二次創作小説(映像)※倉庫ログ

別の自分とゆるキャラと衝撃発言 ( No.206 )
日時: 2017/07/03 22:24
名前: トクマ (ID: iXLvOGMO)

 みなさん、遅れてすみません!

 実はあまりの衝撃に少し休んでいました。

 ……なんと! ワンダーランドウォーズの設定資料集が7月22日に発売決定した報告を耳にしました!! 『え? 今さらじゃね?』と思われる方もいますが、ファンにとっては待望のお知らせなのです!! 2年以上経ってるのに出て来なかったんだ……

 価格は税込で2800円と少し高めですが、最初のドラマCD並に売り切れると私は思っています……ドラマCDは余裕で買えると思って予約なしで買いに出たら、すでに売り切れで一週間も待たなきゃいけませんでした……

 もう、あんなミスはしない!!

 それでは、始まり、始まり〜!!





 会議室。館にある一室にてマリオ、リンク、ルフレ、ルキナ、リン、当麻、トクマ、マスターハンドの八人が集まって今回の騒動で受けた被害状況を把握しようとしていた。

ルフレ「被害状況をおさらいするとこんな感じだな……」

 大きめのホワイトボードに被害状況をルフレがわかりやすく書き、全員に知らせる。

・館の一部損壊
・ピーター、アリス、美猴の三名の負傷
・吉備津彦の行方不明
・アシェンプテルによるサンドリヨンのダメージ

リンク「やられたな……あいつらが橋を破壊したのは俺達がいない状況を作る為か……」
マリオ「……オレはその時間帯に銭湯で半身浴に興じていた……めっちゃ不甲斐ない」
トクマ「いや、予想外の事だから気にしなくていいですよ……それよりもあいつらは何者なんだ……こっちにいるメンバーと似ているヤツが多かったけど」

 被害数は少ないがトータルでは大きい事に頭を掻くリンク、自分の行動に落ち込むマリオをトクマはなだめながら今回の敵に疑問を持った。

ルキナ「……リンさん……教えてくれませんか……?」

 ルキナが未だに下を向いてるリンに優しく話しかける。暫く黙っていたリンだが、口を開いた。

リン「……私は……私達は……アナザーキャストですわ」
全員「アナザーキャスト?」

 聞きなれない言葉に全員が首をかしげる。その様子を見たリンが説明し始める。

リン「物語には多くの可能性が眠る……私達は“もしも”の物語から来た。いわゆる平行世界の住人と言っても過言じゃないですわ」
トクマ「平行世界の住人!?」
ルフレ「なるほどな。だから闇吉備津はもう一人の吉備津彦って言ったのか」
当麻「じゃあ、お前も平行世界の住人なのか?」

 平行世界の住人という言葉に驚くトクマと闇吉備津の言っていた言葉に納得したルフレ。当麻がリンも平行世界の住人なのか質問した。

リン「いいえ、司書さんに指名された方がアナザーキャストになる事もありますので全員がそうではありませんわ」
トクマ「あの司書か……オレ、あの人苦手なんだよなぁ……」
???「私がなんですか?」

 突然、トクマの後ろにグラマラスなスタイルの女性が現れた。

マリオ「来たかマメール」
マメール「呼んで頂き、ありがとうございます」
トクマ「急に出てくんなや!!」

 グラマラスな女性——マメールはマリオに挨拶する。トクマは驚いた拍子で早くなった鼓動を抑えながらツッコミをいれた。

マメール「リンさんの話を聞いて私が思うに、語り継がれた童話は何も一種類だけなどではないようですね。例えば同じ人物でも、ある作者の童話では死んでしまったが、ある作者の物語では生き残ってハッピーエンドとなったりすることはままあります。即ち、『物語の数だけ『可能性アナザーストーリー』がある』ということです。もしかすれば、アナザーの姿こそ真実の姿なのかもしれません……」

 マメールの言葉に全員が唾を飲み込む。上条はとある魔神と戦った事を思い出し、トクマはドルピック島で言っていた風見幽香の言葉をイメージした。

トクマ「ということは、黒いサンドリヨンもサンドリヨンと同じ人生を歩んできたってことか?」
マメール「はい。細部は違いますが最後には王子と幸せになって終わります……但し、『鳩に命令して義理の姉の眼球を抉らせた』という逸話も残っています」
トクマ「……アレだな。本当は怖いグリム童話ってヤツ」

