二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.69 )
日時: 2016/05/16 18:32
名前: ロード (ID: 0llm6aBT)

第十二話「大会前夜」


岩ノ井が出場停止命令を菊姫によって解除され、気兼ねなく大会に出場することが出来るようになった遊太達。

この2習慣の間特訓してきた遊太達は、以前よりもかなり実力が上がっており、大会への出場準備は万全であった。

そして、大会が明日に迫った夜。彼らは何をしているかというと……。



まず、岩ノ井はというと。

自分の部屋でひたすらデッキいじりをしており、大会に向けて少しでもデッキが良くなるように調整していた。

「アネゴに認められたのは良いッスけど…正直言ってまだまだッス!だから…ちょっとでも多く勝てるようにデッキを練り直してみるッス」

「アネゴについている身として、せめてベスト8には入ってみせるッス!」

「ウオー!やるッスよー!」

といった具合に闘志を滾らせていた。



鏡山はというと。

机でカードを広げて、デッキを組み直していた。

「今回の大会、出場するデュエリストを選考するだけあって、今まで以上の激選が予想される…」

「だからこそ、こうやってあらゆる状況に対応出来る罠や魔法を入れる事で、どんな状況にも耐えられるようになるはず…」

「…あの岩ノ井がアネゴ相手にあそこまでやったんだ、俺もやらなきゃ男がすたる!」

「よし!」

岩ノ井と同じように決意を固めていた。



菊姫はというと。

ベッドに横になりつつ考え事をしていた。

「まさか岩ノ井があそこまでやるようになっていたとはな、正直驚いた」

「いや、岩ノ井だけじゃねえか、鏡山も、真薄も、榊原兄妹も…」

「特に、遊太の伸びっぷりは異常だ、まるでアニメの主人公みたいな凄腕っぷり、恐ろしいな…」

「…つくづく凄い奴を友達にしちまったもんだ、けど…」

ベッドの近くにある机から、自分のデッキを取り、中身を確認する。

菊姫のデッキは、菊姫自慢の『古代の機械』デッキ。中でも『古代の機械巨人』がキラリと光る、上級者向けのデッキだ。

「大会で当たったら、友達でも容赦はしねえ、アタシが勝つだけさ」

デュエルの心構えを胸に宿し、夜を過ごしていた。



真薄はというと。

自分の机でデッキを再確認しながら、物思いにふけっていた。

「明日は初めての大会だ、凄く…ドキドキするな…」

大会だから大勢の人が来るだろう、それに、出てくる人も相当な強さを持っているに違いない。

しかし、真薄は意外と緊張していなかった。何故なら。

「でも、勇気だったら…不思議とワクワクしちゃうんだろうな… 今の僕みたいに」

そう、今の真薄のドキドキは、緊張からのドキドキではなく、ワクワクの心で満ちていた。

始めての大会。一体どんな人がいるのか、楽しみになっていた。

まるで、自分が好きなアニメの主人公、遊戯王DXの上代勇気のように。

「ねえネオス、僕…大会でHEROになれるかな?」

真薄が独り言のように呟いた、その時。

(ああ、なれるさ…きっとな)

