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Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.62 )
日時: 2016/05/08 14:31
名前: ロード (ID: 0llm6aBT)

第十一話「頑張れ、岩ノ井!勇気の究極恐獣」


ミナコ社が主催する、デュエルモンスターズのジュニアユース大会への出場を決めた六道遊太達。

彼らは、レベルの高いバトルアリーナで修行を積み重ね、着実に実力をつけていた。

遊太は全戦全勝を重ね、菊姫は元から高いタクティクスを更に高めた。

初心者であった筈の真薄は、高いレベルに揉まれて二週間に始めたばかりの初心者とは思えない程の腕前に成長していた。

龍矢は自分の戦法をほぼ崩していないながらも勝ちを重ねており、妹の龍奈は宝玉獣の性質を理解した戦術で頑張っている。鏡山もコンボ性の高い戦術で勝ちを重ねていた。

全員実力を高めていたものの、一人調子の上がらない人物がいた。それは…。

「行け!『古代の機械巨人』!アルティメット・パウンド!」

「うわああ!」

「行くぞ、『機甲忍者 ブレード・ハート』!2回攻撃!」

「ぐはああ!」

「行っけー!『暗黒恐獣』!攻撃!」

「罠カード発動!『聖なるバリア −ミラーフォース−』!これで相手の攻撃表示モンスターを全て破壊!」

「ぐひゃあああ!」


-------------------
『聖なるバリア −ミラーフォース−』
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。
-------------------