 マメールの口から話された黒いサンドリヨンことアシェンプテルの原典を聞いて、トクマは思わず表情を少しだけ歪めた。

ルキナ「リンさんは誰のアナザーキャストですか?」
リン「私は『マッチ売りの少女』ですわ」
トクマ「マッチ売りの少女って……ミクサみたいな感じだろ? そんな金持ちみたいなイメージじゃないだろ」
マメール「彼女はアメリカに伝わる『マッチ売りの少女』が原典です……あの本の最後はお金持ちに拾われて幸せに暮らす事になってますのでその影響だと思われます」

 リンとマメールの話を聞き、闇堕ちってより鏡に写った正反対の自分が実体化したものか、と自己完結するトクマ。

リンク「となると……今回、館に侵入してきたヤツラはサンドリヨンと吉備津彦、美猴のアナザーキャストって訳か」
当麻「上条さん的にはあの美猴があの威厳溢れるお猿さんになっていることに驚きだけどな」





































美猴「猿って言うんじゃねぇ!!」
当麻「うぉっ!?」
トクマ「美猴!? お前ケガ治ってねぇから安静にしとけって言われてただろ!!」

 突然、会議室の扉が力強く開かれ、身体の至る所に包帯が巻かれた美猴が会議室に入ってきた。

美猴「そんなの関係ねぇ! いいか、あの大聖ってヤツは俺様の未来の姿だ! だったら、決着けりを着けるのは当然俺さ——」
???「大人しくしろ」
美猴「ウキャ」

 倒すのは自分だと主張する美猴。その美猴を後ろから頭を掴み、地面に勢いよく叩きつけて気絶させたのは女性だった。

 身体の起伏が少なく銀髪のショートカットに白衣を着ていて十人中十人が美人と答えるが、目つきは鷹のように鋭く、見る者を萎縮させるような冷たさと威圧感を感じる。

 そんな謎の女性にマリオは気さくに話しかけた。

マリオ「いや〜ありがとなクレイジー! 怪我人だから迂闊に触れなかったんだよ」
クレイジー「コイツが病室から勝手に脱け出したんだ。安静と言ったおれの言葉を聞かなかった時点で力づくで止めても構わなかったんだぞ?」
マリオ「いや、流石に仲間には振るえねぇよ」

 謎の女性——クレイジーは不適に笑いながらマリオに実力行使を許可するがマリオは苦笑しながら否定する。

 するとクレイジーはとある方向——トクマの方を突然振り向いて睨み、トクマはクレイジーの視線に気が付いて逃走の準備を止める。

クレイジー「……トクマ? ゼルダから話は聞いたぞ……お前、ハスターの力を使ったんだってな? 何故、己の所に来なかった?」
トクマ「いや、その、あ、あの時はシュネーに呼ばれてサンドリヨンが大変だって言われてドタバタしてたから来れなかったんだ」
クレイジー「……今はドタバタしてないんだな」
トクマ「はい!!」

 瞬間、クレイジーの手からメスが高速で飛ばされ、トクマの顔スレスレで通りすぎて後ろの壁に突き刺さった。

クレイジー「ハスターの力を使ったなら己に報告して検査を受ける約束だったハズだよな……後で検査に来い。来なければ……解剖バラすぞ」
トクマ「イエッサァァァァァ!!」

 震えながら土下座するトクマを見て、クレイジーは満足そうな表情をしながら気絶した美猴を引きずって会議室を後にした。

ルキナ「……あ、あの、何故、リンさんはアシェンプテルを裏切ったのですか?」

 クレイジーが来た雰囲気を誤魔化すかのようにルキナがリンに質問する。

リン「……私はアシェさんの企みに気付いてやめるよう説得しましたが聞く耳持たず……せめて内容を聞こうにも聞かせて貰えないまま、無理矢理牢屋に幽閉されましたわ」
マリオ「だが、ここにいるということは協力者がいるのか?」
リン「……えぇ、マリオさんの言う通り私の他に止めようとしてくれた人物がいたのですわ……自分達が逃がすから、私に何とか対抗策を考えてと言われて無我夢中に逃げて……でも……結局は……」