真薄の脳内に、そんな声が聞こえたような気がした。真薄はキョロキョロ部屋を見渡すが、誰もいない。

自分の目の前で、デッキから『E・HERO ネオス』のカードがチラリと見えているだけである。

「…まあ、別にどうってことないよね」

真薄はデッキをしまい、部屋を出た。



榊原兄妹はというと。

「龍矢ー!お風呂上がったわよ、龍矢も入りなさーい!」

兄妹二人の部屋の前で、大声を上げる龍奈。しかし、返答は無い。

「龍矢!いい加減お風呂入りなさ…ちょっと何しているの龍奈!?」

「あ、龍奈…ちょっとね」

ドアを開けて部屋に入った龍奈が見たのは、部屋の床にバラバラに置いていたカードを、めくろうとしていた龍矢であった。

「何って…引きの訓練さ、どんなカードを引けるかがカギだからね〜」

「もう!そんなことやってる暇があったら、さっさとお風呂に入って明日に備えなさい!」

「うう…わかったよお…」

「そういうことしたくなる気持ちはわかるわ、けど、そんなことするより、自分のデッキを信じる方が良いでしょ?」

「うんわかった、明日に備えて今は休むよ」

「そういうこと、じゃあ、早く寝ましょうね」

兄妹の営みをしていた二人。その絆は、確かである。



そして、遊太はというと。

「明日は大会かあ…僕、ああいうの初めてなんだよな、いろいろやりたいことあるし、それに…」

遊太は自分の『ロードナイト』のデッキを見る。

「あのフランシスさんに、聞きたいことが沢山あるから…」

そう、遊太は何故、あの高名なカードデザイナーのロベルト・フランシスさんが自分に『ロードナイト』達を渡したのか、聞きたいからであった。

「けど、今はそれよりも…色んな人とデュエルがしてみたい!大会だからこそ出会える、いろんなデュエリストに!」

「くーっ!燃えて来た!明日が随分楽しみになってきたぞ!」

部屋で一人で盛り上がっていた。明日のデュエルが、楽しみで楽しみで仕方ないようだ。

実際、バトルアリーナでのデ特訓ュエルも楽しんでいた遊太にとって、大会はこれ以上ない程楽しみなものであった。

とは言っても、皆は殆どその様子を見ていないが…。

「さて、明日に備えて今日は…寝るぞおぉぉぉ!」

既に風呂に入っていた遊太は、そのままベッドに入って寝てしまった。

だが。

「…ワクワクして、寝れないな…」

そう思いながら夜を過ごしていた。



「遊太…遊太…!」

心地良く眠っていた遊太の耳に、声が聞こえる。

声はどんどん大きくなり、それにより遊太は目を覚ます。

「あれ、ここは…」

目を開けた遊太が目にしたのは、全てが白に包まれた、何も無い世界であった。

「あ、あれ…そういえば、前にもこんな夢を見た事があるような…」

遊太は謎の既視感を感じる。

すると、白の向こう側から、ガチャリガチャリと音が聞こえた。向こう側から、人のような誰かがこっちに来ているようだ。

そして、遊太の目の前に現れたのは…。

「や、やっぱり…『イクスロードナイト』!?」

イクスロードナイト達は、遊太の目の前に現れると同時に、遊太に話しかける。

だが、そのイクスロードナイト達は、遊太がまだ実際に召喚していないモンスターであった。

まず、蒼い鎧を身に纏い、雪の結晶のような盾を持つ騎士が話しかける。

「遊太君…君は明日の戦いへと向かって行くのだな…」

「…戦いって大会のこと?」

イクスロードナイト達に、恐る恐る話しをしてみる遊太。

「そう、数々のデュエリストが戦う、戦場へと向かって行くのだ」

次に、ドラゴンのような騎士が遊太に話しかける。

「心配するな、その時は俺が奴らを一網打尽にしてやる、イクスロードナイトの荒ぶる飛竜と言われたこのデュナスにかかれば、他の奴らなんてイチコロよ」

その言葉に、赤い炎を身に纏っているような鎧の騎士が言う。

「デュナス…その油断が命取りだぞ」

それを聞いて、獣のような鎧の騎士が言う。

「デュークの言う通りだ、力押しの戦術では絶対ロクな事にはならん」

それに横槍を入れるかのように桃色の鎧を身に纏い、胸に薔薇の花を刺している騎士が言う。

「私の華麗なる薔薇剣術にて、敵を美しく蹴散らしてやろう!ラララ〜〜♪」

…というか、全然話と噛み合ってないことを口走っている。

「ローズ、お前と言う奴は…」

各々が勝手に話を進めるので、纏めにかかる獣のような騎士。

「ともかく遊太、お前は自分の知りたいこと、そして自分のワクワクの為に戦いへと向かって行くのだな?」

「うん」

「なら、悔いを残すな、自分の出来る最大限を、やってみせるのだ」

「言われなくても、そのつもりだけど?」

「だからこそ、最大限をやるのだ」

「うん、わかってる…けど、君達は何者なの?わざわざ僕の前に現れたりして…」

「…我々の正体はいずれわかる…いずれな…」

そう言うと同時に、白い光が満ちていく。目を開けていられないぐらいに…!

「この光…またか!」

光へと包まれた遊太は、そのまま眠りについてしまった。



「ん…朝だ…」

窓から差し込む朝日が、遊太の目を覚まさせる。

「なんか、以前見たような夢を見た気がするけど…まあいっか!」

「そうだ!今日は大会の日!」

「よーし!早速、行くぞー!」

遊太は朝ごはんを食べた後、デッキを持って駆け出して行った。

第十二話。終わり。