二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 黒いシンデレラと金色猿と闇乳首 ( No.196 )
- 日時: 2017/06/26 18:05
- 名前: トクマ (ID: Slxlk2Pz)
スマブラ大長編第二弾スタート!! サブタイトルについてはスルーしてください(笑)
……いいタイトル名が思い浮かばなかったので仮面ライダーオーズ風にしました……
ある日の午後。スマブラ本部である館内には少し静かだった。いつもなら騒ぎの一つや二つ起こる場所なので、まるで嵐の前の静けさである。
そして、くつろげるリビングのソファに人影があ——
霊夢「あぁ、いいわぁ……こんな時間でも動かなくてダラダラできるなんて……」
……いやいや、ちょっと、少しはしゃんとしたらどうですか? いきなりぐだぐだした描写を書くこっちの身を考えてくださいよ!
霊夢「うるさいわね……別にいいじゃない! この時間帯なら、私は境内の掃除ついでに食べられる雑草の仕分けをしてたのよ!! ぐだぐだしたってバチは当たらないわよ!!」
なにその某一ヶ月一万円生活してたのにいつの間にか無人島サバイバル生活してる芸人も驚く生活環境!?
ルフレ「……たく……少しぐらい動いたらどうだ? 菜園したり、副業すれば少しは生活がマシになるだろ」
霊夢の言葉に呆れた様子を見せるいつもより少しだけラフな格好をしたルフレが新聞紙片手に歩いてきた。
霊夢「あら、それって瓦版? 後で読ませてくれないかしら」
ルフレ「話聞けよ……幻想郷にも新聞はあるのか?」
霊夢「あるにはあるけど、烏天狗が作る新聞はあまり好評じゃなかったのよ……非常食ぐらいしか用途がなかったし……」
霊夢の言葉をルフレはあえてスルーして新聞を読み始める。『もふぷに組、またもジュンサーのガーディに触れ合って説教される』や『謎の組織【変隊】が全国に訪問して演説』、『ワンダーランドにて酷似した人物急増。ドッペルゲンガーか』等気になる話題があるが、ルフレは小さな見出しに注目した。
ルフレ「……『新設された橋が崩壊。今月に入って17件目』ねぇ……ここの所多いな」
当麻「そういや、吉備津彦は大丈夫なのか? あれから帰ってきてないけど」
ルフレの呟きに反応した当麻が読んでいた漫画から顔を向ける。当麻の言葉にルフレは少しだけ考える素振りを見せる。
ルフレ「久しぶりの再会でのんびり過ごしてるなら心配ないんだが……」
霊夢「そういや、マリオ達はどこに行ったのよ?」
ルフレ「マリオ達なら、新聞に載ってる橋の修理の手伝い行ってる」
霊夢「橋の修理ねぇ……少しきな臭いわね」
橋の崩壊に何かしらの意図を直感で読み取った霊夢。重い空気が流れるが、玄関を開けた音で元に戻った。
ルキナ「ただいま戻りました」
ミクサ「……んしょ……んしょ……」
ルキナ「頑張ってください、ミクサさん。もう少しですわ」
むらびと「あ、三人とも〜運ぶの手伝ってくれないかな?」
多くの荷物を持ったルキナ達が三人に手伝って欲しいと頼んだ。霊夢は渋々だったが結局はむらびとの願いを否定することは出来ずに食堂まで運んだ。
むらびと「ふぅ……ありがとう」
当麻「買い出しとは言っても大変だったろ。飲み物入れてやるから待ってろよ」
ミクサ「……ぅん……ありがとう……」
霊夢「あ、私もお茶お願いね」
リン「私は紅茶をお願い致しますわ」
ルフレ「ここぞとばかりに頼むな……」
一息つく為に買い物客に行ってたメンバーに当麻が飲み物を入れ、ついでにリクエストする霊夢とリンにルフレは苦笑する。当麻が飲み物とコップを取りに行った時にルフレは行ったハズなのにいないメンバーがいることに気付いた。
ルフレ「おい、アリスとピーターはどこいった? 出る時は一緒にいただろ」
ルキナ「あの二人なら、小麦粉が入った袋を台車に運んで先に戻るって言ってましたけど……?」
ルキナの言葉に嫌な予感がするルフレ。その予感は的中し、自転車を動かしたような音が近付き、ルフレ達の前に姿を見せた。