 自分がここまで来た経緯を語るも結局は止められなかった責任で言葉に力をなくすリン。その様子を全員は心配そうに見る。

トクマ「……あの、リンクさん」
リンク「どうしたトクマ?」
トクマ「……サンドリヨンはどうなりましたか……診て貰ってるからゼルダさんから何か聴いてないでしょうか……」

 トクマがリンクの肩を軽く叩いて、サンドリンの安否について話しかける。

リンク「……ケガは酷くないし魔力にも変化はなかった……だが……彼女の象徴でもあるスキルやガラスのブーツ、双剣が発現出来ないんだ」

 リンクの言葉にゼルダから事情を聞いて知ったマリオ以外が驚愕した。童話シンデレラにおいてガラスの靴はサンドリヨンの象徴とも言えるモノ。それが出せなくなったという事は今のサンドリヨンは町娘と言われても間違いじゃない。

マリオ「恐らくだが、シュネーから聞いた水晶の事だろうな……何か秘密があるに違いない」
リンク「ロビンにも話をしたら、その水晶に心当たりがあるかも知れない人物がいるから聞きに行くそうだ……欲深く、見た目がアラビアンナイトに出てきそうな人物だって言ってたな」

 マリオの解析による言葉にトクマはアシェンプテルが持ってた水晶を思い出す。そしてリンクの言葉に少し驚いた。

トクマ「……そんな人物がロビンの知り合いにいることが驚きなんすけど」
リンク「まぁ、そこには色々な理由があるんだろ」

 トクマの言葉にリンクは苦笑して返すが、あくまで心当たりがあるというだけ……なければ振り出しに戻ってしまう不安が隠れていなかった。

マリオ「しばらくは周囲を警戒しながらサンドリヨンのケアを頼む……彼女は甘える事が苦手だからな……もしかしたらオレ達が気付かない内に背負ってる場合がある」

 マリオの言葉に全員が首肯き、会議室から速やかに退出した。



 まだ続くから、コメントはまだ!!

別の自分とゆるキャラと衝撃発言 ( No.207 )
日時: 2017/07/03 22:08
名前: トクマ (ID: iXLvOGMO)



アリス「第一回!」
ピーター「サンドリヨンを元気付けよう会議!」
アリス「はっじめっるよー!!」
トクマ「……おい」

 場所が変わって子ども部屋。子ども組のメンバーは意外に多く、中の構造は広い団体部屋になっており、ギャグカオス組がイタズラ会議やテレビゲーム等をよく行われる。その部屋でアリス、ピーター、ネス、ブラックピット、リンは『サンドリヨンを元気にしよう作戦会議』と書かれたホワイトボードにの前に立っており、トクマは手足を縄で拘束されていた。

アリス「なんでそんな機嫌悪いのー?」
トクマ「会議終わって出た瞬間に麻袋を頭から被らされて誘拐されたら、誰だって機嫌悪いわ!!」

 アリスの姿を隠すスキル——かくれんぼで姿を隠したアリスが会議室から出てきたトクマを持っていた麻袋を頭に被せ、素早くギャグカオス組全員で子ども部屋に連行したのだ。

トクマ「本当に勘弁してくれよ……クレイジーに見つかったらやベェんだからさ……」
アリス「大丈夫だよだいじょーぶ!」
トクマ「……あいつの検査は拷問に近いものがあるんだよ……苦悶の声をあげたらうっとりした表情で喜ぶんだぞ! 視力検査でチラッと見たら恍惚こうこつのヤンデレポーズしながら喜んでたんだぞ!!」
アリス「……ダイジョーブデース」
トクマ「それダイジョーブじゃないよな!!」

 クレイジーハンドがドSかつ回復に携わっている事実にトクマは嘆くがアリスは目をそらしながら片言に答え、その様子にトクマは強い不安を感じた。

ネス「まぁまぁ、ここはボクたちを助けると思って手伝ってよ……ね?」
トクマ「……お願いするなら動物ビスケットと携帯電話をちらつかせるな……」

 ネスがさりげなく脅迫する事にトクマは呆れながらも強く否定したかったが、アリスとピーターに巻かれている包帯を見て良心が痛んだ。

 ……もう少し早く行けば、二人はケガをしなかったかもしれない。
 ……もっと強かったら二人は無事だったかもしれない。
 ……もし、自分が——

 少しばかりの葛藤を思考から切り離し、トクマはため息をはいて口を開いた。

トクマ「……はぁ……わかった。協力してやるけどその代わり、貸し借りは無しにしろよ」
アリス「うわぁーいやったー!!」

 ピョンピョンと跳ねるアリスをトクマは苦笑しながら見つめる。

 ……現金なヤツだな。

トクマ「それで、考えはあるのか?」
アリス「大丈夫! 作戦は考えてあるよ……題して『私、た○ぱんだ! 特技はブレイクダンスだよ!』大作戦!!」
トクマ「全然たれてねぇ!?」

