二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.1 )
- 日時: 2016/06/20 07:01
- 名前: 葉月 (ID: jtELVqQb)
【第一話 夢の中の女の子】
ん…………、ここ、どこだ…………。
俺が目覚めたのは見知らぬ場所。
静かで、さっきから聞こえてくる噴水の音以外は何の音も聞こえない。
そのくらい静かな場所。
気のせいか、何時もより少し目線が高い気がする………気のせいだよな。
と、辺りを見渡してみる。
此処、変な場所だな。
誰かの庭みたいな感じの場所だ。
遠くの方にある小さな池、噴水、それから林檎の木。
林檎の木には、林檎が数個成っている。
と、あともうひとつ。
そんな、噴水やらなんやらがある場所の真反対に俺はあるものを見つけた。
コテージ。
小さな木で出来た壁、窓は二つくらい小さな小窓がある。
それから、屋根も木で出来ている。
そんな、昔ながらのコテージ。
そんなものが、どうしてここにあるんだ。
ていうかそもそも、ここどこなんだよ。
俺がそう思っていると、何処かから声が聞こえる。
「んー………よく寝たぁ」
女の子の声だ。
この声、どっかで聞いたこと、あるような気がするな………。
って、そんなわけないか。
で、この声は、どうやらコテージから聞こえたようだ。
コテージの小窓には、少し茶っ気のある髪が姿を見せている。
多分、その子が声を出したんだろう。
取り合えず、此処が何処なのかを聞こう。
俺はそう思ってコテージの方に向かって歩き出した。
いや、歩き出したつもりなんだけど…………。
おかしいな、歩いた感覚がない。
いやいや、動いてないって訳じゃない。
前に進んではいるんだけど。
何だか何時もと違って、体が妙に軽い。
軽すぎる。
足を動かした感覚も無い。
まぁ、そんなわけないか。
足が無けりゃ、前に進めるわけ無いもんな。
と、そんなことを考えているとコテージに着く。
コテージの入り口の扉は開いていたようで、そこから恐る恐る中へ入る。
女の子の部屋?なのかは知らないが、とにかくその、女の子が一人でいる場所に勝手に知らない男子が無言で入るのもどうかと思うけど、まぁ中に入ってから「こんにちは、初めまして」とか言いたいし。
何でかって?
何となくだよ、何となく。
と、俺がこんにちは、と言おうとしたとき、女の子が此方を振り返ってくる。
きれいな茶髪の長髪。
白い肌。
綺麗なピンク色の唇。
少し赤く染まっている頬。
そして、さらにそんな彼女を際立たせている白いキャミソールのワンピース。
そんな彼女と、思わず目があってしまう。
俺はとっさに言い訳をする。
「これには事情があるんです!」
と。
俺は言った………つもりだった。
いや、自分でも言ったはずなんだけど………。
声が出ない。
出ていない。
喉の辺りを触ってみる。
でも、触ったつもりなんだけど、触った感覚がない。
すると、彼女がぱぁっと明るい笑顔を見せて言った。
「妖精さん!」
と。
へ?俺のこと?
妖精さんって、俺?
- Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.2 )
- 日時: 2016/06/20 20:36
- 名前: 葉月 (ID: 8.g3rq.8)
「妖精さん、来てくれたのね!夢みたい!」
俺の疑問には御構い無しに彼女は俺を見ながら笑顔になり、無邪気にはしゃぎ出す。
「いや、俺妖精じゃないんだけど」
そう言ったつもりなんだけど、また声が出ない。
おかしいな。
俺、風でも引いたっけ?
眉を寄せ(たつもりで)悩んでいると、彼女は困った顔をする。
「あのね、妖精さん。私、粉の部屋から出たいんだ」
じゃあ出ればいいじゃん。
俺は後ろを振り替えって扉が開いていることを伝えようとする。
しかし、さっきまで開いていたはずの扉はなくなっていた。
跡形もなく、消えてしまっていた。
え?!じゃあ、俺もここから出れないじゃん!
「ねえ、妖精さん。ここから脱出するの、手伝ってくれる?」
あぁもちろんさ!
俺もここからでたいしな!