アリス「ゴーゴー! ゴーゴー!」
ピーター「風のように駆け抜けるぜ!」
魔理沙「中々早いな!」
ネス「イタズラ同盟のキャプテンとして負けてたまるかぁ!!」
ルフレ「お前らは何やってんだ!!」
アリスを乗せた台車を押して進むピーターとその二人を追うファンタジーよろしく宙に浮かぶ箒に跨がった魔理沙、超能力でスケボーを動かすネスがいた。
アリス「ここから私達の伝説……頭文字Dが始まるんだよ!!」
ルフレ「たしかに頭文字はDだが違うだろ!!」
とりあえず、某豆腐屋のドライバーに謝罪してください。そう言いつつも鮮やかなドライブテクニックならぬ台車テクニックを見せるピーター。台車に乗ってるアリスもスリルを楽しんでいる。
ピーター「止まらないぜ! 俺達のパレードは!」
はたして、このDA☆I☆SYAを動かすピーター&アリスのコンビを止める人はいるのか……出入り口の近くにある窓に差し掛かろうとして……——
???「桃様ぁー!!」
アリス&ピーター「ぐはぁ!?」
——窓から謎の女性がドロップキックによるダイナミックエントリー! 無防備にくらったピーターとアリスは蹴り飛ばされ、運転手と重さを失った台車はスピンしてそのまま壁に激突した。
リン「止まりましたわね」
ルフレ「止まったな」
???「失礼します……留玉臣、窓から入るな」
???「まったく、忙しないでござるな」
ルフレとリンが呟くと出入り口から少年と青年が入ってきた。女性との共通点は犬、猿、雉の和面をそれぞれ着けている。猿の和面を着けた青年の背中には白い布が巻かれた大剣が背負ってあった。
犬養「急な訪問をしてしまい申し訳ありません。私は犬養健と言います。猿の和面は楽々森彦、雉の和面は留玉臣……あなた達にお願いがあって来ました……事は一刻を争うのです」
犬の和面をかぶった少年——犬養健は後ろにいる猿の和面をかぶった忍者装束の青年——楽々森彦と雉の和面をかぶったくのいち——留玉臣を紹介した後にルフレ達に懇願してきた。
当麻「……話してくれないか?」
飲み物を持ってきた当麻はただ事ではないと察し、自分とルフレ、ルキナの麦茶を入れたコップを差し出す。三人は一言礼を言って麦茶を喉に流してポツポツと語り始めた。
森彦「……新設された橋が崩壊した事件の現場で……このような物が……」
そう言って森彦は白い布が巻かれた大剣の布を外していく。徐々に刀身が見え、その大剣に当麻達は驚愕した。
アリス「それって!」
ピーター「吉備津の剣じゃねぇか!」
自分達が知るファイターの一人——吉備津彦が使う武器に目を丸くする。その様子に三人は悔しそうな表情を見せる。
犬養「……私達も目を疑った……あの後、草の根分けてでも探したのだが……桃様は……」
吉備津彦の心配に顔を曇らす三人。ふと、霊夢の直感が何か良くないものが近付いて来ていると伝えた。
霊夢「……あんた達、すぐに武器を構えなさい」
当麻「どうしたんだ霊夢?」
霊夢「来るわよ! 早くしなさい!!」
霊夢の一喝にルフレは魔導書を広げ、ルキナはファルシオンを構え、当麻は拳を握り、霊夢は左手に大幣(巫女さんが持つ棒にひらひらした紙が付いている物。簡単に言えばお祓い棒)と右手に針とお札を器用に持ち、ネスと魔理沙はミクサとリンとむらびとを連れて離れた。
次の瞬間、壁が何者かの手で破壊された。
全員「!?」
砂煙が舞い、前方からゆっくりと人影が現れる。より気を引き絞めるファイター達の前に現れたのは吉備津彦に似た男だった。
当麻「……吉備津彦?」
犬養「……違う。桃様はこのような邪気をまとわない!!」
森彦「何者だ!!」
犬養と森彦の言葉にその男が薄く笑う。やがて砂煙が晴れ、男の姿が露になった。背中まである長い白髪、左目に三つ巴の印を象った眼帯、戦装束の右側を片脱ぎにしている。そして何より、その男の手に持つ大剣は細部は違っても吉備津彦の大剣と同じなのだ。
闇吉備津「我が名は……闇吉備津……もう一人の吉備津彦だ」
吉備津彦に似た男——闇吉備津は周囲に威圧しながら好戦的な笑みを浮かべた。
……もう一人の吉備津彦?