 まさかの脱力系いやしキャラがアグレッシブな特技を持っていた事に驚きながらもアリスから詳しい内容を聴いた。

 要約すると……

①サンドリヨンを呼ぶ。
②着ぐるみを着てスタンバイしてた私達の誰かと遭遇。
③サンドリヨンの好物をプレゼントして部屋まで案内。そこには、ちょっとしたパーティー会場が……!
④みんなで食べてハッピー!!

トクマ「なるほど、ようは変装してサンドリヨンの好きなゴハンで元気づけるって事か……シンプルだがその分大きな失敗は少ないな」
ブラピ「そうだな……まずは正体がバレないように着ぐるみが必要だ」
リン「でも、サンドさんは精神が疲弊してると思いますわ……『疲弊してる状態で優しくされると死にたくなる』って美猴さんが言ってましたわ」

 あまり失敗がなさそうな内容にホッとするトクマ。ブラックピットとリンの意見にアリスは指パッチンしながら答えた。

アリス「となると、ツンデレみたいな感じで話しかければいいんだね!」
トクマ「どうしてそうなった」

 まさかの迷推理(誤字ではない)にツッコミをいれるがお構いなしにサクサクと会議が進んでいく。

リン「それと甘いものですわね……でも、バウムクーヘンだけだとあまり……」
ブラピ「そうだ! この前フックが蟹を獲ってきた事を思い出したぜ!」
ピーター「いいなそれ! たまには役にたつじゃねぇか!!」

トクマ「……頼むから……マシな作戦になってくれよ……」

 トクマの心中を無視して、会議は進んだ。



 そして、作戦開始となった。



サンドリヨン「アリスからサプライズがあるって聞きましたが……一体、なんでしょうか……?」

 アリスに呼ばれて目的地である子ども部屋へと向かうサンドリヨン。曲がり角を曲がってまっすぐ行けば子ども部屋に辿り着く。

サンドリヨン「!?」

 しかし、曲がって目に入ったのはある着ぐるみを着た誰か……その着ぐるみは——

サンドリヨン「…………」
???『こんにちわ、お加減如何ですか?』

 ——柔らかい声音でサンドリヨンへ呼び掛けるのは、白い風船の様な丸々とした柔らかそうなボディを持つ、洋梨型のロボットだった。某天才科学者の弟を持つ兄が作ったケア・ロボットのような外見を持つ風船ロボットだったが、球形の頭部から生えるの黒い髪の毛が違和感を見る者に叩き付けて来る。

トクマックス『私の名前は……トクマックス! 貴女の心と身体を……ケアしない!! 怪我をして痛い? 唾付けてすっこんでろ! 心に傷? 根性でどうにかせい!! しかし、それでも痛むならこのトクマックスがじっくりねっとりと入念なケアを——』





















































 ボトッ!(トクマックスから蟹が落ちた音)

サンドリヨン「蟹が産まれた!?」

 謎のツンデレ(?)口調で話してた未知の生物から蟹が産まれた事に驚きと動揺が隠せないサンドリヨン。

 実際には隠し持っていた蟹を落としてしまっただけなのだが、彼女が知るよしもなかった。

トクマックス『……』
サンドリヨン「……」

 落としてしまった蟹を無言で拾うトクマックス、それを黙って見つめるサンドリヨン。

トクマックス『……』
サンドリヨン「……」

 拾った蟹を持ったまま進むトクマックス、トクマックスが進むと同時に後退するサンドリヨン。

トクマックス『……』
サンドリヨン「……」

 進む、退く、進む、退く、前進、後退、前進、後退、後退、前進、前進、後退を繰り返す二人(?)

