二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: プリキュアラブ ( No.20 )
- 日時: 2016/07/09 16:24
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
「はぁ?プリキュアが来た?」
昨日ウェスターから奪ったカオルちゃんのドーナツを齧っていた僕は、その報告に素っ頓狂な声をあげてしまった。
モランが粛清という名の殺戮により、今まで執事的なことをしていた中年兵士は死亡し、代わりに若い兵士が僕の元に来ていた。
「はいッ」
「それは何プリキュアだ?」
「ハピネスチャージプリキュアです」
フレッシュプリキュアだったら、僕が直々に相手をして、祈里との距離をもっと詰めるのだが、ハピネスチャージプリキュアは生憎興味すらない。
そういえば、と僕は先日のモランを思い出していた。
−−−
「やぁハル!君はハピネスチャージプリキュアというものを知っているかい?」
「いや、知らないけど・・・・・・どうしたの?そんなに興奮して」
「これを見てくれ!」
年甲斐もなく興奮した様子でモランが見せてきた写真は、黄色の髪の女が写っていた。
「それは?」
「キュアハニーと言って、ハピネスチャージプリキュアの一人で、とにかく可愛いんだよ!君にもその可愛さを分かって欲しくてね!」
「あぁ・・・・・・ごめん。僕そういうの興味ないから」
突然、モランが右手を僕の顔に向けて突き出してきたので、咄嗟に首を左に傾げる形でそれをかわす。
数瞬後、僕の背後で壁の一部が粉砕する音が聴こえた。・・・・・・衝撃波か。
「ハル・・・・・・たとえ同じ幹部の君でも、キュアハニーを馬鹿にするのは許さないよ?」
「いやいや、違うって。僕はそもそもプリキュア?とやらにはそこまで興味ないってだけ。別に、そのキュアハニーだって、そもそもよく知らないってだけで馬鹿にはしてないから」
「・・・・・・そうかっ!それならいいんだっ」
−−−
「あー・・・・・・もしかしてモランの仕業?」
「多分そうだと、思いますが・・・・・・」
モランはよく、自分の気に食わないことがあると癇癪を起こす癖があるのだ。
恐らく、前まで僕たちの周りのことをしていた中年兵士も、きっとモランにやられたのだろう。
とはいえ、僕としてはハピネスチャージプリキュアとの戦いであまり体力を使いたくないのだ。
「あの、ハル様?行かないの、ですか?」
「うーん・・・・・・ホラ、僕ってさぁ。まだちょっと旅の疲れが抜けてないというか、体力面がまだちょっと不安定なんだよね。昨日はフレッシュプリキュアのメンバーとちょっと戦ったし。だから、今日はちょっと休ませてもらうよ」
「え!?ちょっ・・・・・・」
「モランとミストがいればプリキュアの四人くらいは余裕だって。僕は幹部の中じゃ最年少だしさ〜」
僕がヒラヒラと手を振って部屋を出ると、背後から若い兵士の声がした。
うるさいなぁ、もう。そう思って廊下を歩いていた時だった。
「あぁ、ハル」
前から声がした。見ると、モランがいつになく上機嫌な様子で、僕の元まで来る。
大柄な彼が僕の目の前まで来ると、身長差のせいで結構見上げる形になる。
「やぁ、モラン。今日のプリキュアの襲撃の原因は、君だと考えて・・・・・・良いんだよね?」
「あぁ。もうすぐ私の愛しのキュアハニーが来てくれるんだっ」
「ふーん・・・・・・まぁ、せいぜい頑張ってね」
彼の横を通り過ぎて行こうとした時、肩をガッと掴まれた。
「おいおい・・・・・・どこに行くつもりだい?」
「別に、どこだって良いじゃない。まぁ、強いて言うなら、ちょっと愛しの女性の元にね」
「今はプリキュアが来ているんだよ?」
「僕がいなくても、君たちなら勝てるでしょ?」
僕は自分の肩を掴むモランの手を離させ、廊下を歩いていく。
もしもここも壊滅したら、その程度の力だったということ。
「もしそうなったら・・・・・・また何も守れずに終わるのか、か・・・・・・」
僕は誰にも聞こえない小さな声で、呟いた。