二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.169 )
- 日時: 2016/11/17 16:33
- 名前: ロード (ID: sRTtUBMM)
第二十九話「通過点」
ジュニアユース関東予選。
ちょっとした事件がありながらも、なんとか事なきを経た遊太達。
そして、菊姫のデュエルはというと。
「『古代の機械巨人』でダイレクトアタック! アルティメット・パウンド!」
「ぐあああ!」(井原ライフ1400→0)
対戦相手の井原影子を簡単に倒してみせ、準々決勝に勝ち名乗りをあげたのであった。
そして、遊太達に歓迎を受ける菊姫。
「凄いよ菊姫! まさかたった5ターンで相手をキルしちゃうなんて!」
「フッ、アタシもようやくベスト8の仲間入りを果たせたな」
「さすがアネゴ、カッコいい〜!」
「本当に一人前ッスよ!」
「よ、よせやい、岩ノ井に鏡山。まだアタシはそれほど強くなんかないぜ」
「謙遜しなくても良いッスよ」
「俺達のアネゴなんですから!」
「へへっ、ありがとよ。さて、次は龍奈の番だな」
「あっ、そうだったわね。相手はシードの氷川さんだけど……大丈夫かな」
「大丈夫大丈夫! 俺が勝てたんだから、俺より上手い龍奈なら絶対勝てるって!」
「うん……ありがとう龍矢」
「じゃあ、胸張って行ってきなよ。僕達が応援しているから!」
「うんっ」
そう言って、龍奈はデュエルリングへ向かって行った。
一方その頃、龍奈の再戦を予告しておきながら、氷川に惨敗してしまった瓜生はというと。
「クソッ、あの女にあそこまで言ったっていうのに、まさかの惨敗とは……クソッ」
といった具合に、会場の中で荒れていた。それはそうだろう。あそこまでカッコつけたのに、あんな無様に敗北しては、そうなるだろう。当の龍奈は、全く気にしていないが。
「ったくどうするんだよこれから……負けちまった以上試合には出れねえし……」
すると、彼の目の前に龍奈の次の対戦相手、氷川がいるのを見つけた瓜生。フードを被っており、口をマスクで覆っている。すると、良からぬことを思いつく。
「そうか……何も正規の手段で対戦しなくても問題ないじゃないか……」
そう言うと、氷川がトイレに行くのと同時に、彼も入って行った。
その後。
「ぎゃあああっ!」
男子トイレから悲鳴が聞こえたという。
そしてデュエルリング。龍奈が対戦相手の氷川を今か今かと待っていた。
「遅いな……何しているのかしら」
「すまない! 遅くなった!」
遠くから、龍奈の所にやってくる人がいた。フードを被り、マスクを被った男の子、氷川である。
「ちょっとトイレ行ってたら遅くなってね……さ、デュエルしようか」
デュエルへと急かす氷川。だが、何かがおかしいことに、龍奈はすぐ気づく。
「……ねえ、あなた本当に私の対戦相手の、氷川優斗君?」
「な、何を言っているんだ? 僕はしっかりと氷川優斗だよ?」
「いやね……なんか雰囲気が違うというか、別人というか……」
「何を言っているんだよ? 対戦相手を疑うつもりかい?」
「あなたと会うのは初めてなのに、どこかで会ったような気がするの。あのとき会ったような……」
「そ、そんなことないよ? 僕は別にそんなんじゃ……へ、へ、へっくし!」
くしゃみをした途端、彼の口からマスクが外れる。すると、その顔が見えた。
「あっ、あなたは瓜生!」
「チッ、バレたか!」
なんと、氷川だと思っていた相手は、あの時レインボー・ドラゴンを奪おうとした瓜生。すかさず審判は。
「君、負けたのにどうしてそんな格好をしているのですか!?」
「こ、これは……ちょっと具合が悪いと氷川が言って……」
「そんな訳ないでしょう! 本人ではないため、このデュエルは無効試合として、龍奈選手の勝ちといたします!」
「そ、そんな……!」
「当たり前でしょ」
こうして、龍奈の試合は龍奈の不戦勝となった。
これには思わず遊太達も。
「これは酷い」
「ああ、全くだ」
そしてあのアキラも。
「ハハハッ、笑えるなあ」
そして納得のいかない不戦勝となった龍奈は、その後自販機の所で飲み物を飲んでいた。
「はあ……全く災難だったわ。せっかくシードと対戦できると思ったのに」
そう言いながらジュースを口に運ぶ。すると。
「いやあ、僕にとっては好都合だったよ」
「あ、あなた……誰?」
「ん? 僕は氷川優斗。君の対戦相だったデュエリストさ」
なんと、あの氷川が龍奈の所に来ていたのだ。長袖フードと白いマスク。そして、顔の赤い氷川は龍奈に言う。
「風邪引いちゃってさ……1回戦は気合いでなんとかデュエルして勝てたけど、流石にもう無理だ……って所であの人の襲撃を受けて……ね?」
「なんだ、結局私の不戦勝には変わりなかったのね」
「そうなんだ。できればちゃんとデュエルしたかったけど……ごめんね?」
「良いのよ、それより、お大事にね?」
「うん。それじゃあ、迎えが来ているから……」
そう言って、氷川は去って行った。その後ろ姿を見て、龍奈は言う。
「風邪を引いても出場するなんて……よっぽど今回の大会にかける思いが強かったのね」
一方、瓜生はというと。
「へっくしょん! やばい、寒気がしてきた……頭も痛く……アイツのマスクつけてからこんな風に……へっくしょん!」