トクマックス『受け取ってェェェェ!!』
サンドリヨン「イヤァァァァ!!」

 しびれを切らしたトクマックスが蟹を持って全力疾走し、サンドリヨンは悲鳴を上げながら全力でトクマックスから逃げる。

トクマックス『これ、歩きに——クヴェ!?』

 すると着ぐるみのせいで歩きにくかった足が躓いてトクマックスは盛大に転び、その隙にサンドリヨンは遠くまで逃げていってしまった。

アリス「ん〜……失敗しちゃったねぇ……」
ピーター「いけると思ったんだけどなぁ……やっぱ箱にいれとけば良かったなぁ……」
ネス「いつもと同じ感じだとダメかぁ……人を喜ばすサプライズって思ったより難しいね……」
リン「なんの! 次こそは成功しますわよ! サプラーイズ!」

 心配して隠れていたメンバーも失敗したことに理解したのか、肩を落として出てきた。どうやら、着ぐるみに入っていたのはトクマだったようだ。

ブラピ「……そういや、さっきからトクマの反応がないな」

 そのトクマからリアクションがない事に気付いたブラックピットがトクマックス——トクマの様子を見ると、何やら喉を押さえて苦しんでいるように見えるジェスチャーをしていた。

ネス「ねぇ……もしかして……」
アリス「あ、ネッスンも思った?」
ピーター「奇遇だな。オレもだ」
ブラピ「てか、この場の全員が思ってるよな?」
リン「そうですわね」

五人「あいつ、バウムクーヘン喉に詰まってね?」

 全員がトクマの様子に声を揃えて言うと同時にトクマが力なく倒れた。

トクマ『……がふ………………』
アリス「クマちゃぁぁぁぁぁん!!」
ピーター「おい! 早く気道を確保しろ!」
ブラピ「バウムクーヘンが喉に詰まって亡くなったなんて笑い話にもならねぇぞ!!」
リン「しっかりするですわ!!」

 事の深刻さに慌てて処置をする五人。暫くして復活したトクマがいたことだけは記しておこう。


 まだまだ続くよ! コメントはまだ!

別の自分とゆるキャラと衝撃発言 ( No.208 )
日時: 2017/07/03 23:25
名前: トクマ (ID: iXLvOGMO)

 ネス達と別れ、トクマはアリスと共にクレイジーがいる医務室に向かっていた。

トクマ「……死ぬかと思った」
アリス「ごめんねクマちゃん……まさか、ああなるなんて……」
トクマ「気にすんな。もう終わったことだ」

 まさかプレゼント用のバウムクーヘンが喉に詰まって死にかけるアクシデントがあったものの無事であることにホッとするトクマ。アリス自身も今回は純粋にサンドリヨンを元気付けようとしたのでお咎めはない事にした。

アリス「あ、サンドちゃん!」
サンドリヨン「……トクマさん。アリスさん」

 売店の前で向こうからサンドリヨンが歩いてきた事に気付いたアリスが声をかけた。

サンドリヨン「申し訳ありませんアリス、サプライズを用意してくれたのにも関わらず行けなくて……」
アリス「あ、あはははは、気にしなくていいよーサンドちゃん」

 ……流石にベイマックス擬きがサプライズなんて言えないよな……

 サンドリヨンの言葉にトクマとアリスは苦笑して答える。

アリス「そ、そうだ! あのねサンドちゃん! ピーターから蟹を貰ったの! 他にも私達で美味しい料理を作ったから良かったら——」




サンドリヨン「……遠慮しときます」
アリス「——……え……な、なんで!?」
サンドリヨン「今は食欲がないので、お気持ちだけ受け取ります……ありがとうございます……アリスさん……」
アリス「……サンドちゃん……」
トクマ「……」

 アリスの誘いを申し訳なさそうに笑って断るサンドリヨンだが、二人に見せたのはいつもとは違う、どこか痛々しい笑顔。例えるなら、ヒビが入ったガラスのような印象だった。

 踵を返して二人から去っていくサンドリヨンに二人はかける言葉もなく、その背中を眺めるだけだった。

トクマ&アリス「……」
マリオ「思ったより、堪えてるな」

 二人の後ろから声が聞こえて振り返るとマリオがおり、その後ろに青い大胆なドレスを着た白いバラが目立つカチューシャを着けた女性と水色のゴスロリを彷彿させるようなドレスを着たツインテールの少女がいた。

