二次創作小説(映像)※倉庫ログ

始まりがこれで終わる(仮題) ( No.139 )
日時: 2018/03/24 08:57
名前: ゼラチン ◆SvRsgTHFT2 (ID: OROHjpgn)

今日は晴れている。君を思い出すよ。






紅魔館、庭に見えるのはテーブルと三人の人影。

「いい天気だ。その手は離しては駄目だぞ、咲夜」

椅子に座りプッチは目の前に居るメイドに話しかける。

「ええ、承知しております」

咲夜は日傘を持っている。自分のためではなくもう一人、プッチの向かいに座っているこの館の主のために彼女はその日傘を決して離すことなく持っている。

「・・・」

プッチは紅茶を口につける。

「ほらレミリア、咲夜がいれた紅茶だぞ?いつも飲んでたじゃないか」

「・・・」

彼女は答えない。答えようとしない。"答えられない"

彼女のその様子を見てプッチは目を伏せる。
彼の性格上、罪悪感は少ししか抱かないはずだが、不思議とその気持ちが強くなっていた。

『貴方が生きることで、きっと意味があるはずだから』

レミリアが言ったその言葉をプッチは脳内で繰り返した。

(意味・・・?意味とはなんだろうか、私が生きる意味など・・・もう一度天国を目指す事ではないのか?)

そしてレミリアを見る。彼女は瞬きすらしない、まるで人形のように。




彼女がこうなったのは、プッチが彼女を引き上げた後だ。

いくら呼びかけても返事がないし息をしているかどうかよくわからない。
生きている、その事実だけでひとまず彼は落ち着くことにした。

プッチはこの生きた屍となった彼女を放っておくわけではない。
麦に戻す方法を聞こうとしたのだが、混乱のうちに麦は逃げて行方が分からない。
あの近くに居た人物はプッチ達の他に三人いたらしい。

一人は早苗
一人はペガ 彼はいま永遠亭に運ばれているらしい。
一人は謎の男 彼は早苗が言っていたため実際に居たかどこに居るか全く分からない。


この三人に手がかりを教えてもらうとすれば、一人しか居ない。


「早苗、という人物に会いに行くか・・・」

「また・・・来てくださいね」

咲夜は笑いかける。

「またな。咲夜・・・レミリア」

「・・・」

プッチは二人に軽く会釈し、歩き始める。




絶望のステイク編

15話 守矢へ

Re:一方その頃 ( No.140 )
日時: 2017/05/09 18:44
名前: ゼラチン ◆SvRsgTHFT2 (ID: Z3U646dh)



ペガは目を開いた。この天井を見るのは3回目になる。

「何か言い訳はあるかしら?」

視界の外から見知った声が聞こえる。八意永琳、彼女の声色から察するに大分ご立腹のようだ。

「・・・・・・別に」

「いい?普通なら勝手に抜け出してさらに怪我までしてきた貴方を私は3時間以上かけてじっくり説教しなきゃいけないんでしょうけど・・・」

すると、永琳の表情が笑顔に変わる。

「ま、早苗を体張って助けたらしいし、抜け出したのもそれに免じて許すわ。無罪放免よ」

ペガは頭を抱える。無事なのは良かったが余計な事話すな、と言葉にせず吐き出す。

「貴方は何か大事な"もの"を見つけたの?」

「・・・・・・それは・・・」

「それかやりたいことね、私は別な仕事あるから貴方はここで安静にしていなさいよ」

永琳の姿が見えなくなる。
ペガは天井をずっと見つめていた。

(大事な"もの"・・・)

余計な怪我をしてまで守りたかった何か、
自分の信念を砕いてまで手にいれた何か、

(誰かを守るのが楽しいか・・・・・・少なくともそれどころじゃなかったしな)

この前に初めて見た『早苗』、彼女には怪我はないだろうか。
永琳の様子では無事らしいが・・・。ペガはふとそんなことを考える。

(誰かを助ける・・・俺にできるのか?)

