二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: プリキュアラブ ( No.18 )
日時: 2016/07/09 16:24
名前: モンブラン博士 (ID: EBP//tx7)

待てよ。考えてみれば夕方におおもりご飯に行くのだから、そのときにでも話せばいいか。
今動いて体力を消耗するのは避けたい。何しろ私は三幹部最年長者、カロリーは効率よく使用せねば。
そして夕方になり、約束通りおおもりご飯へとやって来た。
綺麗に清掃された清潔な店内、暖かい空間を醸し出してくれる電灯、座り心地の良い椅子。
店には久しぶりに来店したけれど、何もかも変わっていない。

「いらっしゃいませ!ご注文は何にいたしますか?」

茶髪のショートカットにおおもりご飯のエプロンを着て天使のように笑っているゆうこちゃん。
落ち着いていながらも女の子らしい高めの声が耳に心地よい。
もちろん彼女は私が元幻影帝国の一員で、現在はデッドラインに所属していることを知っている。しかし、客の前では敵も味方もないことを理解しているのだ。
ここのメニューの中でも特に気に入っているとんかつ定食を注文して、再び彼女を呼び出す。

「どうかしましたか?」

屈託のない笑顔を向ける彼女に、私はファントムくんが昼間注文した弁当におまけであるハニーキャンディーを渡してくれなかった話をした。
すると彼女は厨房に一旦引っ込んだかと思うと、右手に掴めるだけの大量のキャンディーを持ってきた。

「申し訳ございませんでした。これ、お昼の分もおまけとしてはいっていますので、もし良かったら——」
「遠慮なくいただくよゆうこちゃん」

少々乱暴にキャンディーをひったくると、それを自分の服のポケットに仕舞い込む。
これはとんかつ定食を食べ終わったあとのデザートと就寝前の軽食、そして同僚であるハルとミストのお土産にしよう。ホッシーワのようにひとり占めして食べるよりも、みんなで分け合って食べた方がもっと料理は美味しく楽しく食べられるから。



「お待たせしました〜、とんかつ定食で〜す」

持ってきた本を読んで待っていると、待ちに待ったとんかつ定食が運ばれてきた。
弁当で注文するのも旨いが、やはり出来立てのほうがより美味しそうに見える。

「いただきます!」

食材に感謝し、きつね色に焼けたかつを口に放り込む。
一口噛むと、サクサクとした衣の歯ごたえと上品な油の旨み、柔らかな豚肉の食感とジュワ〜ッとした肉汁が飛び込んできてまるで天国にでもいるかのような幸せな気分になる。
粛清した中年兵士は不幸を集め国を復活させる組織なのだから、幸せな気分に浸ってはいけないと口を酸っぱくして言っていたが、このかつを食べてそれは無理な話というものだ。
ああ、同僚や部下たちにもこの味を食べさせてやりたい!
こんなに美味しいのだからきっと満足してくれるはずだ。
ゆうこちゃんの祖父母の農家で作られたという産地直送の白米はもちもちとして柔らかくかすかな甘味を感じる。そこにとんかつソースをかけて食べるとご飯が進む進む。
ここはご飯のおかわりが自由なのもあり、気づいたら五杯もぺろりと食べていた。
他の国や地域は侵略したり不幸にしても構わないが、おおもりご飯と彼女の祖父母の田んぼだけは絶対に手を出さないように徹底させる必要があるな。値段も手ごろでこんなにまで美味しい弁当屋を失うのはあまりに惜しい。それを何度も襲撃したナマケルダはいったいどういう神経をしているのか理解に苦しむ。彼とは紳士風キャラや服装が似ていたこともあり、割と親近感を抱いていたのだが、そこだけは共感できんな。
しっかり完食した私は、ハルとミストの様子が気になり携帯でメールを送る。
彼らからすぐに返信がきたので見てみると、昼間にデザトリアンとナケサケーベを召喚したらしい。フレッシュプリキュア!とハートキャッチプリキュア!の二チームはさぞかし迷惑をしたに違いない。本来なら私もここでサイアーク、もしくは本拠地に待機している部下を出撃させるべきなのだろうが、今は夜だしお腹も満たされて良い気分だから控えておこう。
帰り際、私はゆうこちゃんに小型の紙を手渡した。そこに書いたのはこんな内容だ。

《デッドライン本拠地にて君たちハピネスチャージプリキュアを待つ!デッドライン幹部
モラン=ブレンダー》

シンプルな決闘状であるが、果たして明日の土曜日、プリキュアたちは我々に挑んでくるのか楽しみだ。レジでお金を払って外に出ると、暗い夜空に満天の星々が輝いていた。

「うん、実に美しい光景だ」

幹部全員が使用できる瞬間移動で本拠地へ戻り、幹部ふたりにお土産のキャンディーをあげて自らも食べた後、歯を磨いてベッドに入る。
明日の決闘が楽しみだ。