そう思ってくるりと空中で一回転する。
いや、頷いたつもりだったんだけど、何故か一回転しちゃってるし、俺。
まぁ、今ので実感したけど、どうやら今、俺は妖精になっているらしい。
そして、喋れない。
あと、指とかそういうのもなくて非常に不便だ。
変わりに、空中を飛び回れてるみたいだけど。
「じゃあ、妖精さん!脱出大作戦、スタートだよ!」
彼女はそう言って、にこりと笑った。
可愛い………。
もしも、今の俺が喋れていたら、確実に告ってただろう。
にしても、この子………。
どっかで見たことあるような………。
初対面じゃない気がする。
どっかで会ったことがあって、話したこともあって………。
かなり親しい関係だった気がする。
って、そんなの思い過ごしだよな。
俺、この子の名前も知らないし。
そんなことを思っていると、部屋の中をぐるりと見回していた彼女は、此方を向き
「私の名前は冬咲千春。宜しくね、妖精さん!」
と、微笑んで言った。
千春か………。
容姿だけじゃなくて、名前も可愛いな、この子。
そう思って思わず
「チハル」
と呟いてしまう。
が、まぁ声は出ないし良いよな。
そう思って一安心していると、彼女──冬咲千春が俺の顔を───妖精さんの顔を、覗いてくる。
「なあに?妖精さん」
不思議そうにしている。
って、え?!
声出てたの?!
声でるの?!
試しに、俺の名前は藤丸海斗(ふじまるかいと)だ。と言おうとしたが、声は出ない。
で、そこまで来て俺は気がつく。
まさか、名詞なら喋れるんじゃね?
「チハル」も、一応名詞に含まれるし。
試しに何か言ってみよう。
んー、何て言おうか………。
周りを見渡す。
白い生地の無色な綺麗に布団が掛けられているシングルベッド、鏡付きの洗面台。歯ブラシが一本と歯磨き粉が一つ刺さっている。
他には、本棚とか、目覚まし時計、女の子趣味の熊のぬいぐるみ等々。
んー………決めた!
俺は大きく肩を動かし(たつもりなんだけど………)て、一言
「ホン」
と言う。
すると彼女は本の背表紙を眺めながら
「妖精さんの知ってる本、あったの?」
と聞いてくる。
よっしゃあ!伝わったぜ!
やっぱり、名詞は伝えられるみたいだな。
じゃあ、そうだと分かったんなら、あらためて脱出開始だぜ!
*****
「ここから出るには、鍵を見付ければ良いの」
千春ちゃんはそう言う。
千春ちゃんが言うには、円盤上の鍵穴が、鎖で繋がれている扉が何処かにあるそうだ。
で、その鍵穴に、鍵をはめれば良いらしいんだけど………。
鍵は複数個あるらしい。
しかも、何処かに隠れてるとか。
面倒だな。
まあいい、千春ちゃんのためだ!
張り切った俺は、くるりと空中で一回転技を繰り広げる。
すると同時に。
視界がぐらぐらと揺らぎ始める。
なんだ、これ………。
「妖精さん、もういっちゃうの?ばいばい」
千春ちゃんは寂しげに微笑んで手を振ってくれる。
「まだ、妖精さんといたかったな………」
俺も一緒にいたかったよ、千春ちゃん。
「妖精さん。私の事、忘れないでね」
忘れるわけ無いだろ。
君みたいな可愛い子のこと。
「ばいばい」
最後にそう言った千春ちゃんの声が、段々遠くなっていく………。
*****
「カイちゃーん!起きなさぁい!」
「あと五分………」
「五分じゃないよぉ、起きないなら、お姉ちゃんが御弁当作っちゃうよぉ?」
やば!
それはダメだ!
俺は慌てて起きる。
時刻は七時三十分。
まだまだ時間には余裕がある。
- Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.3 )
- 日時: 2016/06/20 20:36
- 名前: 葉月 (ID: 8.g3rq.8)
俺は慌てて一階に降りた。
降りた先のリビングには、やはりいつものあの人がいた。
「おっはよぉ、カイちゃん!」
彼女は藤丸シエル。
俺の血の繋がらない姉貴だ。
シエルって名前からして、外人とのハーフ。
今も、目立つ金髪をポニーテールに結って、特別白い肌の上に半袖のブルーのワンピースを着て、また更にその上から花柄のエプロンを着て、蒼い瞳をキラキラさせながら俺の顔をまじまじと見つめている。
「おはよ、シエ姉」
俺は元気無さ気にそう言った。
実際、そうだしな………。
「あっれれぇ?カイちゃん、元気無いねぇ?」
シエ姉は心配そうな表情になる。
「まっさかぁ!お腹空いてるのぉ?それならそうと早く言ってよぉ!じゃあお姉ちゃん、今からオムライス作るね!カイちゃんは、椅子に座って待っててね!」
いやいや、朝からオムライスって、重いよ!
