二次創作小説(映像)※倉庫ログ

QUEST8:廃墟の探索(後編):その1 ( No.11 )
日時: 2016/05/13 08:13
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)

前回の続き。
調査を続けていくうちに、『継承の宝冠』のありかが鍵となる事を知った一行。果たして、宝冠を見つけ出して見事クエストを達成できるのか……!?
ヴァンガではダクイレのフロスティとバミューダのコーラルが楽しみ。






ルイージ「明るいのに不気味だね……;」

家康(BASARA)「無理もあるまい。本音を言えば、ワシも入るには抵抗がある……;」

その日、アムと瑠奈から隠し扉の情報を得た一行は廃墟の入り口を前に全員集まっていた。しかし、肝心の廃墟は朝方とはいえ不気味さは変わらない。まぁ、さとゆりさん曰く「リリーハウスの住人や近くの町の人たちでも入る人は滅多にいない」と言ってるらしい。

ジェイド「隠し扉の件は憶測の域を出ませんが、他に手掛かりが無い以上ここを調べる他ありません」

ルイージ「それじゃあ落ち合う場所はここで良いね?」

ジェイド「皆さんこれを。私が昨夜見取り図を写してきました」

探索は昨日と同じく少人数を組んで向かう方法だった。そして午後13時にこの場所で落ち合うと言いつつ地図を配った後、それぞれ行動を開始するのだった。





家康(BASARA)「牢屋か。こんなところまであるとはな」

牢屋へと足を踏み入れた家康(BASARA)、ジョナサン、ルイージの3人。ただでさえ薄気味悪い場所だというのに、地下には今にも幽霊が襲い掛かってきそうな雰囲気だった。

ジョナサン「今日はあの幽霊が出てくる日。宝冠が見つかれば何とか話をわかってくれるかもしれない……」

瑠奈「でも、もしそれが無かったら……?」

ジョナサン「今その話は無しだ。手掛かりを……あれ?」

手掛かりを探そうと足を踏み出した途端、ジョナサンが異変に気付いて立ち止まる。ルイージと家康(BASARA)が彼の異変に気付いて声を掛けようとするも、ジョナサンは口の前に人差し指を立てて音を立てないようにし、ゆっくりと膝をついて足元の床を叩く。すると意外にも音が響いて返ってきた。

ジョナサン「……この下に部屋がある」

家康(BASARA)「娘が言っていた隠し通路の件か」

瑠奈「他の人たちが何か見つけてると思うけど……」



ナカジ「上の階への階段は、この辺りのはずだけが……」

承太郎「この有様じゃここから上へは行けないな」

ナカジ、承太郎、ジェイドの3人は見取り図を頼りに階段を探していたが、朽ち果てており、とてもここから上れそうに無い。

ジェイド「文献にあった見取り図を写したんですが、別の場所へも行って見ましょう」

再び地図を広げ、別の階段を探しに向かう。古い文献の地図を写し、1階廊下を中心に探索する。ぐるりと廊下を一周する中でまだ上っても大丈夫そうな階段を発見。慎重に上っていった。
上の階も当然荒れ果てており、床の所々に穴が開いている。慎重に進まなければ1階に落ちてしまい、怪我ではすまないだろう。

承太郎「地図からして、ここは王の部屋か」

ジェイド「机が辛うじて原形を保っている……これだけでも奇跡ですね」

王の自室と思われる部屋にたどり着いた3人の得に真っ先に止まったのは、辛うじて原形を保っていた机だった。崩さないように慎重に引き出しを開けると、1枚の紙を見つける。

ジェイド「これは、日誌の切れ端みたいですね」

ジョナサン「へぇ、王様でも日記を記すなんて、結構意外だね」

承太郎「1千年前の文字を解読できるのか?」

ジェイド「ええ。一応解読は出来ますが、古過ぎて文字がかすれて読めない所もある見たいです」

ジェイドが紙切れの文字を解読用メモと照らし合わせて解読を行うのだった。


——誰だ?


