二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: —東方霊妖変 巫女の変異— ( No.7 )
- 日時: 2016/07/03 22:57
- 名前: 栞永稀 (ID: l/9ga28M)
【博麗霊夢の秘密】
「さて、お茶でも飲もうかしら。魔理沙もいる?」
「ああ、頼む」
霊夢は少し頷くと、台所まで入って置いてあった湯呑にお茶を入れる。
そして、それを黒い丸のお盆に乗せて縁側に戻ろうとしたその時。
「——っ!?」
ドクンと霊夢の心臓の音が高鳴る。そして、お盆を落として胸を抑える。
お盆と湯呑が落ちる。湯呑は床で割れて中のお茶が溢れた。
「お、おいっ。大丈夫か!?」
魔理沙が心配そうにそう聞き、霊夢の所へ駆けつける。
「はぁ、はぁっ……。大丈夫な訳、無いでしょ……」
過呼吸状態になった霊夢は汗を掻いている状態である。彼女は顔を上げた。
霊夢の顔を見た魔理沙は動揺する。
「お前、瞳孔の色が赤いぞ……!」
「なっ……! そんな馬鹿な事……!」
霊夢は昨日雨が降った事によって偶然出来た水たまりの所へヨロヨロと歩いて行く。
すると、本当に霊夢の瞳孔が赤くなっていた。
「ヤバイんじゃないか? 今すぐ永遠亭に連れて行くぞ」
魔理沙がそう言って立ち上がって箒の柄に跨って、霊夢を後ろに乗せて浮く。
そして、永遠亭に向かって飛んで行った。
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魔理沙は永遠亭の縁側で腕を組み、霊夢の診察が終わるのを待っている。
そこへ、スキマが出現し、そこから紫が上半身を乗り出して現れる。
「お、紫。何の用だ?」
「……貴方に言っておきたい事があるの。まずはお願いよ。単刀直入に言うわ……」
魔理沙が身を乗り出して聞こうとする。
「……私が許可を出すまで霊夢と会わないで。いや、会わせないわ」
「……はぁ? 何でた?」
魔理沙は呆けた顔をして、相手に聞く。
「……少し話がずれるけど。
……霊夢は人間の先代巫女と、人喰い妖怪の間に生まれた子よ。私が人間と妖怪の境界をちゃんと分けていたから、霊夢は人間でいれたのだけれども……。突然境界がめちゃくちゃになった。……きっと妖怪と沢山接して、妖気を沢山感じてきたからだわ。ハーフだとそうなるのよ」
「お前が今話しているのは霊夢が妖怪になってしまう理由の事だな。で、何故あいつと会ったらいけないんだ、間違えた、会わせてくれないんだ?」
驚いた顔をして、首をかしげて相手に尋ねる。
「まぁ、貴方に限った事では無いけどね。幻想郷の住人全員よ。……今霊夢があの状態で人間に会うと人喰い妖怪の血が目覚めて妖怪になってしまい、人間を殺して喰うでしょうね。妖怪に会っても駄目。妖気を感じて妖怪になってしまう」
「そうか……残念だ。方法は無いのか?」
魔理沙は下を向き、帽子のつばを持ってそう言う。
「あるかもしれない。けれど今は方法が見つからない」
紫は瞼を閉じてゆっくりと首を横に振る。
「……霊夢にその事を伝えないのか?」
「それは無理よ。……霊夢の両親は人間に殺されたのよ、しかも目の前で。この話をすれば記憶が蘇り人間に対して負の感情を持つ。感情を制御出来なくなるほどに。その時に本来の力を発揮して妖怪になるでしょう。……理不尽な事でしょう?」
「ああ、そうだな……。おっと、そろそろ霊夢が来そうだ。失礼するぜ」
足音のする方向へ振り返る。足音はどんどん大きくなる。診察が終わった霊夢が近づいているということだ。
「ええ……」
魔理沙は箒に跨って魔法の森、自分の家のある方向へ飛んで行った。