二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: プリキュアラブ ( No.26 )
日時: 2016/07/10 13:14
名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)

「隼人、瞬。来たわよ」

 病室を開けたせつなちゃんは、そのままドーナツの袋を片手に西さんのベッドに近づく。
 頭や腕などに包帯を巻いた西さんは、それを見て目を輝かせた。

「おぉ。イースか!それはドーナツじゃないか!早く食べさせておくれ」
「えぇ、もちろんよ」

 せつなちゃんは笑い、ドーナツの袋を西さんに渡す。
 彼は中から二つドーナツを取り出すと、ガツガツと食べ始めた。
 美希ちゃんはせつなちゃんから袋を受け取ると、残りを南さんに渡した。
 南さんは一つ取り出し、モグモグと食べる。

「それにしても大変だね〜。暴漢に襲われるなんて」

 背もたれの無い丸い椅子に座り、ガタガタと音を出しながらラブちゃんは言う。
 その時、ドーナツを食べる二人の手が止まった。

「ん?あれ、どうしたの?二人とも・・・・・・」
「もしかして、二人を襲ったのって、本当は・・・・・・」

 せつなちゃんはそこまで言いかけて、口を押さえた。
 一体何を言いかけたのかと不思議に思っていると、西さんは小さな声で、「・・・・・・ハルだ」と言った。
 ハル。それは、確か最高幹部の名前だったはずだ。

「ねぇ、そもそも、その・・・・・・ハル?って、一体何なの?最高幹部って・・・・・・」

 私は、好奇心から聞いてみた。
 せつなちゃんは俯いて、小さな声で言う。

「ラビリンスで、ノーザ、クラインに続く、3人目の最高幹部よ。実力は、あの二人の合体バージョンですら歯が立たないんだけどね」
「そんな!あの二人のですら、キュアエンジェルでギリギリだったのに・・・・・・」

 ラブちゃんの言葉に、せつなちゃんもコクリと頷く。

「確かに、体が鈍ってるとかどうとか言ってたけど、あたしたちを一瞬で吹き飛ばした実力だものね」

 美希ちゃんはそう言って悔しそうに顔を歪めた。
 たしかに、私たち———正確には、私を除いた3人———も、なすすべもなく倒された。
 圧倒的な差。今のままじゃ、何もできずに倒されるのが目に見えている。

「まぁ、俺たちの怪我は大丈夫だから。ドーナツも食べて、元気百倍だぜ!」

 唐突に西さんはそう言い、腕をブンブンと振った。
 しかし、すぐに「いてて・・・・・・」と肩を押さえる。
 それを見た南さんが小さく「ばぁか」と言ったのが聴こえた。

「ま!細かいことは考えててもよく分からないしね!こんな時はカオルちゃんのドーナツだよ!」

 ラブちゃんはそう言って袋の中身を見るが、中身は空っぽ。
 それを見た瞬間、ラブちゃんは「ガーン」という効果音が似合いそうな反応をした。

「うぅぅ・・・・・・私のドーナツ・・・・・・」
「ラブ。これはそもそもお見舞いの品でしょ?私たちは自分で買いましょう」
「せつなぁ・・・・・・瞬間移動で連れて行って〜」
「ハァ・・・・・・仕方ないわね。じゃあ、隼人、瞬。また来るわね」
「あぁ。無茶するなよ」

 西さんが軽く手を上げて言ったのを確認し、私たちは一つの場所に固まった。
 そしてせつなちゃんはアカルンを使い、「カオルちゃんのドーナツカフェに」と言った。
 赤い光が私たちの体を包み込んだ。