二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.186 )
- 日時: 2016/12/23 18:28
- 名前: ロード (ID: MMm5P7cR)
第三十二話「菊姫の実力」
ものの見事にベスト4に進出した真薄。
後輩が頑張っている姿を見て、菊姫は自分も頑張って行くと決意する。
「アネゴ、アネゴもベスト4に進出するために、頑張ってくれッス!」
「ああ、遊太や真薄がベスト4に一番乗りしたなら、アタシもやるしかないだろ」
「頑張ってください!」
「相手はシードの天羽天子とか言ったよな? あの時才羽と一緒に真薄のデッキを探してくれた……」
「相当の手練れだぞ」
「手練れ……あっ、お前は才羽亮!?」
菊姫達三人の中に現れたのは、あの時真薄のデッキを探してくれたシードデュエリスト、才羽亮であった。
「な、何しに来たんだよ……?」
「忠告しにやってきた、天羽の奴を倒すには、今のプレイングじゃ駄目だと、俺は思う」
「な、なんだよ……アタシだって、結構やり手なんだけど……」
「俺はアイツとやりあったことがあったが、あと一歩の所で奴がプレミスしなければそのまま負けてたかもしれん」
「そんなに強いのかアイツ……けどアタシだって、そう簡単には負けないって」
菊姫がそう言ったのを、岩ノ井と鏡山が付け足す。
「そうッスよ! アネゴは実際力をつけて、地区レベルから関東上位クラスまで行ったッスから!」
「アネゴはそう簡単には倒されないぜ!」
そう付け足した岩ノ井と鏡山に、才羽は言う。
「いや、天羽は全国レベルのデュエリスト。関東上位クラスでは太刀打ちできない」
「う……」
「俺は君達の真薄君に負けはしたが、あの子も相当の実力者だったということ。それこそ、全国クラスの実力を持っている……」
「確かに、アイツは2週間前こそはカードをマトモに扱うことすらできなかった。なのに、今じゃアンタを倒したり龍矢を倒したり……もはやアタシいなくてもやれるとアタシは思ってる」
「それに遊太だって、2週間前に始めたばっかりだっていうのに、あの時からデッキを自分の手足のように扱ってやがる。アイツ、本当にアニメから入った初心者かってーの」
「それを、お前はただじっと眺めているだけなのか?」
そう言われて、少し押し黙る菊姫。
「まあ、天羽は強いとだけ言っておく。そう簡単には勝てないぞ」
そう言って、才羽は去って行った。不安がる様子を見せる岩ノ井と鏡山だが、菊姫は言う。
「まあお前ら、心配するな。アタシがブッ飛ばしてやるからよ」
「流石アネゴッス!」
「それでこそ俺らのアネゴ!」
そう言ったものの、菊姫は表情を曇らせる。
「それ程凄い奴なのか……天羽って奴は……」
一方、遊太はというと、アルファ達『イクスロードナイト』達から話を聞くため、トイレの洋式便所に座って話を聞いていた。
「それで、ロベルトさんにどうやって出会ったの?」
遊太の疑問に、アルファが答える。
「私が代表して答えよう、魂だけだった我々は、彷徨っているうちにこの世界のデュエルモンスターズについて知った。我々が争いごとの決着を決める、儀式として行う遊戯が、まさかこの世界でも行われていることに……」
「そんなに凄い物だったの? 精霊界のデュエルって?」
「凄いも何も、デュエルが理だからな。我々は力を持ってはいるものの、それで戦争をすると大変な潰しあいになっていた。それを止めるために、我らを生み出した女神イクス様が、デュエルというものを生み出した」
「……え?」
「優秀な兵の力を札に封印し、力を箱庭の戦場で戦わせ、札の兵を操る指揮官が魔術と罠で戦局を操る。どうだ、この世界のデュエルとそっくりだろう」
「う、うん……」
「で、私達がロベルト出会ったのは、デュエルモンスターズの存在を知ってしばらくのこと。ミナコ社に、札となるカードを作る奴がいることを知った我々は、そこへ行った。そして、彼、ロベルト・フランシスと出会った」
「じゃあその時に……」
「最初は彼が面食らったのも無理はなかったが、徐々に打ち解けて行った。そして、私達は彼にお願いをした。我々が昔会った子供のような子に、会わせてほしいと」
「昔会った子供?」
「ああ、昔の話なんだが、私達の世界である精霊界に一人の小さな子供が迷い込んだんだ。最初は泣いてばかりいたんだけど、我々がデュエルを教えてあげたら凄く楽しんでくれて、夢中になってくれた」
「デュエルを教えて……?」
「ああ、けれど、あまり長く精霊界にいては、あの子の親が心配すると思った我々は、その子を帰してあげた。だがもう何年も前の話だから、あの子は覚えてないかもしれないがな」
