フィールドからカードが1枚減ったため、ボム・フェネクスのダメージも300減る!」(真薄ライフ3500→4500) (真薄墓地6→7)

「なにっ!?」

轟炎が直撃し、大ダメージを受ける真薄。だが、直前の回復によって、かろうじてライフを繋ぎとめた。

「うっ、うう……」(真薄ライフ4500→1200)

「チッ、仕留め損ねたか! だけど、相当なダメージを受けただろう、ロックは万全なこの状況、次のターンを待つだけで僕は勝てる! これが、僕があのアキラに勝つために編み出した必殺のデッキの威力だ!ターン、エンド!」


石崎

ライフポイント4900
手札枚数2枚
モンスター1体
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード3枚『宮廷のしきたり』 『光の護封壁』 『平和の使者』
墓地の枚数9枚
除外されているカード0枚


この様子を、観客席からじっと見ていた遊太達。ひとまず一撃死は免れたことに、安堵する。

「どうにか敗北だけは免れたか……」

「けれど、これでますます苦しくなっちゃったね……」

「このままじゃ負けちゃうんじゃないか?」

「そんなのダメよ! せっかくここまで踏ん張れたのに……」

「チクショウ、これも全部石崎のバカがデッキをどこかに捨てたせいッス! 勝ちたいからってデッキを捨てる奴が……」

「けど、真薄は自分の意思であのデッキを使っているんだ。言い訳はできないぜ……」

「頑張って、真薄君……とにかく、頑張って……!」

遊太の頑張れという小さな叫び。デュエルリングに届くのだろうか。

10・真薄のターン

「僕のターン……」

(ここまでは整っている……けど、後1枚が足りない……ここであのカードを引けなかったら、確実に僕は負けてしまうだろう)

(けれど、ここで引くのがあの勇気なんだ。主人公が主人公している、あの瞬間を、僕の手で再現してみせるんだ!)

「僕のターン、ドロー!」(真薄手札1→2)

引いたカードを見た真薄。すると、ひきつった顔が綻んだ。

「石崎さん、さっき次のターンが どうとか言ってましたけど……次のターンはありません! ここで終わらせます!」

「な、何を言ってる! そんなことができるわけ……」

「やってみせますよ……僕は、フレア・スカラベとアナザー・ネオスをリリースして、レベル7の『E・HERO ネオス』を、アドバンス召喚!」(真薄手札2→1)(真薄墓地7→9)

2体をリリースして現れたのは、宇宙より飛来した、新たな『HERO』! どこかあの星の戦士を思い出させるモンスターだ。

「何を考えているんだ? 2体リリースして、効果のない通常モンスターをアドバンス召喚するなんて……」

「こうするのさ、行くぞ! ネオスとグロー・モスを、コンタクト融合!」

「何、コンタクト融合だと!?」

ネオスとグロー・モスが、宇宙へと飛び立って行き、銀河の中で、一つとなる! 

「銀河の英雄と、光の生命体よ、今こそ一つになってその力を見せよ! コンタクト融合! 『E・HERO グロー・ネオス!』」

光輝く銀河の中から現れ出たのは、人間の体に光輝く体を持ったネオスだった。

「ゆ、融合魔法無しで融合召喚だと……?」

「コンタクト融合モンスターは、ネオスと素材モンスターをデッキに戻すことで、融合召喚できる! そして、コンタクト融合したネオスの戦う場所は、ここだ……! フィールド魔法『ネオ・スペース』を発動!」

フィールドが、虹色の宇宙に包まれる。その影響を受けたグロー・ネオスは、攻撃力が上がる。

「『ネオ・スペース』の効果で、ネオスとそのコンタクト融合モンスターの攻撃力は500アップする。よってネオスの攻撃力は3000になる。そして伏せカードオープン! 『受け継がれる魂』。墓地のモンスターを1体除外して、その攻撃力分フィールドのモンスター1体の攻撃力を上げる! 僕はアナザー・ネオスの攻撃力を加えて、攻撃力を1900アップして、4900にする!」(真薄除外0→1)

「……いくら攻撃力をあげても、この状況を打開することはできないよ。攻撃力が高くても低くても、攻撃はできないからな!」

「……あなたは少し臆病な人だ、安全な所から直接相手に攻撃できないと戦えないひとだ。その壁を断ち切る!」

「罠発動! 『トラップ・スタン』! フィールド上の罠カードを全て無効化する!」(真薄墓地9→10)

「な、何!? 護封壁が……だが『平和の使者』の効果で攻撃は……」

「グロー・ネオスの効果発動! 相手フィールドの表側で存在するカードを破壊することで、3つの効果の中から1つを使える! 僕は、表側表示の『平和の使者』を破壊する!」

「な、何ィ!? これじゃあ攻撃が……」

「そして、魔法を破壊したグロー・ネオスは、相手にダイレクトアタックができる!」

「な、何ーっ!? そんなー!」

「行くぞラストバトル! グロー・ネオスの攻撃! ライトニング・ストライク!」

稲妻を纏った槍が石崎を直撃! 攻撃力とライフは同じ4900。ジャストキルとなった!