永琳やまだ見ぬ『早苗』の笑顔。それらを守るのは自分にもできるかもしれない、妖怪や"ステイク"から。

「・・・ッ」

ペガは一気に目を見開く。そして呟いた。

「分かったよ・・・永琳、俺がやりたいことが、やるべきことが」

獣のように、彼は笑う。

「俺が・・・全部、ステイクから・・・・・・守る。守ってやる・・・!」








この物語は、本当は天国に行くのを失敗した神父の物語なのだろう。
しかしここに新たな物語が刻まれるとするなら・・・・・・











彼の決意を、部屋の外で永琳がこっそり聞いていたのは絶対に彼に言ってはいけない。





Re: 神父が幻想入り(仮題) ( No.141 )
日時: 2019/04/05 13:58
名前: ゼラチン ◆SvRsgTHFT2 (ID: H6c/o5GF)

プッチは一度霊夢の所へ行こうと思った。
だがあの一件以降神社には行っていない。本来ならばプッチは外へ帰っている筈なのだが彼の意思で今は帰らず紅魔館に滞在することを決めたのだ。

彼が行った場所は。

「やあ、小鈴」

人間の貸本屋、鈴奈庵であった。

「プッチさん?どうしたんですか?」

本居小鈴にプッチは一息つき喋る。

「早苗という人物がどこにいるか分かるか?」

「早苗・・・って守矢神社の人ですか?」

「守矢神社?」

聞き慣れない単語にプッチは少し首をひねる。

「はい、もしかしたらそこに居る早苗さんかもしれませ———」

小鈴が話している途中、店の扉が開かれた。
それ事態は普通気にもとめない出来事だが今回は、今回ばかりはプッチの目を一瞬で奪った。

「あら、貴方は確かプッチさんだったかしら」

そこには二人の女性、一人は知り合いの人形遣い。そしてもう一人、プッチを半ば睨み付けて見てる女性が居る。





「霊夢・・・・・・!」

Re: 神父が幻想入り(仮題) ( No.142 )
日時: 2017/06/08 15:59
名前: ゼラチン ◆SvRsgTHFT2 (ID: Z3U646dh)

「じゃあプッチさんまた後で」

人形遣い、アリス・マーガトロイドはその場を離れ本を物色している。

「あの、私仕事があるので・・・」

小鈴は気まずそうな顔をしながら店の奥へと逃げていく。


「霊夢・・・すまない。あの時以降顔も見せずに姿を消してしまって」

「・・・どこに居たの?」

「紅魔館だ。咲夜に適当な部屋を使わせてもらった」

「そう・・・紅魔館なんて今思えば一番最初に尋ねるべきだったわ」

「・・・」

空気が凍っていく。プッチは何故こんな空気になっているかわからないのだ。






















「・・・・・・いいからね」

「は?」

霊夢からの突然の言葉、それも先とは違う優しい声で話されたのでプッチは戸惑う。

「いつでも神社に来なさい。好きな時に帰らせてあげるわ、感謝しなさい」

「・・・ありがとう」

霊夢は何も言わずただ微笑みアリスの所へ行った。

「霊夢さんが・・・珍しいですね」

小鈴が戻って来てプッチに何食わぬ顔で話しかける。

「逃げたのによく帰ってきたな」

「えっ・・・すいません」

結構・・・というかかなり戸惑い反省している彼女を見てプッチは自然と笑みがこぼれる。

「冗談さ、冗談」

すると今度小鈴はプッチの顔をじっと見ている。

「どうした?私の顔に何かついてるか?」

その疑問に対して小鈴は笑顔で答えた。

「いえ、そんな感じで笑う人なんだと思いまして」

プッチはその言葉に一度目を丸くし、再び笑う。
あの時以来、レミリアの様子を見るほかにチルノやルーミア。他の妖精たちの遊びに付き合ったりしていた。外の世界では有り得ない事だった。

(ああ、DIO・・・・・・私は)







