二次創作小説(映像)※倉庫ログ

私と俺とシンデレラ ( No.290 )
日時: 2017/09/22 18:18
名前: トクマ (ID: /ReVjAdg)

 今回から大長編のラストにその物語のイメージとなるBGMを流そうと思います。まだ試験運用のだんかいですが、より楽しんでくれたなら幸いでございます。


BGM:プライド革命


 後日談。今回のエピローグ。

 あの後、アシェンプテル達の処分は保護観察及び長期の無償奉仕である。

 これにはルイージやフォックスが一枚噛んでいるとトクマはゼルダとピーチ姫から聞いた。闇の軍勢に立ち向かえる充分な戦闘能力を持った人材をなくすには惜しいと説得したようだ……まぁ、強情なヤツには時折黒い部分を見せて黙らせたと言う聞きたくない事も聞いてしまったが、そこは余談である。

 ジーンについては簡単に言うと、スマブラ館の一員として転がり込んだ。彼いわく『こっちにいる方がお宝ちゃんに会える確率が高くなる』らしい……現にトクマが持つ武器の『ハストゥールの鍵』を狙っている。

 そして、彼らは何をやっているかと言うと……——

マリオ「マスターハンド。これで良いのか?」
マスター「ありがとう。次はこっちをお願いね」
マリオ「おう」

 メンバー数人で館の壊れた壁の復旧作業をしている。

 何分、トクマとサンドリヨンの二人を見ていたのはメンバー全員だったので修理にあてがうのを忘れてしまっていた。他のメンバーにも未だに壊れている橋の修理に呼ばれ、余ったメンバーで館の壁を修理しているのだ。

大聖「創造神。これはこちらか?」
マスター「そうそう。ありがとうね大聖くん」
大聖「礼に及ばず」

 そこにはアナザーキャストの姿もあるが、殆どのメンバーは早いスピードで馴染んでいった。その中でもリンや大聖、メロウの三人は元々争う気がなかったので仲良くなるのに時間はかからなかった。

ヴァイス「大聖のヤツ。早くも馴染みやがったな」
スカーレット「元々争う気はなかったみたい……ヴァイスも少し素直になったらいいと思うわ」
ヴァイス「断る。馴れ馴れしくするぐらいなら舌を噛み切った方がマシだ」

 ヴァイスはなんとスカーレットと身内だった事から驚かされたが、少しずつ仲良くなっている……口が悪い事を除けばだが……

美猴「……見ねぇ内に仲良くなってやがるな……前までは敵対してたのによ」
リンク「それが俺達だろ……ここはスマッシュブラザーズ……善悪混合、清濁併せ呑みした奇人変人超人集団……たかだか女一人の事情で潰れる程ヤワな奴はいないだろ」
美猴「違いねぇな」
深雪乃「本当にそうよね!」

 美猴とリンクの話を異様にテンションが高い深雪乃が反応し、その様子に二人は引き気味に少し後退する。

美猴「……おい、雪女の嬢ちゃんが怖いくらいテンションが高いけど何があったんだよ」
リンク「多分、トクマとサンドリヨンの事じゃないのか?」
深雪乃「その通り!!」

 深雪乃の反応にリンクと美猴はさらに後退する。

深雪乃「話を聞くと中々熱い内容だったじゃない! 記憶を忘れてもなおも帰ってくると信じて戦う戦士、その戦士の想いに答える為に走る女騎士、そして最後に二人は……デートをしてただけでも美味しいのにあんな熱いモノを見せられたらたまらないわよ! これはあの二人の仲が急接近間違いなしよ!!」
ルキナ「あの二人が……」
ルフレ「……ねぇ……」

 マシンガントークで熱く語る深雪乃。そして、件の二人に目を向けるルキナとルフレ……その二人は……

トクマ「…………」
サンドリヨン「…………」

 険悪な雰囲気で睨みあっていた。

深雪乃「……え? 何であんなに険悪な空気が流れてるの……まさか倦怠期」
ヴァイス「なわけねーだろ……聞いてて呆れたよ」

 深雪乃の言葉に呆れを含んだ声色で答えるヴァイス。険悪な空気でトクマが口を開いた。

トクマ「……サンドリヨン……お前がどんなに言おうと、オレはこの答えを曲げない」
サンドリヨン「……私もです」

 静かに語るトクマをサンドリヨンは頷く、ただならぬ空気が流れる中でトクマが動いた。

トクマ「ジブリのナンバーワンはもののけ姫に決まってるだろ!!」
サンドリヨン「いいえ、天空の城ラピュタに違いありません!!」

 その言葉に深雪乃は滑るような感じでこけた……そこ、古いと言わないように……

深雪乃「……えぇ……ジブリ討論……」
ヴァイス「心配して損するだけだ」
スカーレット「……ということはヴァイスは一度だけ心配し——」
ヴァイス「黙ってろ……おい、その生暖かい視線をやめろ。やめろつってんだろ!!」
ルフレ「あのアーパー天パが誰かを好きになるにはまだ遠いだろ」

 ため息を吐くヴァイスだが、スカーレットの指摘で数人がヴァイスに優しい目線を向けられ、怖くない威嚇をする……ルフレはトクマとサンドリヨンの様子を見て、思わず呟いた。

