二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.68 )
日時: 2016/05/16 11:00
名前: ロード (ID: rHtcSzQu)

8・菊姫のターン

(あの状況で『究極恐獣』で攻撃出来るとはな…普通だったら、手札が無いのと伏せカードも無いのが怖くて自爆特攻出来るもんじゃあない)

(けど、岩ノ井はあそこで勇気を持って攻撃してきた…その勇気、褒めてやるぜ!)

「アタシのターン」

外野の遊太達は戦々恐々とする。何故なら。

「ここでモンスターを引かれたら…岩ノ井君の負けですよね、店長」

「上級モンスターでも同じ、岩ノ井君が自分で貼った『死皇帝の陵墓』は相手にも影響がある、菊姫はリリース無しで上級モンスターを召喚出来る…ライフなら4000もあるしね」

「岩ノ井さん…なんとか耐え凌いでください!」

「ドロー!…チッ!」(菊姫手札0→1)

ドローしたカードを見て舌打ちする菊姫。

「カードを一枚伏せてターンエンド」(菊姫手札1→0)

これを見て、遊太達はほっとする。

「なんとか耐え凌ぎましたね!」

「ああ、だが岩ノ井君も…次にモンスターを展開出来なければお終いだ…」

「ここ一番の引きが…勝負を左右しますね!」


菊姫

ライフポイント4000
手札枚数0枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数12枚
除外されているカード枚


9・岩ノ井のターン

(ここで、良いモンスターを引ければ…あるいは…ここでなんとか蘇生出来るカードを引ければ!)

「俺のターン…ドロー!」(岩ノ井手札0→1)

岩ノ井が引いたカードを見てみると、それは…!

「こ、これは…!アネゴ、今このカードを使うッス!」

「ん?」

「魔法カード『死者蘇生』を発動!自分、もしくは相手の墓地のモンスターを1体、特殊召喚出来るッス!」(岩ノ井手札1→0)


-------------------
『死者蘇生』
通常魔法(制限カード)
(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
-------------------


「ここでそのカードを引くのかよ…!やるな、岩ノ井…!」

「俺は…自分の墓地の『究極恐獣』を攻撃表示で特殊召喚するッス!そして攻撃!アブソリュート・バイト!」

攻撃力3000の直接攻撃が、菊姫を襲う!その攻撃は、まさにパワフルな恐竜の如し!

「く…」(菊姫ライフ4000→1000)

「アネゴ…これが俺の成長の証ッス!ターンエンドッス!」


岩ノ井

ライフポイント700
手札枚数0枚
モンスター1体『究極恐獣』(攻撃表示)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード1枚『死皇帝の陵墓』(フィールド魔法)
墓地の枚数11枚
除外されているカード0枚


この状況を作り出した岩ノ井に、遊太達は嬉しそうな声を上げる。

「よし!これで菊姫も『死皇帝の陵墓』の効果を使えなくなりましたね店長!良いぞ、岩ノ井!」

「次のドローフェイズでモンスターを引けなければ殆ど負けが決まる…」

「次の菊姫のドローに全てが掛かっていますね!岩ノ井さんも、凄く頑張ってますよ!」

これを見て、審判をしている鏡山も驚く。

「岩ノ井がここまでアネゴを追い詰めるなんて…よっぽど腕を上げたんだな、岩ノ井…かなりやるようになったな…!」

そして、デュエルが始まってから殆ど喋っていない龍矢と龍奈も。

「凄いぜ岩ノ井の奴!あそこまで菊姫を追い詰めるなんてよ!」

「夕べ、何かあったのかしら…」


10・菊姫のターン

「アタシのターン、ドロー!」(菊姫手札0→1)

ドローしたカードを見て、菊姫はニヤッとする。

「岩ノ井、ここまでよくアタシを追い詰めた、ああ見えてお前も色々頑張っていたんだな…」

「だがここまでだ、この勝負、アタシの勝ちだ!」

「ええっ!?」

「お前と同じカードを引いちまったからな…手札より『死者蘇生』を発動!アタシの墓地から『古代の機械巨竜』を攻撃表示で特殊召喚する!」

機械巨竜がまた召喚される、しかし、互いに攻撃力は3000。

「アネゴ、『究極恐獣』と攻撃力が同じ『古代の機械巨竜』じゃ、相打ちになるだけじゃあないッスか…」

「だーかーら!早とちりは困るって言ってるだろ!伏せカードオープン!『リミッター解除』!フィールドの機械族モンスターの攻撃力を全て2倍にする!」(菊姫墓地12→13)

「ま、まさかそんなカードを伏せていたなんて!」

機械巨竜はリミッターが解除され、暴走する。暴走した機械巨竜は攻撃力が2倍に跳ね上がる!(古代の機械巨竜攻撃力3000→6000)

「あ、ああ…!」 

「『古代の機械巨竜』で、『究極恐獣』を攻撃!ギガント・パウンド!」

暴走する『古代の機械巨竜』の体当たりが『究極恐獣』を直撃する!

「ぐあああ!」(岩ノ井ライフ700→0)

「…アタシの勝ちだな」


岩ノ井は菊姫を後一歩の所まで追い詰めたものの、寸での差で負けてしまった。

「あ、アネゴ…俺の…負けッス…」

負けを認め、項垂れている岩ノ井に、菊姫は腕組みをして見ているだけである。

それを、遊太達は黙って見ているだけである。

そして、菊姫がやっと口を開く。

「お前、どこであの戦術覚えた?」

「え…?」

「だから、何処であの戦術覚えたのかって聞いてる」

岩ノ井はここで自分が考えた…とは言えず、正直に答える。

「じ、実は…真薄君や遊太君、店長に特訓してもらって出来たコンボッス…」

「あ、そう?そうなのかい」

「で、でも…俺の負けッス…大会への出場は…駄目ッスよね…」

「…昨日までのお前だったらな」

「え?」

予想外の返答に、素っ頓狂な声を上げる岩ノ井。

「昨日までだったら、お前はアタシにそのまんま出場停止を言い渡してたかもしれねえ、けどさ、お前遊太の受け売りな筈なのに、自然にコンボ出来てたよな?」

「ほえ?」

「友人の力があったとはいえ、お前は紙束だったあのデッキをあそこまで強化した」

「更には、猪突猛進な攻撃だったとはいえ、コンボを絡めたデュエルをした」

「その戦術やデッキから、お前の熱意が大分伝わって来た、絶対にアタシに認めさせたいって思っていた…」

「あ、アネゴ…」

「それらが含んだデュエルから、お前は大会に出ても問題無いって、アタシは判断した」

「て、てことは!?」

「ああ、出場停止命令は取り下げだ」

「ほ、ホントッスか!?」

「ああ、ホントだ」

「や、やったッスー!」

思いっきり喜びをぶちまける岩ノ井。自分が尊敬する相手から認めてもらえたということから、相当嬉しさがにじみ出ているのだろう。

これには思わず遊太達も顔が綻ぶ。

「じゃあ、お前達、頑張ろうな!明日の大会!」

「おーっ!」

岩ノ井が出場停止命令を解除され、岩ノ井も共に出場出来るようになったことを喜ぶメンバー達。

「じゃあ、今日は解散、各自明日の大会に向けて、しっかりデッキ調整しておくこったな!」

「うんっ!」

菊姫の号令によって遊太達は一斉に自宅に帰って行く。

そして、遊太は家に変える途中に思う。

「皆も、岩ノ井も成長している…僕だって、皆と一緒に成長してきた、だから、僕も大会で…優勝を目指す!」

遊太は決意を新たにして、家に帰って行った。

第十一話。終わり。