その言葉にルフレは疑問に思うもすぐに構える。
闇吉備津「だが、そのような弱者ではない……我はアヤツの強さを越えた!」
玉臣「お前が……桃様を!!」
ルキナ「玉臣さん!!」
闇吉備津の言葉に玉臣が両手に手裏剣やクナイを取り出して闇吉備津に向けて投げた。しかし、闇吉備津は玉臣の攻撃を突進しながら右手で盾にするような形で受け止める。
玉臣「なっ!? あうっ!!」
森彦「玉臣!」
闇吉備津「弱者に用はない! 強者を出せ!!」
血が流れているにも関わらず玉臣を掴んで森彦に向けて投げる。衝撃を殺して受け止めた森彦は玉臣の安否を気遣う。
ルフレ「ネス! 急いで連絡しろ!」
ネス「やってるよ! でも、繋がらないんだ!! 反応がない!!」
ルフレがここにはいないスマブラメンバーに連絡を取ろうにも妨害されている事を知って苦虫を噛む表情になる。
……複数いるのか!
ピーター「しょうがねぇ! 俺達で時間を稼ぐぞ!!」
アリス「吉備ちゃんに似てるけど容赦なんてしないからね!!」
時間稼ぎでピーターとアリスがお互いの武器を取り出して闇吉備津に向かう、その姿を見て闇吉備津は舌なめずりを行って大剣を構えた。
まだ続くよ! コメントはまだ!!
- 黒いシンデレラと金色猿と闇乳首 ( No.197 )
- 日時: 2017/06/26 18:15
- 名前: トクマ (ID: Slxlk2Pz)
闇吉備津襲来から少しだけ時間を遡り、大乱闘のフィールドではトクマとドレディア、サンドリヨンとシュネーヴィッツェンのチーム戦が始まっていた。
トクマ「おらぁ!!」
サンドリヨン「ハァ!!」
荒々しく振るわれるトクマの斧をいなし、手数で攻撃するサンドリヨン。
シュネー「えいっ!!」
ドレディア「ディア!!」
シュネーの槍を自慢のパワーで弾いて攻めるドレディア。するとシュネーの紅いリンゴの形をした盾が鮮やかに輝きだした。
シュネー「溜まりました! お姉さま!」
トクマ「やっべ! ぐ、しまっ!」
ドレディア「ディ!?」
シュネーの言葉に意識を他に向けてしまった所をサンドリヨンに攻撃されて隙を作ってしまい、それを見たドレディアの動きが驚きで止まる。
ここで解説だが、ゲーム内のシュネーは最初となる特殊ゲージを持つキャラクターで『精霊ゲージ』を持っている。
このゲージはMPを消費することで描いた跡を進んで攻撃するドローショット——DSやスキル等、MPを消費する行動をとることで『精霊ゲージ』というゲージが溜まっていく。これがMAXの時に一部のスキルを使うと、効果が強化される。
精霊ゲージにより強化されるスキルは現時点で3つあり、強化内容はスキルによって違うが共通して消費MPが減少する。
彼女が放とうとしているのは突進攻撃のスキル 『ピュアホワイトスピア』 。ゲージMAX時に放つとダメージ・攻撃範囲・弾速が大きく上がり、攻撃中防御力が上がる。また、拠点や城にもダメージを与えられるようになる。
シュネー「突き通せ! 勝利の刃!」
トクマ「ぐわ!?」
ドレディア「ディッ!!」
強化されたピュアホワイトスピアの衝撃波がトクマとドレディアを襲い、あまりの威力に二人は遠くに飛ばされる。しかし、なんとか体勢を整えてステージ外から復帰に成功した。
トクマ「ドレディアさん、まだ戦える?」
ドレディア「ドレディッアー!!」
サンドリヨン「清き衣よ、穢れを祓い給え!」
お互いのダメージを確認して構え直すとサンドリヨンは緑色の光に包まれ、先程の戦闘で出来た傷や汚れが消えた。
