二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ボカロ曲sストーリー【ハウトゥー世界征服】 ( No.1 )
日時: 2016/05/12 20:15
名前: シロマルJr. ◆o7yfqsGiiE (ID: 4qcwcNq5)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11083

一曲目・ハウトゥー世界征服



1.

キーン…コーン…カーン…コーン………

今日も終礼ーーー退屈な授業の終わりを意味するチャイムが、校内にこーんと響き渡る。
ホームルームが始まるまで、まだあと10分ほど時間ある。
いわば昼休みの延長みたいなものであり、廊下で楽しそうにお喋りを交わす者や、仲の良いグループで
一緒に購買に行ったりなど、過ごし方は生徒によって様々だった。
窓から外の景色を眺めながら、一人静かに読書に浸るのが、水澤アヤトの過ごし方だった。

ここは私立月灯つきあかり高校。都会のような田舎のような、何とも中途半端な街の中にある。
彼はその高校の、1年5組の生徒である。
他のクラスに比べると、比較的賑やかで、授業中に教師が冗談を言って、笑いが起こる事もしばしば。
昨日なんて、隣の教室で授業をしていた教師から「うるさい!!」と怒鳴られたくらいだ。
それでも、クラス内にはまだ笑い声が充満していた。

数少ない笑っていなかった派のアヤトは、このクラスをどう思っているのかというと、




ーーー正直な所、どうでもいい。




だってそうじゃないか。ほとんど自分に関係ない話題。
そんな下らない話をするくらいなら、さっさと授業を進めて欲しいものだ。
別に笑う事自体は何も不快には思わない。気になる事はその奥にある。
アヤト曰くその笑い声が、若干よそよそしく感じられるーーー何というか、中身が無いらしいのだ。
…まぁ、当の本人からしたら、道端の小石くらいどうでもいい事なのだろうが。

アヤトは読んでいた文庫本にしおりを挟み、窓の手すりに手をかけた。
そして、徐ろに頭上を見上げてみる。
空はもうオレンジがかっており、冬であるせいか、いつもよりは澄み切って見える。
だが、このような冬空を眺めていても、アヤトの心は何故かどんより濁っている。
この後、またお決まりのあの事が起こると思うと……ああ、思い出しただけで嫌な気分になる。

「おーい、HR始めるから早く席つけよー」

しばらくすると、教室に5組の担任教師が入ってきた。
振り返って室内を確認すると、もうほとんどの生徒が、教室に戻ってきていた。
その戻る・着席する様子がえらく賑やかなのも、また妙に癪に触る。

アヤトは軽い溜息をつきながら、窓側の一番後ろの席に着席した。
そして今も、担任のつまらない話で空々しく笑う、どうでもいい時間が流れていく。
そう、どうでもいいのだーーーーーーどうでも。