二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.230 )
- 日時: 2017/03/31 00:23
- 名前: ロード (ID: MMm5P7cR)
いろいろあって更新が遅れて申し訳ありませんでした。
第三十八話「精霊達の秘密」
関東予選を見事突破し、全国への切符を手にした、遊太と菊姫。
そして、ブロック終了のお知らせを、審判団がする。
「これにて、ミナコ社主催、ジュニアユース選手権関東予選Aブロックの全デュエルが終了しました! 優勝者は……残念ながら決勝戦の内容が引き分けに終わってしまったので、1位はいませんでしたが……このAブロックより全国出場者が3名出揃いましたので、紹介します」
「まずは、決勝戦に進出した、六道遊太選手。大会出場は今回が初めてながら、数々の強豪達を倒し、見事決勝戦まで進んだ天才デュエリストです」
これを聞いて、会場に集まっていたデュエリスト達はざわめく。
「選考会で、あのロベルトさんを倒した奴だからなー」
「間違いなく上位に行くとは思っていたけど、まさか決勝まで進むとはなー」
これを聞いて、遊太は少し頬を赤らめる。何にせよ、認められるのは嬉しい物だから。
そして、審判団は次の選手を紹介する。
「続きましては、出場記録のある大会では負けなし。そしてこの関東予選も圧倒的な実力で勝ち上がってきた、八神アキラ選手!」
そう言われ、更にざわつく会場の一堂。
しかし、遊太が見たアキラはというと、何というか遊太の目には凄く不機嫌そうに見えていた。
(……こんなにも賞賛されて、会場の皆をざわつかせるぐらいに活躍したって言うのに、あの引き分けだけであんなに不機嫌になるなんて……一体何が君をそうさせているんだい?)
遊太がそう思っている時、次の選手が紹介される。
「次は、3位決定戦を通過して見事3位となり、全国出場を決めた一条寺菊姫選手!」
フフン、と得意げに笑って見せる菊姫だったが、会場のデュエリストたちはというと。
「3位で通過かー」
「まあ、それくらいの奴ならその程度だろうなー」
と、言った具合であった。
「な、なんで……? なんでこうなの……?」
「アネゴ……大丈夫ッスよ」
「俺達がいるから」
「……」
「それでは、予選はこれにて終了です! 予選通過者は、AブロックとBブロック合わせて6名となっています。たった今述べた3名は、3日後東京アリーナで行われる本戦で1つでも上を目指し頑張ってください! では……これにて予選は終了です! 皆さん、お疲れ様でしたー!」
「「お疲れさまでしたー!」」
そう言われ、散り散りになっていくデュエリスト達。無論、遊太も菊姫達と一緒に東京ミナコワールドを後にしようとした。
その時であった。
「あっ、アレは……」
遊太が見かけたもの、それは、ミナコ社のカードデザイナーであり、『イクスロードナイト』達を遊太に渡したロベルト・フランシス。そして、いつもの店、ゲームショップ影沼の店長である影沼和希であった。
「ロベルトさあん!」
「何、ロベルトさん……? あっ、待ってよ遊太君!」
ロベルト見かけた遊太は、他のメンバーが帰って行くのにも関わらず、一目散にロベルトのところへと向かって行った。それを見た龍奈は、後から追って行こうとする。
「あ、おい龍奈! どこ行くんだよ〜!?」
「龍矢! 菊姫さん達に、私は後で帰るって伝えておいてちょうだい!」
「あっ、うん。わかった……」
何処へ行くのかと尋ねた龍矢に用事を伝えた後、龍奈も遊太の後を追って行った。
そして、ロベルトと影沼店長のところへと来た遊太。すかさず、遊太は質問をする。
「あ、あの……ロベルトさん、見ていたんですね。影沼店長も。あの、お二人は……どういった関係で?」
「僕らかい? いわば、旧友の関係だね。昔一緒にミナコ社で働いていた仲で、僕がゲームショップを一人で開けたのも、彼の助力があったからなんだ」
「そうだったんですか……で、どうでしたか? 僕のデュエル」
「一言で言えば……惜しかったとしか言えないね。あそこまでやって、後一歩の所で一発逆転されて……でも、総合的に見れば悪くなかったかな」
「じゃあ、あなたが僕に『ロードナイト』達を渡した理由を話してくれるんですか?」
「現状実力はあるけど、僕が求める良いデュエルにはまだ辿り着いていない。ということは、全国であのアキラ君ともう一度デュエルをしなければいけない」
「そ、そうですか……」
これを聞いて、影沼も口添えする。
「確かに、今の君は実力はある。でも、それだけだということだよ」
「はあ……」
「全国であのアキラ君と戦い、勝利すればきっと、理由がわかるはずさ」
「そんなもんですかねえ」
どこか認められていないような感覚を感じた遊太。そして、ロベルトは続ける。
「で、遊太君……僕から『イクスロードナイト』を貰ってから、何か変わったことがないかな?」
「変わったこと……」
「ソリッドビジョンでもないのに、『イクスロードナイト』達が見えたり、どこからともなく声が聞こえたりしなかったかい?」
