二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【おそ松さん】ラベンダーの咲く頃に、【オリキャラ募集中】 ( No.69 )
- 日時: 2016/10/22 00:36
- 名前: ラリティ ◆fvHE6RWqPQ (ID: 4MPbQGSh)
第11-2話『新しい絆』
驚きを隠せない。名前も何も思い出せないのに、どこか暖かみのある、知り合いのような、そんな感じの…。
…誰かの、大切な人だった、はず?
あぁ、昔の記憶がないのか。…少し、寂しいな。
「…あ、ど、どうかしました?…あ、教会の管理人さんですか?」
「…別にそういう訳じゃない。君、名前は?…僕は、『アンブラー』の松野一松…」
少女は、おどおどとした様に自分に問いかけてくる。そんな少女はきっちりと制服を着ており、長い茶色の髪を、左サイドに寄せた一本の緩い三つ編みにしている。顔はこの距離だとはっきりは見えないが、美人とは言いがたいのは少しわかる。
今自分は軽く自己紹介をし、少女の名前を聞き出そうとしている。名前を聞けば、思い出せるんじゃないか、とか少し淡い期待を持っていたりする。
「『トラスト』、エミリア・プリムローズです。宜しくね、一松君」
知らない名前だった。聞いたこともなければ、知り合いでもなんでもない全くの他人だった。知りもしない僕に、少女はふんわりとした笑みを向けた。
…一つ。何か、思い出した。いつの事だったのだろう。それさえも思い出せないような、とんだ昔の話なのだったのかもしれない。
夜の道。人通りのない道の隅っこにある売店で、六人がきつそうに座っている。一人だけ、水色のジャケットを羽織っている。多分、スーツだろう。スーツを着た青年は言う。
[あの子、いつも笑顔で言ってくれたんだ…。「××君」って、「いつもありがとう」って…!]
今にも泣きそうな声で、肩をすくめた。
何時もみたいに笑ってよ。何でそんなに泣きそうなの。…僕じゃ、お前を笑顔になんてできないよ。
自分は目を閉じたまま、「お前」の方から目を背けていた。相変わらず、臆病だな…。
「い、一松…君?」
「…何でもない。気にしないで」
その後、色々の少女に聞いた。此処は『深淵の森』の中にあり、校長が一番近かった『アンブラー』にだけ地下に道を作ったらしい。自分でも場所までは知らなかった教会を、『トラスト』の少女は何故知っていたのかと聞くと、「同室の子が言っていた」と笑顔で答えた。
…後で、チョロ松かトド松にこの子の同室を聞いてみよう。確か、大体の『トラスト』生徒を覚えていたはずだ。
「…それじゃ、僕は戻る。じゃ」
クルッと後ろを向き、『アンブラー』寮の方へと戻って行った。