二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.178 )
日時: 2016/12/07 12:50
名前: ロード (ID: rHtcSzQu)

「遊太……本当に絶体絶命だぜ……」

このデュエルの一部始終を見ていた菊姫は、この状況を冷静に見ていた。

遊太のライフは100。その上手札も、フィールドのカードも0。はっきり言って、絶望的な状況であった。

だが、菊姫の顔には笑みが浮かんでいた。なぜなら、遊太はこんな状況を、何度もひっくり返して来た。今度も当然……と、菊姫は思っていたから。

「アイツなら、この状況を必ずひっくり返してみせる。アタシは、そう信じてる」

そう思っている菊姫の所に、二人人がやってくる。

「あ、アネゴ……」

「おー、鏡山に岩ノ井か。どうだ鏡山、ワンキルショックからは抜け出せたか?」

「ええ、なんとか……」

「他の奴らは?」

「各々がデッキ調整で忙しいみたいッス」

「そうか、まあちょっと見てみろよ、遊太と星野のデュエル。面白いことになってるぜ」

「どれどれ……えぇ!? 遊太君のフィールドにはカードが1枚も無く、手札も0!? ど、どうするッスか!?」

「流石シードと言ってやりたいところだけど……生憎、うちの遊太はこんな絶対的不利な状況からでも、逆転したことがあるんだぜ?」

「た、確かに、そうッスけど……」

「じゃあ黙って見てな。今から遊太が逆転するところを、じっくり見物しようぜ」

「は、はい……」

所変わってデュエルリング。遊太は、このデュエル最後のドローをしようとしていた。


7・遊太のターン

「僕のターン!」

(このドローだ……このドローで決めなきゃ、負ける! 僕は勝ちたい! アキラ君と戦いたいし、それに……星野君の、期待に応えたい!)

「ドローッ!」(遊太手札0→1)

ドローしたカードを見てみる遊太。そして、そのカードが逆転につながるカードとわかった時、意気揚々と発動する。

「行くよ! 手札から、魔法カード『逆転の宝札』を発動! このカードは、フィールドにカードが1枚もなく、手札がこれ1枚の場合発動ができる。僕は相手の表側表示のカード1枚につき、1枚ドローする。君の場には3枚表側表示のカードがある。よって僕は、3枚ドローする!」(遊太手札0→3)(遊太墓地11→12)

ドローしたカードを見てみる遊太。すると、遊太の横に……。

(私の出番だな)

(また、このこ……えええ!?)

遊太の左に、獅子のような鎧を着込み、立派なたてがみを持った騎士がいきなり現れていた。ついでに、右にはスレイプがいた。

(おや、やっと我々の姿が見えるようになったのか)

(き、君たちは、いつも僕に語りかけていた……)

(そう、我々はいつもお前に語りかけていた、『イクスロードナイト』)

(えっと……と、とにかく、君たちは何者なの?)

(今はそんなこと話している余裕はない。目前の相手に集中しろ)

(あっ、そうだった……じゃあ、行くよ!)

モンスターの何かに言われて、デュエルに向き直る遊太。隣では、スレイプと『イクスロードナイト』の一人が遊太をじっと見ている。

「僕は手札から、魔法カード『死者蘇生』を発動! 墓地のモンスターを1体、特殊召喚する! 再び現れろ、紅き神馬の騎士! 『イクスロードナイト・スレイプ』!」(遊太手札3→2)

戦場に、颯爽と躍り出たスレイプ。これに、星野は悔しがる。

「クソッ、スレイプは『ロードナイト』に対象に取られなくする効果を与えるモンスター。伏せカードの『迷い風』と『強制脱出装着』が使えない。けど、攻撃力はトレミスと同じ2700……スレイプは元々の攻撃力が一番高いモンスターがいなければ、ダイレクトアタックはできないはず……」

「はたしてそうかな? 僕は更に、魔法カードを発動するよ!」

「……?」

「速攻魔法『異次元からの埋葬』を発動。このカードは、除外されている自分、または相手のモンスターを3体まで墓地に戻せる。僕は、自分のウェイカーと、ナイトメアの2体を墓地へ戻す!」(遊太手札2→1)(遊太墓地12→15)(遊太除外2→0)

