二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.195 )
- 日時: 2017/02/14 21:29
- 名前: ロード (ID: MMm5P7cR)
第三十三話「虹竜と竜姫神」
遊太、真薄、菊姫と、仲間たちが次々に勝ち上がっていく様子が確認されたが、次にデュエルする龍奈は、不安でいっぱいであった。
「大丈夫かな……?」
「大丈夫だって! 龍奈ならきっと大丈夫だって!」
「さっき負けた龍矢に励まされても、全然説得力がないんだけど」
「うう……」
実際、龍奈はこの大会ではそれ程良い結果を残せていない。二回戦はギリギリだった上に、次の氷川との対戦は、相手の失格と本人の試合放棄であり、快勝というのは無かった。
それを見かねてか、遊太が龍奈に言う。
「ねえ龍奈ちゃん……こう言っちゃなんだけど、そのデッキ、自分で使っていて、使いづらいって思ってない?」
「いや……ね、なんとなく傍目で見ている人の感想なんだけど、どこか使っていて使いづらいって印象を感じて……」
「……ううん、そんなことないわ。ずっと使って来たデッキだもん。以前龍矢も、ずっと宝玉獣だって言っていたし」
「けどね、こっちとしてはなんか……そんな印象を持つんだ」
「……悪いけど、この話はもうこれっきりにしない? 私、行かなきゃいけないから」
「あっ、待ってよ龍奈ちゃん」
逃げるようにこの場から離れようとする龍奈の手を、遊太は掴む。その時、龍奈の懐からポロリとカードが落ちる。
「あっ……」
「あれ、カードが……」
龍奈が落としたカードを拾う遊太。そのカードは、というと。
「何これ……『竜姫神サフィラ』?」
「あっ……それダメっ!」
龍奈は、そのカードを遊太から奪う。それを見た龍矢はというと。
「龍奈、そのカードまだ……」
「い、良いの! この話はおしまい!」
そう言って、龍奈はデュエルリングへと向かって行った。
「龍矢君、あれ……」
「遊太。俺は以前、龍奈はずっと宝玉獣って言っていたけど、一回だけ、違うデッキを使っていたことがあったんだ」
「えっ、それって……」
「けどね、そのデッキは……もう、使わないって龍奈が決めているんだ」
「なんで?」
「それはね……そのデッキを使って、友達だった子に嫌われちゃったんだ」
「えっ?」
「あの時、初めてあのデッキを使った時、友達だった子を一人無くしちゃった経験があるんだよ……」
「どうして? デュエルをしただけで、なんでそんなことになっちゃったの?」
「実は……あのデッキ、凄く回しやすくて使いやすくてさ……龍奈の奴、相手を一方的に蹂躙するだけの、その子にとって何も楽しくないデュエルを展開しちゃったんだ……」
「え……それ程、酷い物だったの?」
「ああ、そうだったらしい。俺、何度も慰めたんだけど、龍奈の奴、相当傷を負ったらしくてな……」
「そ、そうなんだ……」
一方、デュエルリングへとやって来た龍奈。その顔は、どこか悲哀に満ちている表情であった。
「あのカードは……あのデッキのキーカード……けど、私はあのデッキとカードを使いたくない……だって……」
「何を考えているのか知らねーがよ、考える暇があったら、俺に集中した方が良いんじゃねーか?」
「!」
龍奈は、目の前にいるアキラをもう一度確認する。それは、圧倒的強者の目だった。
「一体何を考えていたか知らないが、俺に目が向いてないならこのデュエル、さっさと終わらせてやるから」
「そ、そんなことないわ! あなたをどうやって倒してあげようか、考えていただけなんだから!」
「そう? なら良いがよ……」
そう言って、シャッフルを終える両者。ジャンケンをすると、龍奈が先攻、アキラが後攻となった。
そして、デュエルリングに上がる両者。
「それではこれより、準々決勝第4デュエル、榊原龍奈選手と八神アキラのデュエルを始めます!」
「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」