二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.235 )
- 日時: 2017/04/07 12:42
- 名前: ロード (ID: rHtcSzQu)
これを見て、観客席の真薄達はというと、ポップコーンやパンをむしゃむしゃ食べながら観戦にふけっていた。
「大丈夫ですかね……遊太君」
「まあ、これくらいの逆境、いつもの遊太なら跳ね除けられると思うぜ。俺はそう思う」
「龍矢の言っていることは、大体は当てにならないけど……こういう時言うことは大体当てになるのよねえ」
「アネゴと同じくらいには当てになりそうッスねえ」
「まあ、成り行きを見届けようぜ」
8・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札1→2)
「このスタンバイフェイズ、オラは永続罠『リビングデッドの呼び声』を発動! オラは墓地より、攻撃力2800の『コアラッコアラ』を攻撃表示で特殊召喚するだ! 同時に『クローザー・フォレスト』の効果で、攻撃力400アップ!」(熊五郎墓地18→17)
「それ程問題じゃないね! むしろ良い傾向、僕は手札から、魔法カード『逆境の宝札』を発動! 相手フィールドに特殊召喚されたモンスターがいて、自分フィールドにモンスターがいない時、デッキから2枚ドローする!」(遊太手札1→3)(遊太墓地15→16)
「そしてフィールドから、魔法カード『再融合』を発動! 800ポイントライフを支払うことで、墓地から融合モンスター1体を、特殊召喚する! 僕が墓地から特殊召喚するのは、『イクスロードナイト・デュナス』!」(遊太ライフ1800→1000)(遊太墓地16→15)
「更に、僕は手札から、速攻魔法『英雄騎士交代』を発動! 自分フィールドの『イクスロードナイト』モンスター1体をエクストラデッキに戻し、戻した『イクスロードナイト』モンスターと違う属性を持つ『イクスロードナイト』を『英雄騎士への覚醒』の効果による特殊召喚扱いとして、特殊召喚する! 僕は、炎属性のデュナスをエクストラデッキに戻して、地属性の『イクスロードナイト・アポロ』を攻撃表示で特殊召喚!」(遊太手札3→2)(遊太墓地15→17)
紅きドラゴンの鎧騎士が、奥より現れた黄金の獅子騎士とハイタッチをすると、アポロが戦線に現れた。攻撃力は2500と、レベル8にしてはやや貧弱だが……?
「そして僕は、手札から『ロードナイト・グランド』を攻撃表示で召喚! グランドは召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから『ロードナイト』1体を墓地へ送れる! 僕は、デッキから『ロードナイト・ダーク』を墓地へ送る」(遊太手札2→1)(遊太墓地17→18)
岩の鎧騎士が、地面を思いっきりぶん殴ると、鎧騎士がその穴に飲み込まれていった。
「そして僕は、アポロで『コアラッコアラ』を攻撃! 同時に、アポロのモンスター効果発動! アポロは相手モンスターと戦闘を行う時、自分フィールドの『ロードナイト』を1体選択し、そのモンスターの攻撃力を加えることができる! グランドの攻撃力は1800、攻撃力は1800アップの4300にアップだ!」
「……だけど、今のオラのライフならそう簡単には……」
「アポロで『コアラッコアラ』を攻撃! ブレイジング・ナックル!」
アポロの熱量を纏った鉄拳が、『コアラッコアラ』に直撃する! 大ダメージというべきダメージが、熊五郎に加わる。
「うううっ!」(熊五郎ライフ5000→3500)(熊五郎墓地17→19)
「そして僕は、グランドでダイレクトアタック! グランド・ソード!」
「うわあああっ! だけど……オラは罠カード『融合準備』を発動! デッキから、融合モンスターに書かれた融合素材を1体、デッキから手札に加えるだ。オラはデッキから、『デス・カンガルー』を手札に加えるだ! そして、墓地より『融合』を1枚手札に加えるだ」(熊五郎ライフ3500→1700)(熊五郎手札0→2)
「……僕はカードを1枚伏せて、ターンエンドだよ」(遊太手札1→0)
遊太
ライフポイント1000
手札枚数0枚