トクマ「……本当にそのスキルは厄介だな……モーションが大きくて隙ができるけど回復量は多いし……」
シュネー「それだけじゃなくて、自分の体の気になる臭いや汚れもシャットダウンできるんだから!!」
トクマ「マジか!? 便利な能力だな……」
回復の他にもクリーニング屋さんいらずの能力に驚くトクマだが、サンドリヨンはシュネーを笑顔で——ただし、目が笑ってはいない状態で話しかけた。
サンドリヨン「シュネーヴィッツェン? 何故貴女がそんな事を知っているのですか? 私は話したことないですが?」
シュネー「お、お姉さま! 敵の目の前で油断は禁物です! 早く構えないと!!」
サンドリヨン「ドレディアさん、後でシュネーヴィッツェンに往復ビンタをお願いします」
ドレディア「ィアッ!?」
露骨な避け方に少しだけ怒ったのかドレディアに痛いお仕置きをお願いするサンドリヨンを見て驚くドレディアと少しだけ冷や汗をかくトクマ。
サンドリヨン「……こ、こほん……まだ行きます……お覚悟はよろしくて?」
トクマ「ど、どっちにしろ戦わなきゃいけないんだろ……飛んでくる火の粉を振り払うぐらいはするさ!」
その様子を見たサンドリヨンはわざとらしい咳払いをしてからガラスの双剣を構え、トクマは気を取り直して斧を軽く振るう。
そして、両者睨みあって走り出そうとした瞬間、突如フィールド内に警報が鳴り響いた。
サンドリヨン「なんですか!?」
トクマ「これって乱入者を告げるアラーム……誰か来たのか?」
シュネー「お姉さま 、後ろです!!」
戸惑うサンドリヨンとトクマだが、シュネーがサンドリヨンの後ろに人影を見つけて声をあげた。
???「煌き、貫け! 衝撃の刃よ!」
サンドリヨン「ッ!? きゃあああああああっ」
トクマ「サンドリヨン! 今のは、同じ技……!?」
赤い水晶がサンドリヨンを巻き込んだ。幸いにも当たりが浅かった為、大きなダメージにはならなかったがトクマとシュネーはそこではなく人影が放った技に驚いた。
何故なら、先程の技はサンドリヨンが持つスキル——クリスタルスラッシュと酷似していたのだ。
?「やれやれ……この程度か? 拍子抜けだな。サンドリヨン」
人影が姿を表す。そして、トクマとシュネーはその姿に言葉を失った。
サンドリヨン「くっ! 何者なので……わ、私?」
そう。乱入者の姿はサンドリヨンと似ていたのだ。黒く軍服調のドレスと髪が銀色であることを除けば双子と言っても過言じゃない。
トクマ「何だアイツ……黒いサンドリヨン……?」
シュネー「……お、お姉さまが二人だなんて……」
まるで鏡から出てきた人物に戸惑う二人にサンドリヨンに似た人物はその反応を見て笑う。
アシェンプテル「ふっふっふ……私は……そうだな……アシェンプテル、とでも呼んでもらおうか」
上機嫌に言った瞬間、サンドリヨンの懐に潜り込んで赤いガラスの双剣を振るい、サンドリヨンは遅れながらもそれを防いだ。
アシェンプテル「シンデレラはこの世に私一人だけでいい……! 私の『居場所』に踏み入るな!!」
サンドリヨン「くうっ! いきなり現れて……シンデレラ? 居場所? 何者なのですか貴女は!?」
まるで親の敵を見つけたような声色で双剣を振るうサンドリヨンに似た人物——アシェンプテルにサンドリヨンは防戦一方。突如現れた自分に似た人物に戸惑いながらも攻撃を弾き返して距離を取った。
……いえ、考えるのは後! 今はこの状況をなんとか切り抜ける事を……!!