あと、シエ姉は料理するなよ………俺の寿命をこれ以上縮ませるな。
「良いよ、俺、元気だから。シエ姉は座ってなよ。オムライスは今夜の夕食にして、食パンでも食べよーぜ」
俺がそう言うと、シエ姉は不思議そうな顔をしつつも
「まぁ、朝からオムライス作るのは、お姉ちゃんもめんどくさかったからいいやぁ。お姉ちゃん、パンにはマーガリン塗ってから焼きたいなぁ!」
と言いながら席に着く。
「わーった、わーった。マーガリン、塗っとくよ」
そう言ってキッチンに行き、パンを出してトースターに入れる。
もちろん一枚だけ。
もう一枚のパンには、しっかりとマーガリンを塗る。
トースターから一枚パンが出てくる。
それから俺は、マーガリンを塗った方のパンを入れる。
「ねえねえ、カイちゃん」
席に着き、足をぶらぶらとさせながら、顎に肘を着いたシエ姉が、そんなことを言う。
「ん?どうしたんだ?」
自分用のパンを皿に入れて、シエ姉の目の前の席に座る。
「あのね、カイちゃん………今日、変な夢見なかった?特に、見覚えのある女の子が出てくる夢とか」
「なんだよ、その夢。俺の夢に女子なんて滅多に出てきませんよぉ、だ。どーせ俺は?!女子の友達なんて一人もいないんだからな!」
と、俺がそんなことを冗談っぽく言う。
しかし、シエ姉の顔は大真面目だ。
何時もよりも真剣で、何処か切な気だ。
「ねえ、カイちゃん………」
真剣なシエ姉。
「なっ、なんだよ………」
俺も思わず声が詰まる。
と、そこでシエ姉はいつもみたいに無邪気な笑顔で
「パン、焼けてるよぉ?」
と言う。
「だな」
そう言ってパンを取り、皿に入れてシエ姉の前に置く。
シエ姉はパンにかぶり付く。
無邪気に、子供みたいに。
ったく、さっきの真剣な表情はなんだったんだよ………。
大体、夢ってなんだ?
確かに、何か大事なことを忘れている気もするけどさ。
それも気のせいだろうし。
………って俺、気のせいって言いすぎじゃないか?
いや、今日言うのは初めてだっけ?
でも、何だか何回も何回も言っている気がする。
それも、昨日じゃない。
今日。
今日の事の様だ。
まぁそれこそ、気のせいだろうけど。
*****
「よっ」
「あー、海斗!」
こいつは原野大地。
熱血的なナンパ野郎で浮気性。
- Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.4 )
- 日時: 2016/06/21 07:02
- 名前: 葉月 (ID: 8.g3rq.8)
俺が登校するなり、俺の席の前で息なり嘆きだした。
「西園寺さん、彼氏出来たかもだってよぉ!俺はこの先、誰を求めて生きていけば良いんだぁ!」
「知らねぇよ」
そっか、西園寺さん、またカップル疑惑出てんのか。
大地の言う西園寺茜は、ヤバイ人だ。
成績優秀、頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群。
おまけに良家のお嬢様で、人柄も評判だ。
もうほんと、羨ましくなっちゃうくらいの完璧人間だ。
「あーあ、また嘆いてるね。毎日毎日、『西園寺さんに彼氏が出来たー!』とかなんとか」
颯爽と現れたのは、悪友その2・白城信介。
新聞部所属で、西園寺さんの情報(彼氏が出来た件)も、こいつが大地に教えたんだろう。
あ、ちなみに、大地は俺の、悪友その1だ。
「で、こんな大地のことはどーだって良いんだけどさ」
相変わらず毒舌だな、信介。
「海斗は、今度のオリ会どうすんの?」
「オリ会?もうそんな時期だっけ?」
「もう十一月だからね。そろそろ参加希望用紙出さないといけない時期だよ」
「そっか………」
信介の言う、「オリ会」ってのは、オリエンテーリング大会のことだ。
ここ、森ヶ咲高校の秋のメインイベントである。
注意事項、必ず男女のペアで参加すること。
まぁ、文化祭の中で行われることなんだけども、なんとも、その「オリ会」で優勝した男女達が付き合う確率は、ほぼ100%だって話らしい。
信介の情報でもあるから、間違いはないだろう。
で、今まで二年間の間、俺の出場経験はゼロ。
今年は高校最後のオリ会だし、誰か女子を誘ってでようかな。
まぁ、思いで作りだ。
………彼女が作りたいとか、全然、思ってないからな!