〝朱に交われば赤くなる”




(染まっているみたいだ)


それは彼にとって、とても心地いいものだった。

Re: 神父が幻想入り(仮題) ( No.143 )
日時: 2017/09/08 16:45
名前: ゼラチン ◆SvRsgTHFT2 (ID: T3.YXFX2)








「守矢神社・・・」

小鈴から聞くにその神社は妖怪の山にあるらしい。
プッチは早速妖怪の山とやらに行ってみることにした。

「ダメですよ!妖怪の山に一人でなんて!危ないです!」

だが小鈴がついてきているのが唯一の問題なのだ。

「いいか、危ないのはわかっている。だが早苗という人物に話を聞きたいのだ」

後ろで小鈴の声が聞こえるが無視して先に急ぐ

「妖怪の山の妖怪は恐ろしいんですよ、仲間意識が高くて・・・私達よそ者なんかすぐに追い返されちゃいますよ!」

「もう着いたのだが」

「え?」

プッチは無慈悲に彼女へ伝える。

「ここが妖怪の山なのだな。なるほど、独特の雰囲気がある」

「ああ・・・」

少しプッチが山を眺めていると、空から翼を生やした人型の影が二つ、降りてくる。

「あれが天狗か、話を聞いてくれると思うか?」

そう言われちらりと上空を見る。相手は明らかにこちらに向けて敵意を持っている。

「帰りましょうよ・・・・・・死んじゃいますよ・・・」

「こんな所に神社があるとは考えにくいが・・・・・・」

天狗は武器を持ってこちらを威嚇しているようだ。




「・・・事を荒げたくないのだが」

C-MOONを出し、プッチも戦闘状態に入る。






「私も退けないのだ」









二か月もの間、更新がなく、本当に申し訳ございません。
これからもできれば最低週1のペースで投稿できればと思います。

Re: 神父が幻想入り(仮題) ( No.144 )
日時: 2019/04/05 13:58
名前: ゼラチン ◆SvRsgTHFT2 (ID: H6c/o5GF)




 天狗のうちの一人が二人を睨みながらゆっくりと近づいてくる。

「ここをどこだと思っている。お前たちのようなただの人間が来るべき所ではないぞ」

 意外にもすぐに襲いかかってくるということはなかった。彼らも問題ごとは起こしたくないのだろうか。そのことを感じプッチは戦闘態勢をやめた。

「すまない、この山にあるという守矢神社へと向かいたくてね。道がわからなくて困っていたんだ」

 実際そんなことはなく天狗たちにもそのわかりきった嘘は既にバレているだろう。しかし両方共にここで問題は起こしたくない、なんとか見逃してもらえないかとプッチはこの行動にでた。

「・・・・・・ならさっさと引き返せ」

 一瞬の静寂はあったもののプッチの期待通り天狗は少しの警告だけで二人を見逃してくれた。
 二人(主に小鈴)はすぐさま道を引き返していった。






 その後普通の人間でも守矢神社へと参拝できるよう設置されたという索道へ向かい今乗っている。


「なるほど、確かによそ者に対して風当たりが強いな。小鈴の言っていた通り仲間意識も相当高そうだ」

「・・・・・・プッチさんは怖いもの知らずです」

「それは褒めているのか?」

「その怖いもの知らずを馬鹿というんです」
 
 小鈴は先程から魂が抜けたような表情と良くわからない言葉を繰り返し喋っている。プッチはそれが恐怖によるものだとは知っているがあまりふれても良いことはないことも知っているので黙っていて会話は最低限にしてある。


「ほら小鈴、守矢神社が見えたぞ」

「え?・・・・・・本当だ」

 守矢神社にはここからでも人がちらほらといるのが確認できる。

(博麗神社の時には人は見なかったのだが、普通に参拝客が来てるな)

 




 多少の疑問はあるが、無事に二人は守矢神社へと向かうことができた。
 結局、小鈴は降りるまで機嫌は変わらなかった。


15話 END