二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.181 )
日時: 2016/12/12 10:15
名前: ロード (ID: rHtcSzQu)

第三十一話「ネオスVSパワー・ツール! 友達だから」


準々決勝を突破し、ベスト4に一番乗りした遊太。だが、仲間の所へは行かず、人目につかない所で一人デッキと話をしていた。

デッキと言っても、彼が話をしているのはデッキではない。彼が話をしているのは……。

「ねえ、君達は一体何者なの?」

「ああ、我々が見えるようになったということは、話さなければいけないということだからな」

遊太の周りには、自分が持っているエクストラデッキのカードに描かれていた『イクスロードナイト』達がいる。だが、彼らは遊太にしか見えない。

これが、今まで自分に語り掛けていた声の正体だと知った遊太は、彼らに質問をする。

「ねえ、君達は一体何者なの?」

遊太の問いに、まずアルファが答える。

「我々は、デュエルモンスターズの精霊……とでも言ってくれ」

「精霊?」

「そう。カードには時折心が宿る。我々は、その心だ」

「えっと……どういうこと?」

「簡単に言うとな、我々はこの世界の生き物ではないのだよ」

「え……つまり、もっとどういうこと?」

アルファの言葉足らずに、マグナが説明する。

「つまり、私達は向こうの世界、つまりは精霊界からこの世界へ来たのですよ」

「えっ、ええっ!?」

あまりに突拍子もないことに、思わず大声をあげてしまう遊太。それに、シルフィーがやれやれと言いながら遊太にいう。 

「確かに信じられないかもしれないけど、それは事実だ。現に、私達は君の目の前にいるのだから」

「それは……そうだけど」

「そうだろう?」

そして、デュナスが言う。

「まあ、俺達は来たというより、流れ着いたと言った方が正しいかもしれねえな」

「えっ……?」

「俺達は敵を倒したと同時に、時空の渦に巻き込まれてお前達の世界へ来ちまった」

「そ、そうなんだ……」

そして、アルファが言う。

「その上、我々と共に戦っていた協力者達に、戦っていた敵達もその時空の渦に巻き込まれて君達の世界へ来てしまったかもしれない」

「嘘お……」

そう不安がる遊太に、ディアナはいう。

「と言っても、私達がこっちへ来たのはあなたと出会うよりずっと前の話。私達『イクスロードナイト』は全員集まれたけど、他の皆や敵さんは未だ見つかってないわ。ひょっとしたらもっと別な所にいるのかも」

「ああ……そう……」

そして、デュークが遊太に言う。

「そして、我々があのロベルトに会うまでは、我々はさまよう魂でしかなかった」

「えっ!? あのロベルトさんに!?」

「ああ、我々の魂が宿るカードを作ってくれたのは、他ならぬロベルト・フランシスだからな」

「で、どうして君達はロベルトさんに……」

「それはだな……」

デュークがそう言おうとした時、アナウンスが鳴る。

「まもなく、準々決勝第2試合、榊原龍矢選手対広野真薄選手のデュエルが始まります。両選手は至急デュエルリングへ来てください」

そのアナウンスを聞いたローズは、遊太に言う。

「おや、もうすぐデュエルか。君の友達同士が戦うデュエル、見ておかないとダメなんじゃない?」

「……うん、そうする。二人がデュエルするところ、ちゃんと見ておかなきゃ。友達だし、次の対戦相手だし」

そう言って、遊太はデッキをしまって皆のところへ行く事にした。遊太の周りには、『イクスロードナイト』達が浮かんでいた。

「誰も、僕の方を見ないね? 君達が周りに浮かんでるのに」

「私達は、君のような人にしか見えない」

「そうなの……」


これよりちょっと前、龍矢の方はというと。龍奈と一緒にいた。

「……」

「……」

龍矢は何故か腕を組んで黙ったままであり、龍奈はどう対応したらいいかわからないでいた。

「ねえ龍矢……なんで黙ってるの?」

「ん、ああ」

「ねえ、ちゃんと聞いてるの?」

「んん……ん」

「ねえ、龍矢ったら、一体何を考えているの?」

「あ、ああ……俺さあ、真薄とデュエルするんだよな?」

「うんそうだけど?」

「けどよ……なんか、変な感情が俺の中にあるんだよなあ」

「どんなの?」

「……説明なんかできないような物なんだよお」

「どうしてそうなの?」

「なんか……以前までいた所はこうやって、デュエル仲間と一緒に大会に出て、しのぎを削り合うことなんてなかったというか……」

「……その答えは、デュエルすればわかるんじゃない?」

「え?」

「だから、真薄君と思いっきりデュエルすれば、わかるようなことじゃないの?」

「うん、わかった。じゃあ、俺精一杯デュエルしてくるよ」

「丁度時間だしね」

「ああ!」

そして同時刻、真薄は一人で休憩室のベンチに座っていた。

「これからデュエルする人は、他の誰でもない、友達の龍矢君なんだ……」

友達と戦うのは、若干辛くもありながら、どこかドキドキもしている真薄。

「やっぱり、同じトーナメントに入ったらこうなるよね……」

デッキを取り出す真薄、先程使って勝利したコンタクト融合のデッキが、そこにある。

「僕はやっぱり、デュエルを楽しみたいのかも。だって、こんな舞台で友達と戦えるんだもん……よし!」

そう言って、ベンチから腰を上げて、デュエルリングへ向かって行った。


そしてデュエルリング。龍矢と真薄が、デュエルリングを挟んで、向かい合っていた。

「龍矢君」

「真薄……」

「「良いデュエルをしよう!」」

「それではこれより、榊原龍矢選手対広野真薄選手のデュエルを始めます!」

「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」

「「デュエル!」」