「ぐあああ! 後少しで勝てたのに〜!」(石崎ライフ4900→0)

「や、やった! まるであの勇気のような大逆転勝利だーっ!」

これには観客席の遊太たちも大喜び。

「やりやがったあ! 流石アタシの仲間、真薄だぜ!」

「真薄くーん! やったねー!」


そして、試合が終わった石崎は遊太達に囲まれていた。

「さて、負けたんだからお前がやったことを全部吐いてもらおうか!」

「ぼ、僕は、何も知らないぞ!」

「それはどうかな」

あくまで否定する石崎の所に、才羽と天羽が来た。

「このグループの参加者全てのデッキを調べた。調べた結果、『E・HERO』を使っているデュエリストは、真薄君しかいないことがわかった」

「そして、あなたがデッキの捨ててあった女子トイレに入っていくのを見たという人もいたわ。男でね」

「んなっ……!?」

「どう? これでもまだ言い逃れをするつもりかしら……?」

「…………」

完全に押し黙ってしまった石崎。遊太達の鋭く痛い視線が、石崎に突き刺さる。

そして天羽が、石崎に言う。

「デュエリストの魂であるデッキをダメに したあなたの罪は重いわ、だから……真薄君に謝りなさい」

「は、はい……」

石崎は真薄の前に来て、深々と頭を下げて。

「すいませんでしたっ……!」

「はい、行ってよし。これに懲りたら、二度とこういうことするんじゃないわよ!」

「は、はひぃ〜……!」

そう言って、石崎は逃げ帰って行った。

それを見て、真薄はほっとした。

「とりあえず、これで一件落着ですね。才羽さん、天羽さん、どうもありがとうございました」

「礼には及ばない」

「デュエリストとして当然のことをしたまでですもの」

二人にお礼を言う真薄に、横から菊姫がお礼を言う。

「いやあすまねえ。あなたがたがいなかったら今頃うちの友達が大変なことに……ありがとうございました」

「なに、才羽の奴が『あの子はここで潰れていいデュエリストじゃない』って言ったからよ」

「見込みのあるデュエリストを見守るのも、デュエリストの役目だからな」

「なんていい人なんだ……」

「僕も、途中で会わなかったらどうなっていたか……」

遊太も思わず感動する。

そして、才羽は懐から、濡れて使い物にならなくなった元のデッキを、真薄に渡す。

「すまない。もう少し早く見つけていたら……」

「良いんです。見つけてくれただけでも、嬉しいですから」

「そうか、なら良かった。じゃあ、俺達はこれで」

「ありがとうございました」

だがその瞬間、天羽が菊姫に向かって言う。

「菊姫ちゃん? 今回は手助けしたけど、ベスト4であなたと当たる時は、手加減なんて一切しないから覚悟していてちょうだい」

「おう! 望む所だぜ!」

そして才羽も真薄に。

「頑張れな、真薄君」

「は、はいっ」

そう言って、二人は去って行った。

そして、龍矢は真薄に言う。

「真薄。次は俺とお前のデュエルだぜ」

「あっ、そうでしたね。僕も、負けませんから!」

互いに闘志を燃やす二人。が、ここで岩ノ井が言う。

「そういえば次はアネゴのデュエルじゃなかったッスか?」

「あっ、そうだった! ここは二人に続いて、一丁暴れるか! じゃあ行ってくる!」

「いってらっしゃーい」

そして、龍奈や鏡山達が観客席に向かって行く。しかし、真薄はその場に残っていた。気になった遊太は一緒に残る。

真薄は、使えなくなってしまったデッキに向かって言う。

「……僕のデッキ。たとえ何ヵ月かかっても、元のデッキに戻すからね」

真薄がそう言った時、遊太の目には奇妙なものが映る。

(えっ、何これ……?)

それは、真薄を取り囲んでいる融合『E・HERO』たちだった。真薄を、笑顔で見つめながら。

そして、遠目からネオスがそれを見ているという。不思議な光景。

慌てて目をこすると、そのモンスター達は消えていた。

(なんだったんだ……?)

「どうしたんですか? 遊太君」

「いや、ちょっとね……行こうか」

「はいっ」

そう言って、二人は観客席に向かって行った。


一方、アキラはというと。

「ほう、あの真薄って奴も結構やるじゃねえか……ま、俺が求めているのは、遊太との対戦だがな……」


第二十八話。終わり。