トクマ「もののけ姫はアシタカとサンの絡み、そして最後には想いを伝えるシーンとか心を掴まれて良いだろ!!」
サンドリヨン「それなら天空の城ラピュタの方がいいです! 目玉焼きを乗せたトースト、温かいシチュー……この美味しそうなご飯に隙があるとでも思いますか!」
トクマ「隙だらけだよ! 心を掴まれるどころか胃袋掴まれてんじゃねぇか!」
サンドリヨン「……気のせいです!!」
トクマ「口の端によだれが出てるぞ」

 まるで仲の良いクラスメイトのように話し合う二人を見て、苦笑するメンバー達。

美琴「あの二人が恋愛に発展するのは難しいと思うなぁ……進展なさそうだし」
当麻「だよな。どっちかと言うと相談相手みたいなポジションで落ち着きそうだな」
深雪乃「……ワンチャンあるはず……」
シュルク「ないですよ」
シュネー「その通り! 絶対にないです!!」
ピーチ姫「そうとは限らないわよ」

 深雪乃の言葉に笑いながら否定するシュルクと強く否定するシュネーだが、ピーチ姫が待ったをかけた。

シュネー「どういう意味ですか?」
ピーチ姫「理由は簡単……前の二人ではあんな話はしなかったわ」
美琴「言われてみれば、そうね」

 ピーチ姫に言われ、反応する美琴にシュネーは恐る恐るシレネッタに話を聞く。

シュネー「前のお姉さまとあの男はどんな感じだったんですか?」
シレネッタ「前の二人ってお互いが遠慮しあってたかな? そして大喧嘩してから少しだけ近付いて、今回の騒動であんな感じかな?」
シュネー「進んでるじゃないですか!!」
ピーチ姫「Exactly!」

 シュネーの反応に発音よく答えるピーチ姫。

サンドリヨン「と、とにかくラピュタが一番です!」
トクマ「いや、もののけ姫だ!」
アシェンプテル「何をしている……油を売ってないで作業をしろ」

 譲らない二人の前に建設作業用の服装——土木着を着たアシェンプテルが現れ、注意する。

トクマ「アシェンプテル! お前はどっちなんだ!」
アシェンプテル「いや、何がだ」
サンドリヨン「もののけ姫かラピュタ……アシェはどっちなんですか!」

 二人の勢いに押され、アシェンプテルは少し考えてから答えた。

アシェンプテル「……もののけ姫」
トクマ「イエス!!」
サンドリヨン「そんな……!?」

 アシェンプテルの答えに大きくガッツポーズをするトクマと頭を抱えるサンドリヨン。その様子を見て、アシェンプテルは少しだけ苦笑する。

サンドリヨン「……なんで……何でですか!!」
アシェンプテル「普通にもののけ姫のストーリーが好きだからだ」
トクマ「これで2対1だな」
サンドリヨン「……むぅ……」
シュネー「いえ、2対2です!」

 トクマとアシェンプテルの前にシュネーが滑りながら登場した。

サンドリヨン「シュネーヴィッツェン!」
シュネー「お姉さまがピンチなら私は駆けつけます……それに……私は(お姉さまが
)大好きです!!」
サンドリヨン「シュネーヴィッツェン……私も(ラピュタが)大好きですよ!」
アシェンプテル「……おい。何か違和感があるんだが……具体的には食い違いが……」
トクマ「いつもの事だから気にすんな」
アシェンプテル「いつもなのか!?」

 何故か百合空間が展開されて戸惑うアシェンプテルだが、トクマの言葉に驚く。

ゼルダ「みなさん。昼ご飯が出来たので休憩にしませんか?」
ドレディア「ディーアー!」
マスターハンド「時間もちょうどいいね。みんなー! 昼ご飯にしようかー!」
全員「はーい!」

 マスターハンドの言葉に全員が作業を中断して昼食をとろうと動く。

サンドリヨン「いきましょう。アシェ」
アシェンプテル「……あぁ、わかった」
トクマ「……」

 その様子を見てサンドリヨンはアシェンプテルに手を伸ばし、マスターハンドのところまで引っ張っていった。シュネーは後から二人を追いかけ、トクマはサンドリヨンとアシェンプテルを見つめる。

 ……サンドリヨンとアシェンプテル……似て非なる二人だけど一つだけ共通点があった……

 ……“孤独を嫌う”……サンドリヨンは誰かを護る為に孤独を背負いながら戦い、アシェンプテルは居場所を求めて孤独に苦しみながら戦い続けた……

 ……もしかしたら、シンデレラの願いは……本当の願いは王子との結婚でもなく、義理の姉への復讐を果たすことでもなく、ぶとうかいに行く事でもなく……

サンドリヨン「トクマさん! 早く食べましょう!」
アシェンプテル「急がないとなくなるぞ」
シュネー「ドレディアちゃん。これも食べていいですよ」
ドレディア「ディアー!」
トクマ「オレの分をドレディアに渡すんじゃねぇぇぇ!!」

 ……心許せる誰かと一緒に、ご飯を食べる事じゃないだろうか……そう思っても、バチは当たらないだろう……

 そう思いながら、トクマはマスターハンドの所まで走り始めた。

 お茶をイッキ飲みし、喉を潤したトクマにサンドリヨンがよそったご飯を渡した。

サンドリヨン「どうぞ、トクマさん」

 シンデレラは、今日も輝く笑顔を見せていた。


 あとがきがあるので、しばらくお待ちください。