「で、海斗は誰を誘って出るの?」
「………んー、どうしようかな………」
知り合いに一緒に出てくれそうな女子はいなさそうだしな………。
「凛ちゃんのこと、誘えば?」
「凛?あいつはダメだって。五月蝿くて、ガキだし」
うん、凛と一緒に出ても疲れるだけだ。
と、そう思った俺の耳に、女子の声が入る。
「何が、私じゃダメなのよ!」
うげ………来た。
噂をすればなんとやら。
藍色の髪を低めの位置でツインテールにまとめた髪と、黒くてぱっちりと見開いた瞳。
制服をきっちり着て、低めの身長で童顔で。
そんな少女が、俺たちのところまでずかずか歩いてくる。
「で、もう一回聞くけど。何が、私じゃダメなのよ!」
「良いだろ、別に」
こいつの名前は白奈凛。
俺の幼馴染みで、二つ下の後輩。
いつも口やかましくて、わがままで、一人っ子の俺からしたら、妹みたいな感じのやつだ。
- Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.5 )
- 日時: 2016/06/21 20:24
- 名前: 葉月 (ID: nWfEVdwx)
さっき信介が、凛をオリ会に誘えだのなんだの言ってたけど、こんな喧しい奴をオリ会に誘うわけ無いだろ。
「ふぅん。とうとう海斗も、私に楯突くようになったんだねぇ」
なんだよ………。
何か企んだような顔で、白々しく見てくる凛。
「ったく、お前は一年生だろ?!さっさと自分のクラスに帰れ帰れ!」
俺は凛の背中を押して、帰った帰ったと教室から追い出す。
「なによぉ!海斗の癖に!」
頬を膨らませて、向き上がって怒る凛。
ったく、お前はいつまでもガキだな。
ほんと変わらねぇな。
そう思って、無意識の内に意味深な視線で凛のことを見つめてしまう。
「なによ、海斗………そんなに私のこと見つめて………まさか、私の事、好きになっちゃったとか?」
「そっ、そっ、そんなわけないだろ!」
いやいや、俺、めっちゃ動揺してんじゃん!
顔にも出てるよ!
「ふぅん。まぁいいや。あ、そういえば海斗、オリ会、誰かと出る予定とかあるの?」
何でそんなこと聞くんだよ。
嫌がらせか?嫌がらせだろ!
俺に、一緒に出てくれそうな女子の友達がいるわけ無いだろ。
「まぁ、ないけど………今のところはな!」
いかにもこの後誘われる予定でもあるかの様にそう言う。
実際はないんだけどな、残念なことに。
そんな俺を見て、どうせ凛のことだから、バカにした笑みでも浮かべているだろう。
そう思って凛の方を見る。
すると、凛は
「………やったぁ………じゃあ、海斗は………」
最後の方は小さく聞こえた。
やったぁ、ってなんだ?
俺の不幸がそんなに嬉しいのかよ。
酷いぞ、凛!
でも凛の表情は、そんな、俺をバカにした感じの表情じゃなかった。
本当に嬉しそうな、そんな感じの笑みを溢していた。
「どうしたんだ?」
俺が声を掛けると、あわあわと動揺し出して
「わっ!海斗、まだいたの?!」
と、息なりあたふたとした声を出す。
「今の流れで教室に帰るわけ無いだろ。普通帰んないよ」
俺はそう言う。
凛は元の調子を取り戻したのか、いつものひねくれ顔で………いや、いつもよりもっと照れた表情なのか?これは。
まぁ、それはいいけど。
で、そんな、照れたような感じの表情で、凛は言う。
「もし、海斗と一緒にオリ会出てくれる女子が居なかったら、私がオリ会、一緒に出てあげるよ。まぁ、一応ぅ?幼馴染みですからねぇ!」
どや顔だな、おい………。
ったく、時々こう言う、可愛いこと言うんだよな、こいつ。
いつもは憎たらしいことばっか言ってる癖に。
「そっか。あんがとな、凛」
俺はそう言い、凛の頭をくしゃくしゃ撫でる。
凛の綺麗な藍色の髪が、少しボサボサになってしまう。
「もう、髪の毛がボサボサになっちゃうじゃない!海斗のバカ!」
凛はそう言って、怒りながら帰って行く。
と、凛と入れ替わりで来るみたいに、こっちの方に人がやって来る。
きれいな茶髪の長髪。
白い肌。
綺麗なピンク色の唇。
少し赤く染まっている頬。
皆と同じ制服のはずなのに、彼女が着ると一際目立って見える。
- Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.6 )
- 日時: 2016/06/21 20:37
- 名前: 葉月 (ID: nWfEVdwx)
この子、可愛いな。
って、前にもこんなことがあった気がする。
でも、この子、どっかで見たことあるような………。
と、そんな子が俺の横をするりと通り抜け、教室に入ろうとする。
「待って!」
俺は思わず、その子に声をかけてしまう。
何も話すことなんてないのに!
