二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.192 )
- 日時: 2017/01/18 10:51
- 名前: ロード (ID: rHtcSzQu)
「トップクラス……ねえ、じゃあ見せてご覧なさい」
「言われなくても見せてやるぜ。私は手札から、『古代の整備場』を発動。墓地の『古代の機械』1体を、手札に加える。アタシが手札に加えるのは、『古代の機械巨人』!」
(ということは……出すのね、アレを)
「そして、手札から魔法カード『パワー・ボンド』を発動! 手札・フィールドからモンスターを墓地へ送って、機械族モンスターを、融合召喚!」
「古の鋼鉄より生まれ現れた巨人よ、今こそ一つとなりて、究極の力を見せよ! 融合召喚! 現れろ、レベル10『古代の機械究極巨人』!」(菊姫手札5→1)(菊姫墓地10→14)
『古代の機械巨人』を中心に合体して生まれたのは、ケンタウルス型の体を持った鋼鉄の巨人。その攻撃力は。
「攻撃力……4400だって!?」
「凄いッス! アネゴ、凄く久々にアレを出すなんて!」
「アネゴはやっぱり凄いッス!」
「菊姫……こんな凄いモンスターを隠し持っていたなんて!」
「なんか凄いぞ菊姫!」
「菊姫さん……やっぱり奥の手は、最後まで取っておく物なんですね……」
観客席より、仲間達の声が菊姫の耳に届く。そして、仲間達の方を振り向いて、あの時のことを思い出す。
アキラと戦った時、あの時は華麗にワンターンキルを成し遂げようと、このモンスターを『パワー・ボンド』で召喚した。
が、『破壊輪』で破壊された挙げ句、『破壊輪』と『パワー・ボンド』のダメージを両方食らってしまい、見るも無惨な敗北をしてしまった。
結果、皆は離れて行った。自分に失望して。
が、今は違う。今ここには、自分をわかってくれる友達がいる。
自分の最愛の友達、岩ノ井、鏡山。ひょっとしたら凄いデュエリストじゃないかと思う遊太。初心者の癖に、たった2週間であそこまで登り詰めた真薄。お調子者龍矢。ちょっとおませな龍奈。
あの皆だったら……。
「さあ来い天羽! 落とし穴でもなんでもしやがれ!」
そう意気込んで言ったが。
「……チェーンは無いわ」
「よし! 『パワー・ボンド』で融合召喚したモンスターは、その攻撃力が2倍になる! よって『古代の機械究極巨人』の攻撃力は……8800! 更に究極巨人は、攻撃中は相手の魔法・罠を封じ込め、貫通効果も持っているぜ!」
「だけど、私のライフは6500。どちらに攻撃しても、私のライフは3桁残るわ。それにその融合魔法……とてつもなく大きな代償を払うんじゃなかったっけ?」
「その通り、『パワー・ボンド』を使って融合召喚した場合、エンドフェイズに融合召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受けなくてはならない。4400のダメージをな。けど……」
「けど?」
「アタシがダメージを受けるのは、アンタが生き残ったらの話だろ?」
「えっ?」
「速攻魔法『死角からの一撃』発動! 相手フィールドに存在する表側守備表示モンスター1体と、自分の表側攻撃表示モンスター1体を選択する。そして、選択したアタシの攻撃表示モンスターは、選択したモンスターの守備力分アップする!」(菊姫手札1→0)(菊姫墓地14→15)
「そんなカードが……!」
「アタシは『神光の宣告者』と『古代の機械究極巨人』を選択! よって究極巨人の攻撃力は『神光の宣告者』の守備力分、2800アップの11600だ!」
「これは……」
「行くぜラストバトル! 『古代の機械究極巨人』で、『神光の宣告者』を攻撃! ギガント・パウンドォォッ!」
究極巨人の鉄拳が、宣告者の体を粉砕する! そのダメージは、あまりにも大きく、重い一撃だった。が、天羽は。
(また、爆発してくれたわね。あの時みたいに……ありがとうね)『天羽ライフ6500→0』
遂に決着がついた。天羽の一方的なデュエルかと思いきや、菊姫の、まさかまさかの大逆転で、このデュエルは終わった。
デュエルリングを降りた二人。その二人の間で、交わされる会話はというと。
「アタシが勝ったぜ、あの伏せカード、ブラフだったのか?」
「秘密」
「だろうな、けどよ、アンタの言ってくれた一言で、少しだけど視界が開けたような
気がするぜ」
「それは、良いことでしょ?」
「まあ、次も頑張りなさいよ。次の相手は、一筋縄じゃいかないみたいだし」
「ああ。このアタシにとっちゃ、因縁の相手みたいなものだけど」
「あらそう? まあ、頑張ってちょうだいね。私が見込んだ、菊姫ちゃんっ」
「! ちゃんづけするなー!」
菊姫をちゃんづけした後、ウィンクしながら天羽は去って行った。プンプンしながら観客席に戻って行くと、友達が菊姫のところに来た。
「凄かったよ菊姫! まさか土壇場であんな凄いカードを出すなんてさ!」
「奥の手は取っておく物と、よく言ったものですね」
「流石じゃあん!」
「その引きの強さ、凄いですよね」
遊太、真薄、龍矢、龍奈の四人が菊姫を褒め称える。そして、あの二人も。
「流石ッス、アネゴ〜!」
「勝ってくれて、嬉しいです〜!」
若干半泣きになりながら、菊姫に抱きついてくる岩ノ井と鏡山。普段だったら鬱陶しく思う菊姫だが、この日だけは違った。
「なあお前ら……」
「?」
「アタシと遊太達って、友達だよな?」
「な、何を言っているッスか?」
「その通りじゃないですか。遊太も真薄も、全員友達ですよ!」
「いきなりどうしたッスか?」
「いや、いいんだ、気にしなくて……」
(やっぱ、そうなんだよな。友達、なんだよな)
一方、天羽はというと、才羽と一緒にいて、話をしていた。
「良いのか? ああいう形で」
「良いのよ。本当の力を取り戻せて、あの子も私もハッピーなのよ」
「どういうことだ?」
「昔ね、あの子のデュエルを見たことがあるの。とてもタクティクスに溢れたデュエルでね、見ていて気持ちよかったの」
「けれど、久々に会ってみればデュエルが変わっていてね……ちょっとおせっかいだったかもしれなかったけど、元に戻してあげたわけ」
「そうか、お前、以前からそんなところあったもんな。楽しい方が良いって」
「そ。さあ、後はのんびり観戦でもしましょうか? 星野君や江崎君も待ってるみたいだし」
「ああ、行こうか」
(菊姫ちゃん。あの頃のあなたを取り戻せて、良かったわね。昔のあなたが見れて嬉しいし、今と昔のあなたが組み合わされて、きっとあのアキラともいい勝負ができるでしょうね……)
「そういえば、氷川の奴は?」
「風邪が悪くなったから帰ったって」
「そうか」