ナカジ「ん?」

調べていく中、突然響いた声にナカジが振り返る。
声の主は、よく見たら部屋の隅に佇んでいた、高貴そうな服を纏った初老の男性の霊だった。

ジェイド「あなたは?」


——私は嘗て、王の教育係を勤めた者だ。今となってはさまよう亡霊だがな。


どうやらナカジ達への敵意は無いらしい。すぐにこちらも戦闘態勢を解き、話を伺う事にした。

ナカジ「んで、どうしてここにいるんだ?」


——最後の戴冠の儀を見たかった、と言った所ですね。


ジェイド「最後の?ですが、あなたの国って……」


——そう、我らを目の仇にする敵国と通じていた裏切り者の手で滅ぼされたあの日だ。丁度、総司祭が継承の宝冠を取り出す直前だったんですよ。


ジョナサン「取り出す直前?つまり、あなたは宝冠のある隠し扉の存在を知らなかったのですか?」


——いやはや、これは想像だがそれを知るのは歴代の総司祭のみだったんだ。彼らは次の総司祭に秘密裏にその隠し扉を教えてきたのです。


ジェイド「なるほど。すみませんが、後一つ。戴冠の儀の方法を教えてくれませんか?」


——……残念ですが、それにはお答えできません。あの儀式は王族と騎士団の関係者しか見ることが出来ないのです。


ジェイドの答えに教育係の亡霊はこう伝えた。どうやら門外不出の方法らしく、ジェイドもそれを汲んで追求せず、ジョナサンたちを連れて別の場所の散策に向かった。



後半開始!

QUEST8:廃墟の探索(後編):その2 ( No.12 )
日時: 2016/05/13 08:17
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)



謁見の間。


ルイージ「まさか同一サイドの人が偶然3人が一つに集まるとは……」

アム「私も思わなかったわ」

ルイージ「あ、そうだ。2人にこれを渡しておくよ。幽霊に出くわした時に使ってみて」

一方、謁見の間を訪れた3人は場所の雰囲気に似合わない話をしながら部屋を捜索していた。偶然にもそこは謁見の間であり、隠し扉の可能性があるとすればここだろう。
その隠し扉の居所を突き止めようとするルーナが真っ先に睨んだのは奥に佇む玉座だ。

ルーナ「大抵はこの玉座が動かせるようになっていて、玉座をズラせば……って、あれ?かなり重い……!」

早速玉座を動かそうとする物の、それはまるでつっかえ棒によって固定されているようにピクリとも動かない。

ルイージ「無理だよ。ここに来る前文献を見たけど、それはそこに地中の中にある大理石の一部から直接彫られたんだ。つまりその玉座は埋まっている大理石の氷山の一角。人の手で動かせられないよ」

ルーナ「でぇぇッ!?つ、つまり……ここじゃないってこと……?」

ルイージから言われた事実にルーナががっくりと膝をつく。アムはそんな彼女を気にせず謁見の間をくまなく調べてみる。そして模様を調べているうち、ある事に気付いた。

アム「この模様、玉座の裏だけおかしくない?」

ルイージ「壁の模様だけど、一つだけ円形の絵がある。他には無いって事は……!」

すかさずその円形を指で押してみると、ボタンの様に押し込まれ、その直後にカチリ、と何かの音が鳴った。その次の瞬間、重低音が謁見の間に鳴り響く。それと同時に円形の模様のすぐ右隣の壁が右へとずれていく。その奥は、確認できないほどの真っ暗闇な通路が続いていた。

ルイージ「…これが……」

アム「隠し通路!ルーナ、すぐ皆に連絡して!」

ルーナ「うん!」

隠し扉の存在が明らかになった事により、ルーナがすぐに連絡を入れる。
そして3分後、全員が隠し通路の前に集まった。

承太郎「これが例の隠し通路か」

家康(BASARA)「よくやったぞ!いやはや、もし見つけられなかったらワシが牢屋の床をぶち破っていた」

アム「そんなことしたら通路そのものが崩れ落ちちゃうんじゃないの?」

ジョナサン「ともあれこれはお手柄だよ。きっと宝冠はこの奥に……!」

既にこの場所以外は粗方探しつくした。残るは探していないこの隠し通路のみ……!

ジェイド「皆さん準備は良いですか?この奥を探索していきますよ……!」





隠し通路の床はホコリが積もっており、長い間通った痕跡が見当たらない。

ルーナ「千年以上も使われてないんだね……」

薄暗い隠し通路には壁に掛けるタイプの松明があったらしいが、肝心の松明は全て朽ち果てていて役に立たない。ジェイドがエナジーブラストを応用して簡易的な照明を使って奥へと進んでいく一行。

ナカジ「もう5分は進んでるが……まだなのか?」

ルイージ「隠し通路にしては結構長いね……;」

壁沿いに進んでいくうちに、小部屋のような部屋にたどり着いた。そこは先ほどの通路とは違い、ホコリが積もっていても壁の模様やつくりから、神聖な場所を思わせた。そしてその部屋の中央に立つ台座みたいな石柱の上に……!

