二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス) ( No.71 )
日時: 2016/05/22 18:37
名前: ロード (ID: 0llm6aBT)

待っているのが暇なため、会話やデッキの見直し等で時間を潰すことにした遊太達。

「菊姫、確か選考会を通過して予選に参加出来るのは80名だっけ?」

「ああ遊太、さっき受付のお姉さんに聞いてみたんだけど、選考会に参加出来る人数は4500人までらしい、だが…既に半数以上が脱落している、それ程レベルが高いって事だ…」

「出場出来る80名の中に入るには…ただ勝つだけじゃなくて色んなことが必要になるみたいだね」

「予選への勝ち名乗りを上げた奴はまだ20名らしい、その中に…まだ奴はいなかった」

「アキラ君の事?」

「ああ、まだ奴は勝ってはいない、ということは…まだ来てないってことなのか?」

「俺がどうしたって?」

「!?アキラお前!」

いつの間にか、あのアキラが目の前に来ていた。

「アキラ…お前やっぱりこの大会へ来ていたな!」

菊姫はアキラを睨み付けるが、アキラはとぼけた表情をして答える。

「アレ…お前誰だっけ?」

「オイ!まだアタシのこと覚えてないのかよ!菊姫だよ!以前ゲームショップ影沼で会った事あるだろ!それに…お前あん時大会でアタシのこと負かしたろ!」

「悪いが、負かした奴のことなんていちいち覚えてられないからな」

「こ、コイツ…!」

「良しなよ菊姫、どうせ僕らの事なんてちっとも覚えてないんだから」

「あ、お前…遊太だっけ?お前もこの大会に出場するとは…結構自信があるのかね?」

「あ、覚えていてくれた…僕だって大会に出場するさ!なんて言ったって、デュエリストだからね!」

「へぇ、お前も優勝目指してるのかよ」

「確かに優勝は大事だけど…僕はこの大会で、知りたいことと得たい物がある!」

「何それ?そんな事の為に出場するの?大会出るのに、勝つ以外の理由あるの?」

「あるんだよ…それが」

「…まあいいや、俺には関係ないことだ…」

「エントリーナンバー2379番八神アキラ君、予選への選考を行いますので、17番のデュエルデスクに来てください」

「…じゃあ、予選への勝ち名乗りを受けてくるから、お前らも頑張れよなー」

そう言ってデュエルスペースへと行ったアキラ。その背中を黙って見つめる遊太と菊姫。

「随分余裕だね、流石、登場してから東京の大会を総なめにしただけはあるよ」

「まあアイツなら、この選考会は余裕じゃないか?強者の余裕というか、そういうのがにじみ出てる」

「でも、いつかわかる筈だよ、デュエルはやっぱり楽しいって」

「そーかぁ?アキラは勝つのが楽しいからデュエルしてて、勝つことが全てみたいに思ってる奴だとアタシは思う」

「この間、アキラ君は強さが全てって言ってたけど…いつか分かるはずだよ、デュエルは楽しいって事が」

「そーかぁ?ああいうデュエリストもいるからねえ…」

一方、アキラはデュエルスペースに向かう間、こんなことを言われていた。

「アイツ…アキラだろ?」

「東京のデュエル大会を総なめにしたアイツ?」

「あれで小学5年生だろ?凄いな…」

「けど、かなり調子乗った発言してるって話だぜ?」

「ああ、俺が強いからとか、相手が弱かったからとか、そういうのばっかりらしいぜ?」

「いくらデュエルが強いとはいえ、そういうのはねーよなー」

「なー」

「デュエリストとして最低だよなー」

何やら酷い悪口を言われているアキラだが、アキラは気にしていない。それどころか。

(別に良いさ…勝てば誰だって手のひらを返してくる、勝てば…勝てば良いんだろ!)

そして、アキラはというと…。

「魔法カード『黒炎弾』を発動!このターンフィールド上の『真紅眼の黒竜』一体の攻撃を封じる代わり、元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!喰らえ、黒炎弾!」

ドォンッ!

「うおおお!…す、凄い、合格だ…」(試験官ライフ1000→0)

アキラは試験官に簡単に勝利した。これを見て、会場はどよめく!

「す、すげえ!」

「俺達が苦戦したあの試験官に、パーフェクト勝ちだと!?」

「やっぱり、アキラはすげえ!」

「殆どパーフェクトだったぞ!」

アキラがほぼパーフェクトで勝利したことで、会場はアキラコールでいっぱいになる。

さっき悪口を言っていた連中も、これには手のひらを返す。

これにアキラはというと。

(どうだ見たか!これが俺の実力だ!さあ、俺を見ろ!どうせお前らは勝てば何の問題も無いんだろ!)

そう一人合点しているアキラ、心の中は、自分を馬鹿にしていた奴らへの思いでいっぱいである。

「勝てば誰だって良く言うんだ!だって、だってそうだろ!?強いって事は、デュエルにおいて絶対的な指標なんだからよ!」

「はたしてそうかな?アキラ君?」

「ッ!?アンタ…フランシスさん!?」

いきなり目の前に現れたロベルト・フランシスに戸惑うアキラ。

アキラも彼は知っている、日本のデュエリストで、ロベルト・フランシスを知らないのはそうはいない。それ程高名なカードデザイナーなのである。

「さっきから何やらブツブツ言ってたみたいだけど…君、デュエルは強さが絶対って言ってたよね?」

「あ、ああ!デュエルは強さだ!強ければ誰もが納得するんだ!」

「あっ、君たしか…アキラ君だったかな?東京中のデュエル大会を征したって話題の…」

「ああ、俺は東京のデュエル大会を総なめにしたからな」

「じゃあアキラ君、君は…デュエルを楽しんでるかな?」

「は?…楽しんでるに決まってるだろ?」

「そうかな…?今の君は、相手を打ちのめすことが楽しいように見える、自分の強さをわからせるためだけにやっているような…そんな気がする」

「デュエルで勝ちを目指して、強さを見せつけるのは当たり前だろ?それ以外に…何かあるの?」

「あるよ、デュエルは勝つこと以外にも、もっと大事な事がある」

「…じゃあなんだよ?その大事な事って」

「今に分かるさ、多分これから、僕が目をつけたデュエリストが選考会に出る、そのデュエリストのデュエルで、きっと分かるさ」

「…ふーん?じゃあ、それを見せてもらうぜ?アンタが目をつけたデュエリストが、どれ程のものか」

「楽しみにしていなよ」

そう言ってロベルトはアキラの前から去って行った。

「あの人が目をつけたデュエリスト…ねえ?よっぽど凄い奴なんだろうな、ソイツ」

アキラも戻って行った。