トクマ「……えっと……誰ですか?」
マリオ「あ、お前は初対面だったな。ロードピスとチェネレントラ、サンドリヨンがお姉さまと慕う二人だ」

 マリオにカチューシャの女性——ロードピスとツインテールの少女——チェネレントラを紹介されて目を点にするトクマ。その様子にロードピスとチェネレントラは苦笑し、トクマを下から上へと観察し始める。

ロードピス「……へぇ……聞いた感じとは違って思ったより普通なんだな……でも、脚は異常に発達してる……」
チェネレントラ「グランマ大婆さまも嬉々として語っていたのでどんな人物かと思えば……本当にこの男が?」
トクマ「とりあえず、何を聞かれたかすごい気になるけど……サンドリヨンが思ったより堪えているってどういう意味なんですか?」

 グランマがこの二人に何を語ったのか気になるトクマだが、それよりもマリオの言葉について質問した。

マリオ「言葉通り、サンドリヨンは少しうつ病に近い状態になっている」
トクマ「それって……ガラスの力を失ったからか?」
アリス「じゃあ、それが元に戻ればサンドちゃんは元気になるんだね!」

 トクマとアリスの言葉にマリオは静かにゆっくりと首を横に振る。

トクマ「……何でだ? 元に戻るんじゃないのか?」
チェネレントラ「さぁ。結果は違うかもしれませんがサンドリヨンは変わらないままでしょうね。サンドリヨンは私から言うに『臆病者』だわ」
アリス「サンドちゃんが臆病者? でも……」
ロードピス「戦うときは勇敢に見えるが、それは彼女の廻りに仲間がいたからだ。サンドリヨンはそれを失うことを恐れて、真っ先に自分から誰かを守ろうとしていた。つまり、逆に言えば、誰かが自分から離れることを恐れているのだ」
アリス「私達は別に離れていくつもり…………」
ロードピス「ない、だろうな。しかし、サンドリヨンはそうとは思えない。なぜなら、彼女は知っているんだ……いや、植え付けられていると言ってもいいだろう。彼女は『孤独』という寂しさを知っている。さらに『死』という予想外な形で離れていくことを知っている。一時期は誰にも心を開かなかったことを踏まえて、な…………」

 ロードピスとチェネレントラの口から語られた言葉に衝撃を受けつつも、トクマは否定することが出来なかった。孤独を知っていたから反論出来なかった。

 ——寂しいことは辛い
 ——誰かがいないということは空しい

 孤独は人を弱くさせるモノ。彼の過去にもそんな事があった。理解者がいない毎日を過ごす事は孤独であり、苦痛であった。

 誰もいないということはとても悲しくて寂しいことである。

 ……そういえば、童話であるシンデレラは実の母親を亡くし、そのあとに来た継母や彼女についてきた義理の二人の姉と住んでいたって事は……サンドリヨンも……

ロードピス「話をまとめれば、サンドリヨンに自信を付ければなんとかなるけど……」
チェネレントラ「そう簡単に都合の良い作戦は起きないですわ……」

 綺麗に話をまとめたロードピスとチェネレントラだが、今のサンドリヨンにはどうやって自信を持たせるか頭を悩ます。

マリオ「そうか? 俺は一つだけ提案があるぞ?」

 ………………………………は?

 あまりの出来事に一瞬だけ、思考を放棄した四人。ギギギ、油を差してない機械のような音を出しながらマリオを十秒程見つめ、ダムが決壊して溢れだした水のようにマリオに詰め寄った。

ロードピス「マジであるのか!?」
チェネレントラ「ウソではないですわよね!? ウソならば容赦しないわよ!!」
アリス「本当! それ本当なの!!」
トクマ「ドッキリじゃないよな! ドッキリだったらマジで許さねぇからな!!」
マリオ「落ち着けって、マジだから離れて離れて」

 マリオの言う通りに離れながらも期待を目に宿すロードピスとチェネレントラ、全身から喜びが満ち溢れているアリス、感心の眼差しを向けるトクマ……しかし、それはすぐに消えることになる。






































マリオ「トクマ、サンドリヨンとデートして来いよ」










































トクマ「………ハァァァァァァ!?」


 物語は、変速し、迷走する。



 終わりです! 感想やコメントOKです!!