サンドリヨン「ガラスの靴よ! 私を運んで!」
そう考えたサンドリヨンは速度上昇のスキル——クリスタルブーツを発動し、それを見たアシェンプテルは鼻で笑った。
アシェンプテル「速度で翻弄する気か? ならば私も付き合ってやろう……靴音よ! 輝かしく響け!」
サンドリヨンの様子を見て同じように速度上昇のスキル——クリスタルブーツを発動した。
サンドリヨン「また同じ技……!? そんな!?」
アシェンプテル「遅い!!」
サンドリヨン「ぐっ!!」
シュネー「お姉さま!!」
まるで自分と戦っているように思えたサンドリヨンの隙を狙って激しく攻撃するアシェンプテル。見るに耐えられなかったシュネーが武器を構えてサンドリヨンの加勢に出た。
アシェンプテル「ちょうど良い……違う技も見せてやろう……私の時間に踏み入るな」
そう呟いたアシェンプテルはシュネーに向けて紫色の煙を発生させ、それに触れたシュネーとトクマの動きがゆっくりとスローモーションで再生した映像のように遅くなった。
トクマ「これは……」
シュネー「体が……動けない……」
サンドリヨン「シュネーヴィッツェン! トクマさん!」
アシェンプテル「そこで見ているが良い」
紫色の霧に触れた者の動きを遅くさせるスキル——アッシュミストで遅くなったシュネーとトクマを見て、アシェンプテルは懐から黒い六角柱の水晶を取り出してサンドリヨンに近付く。
サンドリヨン「な、なにを……」
アシェンプテル「貴様の時間……頂くぞ」
サンドリヨンが言い終わる前にアシェンプテルは黒い水晶をサンドリヨンの腹部に突き刺した。
サンドリヨン「あぐっ!?」
シュネー「お姉さま!!」
サンドリヨンの痛みによる悲鳴にシュネーが声をあげて動こうにも遅いまま、しばらくして黒かった水晶の端が徐々に白くなり始めた。
アシェンプテル「……あぁ……いよいよ……いよいよだ……これで……!!」
その様子を見たアシェンプテルはまるで欲しかったオモチャが目の前にある子供のような反応を見せた。次第に色が白くなる水晶を見てヤバいと思ったシュネーとトクマは焦るも一向に速くならない様子にさらに焦る。
水晶が七割ほど白くなって泣きそうになりながらもサンドリヨンに手を伸ばすシュネー。
トクマも手を伸ばそうとするが、途中で止まった。それは間に合わないと諦めた訳ではなく、視界の端に映る彼女を目にしたのだ。
トクマは反射的に言葉を放った。
トクマ「マッハパンチ!」
ドレディア「ディィィアァ!!」
アシェンプテル「なっ!?」
気付かない内に近くまで来ていた彼女——ドレディアに驚くアシェンプテルに彼女の見た目とは裏腹な剛力から放たれた拳をモロに受け、アシェンプテルは暗めの白い水晶を握りしめたまま、遠くまで殴り飛ばされた。気を失っているサンドリヨンを持ち上げてシュネーとトクマの二人の所まで急いで運ぶ。
アシェンプテル「ぐっ……おのれ!!」
シュネー「ドレディアさん、早くこっちに!」
ドレディア「アァ!!」
邪魔された事に怒りを見せるアシェンプテルにシュネーはドレディアを急かし、トクマはアシェンプテルに向かって大砲に変えた斧を向けて叫んだ。
トクマ「ハウル・オブ・ゼロ!!」
アシェンプテル「ッ!!」
その言葉に砲撃がくると判断したアシェンプテルはドレディアの一撃で痛む体では避ける事が不可能と判断して剣を交差して防ぐ動作をする。
トクマ「……な〜んちゃって。【強制終了コード! NO CONTINUE!!】」
その様子を見て、トクマは悪い笑みを浮かべてマスターハンドに教えてもらった強制終了のコードを音声入力し、全員でフィールドから離脱する。
アシェンプテル「……ふん、まぁいい……七割は取れたのだ」
どこか納得できない様子を見せるも手に持つ水晶を見て機嫌を直すアシェンプテル。その笑みには何が含まれているのかはこの場にいる彼女以外は知るよしもなかった。
シュネー「お姉さま、しっかり! お姉さま!!」
トクマ「ドレディアさん、シュネーとサンドリヨンを頼む!」
ドレディア「ディア!」
気絶しているサンドリヨンに対して必死に呼びかけるシュネー、ドレディアに二人の護衛を任せてトクマは皆が集まってたリビングへと走り出した。
少しずつ匂う血の匂いに顔をしかめて目的地であるリビングに着くと目の前の光景に目を奪われた。
ピーター「……うぅ……」
アリス「……つぅ……」
闇吉備津「こんなものか? やはり弱者ではないか」
左足でピーターを踏みつけながら右手でアリスの首を絞める吉備津彦に似た人物がいた。その光景にトクマの思考は真っ白に染まり、無意識でハストゥールの鍵の力を解放した。
トクマ「ハスタァァァァ——!!」
まだまだ続くよ!!