「そして手札から、魔法カード『英雄騎士への転生』を発動! 墓地の同じ属性の『ロードナイト』を2体除外することで、同じ属性の『イクスロードナイト』を、エクストラデッキから特殊召喚できる!」

「墓地より素材を……!?」

「僕は、墓地から地属性のウェイカーとクレスを除外して、エクストラデッキから地属性の『イクスロードナイト』を特殊召喚する!」(遊太手札1→0)(遊太墓地15→14)(遊太除外0→2)

「太陽の力を受けし英雄騎士よ、その荒ぶる力を持って、戦場の敵を凪ぎ払え! 魔法進化召喚! 現れろ、レベル8『イクスロードナイト・アポロ』!」

現れたのは、黄金の獅子のような鎧を身に纏い、そして鎧についているたてがみのようなものは、腰の辺りまで伸びており、腕には手甲を装着していた。攻撃力は2500と、上級モンスターなら標準的な攻撃力であった。

「攻撃力2500……けれど、今の君には僕のモンスターの攻撃力を上回るモンスターはいない。どうするつもりなんだ……?」

「こうするんだよ。行くよ! アポロで、『セイクリッド・トレミスM7』を攻撃!」

「えっ!? 攻撃力の低いアポロで僕のトレミスを攻撃する……何をする気なんだ!?」

「アポロは、ライフを2000まで支払うことで攻撃力を払った分だけ上げられる。これは相手ターンでも使え、攻撃力上昇は永続。だけど僕のライフは100。ライフは払えない。けれど、アポロにはもう一つ効果がある」

「それは……?」

「アポロは戦闘を行うダメージステップ開始時、アポロ以外の自分フィールドで最も攻撃力が高いモンスターの攻撃力をダメージステップ終了時まで得ることができる! ライジング・サン!」

アポロが体をたぎらせると、スレイプが盾を持った右手を掲げ、力を与える。攻撃力が2500から5200にアップした! 

「攻撃力、5200!?」

「行けえアポロ! マグヒート・ブレイジング!」

強大な熱量を持ったアポロの鉄拳が、セイクリッド・トレミスを破壊する! 大ダメージと言うべきダメージが、星野を襲う。

「ぐうぅ……!」(星野ライフ4300→1800)(星野墓地7→12)

「そして、フィールドで最も攻撃力の高いモンスターが、僕のフィールドにいることで、スレイプはダイレクトアタックできる!」

「ということは、これで僕のライフは……」

「そういうこと。僕は、スレイプでダイレクトアタック! ムスペルヘイム・ロード!」

「うわああああ! ……ま、負けたぁ……」(星野ライフ1800→0)

「よーし! 勝てたぞおお!」

ライフ100。フィールドと手札も0という状況から、ここまで逆転してみせた遊太。まさかまさかの大逆転に、会場からは驚きの声が漏れる。

「おいマジかよ……あんな状況から勝利してみせるなんて……」

「やっぱりアイツ、ただ者じゃねえ!」

「シード相手にここまでやるなんて!」

そして菊姫達も。

「ほら、な」

「す、凄いッス……」

そして、一部始終を見ていたアキラはというと。

「……やっぱりな、こうなるんじゃないかと思ってたよ」

「アイツ、ひょっとしたら負けるんじゃないかと思ってたが、アイツがそう簡単に負ける訳なかったか。アイツには、 まだ残ってもらわねえと困るからな」

その後、遊太と星野はというと。

「どうだった? 僕のデュエル」

「いやはや、感服したよ。まさかあんな状況から逆転するなんて」

「僕も少し驚いたけどね」

「いや、こっちの方がかなり驚いたよ。僕も予想外だったけどね」

「けど。僕が勝てたのは、彼らのお陰でもあるんだよね……」

「えっ? どういうこと?」

「いや、こっちの話。それじゃあまたね!」

「うん。できればまたデュエルしようね」

「うんっ」

そう言って、星野は去って行った。だが、星野は疑問を抱く。

(あの逆転する時、なんで回りをチラチラ見てたんだろう? 観客席を見てた訳でもないし……なんだったんだ?)

一方、遊太はというと。人目につかない所にすぐ行き、カードから現れた『イクスロードナイト』と共に話をしていた。

「君たちは一体……」

「ああ、話をしよう」

目の前には、アルファ達『イクスロードナイト』がいる。彼らは、遊太に話をしようとしていた。

それは、彼らの……。


第三十話。終わり。