モンスター2体『イクスロードナイト・アポロ』(攻撃表示) 『ロードナイト・グランド』(攻撃表示)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数17枚
除外されているカード1枚
遊太のこの活躍を見て、龍矢達は客席から盛り立てる。
「やったぜ! やっぱり遊太はこうでなきゃな!」
「流石です!」
「やっぱりデュエリストとしての遊太君は、そう簡単にはやられないですよ!」
その声が聞こえているのか、遊太は後ろを向いてガッツポーズをする。
それを見て、熊五郎はどこか寂し気な表情を浮かべる。
(やっぱり遊太君には、近くで応援してくれる友達がいるんだなあ……羨ましいだよ。北からはるばる来たは良いけど、こんなんじゃあ、テレビで見てる皆も、きっと……)
心のなかでそう思う熊五郎。すると、声が聞こえてきた。
「頑張れー! 熊五郎ー!」
「もっと腹から力を出すだー!」
それは、熊五郎が大好きな、村の皆の声だった。しかし、それを聞いても熊五郎は。
(ふっ……寂しさの余り幻聴が聞こえちまったか……)
と意に介していなかった。しかし、その声はというと……。
「おい、何回言わせるだ熊五郎! こっち向くだ!」
「何しているだー!? オラ達の声が聞こえてねえだかー!?」
怒鳴るようにそう言われた熊五郎は、思わず声のする方向を向いてしまう。すると、声のした方向には……。
「え、ええ!? み、皆……なんでここにいるだか〜!?」
なんと、観客席には熊五郎の友達が、勢ぞろいしていたのだ。それはもう、熊五郎の後ろに10人くらいは駆けつけていた。
これには、遊太も驚くしかなかった。
「え、ええ〜!? 来てないって言ってたのに、なんで来ているんだよ〜!?」
「お、オラもわかんねえだよ……み、皆なんでここに来ているのか……」
「オラ達、熊五郎をびっくりさせようと思ってわざわざ内緒にしてただよ〜!」
「テレビで見るだけなんて、やっぱり嫌だったからな。折角ハレの舞台にオラたちの熊五郎が出るだから、やっぱり生で見たいと思っただからな〜!」
「けど大丈夫だか? 負けてるじゃねえだか! しかも、モンスターもいねえじゃねえだか!」
「大丈夫だ! オラ、負げねっす!」
「その意気だよ熊五郎!」
「頑張ってー! 熊五郎くーん!」
女の子の声が聞こえた。それは、熊五郎の大好きな女の子、花子の声であった。
「は、花ちゃん……」
これには思わず、遊太も感慨深い物を感じる。思わず龍矢達も、何かかにか感じる。
(やっぱり……デュエルというのは心と心が繋がるもんだなあ……凄いよなあ……そのせいで、熊五郎君勢いづいちゃったよ)
実際、不利だというのに熊五郎の顔は凛々しいものであった。
「オラ……やっぱり勝ちたい。皆と一緒に、勝利を分かち合いたい!」
9・熊五郎のターン
「行くだよ……オラのターン、ドロー!」(熊五郎手札2→3)
ドローしたカードを見る熊五郎。そのカードはというと。
「こ、このカードは!」
ドローしたカードは、魔法カード『エアーズロック・サンライズ』。そのカードは……。
(このカードは、この全国大会へ行く3日前、花ちゃんがオラにくれたカード……)
(けど、そのカードをもらう時、オラは全国へ行く自信が無くて……辞退しようかって、つい思っちまっていただ……そんな時……)
思い出す熊五郎。あの時自分は、全国へ行く自信が無かったため、辞退したいと思っていた。でも、皆の期待は大きくて、やめたいとは言えなかった。
どうしていいかわからなくなってしまった時、いつの間にか自分は山の公園で一人黄昏ていた。その時であった。
大好きな花ちゃんが、自分に渡したい物があると言ってこのカードを渡したのだ。そして、こう言った。
「頑張ってね、皆……熊五郎のこと信じてるから。全国大会、絶対に見逃さないから!」
そう言って、花ちゃんは帰ってしまった。好きな子に言われたとはいえ、緊張は晴れる物ではなかった。
その時であった。熊五郎の目には、花ちゃんに渡された『エアーズロック・サンライズ』のような太陽が見えた。
それは、カードのように朝日ではなく夕日であったが、熊五郎にはその夕日が、まるで燃え上がる朝日に見えた。
自分は理解した。花ちゃんがこのカードを渡したのは、皆が自分のことを期待しているだけじゃなくて、信じているからこそ、このカードを渡したんだと感じた。
だから、自分も皆に胸を張れるようなデュエルを、したいと思った!