瑠奈「あれが、継承の宝冠……?」

その上にあったのはホコリにまみれているものの、確かな存在感は失われていなかった。それは小さいながらも人の頭に被る物であるなら十分な大きさを持ち、宝石を的確な位置に埋め込んだ荘厳な造りが、ただの宝冠ではないことを示している。まるで、他を寄せ付けないようなオーラをかもし出している様なその姿に、一同口をぽかんと開けたまま立ち尽くしていた。

ナカジ「……っと、いけねぇ。早くこれを持っていくぞ。今夜、あの幽霊が出る前に目立つ所にこれを置いて、あの騎士が拾った所で継承の儀を執り行う。いいな?」

家康(BASARA)「解った。……おっと忘れてた。娘、あの宝石を」

アム「あ、そっか。この宝石を……」

早速宝冠に欠けている箇所に交差したような形のルビーをはめ込んだ。宝石はぴったりと欠けている箇所にはまり、継承の宝冠が完全な姿となる。その姿にアムは再び唖然となってしまった。

アム「………うわ…」

ルイージ「どうしたの?」

アム「あ、ゴメン。宝冠に圧倒されちゃって……」

その存在感は宝冠だけでも並みの物とは違ったのだろう。ともあれ完全な姿となった宝冠を回収し、そのまま廃墟を後にした。





その夜。リリーハウス。


ジョナサン「そろそろ時間だ……」

時間は深夜0時を迎える30分前。予め宝冠を入れた箱をリビングの目立つ所に配置し、全員部屋の陰に隠れて待機。その状態から15分過ぎようとしていた。

ジェイド「……来ましたよ」

そして問題の時間。昨日と同じくあの亡霊の騎士が姿を現した。昨日と同じ様に、亡霊は継承の宝冠を探しに辺りをうろついている。

亡霊『どこだ……宝冠……どこにある……』

ルイージ「あれがあの幽霊……」

承太郎「あの廃墟につれてって、継承の儀を行う。いいな?」

承太郎の言葉に全員が静かに頷く。それぞれ息を殺して待機しており、チャンスは亡霊が宝冠を発見して廃墟に戻った直後……!そうしているうちに、亡霊は宝冠の入った箱を見つけた。

亡霊『……!誰だ!』

ルイージ「え!?」

しかしあと少しという所で、気配に気付いた亡霊が手にしていた槍を投げつけてきた。突然の襲撃に思わず驚いたルーナが大袈裟に身を乗り出してしまった。

亡霊『お前らは……』

ルーナ「あ、えーっと私達は決して怪しい者じゃなくて……ほ、宝冠を届けに来たんです!」

亡霊『宝冠だと……?——おぉ、あれこそは……!間違いない!とうとう見つけたぞ!』

慌てて弁明して宝冠を示すルーナ。亡霊も目当ての物を見つけたことにより、さっきまでの不安感が消えてなくなり、宝冠を確かめる。

ジョナサン(あれ?意外と穏便に片付いた……?)

意外と穏やかなリアクションだったことに一時は全員これで済むか?と思った。しかし、その亡霊はうつむいたまま身体をわなわなと震わせている事に気が付き、それと同時に嫌な予感を感じた……。

亡霊『——お前らか……』

ルーナ「え?」

瑠奈(あ、これヤバイパターンだ……;)





















亡霊『お前らが宝冠を盗んだ敵国の連中かあああああああああああああああ!!!!!』

ルーナ「えええぇええええぇぇ!?」

ルーナ以外「デスヨネー!(泣」

なんと、ルーナ達を敵国の人間と勘違いを起してしまったあああああああ!!しかも、ただ激昂しただけではない。大声を上げた亡霊の騎士の顔は、頭蓋骨に口からタコのような触手が飛び出し、陥没しきった目は青白い炎が立ちこめ、その炎の激しさから怒りの度合いが十分に確認できる。すかさずジョナサンと家康(BASARA)が物陰から飛び出し、亡霊に弁明を試みる。




