二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.203 )
日時: 2017/02/19 22:34
名前: ロード (ID: MMm5P7cR)

第三十四話「僕が憧れたHERO」


遂に、ベスト4までやって来た遊太達。それを、遠巻きから眺める人物がいた。

「とうとう……ベスト4まで来たのか、遊太君……そして、アキラ君……」

それは、ミナコ社が誇るカードデザイナー、ロベルト・フランシスであった。そして、隣にいたのは。

「やっぱり君の見込んだ通りだね、ロベルト。遊太君は、君が思った通りのデュエリストだったようだ」

隣にいたのは、遊太がよく行くゲームショップの店長、影沼和希であった。

「にしても、初心者だったはずの遊太君にあのカード群をを渡すとは、勇気があるね君も」

「……こんなことを言ったら、変に思うかもしれないけど、カードが教えてくれたんだよ」

「カードが? ……ああ、デュエリストによくある、直感って奴?」

「いや、そうじゃない。本当にカードが、『ロードナイト』に相応しいデュエリストを教えてくれたんだよ」

「……どういうことだい? 詳しく教えてくれないか?」

「……信じてはくれないだろうが、あのカードを作った時、声が聞こえたんだ。そして姿が見えた。それは、カードの『ロードナイト』達だった」

「ああ、つまりは……君は精霊の話を言っているのかい?」

「ああ、そういうことさ。ごくたまに、デュエリストはモンスターの姿を見ることができるという話を聞いたことがあるだろう? そういうことさ」

「信じられないことだけど……君はウソをつくような人間じゃない。今言ったことも、ひょっとしたら本当なのかもしれないね」

「ああ、僕も最初は目を疑ったけどね……噂程度のことが、まさか自分の目の前で起こるなんてね」

「それで、今その精霊は遊太君の手にあると」

「いや、私にはまだ精霊がいるんだ」

「何? それは本当かい?」

そう言って、懐からデッキを取り出すロベルト。そして、デッキの中から1枚カードを取り出す。

「これは……『アストログラフ・マジシャン』? 君の『魔術師オッドアイズ』では、かなりの重要カードだけど」

「ああ、全てはこの1枚から始まったんだ」

「何……?」

「この『アストログラフ・マジシャン』は、突然私の前に現れた。それを私は、カードとして世間に出した。だが、私のオリジナルは私に語りかけてくれている」

「そうなのか?」

「ああ。こうやって、今でもな……」

(ああ、『ロードナイト』達を導いたのは、私なのだからな)

「本当に、そうなのか……信じられないが、君が言うなら本当なのだろうな」

「それに……僕にはあのアキラ君からも精霊を感じる。いや、遊太君とアキラ君だけじゃない、遊太君の友達である菊姫ちゃん、真薄君、榊原兄妹から精霊を感じるんだよ……」

「なんだって? それは本当かい?」

「ああ、本当さ」

「それで、なんであの遊太君に『ロードナイト』を渡したのかい?」

「特別な理由さ。彼にしか出来ないことを、やってほしいからさ」

「遊太君にしか、出来ないこと?」

「それはおいおいわかるさ」


一方こちらは、遊太達いつもの七人組である。菊姫、真薄、龍矢龍奈、岩ノ井、鏡山の七人だ。

「いよいよ、この時が来ちまったなあ」

「うん。友達同士と戦うなんて、思ってもみなかったよ」

「一切手加減しませんからね、遊太君!」

「うん。こっちも手加減なんか一切しないからね!」

お互いに、手加減をしないことを誓いあう遊太と真薄。二人のその瞳には、どこか闘争心のようなものが滾っていた。

「僕とあなたは、お互いにデュエルを始めて、2週間の立場でしたよね」

「うん、そうだけど……」

「けどあなたは、もう一流のデュエリストと認められていますよね」

「そうと言われれば、そうなのかなあ」

「そんなデュエリスト相手にデュエルを挑むのは、凄く楽しくて、凄く嬉しいことだと思います!」

「そ、そうなんだ……けど、僕に言わせれば、君も一流のデュエリストである才羽さんや、あの石崎洋太を倒していたりもするし、それに、龍矢君だって倒してるし……もう初心者っていうものじゃないと思う。君も、立派なデュエリストだよ!」

そして、遊太の精霊達である『ロードナイト』が合いの手を入れる。

「そうだ。あの真薄という少年は、まさしくいっぱしのデュエリスト! 手加減をするのは、失礼というもの!」

「勝負は全力で戦ってこそ、意義があるもの! 手加減なんかするのは、相手に失礼だぜ!」

(うん、そうだよね……真薄君は、もう初心者なんかじゃないんだ。全力でやらなきゃ、きっとやられる……!)

「それに、僕は遊太君とデュエルできて、凄く嬉しいんです。なんて言ったって、遊太君は僕の……」

「僕の……何だって?」

「うーん……なんでもないですよ!」

盛り上がる一堂。それを、遠くから眺めていた奴がいた、それは。

「何してんだか……これから戦う相手だって言うのに、あんな風に和気藹々としていて良いのかね」

アキラであった。これからデュエルをすると言うのに、敵対しなければいけないのに、何故か和気藹々としている二人に、辟易しているようだった。

「まあいいや、どっちが勝っても、俺はぶっ潰すだけだからな。出来れば、あの遊太の方が良いけど……なんて言ったって、あのロベルトさんに認められたデュエリストだからな」

そう言って、七人の所から離れて行ったアキラ。

そして、アナウンスが鳴る。

「デュエルの準備が出来ました。準決勝第1デュエルを始めますので、六道遊太選手と広野真薄選手はデュエルリングに来てください」

「おっ、デュエルを始めるみたいだ! じゃあ真薄君、行こうか!」

「はい!」

そう言って、二人はデュエルリングへと向かう。

そして、デュエルリングについた二人は、お互いにデッキを交換し、シャッフルする。

「さっきも言いましたけど、デュエルは手加減無しですからね」

「もちろんさ」

そして、じゃんけんをした二人。そして、遊太が先攻を取り、真薄が後攻を取った。

「それでは両者、デュエルリングに上がってください!」

そして、デュエルリングに上がり、見つめる両者。

「それでは、デュエルを始めてください!」

「行きますよ! 遊太君!」

「もちろん! 真薄君!」


「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」

「「デュエル!」」