「……行くだよ、遊太君!」
「う、うん!」
「魔法カード『エアーズロック・サンライズ』を発動!」(熊五郎手札3→2)
熊五郎の場に、あのエアーズロックから昇る朝日が現れた。その朝日に、どこか気圧される遊太。
「このカードの効果により、オラは墓地から獣族モンスター1体を特殊召喚するだ! 『ビッグ・コアラ』を攻撃表示で召喚!」
朝日によって、目覚める『ビッグ・コアラ』。そして、『ビッグ・コアラ』が目覚めたことで、墓地の獣達も目覚め始める。
「更に、この効果で蘇生した後、自分の墓地の獣族・植物族・鳥獣族モンスター1体につき、200ポイント相手モンスター全ての攻撃力を下げるだ! オラの墓地には獣族が5体。よって1000ポイントダウンするだ!」
目覚めた獣達によって、弱体化してしまう遊太のモンスター達。大幅な攻撃力ダウンで戦力がダウンする。
「こ、これって……」
「オラはこのターンで決着をつけるだ! 魔法カード『融合』を発動! フィールドの『ビッグ・コアラ』と、手札の『デス・カンガルー』を融合! レベル9『マスター・オブ・OZ』を、攻撃表示で融合召喚!」
デカいコアラと、グローブをつけたカンガルーが融合すると、融合素材となったデカいコアラより更にデカい、ボクシンググローブを両手に着けたコアラが現れる! 攻撃力は4200と、物凄い攻撃力である。
これに、熊五郎の友達は沸き立つ。
「出たーっ! 熊五郎の最強モンスター!」
「アレが出た熊五郎なら、そうそう負けはしねえだ!」
盛り上がる熊五郎の友達。それを見て、思わず遊太は感慨深く感じる。
「凄いよ……なんか熊五郎の後ろに、後光が差して見えるよ……」
(君と皆の絆は、これ程までにも固いんだね……だからこそ、期待に答えたくて……このモンスターを……)
「オラはさらに……伏せカードオープン! 魔法カード『一騎加勢』を発動! これで、オラのOZの攻撃力は5700にアップするだよ!」
「……来る!」
「行くだよ! オラは『マスター・オブ・OZ』で遊太君、君の『ロードナイト・グランド』を攻撃! エアーズ・ロッキー!」
『マスター・オブ・OZ』の重い一撃が、グランドに襲い掛かろうとする!
(確かに、熊五郎君の思いは大きいのかもしれない。けれど、僕だって勝たなきゃいけない理由があるんだ!)
「僕は、墓地の『ロードナイト・ダーク』のモンスター効果発動! 墓地にこのモンスターが存在し、自分のモンスターが戦闘を行う攻撃宣言時に発動が可能! 墓地からこのカードを除外することで、自分の『ロードナイト』モンスター1体の攻撃力は、戦闘を行うモンスター攻撃力の半分アップする! 『マスター・オブ・OZ』の攻撃力は4200。よって800だったグランドの攻撃力は2900にアップする!」
「それでも、OZには届かないだよ!」
「僕はそれにチェーンして、罠カード発動! 『聖なる鎧 −ミラーメール−』を発動! 僕のモンスターが攻撃対象に選択された時、攻撃対象となった僕のモンスターは攻撃宣言した相手モンスターの攻撃力と同じになる!」
「なっ……ということは、ミラーメールの効果が発動された後、チェーンされて発動されたダークの効果によって、グランドの攻撃力は……」
「そう、攻撃力は5700となった後、ダークの効果を受けて2100アップする!」
「ああっ!」
OZの重い一撃を、ミラーメールで跳ね返したグランドは、ダークの力を受けてOZを切り裂いた! コンバットトリックで、熊五郎のライフは0となってしまった。
「……うううっ……」(熊五郎ライフ1700→0)
そして、デュエルに熱中しすぎて聞こえなくなっていた実況が、遊太の耳に再び聞こえてきた。
「遂に決着! 1回戦最終試合は、六道遊太選手の勝利だ!」
その後、大歓声が遊太の耳をつんざく。全国で勝つというのは、こういうことなのかと、心で理解した。
熊五郎の方を見ると、熊五郎は泣いていた。皆の期待に答えられなかったから、かもしれない。
それでも、熊五郎の友達はというと。
「頑張ったな〜! 熊五郎〜!」
「よくやったぞ、熊五郎!」
「オラたちの、希望の星だな!」
それを聞いて、熊五郎も皆に言う。
「あ、ああ……ありがとうな、皆……応援してくれて……」
「熊五郎君……」
熊五郎を見た遊太は、その後観客席に目をやる。そこには、真薄や龍矢といった、友達がそこにいた。