何でこうなった!?感想まだ。

Re: 小さな書庫の騒動2 ( No.13 )
日時: 2016/05/13 08:33
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)


何か不味い事態に……;




ジョナサン「待ってください!僕らはあなたと争う理由は無い!ただ宝冠を——」

家康(BASARA)「そうだ!ワシらが泥棒など……!」

亡霊『戯言で騙されると思うかァァァァァ!!!』

ジョナサン「うわぁ!?」

必死の弁明も空しく、問答無用と言わんばかりに亡霊はジョナサン達に向けて槍を突き出した突進を繰り出してきた。慌てて回避したものの、そのままリリーハウスの壁を直撃。騎士槍を引き抜いた痕には、一つのヒビもない風穴がぽっかりと空いていた。

ジョナサン「ひ、ヒビ一つ入ってない!まるでドリルで壁に風穴を開けたみたいにぽっかりと!」

亡霊『一点に集中すればこんなのはたやすい……今度は貴様らの胴に風穴を……!』

ジェイド「仕方ありません……!タービュランス!」

ルイージ「ルイージロケット!」

亡霊『うぉっ!』

追撃をしようとした時、ルイージの頭突きとジェイドの放った突風が襲い掛かる。死角からの攻撃を直撃し、盛大に体勢を崩してしまう。

ジェイド「作戦を変更します!総員戦闘態勢!」

ナカジ「頭に血が上って話が出来る状態じゃねぇぞありゃ!」

亡霊『やはり仲間がいたか……!』

承太郎「てっきり穏便に済むかと思ったが……まったくやれやれだぜ……スタープラチナ!」

亡霊兵士A『させるかぁ!』

承太郎「何ッ!?」

承太郎がすかさずスタープラチナを呼び出し、連続ラッシュを仕掛けようとするも突然現れた兵士の亡霊の攻撃に思わず飛びのいた。
いや、さっき承太郎を襲った兵士の亡霊だけでない。剣や弓を持った兵士達が現れる。亡霊の兵士らもまた亡霊の騎士と同じ様に口から甲殻類の脚を生やし、青白い炎が陥没しきった目からごうごうと燃えていた。

ルイージ「まだいたの!?エレキハンド!」

亡霊兵士『ぬぅん!』

すかさずルイージが反撃に出たが、亡霊兵士は身体を逸らしてダメージを軽減する。その間にも他の亡霊兵士がジェイドや家康(BASARA)に襲い掛かってくる。

亡霊『しぶとい連中め……!』

ジョナサン「やっぱり強い……!」

承太郎「おい、ちょっと思い当たる節があるんだが……」

ジョナサン「思い当たる?」

承太郎「さっき風穴を開けた一撃、あれだけ他と比べて直後の隙がデカい。つまり……」

ジョナサン「その隙を突いて攻撃か!解った!」

亡霊『何をごちゃごちゃ話している!』

再び仕掛けてきた亡霊騎士の攻撃を紙一重で避けるジョナサンと承太郎。その攻撃に生じた隙を見つけ、一気に畳み掛ける!

承太郎「スタープラチナ!オラオラオラオラオラオラオラオラ……オラァァァァ!!!」

ジョナサン「震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!刻むぞ、血液のビート!山吹色の波紋疾走(サンライトイエロー・オーバードライブ)!!!」

亡霊『ぐぅおあああああああああ!!!』

攻撃時に生じた隙を利用し、2人のジョジョが猛ラッシュを叩き込む!胴に無数の拳が叩き込まれ、勢い良く壁へと叩きつけられた!

アム「やった!?」

承太郎「一応クリーンヒットはしたけどな……」

亡霊『がぁ……!』

ジェイド「これでもまだ立っていられるんですか?人間なら意識を失ってもおかしくないですよ?」

瑠奈「いや、あの攻撃をダブルで受けたら普通の人でも死なないほうがおかしいから」

猛ラッシュを喰らっても直倒れない亡霊の騎士に最早賞賛したいような声が上がる。だが、そんな声は亡霊の騎士の次の行動に掻き消された。

亡霊『ヴォォォォォォォォ……!』

ルーナ「何?他のお化けがあの幽霊に吸い込まれていく……」

ナカジ「おい……アイツ、兵士を吸収してねぇか!?」

なんと、亡霊の騎士は兵士の亡霊を吸収したのだ!4体の亡霊兵士を吸収した騎士も姿を変えていく。顔と鎧には何も変化は無いが、腕が4本に増え、剣の刀身には青白い炎を纏わせている。しかも、さっきよりもオーラの強さと禍々しさが増している……!