- 黒いシンデレラと金色猿と闇乳首 ( No.198 )
- 日時: 2017/06/26 18:22
- 名前: トクマ (ID: Slxlk2Pz)
闇吉備津「ぬ?」
トクマ「ハスタァァァァ……ウィィンクゥゥゥゥ!!」
闇吉備津が声に気付いて振り向くとのっぺらぼうみたいな無機質なお面を着け、プリキュアよろしくフリフリな黄色の衣装を着たパッツパツの筋肉が目立つ巨漢がおそらく目の部分である所から極太の光線を放った。光線で壁に激突するまで飛ばされた闇吉備津に目も向けずにボロボロになっているアリスとピーターにトクマは声をかける。
トクマ「遅くなって……ごめん」
アリス「……クマちゃん……遅いよ……」
ピーター「こいつは……貸しだぜ……」
トクマ「そいつはキツいな……」
弱々しくも生きている二人にホッとするトクマだが、霊夢がトクマの背中を叩いて指を指した。
霊夢「安心してる所悪いけど……きてるわよ」
壁に激突した際に発生した砂煙を振り払い、闇吉備津が平然と首を軽く鳴らしながら立っていた。
闇吉備津「……ぬるい……ぬるいぞ! こんなモノで我を倒せると思っているのか!!」
トクマ「……思ってねぇよ」
……ウソです。本当は倒せると思っていました。
心の中で闇吉備津のタフネスに冷や汗をかくトクマ。どうするか必至に頭を回すがいい考えが思い付かない。
玉臣「あんただけは……許せない!」
森彦「よくも桃様を……!」
犬養「お前だけは……認めない!!」
トクマ「おい! アブねぇって!! てか、アンタら誰だよ!!」
その様子を見て吉備津彦の三人は闇吉備津を批判する。あまり挑発したくないトクマは焦る。
闇吉備津「………………」
だからこそ、気付かなかったのだろう。あの三人に意思気が向いた為に闇吉備津の表情の変化を……
闇吉備津「……少し……戯れが過ぎたな……全てを終わらせよう」
ルフレ「魔力が高まって……マズい! ワンダースキルがくるぞ!!」
ワンダースキル……全キャラが必ず一枚ずつ所持している切り札。ゲーム中では一試合に一枚しか発動できないが、その効果はどれも強烈で試合内容によってはそれ一発で試合を決定付けることも珍しくない。
闇吉備津に禍々しいオーラが集まり始める。周りにいた全員は少しでも被害を食い止めようと動こうとした瞬間、頭上から何かが勢いよく落ちてきた。
突然の事に闇吉備津もワンダースキルを一旦止めると砂煙が晴れ、落ちてきたモノが姿を現す。
美猴「……ぐぅうぁ……」
トクマ「美猴!?」
落ちてきたのはボロボロになっている美猴だった。彼に無理矢理大乱闘を申し込まれて戦わされたトクマは美猴の強さも知っているので、ボロボロの美猴に驚くと闇吉備津の側に中華風の服を着た金色の大猿が着地した。
???「そこまでだ。闇吉備津」
闇吉備津「なにをしに来た、大聖」
金色の大猿——大聖が闇吉備津を止め、その行動に眉を歪める闇吉備津。
大聖「それ以上やれば、永久殺戮機関であるマリオが黙っていない……警告しにきたのだ」
闇吉備津「ふん。そんなものは関係ない……弱者が滅び、強者が栄える……それこそが我が道だ」
大聖「ならば見逃すのは必然だ。それ以上の戦闘は無駄である」
闇吉備津「それこそ無駄だ。弱き者が跋扈するなど、我は許さん」
トクマ「その弱き者に吹き飛ばされたのはどこのドイツだ」
大聖の忠告をものともしない闇吉備津。しかし、横からトクマが喰ってかかった。
霊夢「ちょ、あんた!」
闇吉備津「戯れ言をほざくな」
トクマ「生憎と口が悪くてね……戯れ言でも悪口でもほざくさ。答えてみろや闇乳首!」
ルフレ「どんな罵倒だよ」