そして、大会まで後二日となったある日。菊姫が岩ノ井をゲームショップ影沼に呼び寄せていた。

「アネゴ、話って何ッスか?」

「ああ岩ノ井、お前も大会に出場するんだろ?それについて話があるんだ」

「だから、何ッスか?」

「ああ」



「岩ノ井、お前は大会への出場を諦めろ!」



「ええっ!?何でッスかアネゴ!?」

「理由はこれだ、鏡山!」

「はい、アネゴ」

鏡山が懐からノートブックを取り出す。そのノートには、ここ12日間遊太達がデュエルした戦績が載っていた。


六道遊太 40戦38勝

一条寺菊姫 40戦32勝

鏡山大地 40戦28勝

広野真薄 40戦19勝

榊原龍矢 40戦23勝

榊原龍奈 40戦24勝

岩ノ井翔太 40戦10勝


「こ、これは…!」

「見ろ岩ノ井、お前の戦績はこの間まで初心者だった真薄にすら勝ち星の数で負けてるんだぞ!これはどういうことか…わかるよな?」

「え、えっと…勝率2.5割ってやっぱり駄目ッスかねえ?」

「ダメに決まってるだろ!真薄ですら5割近い勝ち星上げてんのに、真薄よりもデュエル経験が長いお前が勝率が下って…恥ずかしくないのか!?」

「は、はひぃ〜アネゴ…」

「よって、勝率が一番下のお前は大会への出場を止めてもらう」

「そんな!俺だってアネゴと一緒に…」

「駄目だ、お前は出場を止めてもらう、お前の実力を見る限り、出場しても恥かくだけだから諦めろ」

「そ、そんなぁ〜…」

余りにも唐突な宣言に、岩ノ井はその場にへたり込む。ショックが非常に大きかったようだ。

そのまま涙を流しながら落ち込む岩ノ井。

「あ、そうだ」

そのままへたり込んだ岩ノ井に、菊姫が言葉を付け加える。

「お前がアタシにデュエルで勝ったら、出場しても良い」

「ええっ、マジッスか!?アネゴとデュエルして勝てば良いんッスか!?」

「どうだ、デュエルの大会に出場するんだから、依存はないだろ?」

「で、でも…」

「それじゃ、明日このゲームショップ影沼で答えを聞くぜ」

そう言って菊姫と鏡山はゲームショップ影沼を去る。

「どうしよう…俺じゃあ…」

一方、外に出た菊姫と鏡山はというと。

「アネゴ…あれで良いんですか?岩ノ井の奴結構追い詰められていますよ…大丈夫なんですか?」

「いや、あれで良い」

「どうして?」

「今のままじゃ、さっき言ってた通り岩ノ井は大敗しちまうだろう…だったら、いっそのこと追い詰めてアイツの反応を見てみる」

「そう…なんですか?」

「勝負するんだったら、アイツにもデュエリストのプライドがある、しないんだったら、アイツはそれまでってことだ」

「アネゴ…」

そう言って二人は去って行った。

一方、岩ノ井はゲームショップでまだ落ち込んでいた。

「どうしよう…俺じゃあアネゴに勝てないッスよ…」

その一部始終をずっと見ていた影沼店長は、岩ノ井にこう言う。

「あのさあ…デュエルも何もしないんなら、帰ってくれるかな?」

「ああ、そうするッス…」

そう言って岩ノ井はさっさと帰って行った。その後姿は落ち込みに溢れていた。

それを見て、影沼店長はとある事を思いつく。

「あちゃー…これは相当、深いものだね…さあて、彼に連絡でもしてくるか」


ゲームショップ影沼を出た岩ノ井は、フラフラと歩いていた。

「俺じゃあ、勝てる訳無いッスよ…アネゴの実力は今じゃ相当な物になってるッスよ、俺が勝てる…訳無いッスよ」

「ん?岩ノ井君!どうしたの、こんな所で?」

「あ、遊太…それに、真薄も!」

フラフラと歩いていた岩ノ井は、遊太と真薄に会った。

「今日は確か、デュエルは休みだったよね?岩ノ井君も休んでいるの?」

「にしても…どうやら気分が優れないみたいですね?」

「あ、ああ…実は…」

岩ノ井は菊姫に言われた事を懇切丁寧に遊太と真薄に説明する。

「ええっ!?岩ノ井君、菊姫に出場停止命令を出されたの!?」

「はい…でも、デュエルで勝てば出場停止を取りやめてくれるって言ってたッス…」

「だったら、デュエルすれば良いんじゃないですか?」

「とんでもないッスよ!アネゴは元から強いし…この大会に出場する為に更に腕を磨いていたッスよ!?今の俺じゃあ…勝てないッスよ…」

そう言う岩ノ井に、遊太は苦言を呈する。

「…戦ってみなきゃ、わかんないよ」

「え?」

「僕だって、最初菊姫とデュエルした時は、始めたばかりの僕が勝てる訳無いって思ってた、けど…やってみたら勝てたの、見てたでしょ?」

「………」

「だからさ、やってみなよ!諦めるなら、やってから諦めなよ」

「ゆ、遊太…」

「僕からも、やってみる前に諦めるのは駄目だと思います」

「ま、真薄まで…!」

「だからさ、ゲームショップ影沼で一緒に特訓しよ?今からでも遅くはない筈さ!」

「ゆ、遊太ぁぁぁぁ…!ありがとう、ありがとうッス〜!」

「僕も、何とか手伝ってみます!」

遊太と真薄に連れられ、ゲームショップ影沼に戻る岩ノ井。

岩ノ井達が戻ると、影沼店長がレジにいなかった。

「あれ?店長何処に行ったんだろ?」

「おーい!店長ー!何処ッスかー!?」

遊太達が帰ってきた事に、店の奥で焦る影沼店長。

「や、ヤバい…今Dの衣装に着替えていた所なのに…髪まで解いたって言うのに帰ってくるなんて…」

影沼店長は急いで衣装を脱ぐいで綺麗にたたむと、いつもの店長としての服に着替える。

そして、急いで遊太達の所に来る影沼であった。

「やあゴメン!ちょっと電話があったんだ!」

「あれ…影沼店長、なんでいっつも縛ってる髪の毛解いてるの…?」

「え…あっ!」

影沼店長は、Dになる時専用の衣装に着替えて、いつも縛っている黒髪を解く。

しかし、遊太達が戻って来てしまった為、Dの姿を見られるを訳にいかなかった。

皆が奥に来てしまったらマズイ為、髪の毛を戻す暇も無く、遊太達の前に戻って来てしまったのであった。

「何って…イメージチェンジだよ!たまにはこういう事しないと、店長として駄目だからね〜」

「…そうなんだ」

なんとか誤魔化すことに成功した影沼であったが、遊太達の目は疑いの目であった。

それを見て店長は、話題を変える。

「それでさ、遊太君に真薄君、今日は何の用だい?さっき出て行った岩ノ井君も連れて…」

「うん、今日は岩ノ井君のデュエルを鍛えてあげようと思って!」

「…なら、この俺が一肌脱いであげようかな?」

「え、影沼店長そんなにデュエルに自信あるんですか!?」

物凄く驚いた様子を見せる遊太。その驚きっぷりを見て、真薄の方が余計に驚く。

「な、なんで遊太君がそんなに驚いてるんですか?」

「い、いやあ…店長は確かにゲームが得意だけど、デュエルがそんなに出来るとは思ってなかった…」

「心外だなあ、俺はデュエルにちょっとばかり自信があってだね、結構上手いんだよ」

「そうだったんだ…」

「じゃ、じゃあ!影沼店長、お願いします!」

「おう!任せとけ!」

こうして、影沼店長にデュエルの特訓をしてもらうことになった岩ノ井。

しかし、岩ノ井は影沼店長の恐ろしさを知ることになる…。