亡霊『ヴグヴァアアアアアアアア!!!!』

ナカジ「どわぁ!コイツ、急にパワーが増しやがった!」

ジェイド「兵士4人分の霊力を取り込んで、更に力を付けたみたいですよ!」

4体分の亡霊兵士を取り込んだ亡霊の騎士は格段に強化され、より一層困難となってきた。詠唱を唱えようとしても、急に迫ってくる騎士の斬撃に詠唱を中断せざるを得ない。

ナカジ「御影の音!」

ルイージ「ファイアボール!」

ジェイド「グランドダッシャー!」

亡霊『温い温い温いぃぃぃぃぃぃぃ!!!』

ジョナサン「不味い……旗色が悪すぎる。このままでは最悪、全滅しかねない……!」

アム「そんな……!どうしたら……!」

旗色の悪い状況が続く中、アムのバッグの中でこつんと堅い物がぶつかる音がした。手探りでその物をさぐってみると、それは彼女にとって覚えのあるものだった……!

アム「ルーナ、バッグに『アレ』はあるよね?」

ルーナ「え?持ってるけど……」

アム「私の合図でそれを使って。多分、あいつを倒せる切り札になるかもしれない」

何かを思いついたらしいアムにルーナも意図はわからずとも頷いた。しかし亡霊の騎士は多数を一度に相手にしているにも関わらず、徹底的に攻め立てる。

ジョナサン「中々攻撃が通らない……!」

亡霊『まだ倒れぬか……ならば、奥の手で薙ぎ払ってくれる……!』

業を煮やしたのか、亡霊の騎士が槍を掲げて頭上で回転させる。回転する槍はドンドン勢いを増していき、穂先に蓄えられていく魔力も尋常な量じゃなくなっていく。この状況で彼らに解っているのは一つ。大技を繰り出そうとする事だった……!

亡霊『魂の一片も残さず消してくれる——』

アム「行くよルーナ!」

アム&ルーナ「消えるのはお前だあああああああああああ!!!!」

亡霊『わぎゃああああああああ!?!?!?』

大技を放とうとしたその瞬間、アムとルーナが何か投げ、それが亡霊の眼前で眩い光と共に爆発した!4本の腕は槍を持ったままで光を遮る事が出来ず、突然の強烈な光に思わず槍を落として悶絶する。

亡霊『ぎゃああああ!!!目があああああああ!!!?』

承太郎「オイ、どっかの大佐見たいな台詞を言ってるぞ」

ジェイド「私じゃないですよね?」

家康(BASARA)「娘よ。一体何を投げた?」

若き将軍が爆発した物の破片を拾いアムに尋ねる。それは球状の懐中電灯みたいな形状をしており、スイッチから見て時限爆弾みたいな物だろう。

アム「昼間にルイージさんから貰った『ストロボム』よ。隙を作れるかって思って正直危険な賭けだったけど……」

家康(BASARA)「それにしては効果絶大だなオイ」

そりゃそうだろう。暗闇の中、目の前で突然発光する爆弾を喰らったら某大佐(ジェイドじゃない)みたいな悲鳴を上げるのは無理もない。しかし、何はともあれ隙を作ることに成功した。ルイージがすかさず亡霊の背後に回り、オバキュームの出力を最大に設定して掃除機の口を亡霊に向ける!

ルイージ「さっきのお返しだ!オバキューム全開ぃぃぃぃぃぃ!!」

亡霊『ぎゃあああああ!!今度はなんだああああ!?』

突然身体が吸い込まれるような感覚に襲われた亡霊はすかさず空いている腕で槍を地面に突き刺してオバキュームの吸引に耐える。しかし、他の人物がこのまま黙って見過ごすわけがない。

ジェイド「エクスプロージョン!」

ナカジ「烈風の調べ:西の風!」

亡霊『ぬがあああああ!!ま、負けぬ……!』

すかさず爆炎と西側に吹きすさぶ風が亡霊の騎士を追い込む。しかし亡霊の騎士もしぶとく、必死の抵抗と言わんばかりに床に突き刺した槍と剣を放さない。

家康(BASARA)「いい加減……ぶっ倒れろぉぉぉぉぉぉ!!!」

亡霊『おぼああああああああ!!!』

トドメと言わんばかりに、家康(BASARA)の渾身の一撃が炸裂。空いていた腕でガードした物の、オバキュームの吸引力と先ほどのダメージで踏ん張りが利かず、ついにオアキュームに負けて吸い込まれていった。

