二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【おそ松さん】失われてく日々の中で【オリキャラ募集中!!】 ( No.47 )
日時: 2016/04/06 14:06
名前: ラリティ ◆fvHE6RWqPQ (ID: MZMJrm6H)

第5話 『放たれた封印』

とある世界のとある場所にある町『マジーア』。『マジーア』の南東に『カトレア学園』があるのは知っているだろう。
学園のある湖の周りに、森がある。その森は『深淵の森』と呼ばれている。昔からの言い伝えにより別名『呪われた森』とも言われている。

そんな森の、一番奥にて。一人竪琴を奏で、歌を詠う少女が居た。
現在、早朝5:00辺り。空は曇っており、太陽は微かに開いた雲と雲の間に少しだけ顔を出している。森の中に響く歌声は、澄んだ美しい声。歌の意味は分からないが、その美しい声に惹かれ、森の中に居た魔物たちが続々と集まってくる。
少女は集まってくる魔物を気にすることもなく、目を瞑り音色を奏で続ける。
音色が一区切りついたところで、竪琴の演奏を止める。演奏のため座っていた体を立たせ、目の前にある石碑をしっとりと撫でる。

「…そろそろお目覚めの時ですわ、ご主人様…」

普通に喋る声は、詠っていた時のように大人らしい声ではなく、少し幼げな声だった。
雲はどんどんと集まって行く。さっきまで爽やかに吹いていた風もだんだんと強くなり、葉と葉が掠れガサガサッと音が鳴っていく。
少女の長い夜空のような群青色の髪は強く吹く風になびかれる。

「…おぉ、久しいな。お主とは何百年の再開だ」

雲から、一閃の雷が落ちてくる。轟く雷鳴とともに、石碑の前に一つの人影が現れる。
男の人のと思われる低い声が、森の中に少し響く。

「…そうですわね、何百年ぶりでしょうか」

石碑からは刹那のうちに離れている。言動を聞き見ている限り、少女は低い声の人物に仕えていると思われるだろう。
少女の服は深い緑色のワンピースで、裾の丈は膝したあたりまである。靴は茶色のパンプスで、白いラインが一本だけ入っている。
表情は特に何かを物語ることはなく、目を瞑り、主からの言葉を待っているようにも見えた。

「…町は変わらずか」

「えぇ。強いて言うならば『新しい者』が来ましたわ」

「…と、言うと?」

「ご主人様の敵と言って良いほどの者ですわ。『加護の少年』が来たんですもの」

「…ほう?だから、か?」

「そうですわ。『結界』も緩くなっておりましたし、今がベストかと」

「そうか。…良かろう、すぐにでも破壊してやろう。ソイツが居た記憶もろとも…」







不穏な声だけが、森の中に響いた。