謎の罵倒するが、闇吉備津はトクマの様子に表情を歪めながらも睨みつける。大聖はトクマの腰にある斧を目にし、驚きで少しだけ目を開いた。
闇吉備津「……」
大聖「……ほう、ハスターの契約者か」
トクマ「っ! 知っているのか」
ハストゥールの鍵を知っていた事に驚くも冷静になろうと話を聞こうとする。
大聖「然り。その鍵の所有者と一度だけ手合わせをしたが我が強さには届かず、その者は敗北を認めないままこの世を去った。それ以降は見なかったが……いつ見てもただならぬ邪気だ」
その言葉を最後に大聖は目を細く鋭くさせ、威圧感を周囲にぶつけ始める。
大聖「此度は所有者に恵まれたようだが、汝に忠告する……すぐにその鍵を捨てよ。しからばその身に災禍が降りかかん」
トクマ「災禍だぁ? すでに降りかかってますが何か? 今さら不幸の一つや二つで折れると思ったら大間違いだ」
大聖「……ふむ……」
捨てようと忠告するもトクマの言い分に虚勢ではないと判断した大聖は興味深く彼を見る。一触即発とも言える威圧感は変わらずぶつけられており、トクマはさらに冷や汗をかく。
アシェンプテル「何をしている」
突如、トクマと大聖の間から黒い炎が出たと思ったら、アシェンプテルが姿を現した。
ルフレ「なっ!?」
霊夢「ちょ、何でアンタがそっちなのよ!!」
当麻「俺達を裏切ったのか!! サンドリヨン!!」
美猴「……ちげぇよ……裏切ってなんかいねぇ……アイツももう一人のサンドリヨンなんだろ……トクマ」
あまりにもサンドリヨンに似た姿にルフレ、霊夢、当麻はアシェンプテルに問いかけるも美猴の一言にトクマは無言で頷きつつ斧を構え直す。
その様子を見て、アシェンプテルは口を開いた。
アシェンプテル「さて……帰るとしよう」
魔理沙「はぁ!? 帰るだぁ!?」
まさかの撤退に目を白黒させる魔理沙。そんな魔理沙を尻目にアシェンプテルは話始める。
アシェンプテル「私の目的は七割達成した……無駄な時間を過ごすより、ゆっくりと待つとしよう」
そう言って二回ほど靴音を鳴らすと黒い炎が地面から噴出し、転移の準備が始まった。
アシェンプテル「……そうだ……そこに隠れている裏切り者……」
何かを思い出したのかアシェンプテルは気になる言葉とともにソファの裏に隠れるリンを指で差して指名した。
ミクサ「……リン……ちゃん……?」
アシェンプテル「サンドリヨンに伝えろ……『残りの時間も頂く、震えて待っているがいい』……とな……」
裏切り者と呼ばれたリンを不安そうな目で見るミクサを申し訳なさそうな表情をするリン。その伝言を最後にアシェンプテル、闇吉備津、大聖の三人の体が黒炎に包まれた。
当麻「まっ——」
ルフレ「トロン!!」
霊夢「夢想封印!!」
魔理沙「マスタースパーク!!」
トクマ「ハスターウィンク!!」
ミクサ「広がれ……炎の道!」
完全に消える前に遠距離攻撃を繰り出すも時すでに遅く、黒炎が霧散した所には何もなくなっていた。
ルフレ「……ちぃ……逃げられたか」
ルキナ「……リンさん……貴女は……一体……」
リン「……わ……私は……」
悪態をつくルフレの側でルキナがリンから理由を聞こうとする。リンも恐る恐るだが言おうとした瞬間——
ドレディア「ディア! ドレディア!!」
切羽詰まったドレディアが扉を壊しながらトクマの所に走ってきた。その後ろからシュネーも必死に走っている。
トクマ「ドレディアさん! どうした!!」
シュネー「みなさん! 早く来て下さい!!」
シュネーの声が周りに響く。その声色には不安と助けを求める感情が込められていた。
シュネー「お姉さまが……お姉さまが!!」
物語は、ここから狂い、始まる。
終わりです! 感想やコメントOKです!!