二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: プリキュアラブ ( No.27 )
- 日時: 2016/07/10 22:26
- 名前: 春太郎 (ID: LN5K1jog)
「ふむ・・・・・・」
僕は顎に手を当て、かれこれ十分以上は悩んでいる。
やはり幹部ともなると、金には全く困らないのだが、基本その大金というものは部屋の金庫にしまうのが普通で、財布に入れるのはそのほんの一部なのだ。
だがしかし、その財布に入れておいてあった金はちょうどドーナツ一個分だったのだ。
しかし、僕が食べたいのはイチゴのドーナツとチョコのドーナツ。
流石にイチゴとチョコのブレンドドーナツなどはなく、一つしか買えないのだ。
「どちらにしようか・・・・・・」
僕は額に手を当て一考する。しかし、そこで思う。
よく考えれば、僕には幹部専用の本拠地のみに行けるテレポート能力があるのだ。
それを使って本拠地まで帰り、財布を持って、出直せばいいじゃないか、と。
さすがに金庫は鉄でできてるし、モランVSハピネスチャージプリキュアの戦いでも無傷だろう。
思い立ったが吉日と言うし、僕は早速リングをはめ、力を込め・・・・・・ようとした時、突如辺り一帯が赤い光で包まれる。
「うッ・・・・・・」
僕は腕を目の前に持ってきて、目を細める。
しばらくして光が収まると、そこには4人の少女が立っていた。
その中には、愛しの祈里もいた。
「カオルちゃーん!ドーナツちょーだい!」
「おー。ラブちゃん達、よく来たね〜。にしても、引っ越してきたばかりの少年君にももうプリキュアのことは話したのかい?」
「え?」
桃園ラブはカオルちゃんと呼ばれた男の言葉を聞いて僕の方を見ると「あー!」と大声を出した。
そしてすぐに他3人と作戦会議を始める。
「どうしようどうしよう!春也君にプリキュアのことばれちゃう!」
「ちょっと、ラブ!声が大きいわよ!」
「あッ・・・・・・」
・・・・・・まぁ、書類で彼女たちのことを知っている僕からすれば今更なのだが、たとえばこの立場が僕じゃなくて、本当にただの引っ越してきたイケメン爽やか少年とかだったらどうしたんだろうか。
とはいえ、僕の方こそ自分の立場を明かせないので、適当に誤魔化しておこう。
「ぷりきゅあって・・・・・・何?ていうか、さっきすごい光だったけど、大丈夫?怪我ない?」
「あ、えっと・・・・・・そうそう!すごい光だったよねー!私たちもびっくりしたよー!」
桃園はそう言って腰に手を当て、「あっはっは」と笑う。
・・・・・・演技下手だな。よくもまぁ家族に半年以上もプリキュアであることを隠せていたものだ。
「と、ところで春也君はここで何してたの?ドーナツ?」
その時、僕より背の低い祈里がそう言って僕の顔を覗き込んでくる。
突然の急接近に焦りつつ、なんとか平常を保ちながら答える。
「あ、あぁ。でも、一個分を買う金しか無くてさ、イチゴのドーナツとチョコのドーナツが食べたくて」
「あー!チョコは私も大好きー!」
空気を読むことを知らない女、桃園は手を上げて元気にそう言ってくる。
しかし、すぐに東に手を引かれ、ズルズルとどこかに連れていかれる。
祈里は苦笑してそれを見送ると、僕の顔を見上げる。
「実は私も今日あまりお金なくて、良かったら、二人で2個買って、はんぶんこしない?その方が、色んな味を楽しめてお得でしょ?」
祈里と、はんぶんこ?その提案に、僕の頭は一瞬ショートしかける。
しかし、すぐに我を取り戻す。
「それはすごく良い考えだね。僕も良いと思うよ」
僕の言葉に、祈里は嬉しそうに笑顔を浮かべた。
あぁ、なんて可愛らしい笑顔なんだろうか。
祈里と僕はイチゴのドーナツとチョコのドーナツを買い、お互いに半分に割った。
「はい、春也君。あーん」
チョコのドーナツを上手く半分に分けようとしていた時、声がした。
見ると、なんと祈里が半分に割ったイチゴのドーナツを僕の口元まで持ってきていた。
僕は少し戸惑ったが、とりあえず口を持っていき、かぶりつく。
イチゴの甘酸っぱい味と、フワフワしたドーナツの感触が口の中に広がる。
「じゃあ、山吹さんも、はい」
僕が差し出すと、祈里は少し照れたように笑いながら、ドーナツを齧った。
そのまま、恥ずかしそうにはにかむ。その笑顔、とても可愛かったです。