「それって……精霊達のことですか?」
「あ、その反応から察するに、もう彼らと話をしちゃったのかな? なら話が早い。以前、彼らが闇と戦った話を聞いたことがないかい?」
「はい、聞いたことありますけど……」
「なるほど、もうそこまで聞いているのか……じゃあ、『イクスロードナイト』以外に、精霊が見えたことがあるかな?」
「はい、アキラ君とデュエルしていた時、アキラ君の『真紅眼の黒竜』のビジョンが……」
「……よし。やっぱりもう1度アキラ君とデュエルして、良いデュエルを僕に見せてくれた時、何故君に『ロードナイト』を渡したのか教えてあげよう。じゃあ、行こうか和希」
「あ、ああ……」
(今の僕には、ロベルトが何を言っているのか分からなかったけど……まあ、精霊の話は聞いたことあるし……まあいいか)
そう言って、ロベルトと和希は一緒に帰って行った。すると、和希は遊太に向かって言う。
「あっ、そうだ! 遊太君、真薄君に伝えておいてくれ! 今日の大会で使えなくなったカードを、サービスであげるってね! それじゃあ!」
そう言い残した後、ロベルトと影沼店長は帰って行った。すると。
「あれ……?」
ロベルトの後ろに、デュエルモンスターのビジョンが見えた。そのモンスターが身に纏っている、まるで星空のように光るそのマント。
そのモンスターは、ロベルトの所から遊太のことをじっと見ているかと思ったら、ロベルトから離れて、遊太の所に来た。
「な、何……?」
自分の2倍はありそうなその身長で見下ろされると、どことなく威圧感を感じる遊太。そして、遊太に言う。
「君は精霊を見る事ができ、そしてまだ使えていないが精霊の力を操ることができる」
「……?」
「そして流れ着いた『イクスロードナイト』達も、お前にすっかり懐いている」
「懐いて……?」
「一つ良いことを教えてあげよう。先程の決勝で、君のエクストラデッキの『イクスロードナイト』が書き換わったのは、お前が勝ちたいという思いと、『イクスロードナイト』達の、お前になら力を託しても良いという思いからそうなったのだ」
「……えっ?」
「だからこそ、『イクスロードナイト』達は力を貸した。力はお前のものとなり、カードは本物へと書き換わった」
「何が言いたいの?」
「つまりは、これから戦うお前の敵と戦う実力が、整ったというわけだよ。けれど……あと一つが足りない。それを満たすには、あのアキラを倒すしかない。頑張れよ……」
そう言って、モンスターは消えた。
一人残された遊太の所に、デッキの中の『イクスロードナイト』達のビジョンが見えてきた。
「相変わらずだな、奴は」
「本当にな、アルファ」
「何……? 皆はあのモンスターについて知っているの?」
「今は教えられないが、私達は奴によって導かれたとだけ言っておこう」
そう言って、ビジョンは消えてしまった。こうなってしまっては、何も聞けないので、仕方なくデュエルスペースを後にしようとした。
が。
「遊太君っ」
「あ、龍奈ちゃん。まだ帰ってなかったんだ」
「あの……さっき……」
「あっ……」
ひょっとしたら、あの精霊との会話を見られてしまったのではないのかと考える遊太。しかし、龍奈はというと。
「ねえ、さっき遊太君が話していたモンスター……」
「えっ……龍奈ちゃん、精霊が見えるの!?」
あまりのことに驚く遊太。それを聞いて、龍奈は続ける。
「精霊……? アレ、精霊っていうの……? まあいいや。あなたも、ああいうのが見えるのね?」
「うん……龍奈ちゃんの所にも、精霊が?」
「これなんだけど……」
龍奈は懐から、1枚のカードを取り出す。それはモンスターカードで、青い枠のモンスターであった。
「『竜姫神サフィラ』……? これが、龍奈ちゃんの精霊?」
「ええ……なんかこの大会中、目を覚ましたみたいなの。それに、レインボー・ドラゴンも……でも、このカードは……」
「ああ、予想がつくよ。以前、それを使ったデュエルで友達を泣かしちゃったんだっけ?」
「うん……けれど、サフィラはそんなことない。あなたは決して悪くないって言われた……」
「あ、そう……」
「そうなの。私……以前から遊太君には、ちょっと不思議な所があるって思ってたけど……今日、お陰で確信に変わったわ」
「あ、そう……で、僕はこれから、全国大会でアキラ君と戦わなきゃいけないということがわかったよ」
「そうすれば、ロベルトさんが遊太君に言いたいことを言ってくれるのね……」
「うん……そこまで言うんならきっと、よっぽど重要なことなんだと、僕は思うよ。だから、僕は絶対にロベルトさんの言う、『良いデュエル』を成し遂げてみせようと思う」
「それじゃあ、帰ってデッキの調整するから。それじゃあねー!」
そう言って、遊太も帰って行った。龍奈は、一人『竜姫神サフィラ』のカードを胸に抱きかかえる。
「遊太君、あんな未知の生物相手に、平然と話とかができている……ひょっとしたら、私もいずれ、ああいう風になるのかも……」
そう思いながら、龍奈も帰って行った。
第三十八話。終わり。