ルイージ「やった……!うわっ!?」

漸く戦いが終わったと思ったら、ルイージが急に尻餅を付く。まるでいきなり何かに引っ張られた勢いに襲われたように。
突然の事に多少驚いた物の、ナカジがルイージに尋ねる。

ナカジ「どうした?」

ルイージ「まだ……まだ中でアイツが暴れて……うぉっ!」

なんと、あの亡霊の騎士はオバキュームの中でも封印されまいとしぶとく暴れていた……!本来なら狭すぎる空間と霊を鎮める特殊な作用で動けないはず。それなのにルイージごと動かしてしまうとなると、亡霊の騎士の凄まじさが嫌でも解った。
とかなんとか言ってる間にも亡霊の騎士はドカドカと必死に暴れ周り、オバキュームを背負っているルイージと共リビングを出て行った。

ルーナ「あれ、どこ行くんですか!?」

ルイージ「お化けに聞いてええええええ!!」

どの道このままではルイージが危険だ。急いで連れ戻そうと残った一行も後を追っていく。そして着いた場所が……


Re: 小さな書庫の騒動2 ( No.14 )
日時: 2016/05/13 08:37
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)



瑠奈「この道、まさかあの廃墟……!?」

亡霊が向かった先は、昨日と今朝探索した廃墟だった。そこまで来ると、ついに亡霊の騎士がオバキュームを破壊して外へと飛び出した!

亡霊『さっきはやってくれたな……!もう容赦せぬぞ……!』

ジェイド「…あまり使いたくなかったですが、こうなればオーバーリミッツとバサラ技で一気に倒しますよ!」

家康(BASARA)「そのようだな……!」

場所を移しての第2ラウンドが開始されようとした……その時だった。

亡霊『ゆくz「控えよ!」!?』

廃墟に突如威圧的な声が響く。全員驚いてその声の方角を向く。しかし、亡霊の騎士だけは先ほどまでの怒りが吹き飛び、逆に顔を蒼くしていた。
今まで誰もいなかったはずの門の前には、古くてボロボロであるものの、荘厳な模様をあしらったローブを着ており、纏っている人物は干からびたミイラみたいに細く、目も陥没していて虚ろになった目の奥で青白い炎が薄っすらと灯っている。しかし、その威圧感にはこの場にいた全員が息をするのも忘れてその場に立ったまま凍りついていた。

亡霊『こ、皇太子様!?』

皇太子『騎士団長よ。汝が無念のままこの世を去ってしまい、宝冠を取り戻せずにいたのは良く解った。私の為に、戴冠の儀を行おうとしていたのだな』

亡霊『……』

いつの間にか亡霊の騎士は兵士を吸収する前の姿になっており、その兵士たちも亡霊の騎士と同様、片膝をついていた。

皇太子『皆の者、彼が迷惑を掛けてすまなかった。私からもお詫びしよう』

ルーナ「だ、大丈夫です。あの、それより……」

皇太子『どうした?』

アム「戴冠の儀を行ってもらえないでしょうか?この人たち、この宝冠を探していただけみたいで……」

皇太子『そうだったのか……騎士団長』

亡霊『は、はいっ!』

皇太子『すぐに戴冠の儀を行うぞ!』

亡霊&亡霊兵士s『承知しました!』

すぐさまドタドタと慌しく戴冠の儀の準備に走り去っていった。
そして皇太子は向き直ると、改めて一行に謝罪する。

皇太子『申し訳ない。戴冠の儀は王族と騎士団関係者でしか行えない。他の者は悪いが、夜明けまで外で待っていてくれぬか?』

ジョナサン「…解りました」

どうやらその儀式は他人には見せられないようだ。あの亡霊ももう出ることもないだろうと判断した一行は大人しく外で待機する事となった。





そして午前8時。日も上がり、もう頃合だろうと思ったルーナを筆頭に、全員廃墟へと向かう。そこの謁見の間では時が止まったように、傍らで儀式を見守る教育係と司祭。そして、冠を授かった皇太子と片膝を付いている亡霊の騎士と兵士たちがいた。