「何年も前……」
「で、その子は我々と出会ったことによって、精霊が見えるようになっている。で、我々はその子のように、我々が見える子を探していたのさ」
「わかるんだ、見える人が」
「まあ、私が感じる魔力のおかげでな。で、私の見立てがばっちりはまり、君は我々が見えるようになった」
「うん。けれど、昔会った子供には、会いたいって思わないの?」
「ああ、勿論会いたいと思っている。だが……大分昔のことなせいで名前を忘れてしまってな……ゆから始まるのは覚えているんだが……」
「そうなんだ……」
「が、君も彼と同じような才能を持っている。君を選んだのに間違いはなかった。最初は始めたばかりというのに驚いたが……まるで昔からやっていたようにデュエルをこなしてみせている。どこで覚えたんだ?」
「え、えっと……教えてもらったんだよ、昔」
「ほう、今でもそんな風に覚えているということは、きっと教えた奴は相当の手練れだろうな」
「……うん」
すると、アナウンスが鳴る。
「まもなく、準々決勝第3試合、一条寺菊姫選手と天羽天子選手との試合が始まります。選手は至急デュエルリングに来てください」
「あ、もう始まるのか。行かなきゃ」
そう言って、便所から出た遊太。すると、とある人間にばったり出会う。
「あっ、君……」
「なんだ、便所でブツブツ喋ってる奴がいたと思ったら、お前か」
遊太の目の前にいたのは、八神アキラであった。
「あっ、これはね……」
「別にどうとも思ってねえ。問題は、俺がお前をぶっ倒す。それだけだ」
「……そう?」
「あ、それと、あの二人はお前の友達だろ? 言っておくが、お前はあんな風にデュエルしたいって思ってるよな?」
「それがどうかしたの?」
「悪いが、俺はあんなデュエルは好きじゃない。勝ち負け度外視して楽しむなんて、デュエルじゃねえ。やっぱりデュエルは、勝たなきゃ面白くねえだろ」
「……?」
「まあ、お前があの真薄とかいうHERO使いに負ける訳はないだろうが、とりあえず言っておく。決勝戦に上がったら、俺はお前をぶっ潰す! わかったな!」
そう言って、アキラは去って行った。それを後ろから、遊太はこう思いながら見た。
(……アキラ君、ちょっと無理してる感がある。よくわかんないけど、そんな感じがする……)
しかし、菊姫のデュエルを思い出すと、そそくさと観客席へと向かって行った。
そして観客席。岩ノ井や鏡山達がおり、龍矢や龍奈、真薄もいた。
「ゴメン、遅くなっちゃった」
「遅いッスよ! 今からアネゴのデュエルが始まるッスから!」
一方、デュエルリング。天羽天子が、菊姫を待っていた。
「あの子、私とのデュエルでどんな活躍見せてくれるのかしら……」
色白で金髪の、外国人とのハーフの女性である天羽天子。
そこへ、菊姫がやって来た。
「やっと来たわね、菊姫ちゃん」
「ちゃん? ママならまだしも、アタシより上の奴に言われると、なんかムカツク」
「では二人とも、デッキを交換してシャッフルしてください」
天羽と菊姫は、互いにデッキを交換してシャッフルする。その間、天羽は菊姫に言う。
「ねえ、菊姫ちゃん」
「ちゃんづけは止めろ」
「以前私はあなたのデュエルを見た事あるけど、何か光る物を感じたのよね」
「当たり前だ。アタシは結構やり手だぞ?」
「あなたは本当は全国クラスの実力を持っている。なのに、なんで地方でくすぶっているのかわかんないわ」
「は?」
「あなたは、何のためにこの大会に出たの?」
「以前、アタシをコテンパンに負かしたアキラを、デュエルで倒すため」
「それだけ? つまんないわね」
「で? 何が言いたいんだよ?」
「私は、もっと上へ行くって思いがあれば、自分の本来の実力を出せるはずなんだけど……」
「……アンタ、アタシの何を知ってるんだよ」
「まあ、細かいことはデュエルで語りあいましょう。それでいいわ」
「?」
そう言って、デッキを互いに返す天羽。そして菊姫も。
そしてじゃんけんをする二人。天羽がグーで、菊姫がチョキだった。
「菊姫選手、先攻後攻どちらをとりますか?」
「先攻」
「では一条寺菊姫選手先攻、天羽天子選手後攻でよろしいですね?」
「はい」
そう言われ、デュエルリングに上がる二人。
「それではこれより、一条寺菊姫選手対天羽天子選手のデュエルを始めます!」
「始まるッスよ!」
「アネゴー! そんな奴、ギッタンバッコンにしてくださーい!」
「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」