二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【おそ松さん】ラベンダーの咲く頃に、【オリキャラ募集中】 ( No.63 )
日時: 2016/06/02 16:36
名前: ラリティ ◆fvHE6RWqPQ (ID: MZMJrm6H)

第7話 『謎の男』

歩く音は聞こえぬまま、影だけが道をどんどんと進んで行く。
三月に入り枯れ葉も少なくなってきた。たまに落ちている枯れ葉を踏むとガサッと音が鳴るが、それ以外での音はほとんどと言って良いほどない。
…喋り始めたら別だが。

「…止まって、十四松」

「あいっ!…なんすか、兄さん」

一松が先を歩く十四松に声をかけ歩みを止めさせる。十四松は元気よく返事をし、一松の方をくるっと向いた。キョトン、という効果音が似合いそうな感じに首を傾け、両手を口の下あたりに添えた。
ルクスが不安そうに「みゃぁ」と鳴く。

風により、木の葉たちが掠れザザッと音がある。
その音を聞いた瞬間、何故か嫌な予感がした。
どうしてかは分からない。けれど、確かに何かに巻き込まれるような…。
あぁ、一度こんな思いをしたことある。何時だっけ、確か入学する前。
…あれ、思い出せない…?

「…一度引き返すよ」

「え!?此処まで来たのに?」

「…うん、すぐ兄さんたちの所に行くよ」

「あいっ!」

一松がそう言い、来た道を戻ろうと二人同時に走り出す。今回ばかりは、一松も十四松に合わせて走る。一松も元々体力はあるが、あまり運動しないせいで鈍って行っているだけである。なので走ればそれなりに速い。だが兄弟の中だと足の速さはワースト2だったりする。…まぁ仕方ないが。
魔法はまだかかったままだ。来た道を戻ってるため、走っても枯れ葉を踏む音は聞こえない。
だが、後ろから何かの気配を感じられた。ルクスが危ないと言うように毛を逆立て、一松の肩に乗り後ろをじっと見ている。
そして、向こうから走ってくる四人の影。
もう少しで合流できる、そう気を抜いた瞬間。「ミャァッ」とルクスが大声で鳴く。

「【ピエルトターム】」

大人びた女性の声が、そう呪文を唱える。今使われたのは金縛り術。二人は体が動かなくなり、その場に立ち止まるしかなかった。
目眩まし術も切れ、後ろから誰かが近付いてくる。

「…ほう、我が域に入るとはな?」

我が域、とは何だ?『深淵の森』の所持者なんて居たのか…?いや、ここの近くには『石碑』があった…、ということは…。目の前に立つ彼は、何千年も前に『石碑』に封印されたと言われる魔物…?見る限り、現在の『深淵の森』では珍しい人型の魔物だ。
そしてその隣に立つのは、贄となり何千年も仕え続ける少女…。

「一松!!十四松!!」

…あぁ、やっぱり来ると思ったよ。
こんなに汚い手を握り、助けようとするのなんて、僕の兄弟しかいないから。