ルーナ「あの……」

亡霊『……』

呼びかてみたが、全く反応がない。不思議に思ったルーナが亡霊の騎士の肩を軽く叩いた瞬間、突然身体が塵となり、鎧ごと崩れ落ちる。それと同時に皇太子も兵士も、教育係も司祭も、そして宝冠までもが崩れ去り、塵となって消滅した……。

ルイージ「じ、成仏、した……?」

ナカジ「……そうらしい。あいつらの望みが叶って、未練もなくなったんだろうな」

謁見の間に射し込む朝日がまるで、亡霊達を浄化しているように眩しく輝いていた……。





その後、依頼を完了して帰宅する一行。ナカジは帰宅、ルイージはスマブラ館でオバキュームの修理の為に2人と駅で別れる。

ルーナ「うぅ……本っっっ当に疲れたー;」

アム「向こうとこっちのクエストの違いが身に染みたかも;」

2人とも初めてのクエストで疲労困憊の状態だ。今日は向こうでも仕事は無いので狭間の館で小休憩してから帰宅しようと思い、狭間の館に向かう。
そしてエントランスに到着した時、ルーナがなにかに気付いた。

ルーナ「あれ?この扉……」

アム「どうしたの?」

ルーナ「クエストを受けた時は扉を閉め忘れてたんだけど、いつの間にか閉じてるのよ」

アム「誰かが閉じたんじゃない?」

アムに言われ、ルーナもそう思って自宅へと帰っていった。








彼女らが帰った後、無人であるはずの部屋の扉が、風も無いのに勝手に開き始めた……。





しずる「音也君、いい加減立ち直ったら?」

音也「あー、うん……」

その頃、聡明学園生徒会室では落ち込んでいた音也にしずるが心配そうに声を掛ける。口では大丈夫だと言っているものの、声には覇気が感じられない。
そんな彼を心配してか、ログとしずるだけでなく、シロエとマリアとクリスも現れた。

マリア「まだショックから立ち直れないの?」

シロエ「ある意味逆に感心するよ;」

ログ「音也、仕事もあるから落ち込むのはそこらへんにしとけ」

音也「はい……」

クリス「——っだー!鬱陶しい!音也!ちょっと来い!」

痺れを切らしたクリスが音也を連れて中庭に向かう。何事かと一行が思った次の瞬間……!












クリス「テメェいい加減シャキッとしろおおおおおおお!!!過ぎた事何ヶ月も引きずってんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!とっとと前向いて歩けゴルァァァァァ!!!お前の相棒は誰だか忘れたのかあああああああーーーー!!!」



ビシッ!バキッ!ゴキッ!ビシビシビシ!バキッ!ゴキッ!グシャ!ビシビシビシ!バキッ!ゴキッ!グシャ!ガシャーン!ガシャーン!ドゴォ!ズガガガガガガガ!ズドンズドンズドン!バキィン!バゴォ!ドッゴォーーーーーン!!!



契約キャラs「叱咤激励(物理)ですね解ります」

オイ(笑)。怒声から暫くして、クリスがボロボロになった音也を連れて帰って来た。

しずる「どうだった?」

クリス「怒声のひとつくらいは来ると思ってたんだが、全然意気消沈したままだよ畜生OTL」

ログ「重傷だなこりゃ;」

ぐうの音も出ない音也に軽い頭痛がしてきたログ。そんな時、一人の生徒が生徒会室に訪れた。

生徒「あのー会長、よろしいですか?会長と音也君としずるさん宛ての手紙が届いて……」

ログ「俺達宛て?誰からだ?」

その生徒の手には3通の封筒があった。封筒にはそれぞれ名前が書いており、自分の名前が書いてある。
早速封筒を破り、その中身を見てみると……!





本編はここまでですw


「あとがき」

今回はさとゆりさんからの依頼でした。廃墟の探索と幽霊退治でしたが、ルイージマンションみたいな感じだと何か物足りなく感じ、ちょっとアレンジを加えてみました。しかし、かなりgdgdになってしまったな;
最後の方はあのイベント関わることです。どんな事になるのかはお楽しみに。

さとゆりさんの『護衛中〜姫を護衛せよ〜』、『作者と愉快な仲間達の日常。』もお願いします。

そして……





















『逃走中〜ミラージュアイランドの陰謀〜』

COMMING SOON.

感想おk。