二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: —東方闇紅幻堕史— 闇になる幻想 ( No.1 )
- 日時: 2016/07/03 19:47
- 名前: 栞永稀 (ID: l/9ga28M)
「……今こそ、幻想郷は我が物となる時だろう」
紅魔館の主であるレミリアが時計台に立って地上を見下ろし、不敵な笑みを浮かべてそう呟く。
レミリアの従者、咲夜が突然そこに現れては厳しい顔をして忠告する。
「本当に良いのですか、お嬢様?何度も言いましたがこれが最後の忠告でございます。……貴方自身が味わっている普通の日常、何の不幸も無いという幸せを自ら手放す事となるのですよ?」
「……煩いわ、咲夜。もう聞き飽きたわ。こっちも何度も言ってるでしょ? ぬるい退屈な日常にはもううんざりしたって。こんなの吸血鬼が味わう本当の幸せでは無いって」
レミリアが怪訝な顔をして咲夜の言葉に反抗する。
「そして、いい加減そんな事ばっかり言ってると……貴方に暗黒を植え付けるわよ?」
レミリアが咲夜を睨みつけて低い声で警告すると、右手の掌の上に赤黒い力を集めて球を創る。
強力な邪気が収束されたそれを見て咲夜は少しの間目を見開くと、頭を下げて反省の態度を取る。
「ふふっ、まあいいわ、見ておきなさい。
『幻想郷こそ我が約束の地。人よ、妖怪よ、お前たちの運命は我が掌の上にある。夜を述べる我が力に、ひれ伏すがいい……!』」
レミリアが時計台の頂上に移動すると、紅魔の力を集めて呪文を唱える。すると、妖気を帯びた紅い霧があの時の『紅霧異変』のように幻想郷を覆った。
「さて、これで少なくとも巫女と魔法使いが来るだろう。その二人を私の手駒としよう」
レミリアは満足そうに笑みを浮かべると、自らを大量の蝙蝠に分解して何処かへ飛び去った。
その場に残された咲夜は、空を覆う紅い霧を仰いでいた。
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「おいおい、諦めていなかったのかよあいつ」
魔理沙が青空を覆う紅霧を見て、半ば呆れるような感じで笑って呟く。
「ボコボコにされたいのかしら。とりあえず今すぐ行くわ、迷惑だし」
霊夢は溜息を付くと、いきなり地面を蹴って紅魔館の方向へ飛んで行く。魔理沙も箒に跨って浮遊し、霊夢の後を付いていく。
「この異変が終わったら宴会だな」
「ええ、そうね」
と、二人は他愛もない話をしながら飛行して霧の湖を超えてゆく。
やがて、紅色を基調とした館が見えてきた。
「よし、私が美鈴の相手をするから霊夢は裏口から入ってくれ」
「りょーかい」
魔理沙が指示をして、霊夢は頷く。霊夢は門番に見つからないように裏口の方向へ向かい、魔理沙は美鈴のいる方向へ向かった。