何やってんだよ、俺は!
で、彼女は俺の方に振り替える。
ふわり。と、スカートが浮く。
その動作にも、俺は思わずうっとり。
と、いけないいけない。
話し掛けたんだから、何か言わなきゃ。
で、俺が言葉を探していると、彼女の方が口を開いた。
「あの………用が無いなら、行っても良いですか………?」
少し寂しげな表情で、彼女はそう言う。
?何で寂しそうなんだ?
って、今思ったけど、クラスにこんな子いたんだな。
こんな可愛い子。
気付かなかった。
不思議だ。
こんな可愛い子、今まで気付かないなんて、普通ありえないんだけどな。
俺としたことが、こんなにも可愛い子に気づけないなんて!!
と、俺が何も喋らないので心配したのか彼女は
「だっ、大丈夫?」
と、俺の方に顔を寄せ、覗き込んでくる。
やべっ、近い近い!
ってあれ?
この表情もそうだけど、このシーン、どっかで見た気がする。
何処か、近い日に。
最近、見たことある気がする。
しかもこの子に、顔を覗き込まれた気がする。
って、そんなわけないか。
今まで俺、この子の存在にすら気づいてなかったんだし。
「あっ、ああ、大丈夫。ごめん、息なり話しかけたりして」
俺は何か話題を探す。
なぜか、このまま話をやめると、彼女が消えていってしまう気がするんだ。
………変だけど。
「………私、行っても良いですか?」
彼女が呆れた視線で俺を見る。
「………いや、待って待って、ほんと待って!」
えーっと、話題話題!
話題を探すんだ、俺!
で、俺はとっさに思い付く。
「君さ、名前教えてよ」
何言ってんだ、俺。
クラスメート何だから、名前くらい覚えてようぜ。
すると彼女は小さな、今にでも消え入ってしまいそうな声で言う。
「………冬咲千春」
冬咲………?
聞いたことある気がする。
って、クラス一緒だし、そうだよな。
でも、もっと親しい関係だった………俺は一瞬、そんな気がした。
- Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.7 )
- 日時: 2016/06/22 07:01
- 名前: 葉月 (ID: nWfEVdwx)
「あの………あなたこそ、お名前は………?」
え?同じクラスなのに覚えられてないわけか?
………ショックだな、名前、覚えられてないのって!
「あ、えーっと、俺は藤丸海斗。覚えてくれると、嬉しいな」
俺が名前を言うと、彼女が明らかな動揺を見せる。
「私、もう行きます………あと、私に関わらないで下さい………」
彼女はそう一言言って、逃げるように教室に入って行く。
うわ、やべぇ!
俺嫌われてんじゃん、関わらないで。とか、完璧嫌われてんじゃん!
初対面で嫌われるとか、ショックだなぁ。
と、そんなことを思いながら呆然と立ち尽くしていると
「どうかしたんですか?!」
と、声を掛けられる。
俺が後ろに振り向くと、そこにはクラス委員長───宮見未来がいた。
綺麗な黒髪に癖っ毛。
黒くてぱっちりと見開いた大きな瞳、それから大人っぽい顔立ち。
俺より低い身長。
胸は………はい、デカイです………!!
一見大人しそうな雰囲気だが、相当な元気っ子委員長。
成績優秀で、学年実力テストでは西園寺さんとトップ争いをするほど。
その上、優しくてお人好し、親しみやすくて好かれやすい。
しかし、ちょっと不思議な人だ。
何せ、彼女の私生活は謎に包まれているとか。
家は金持ちだと言う噂もあるし、貧乏だと言う噂もある。
母子家庭だとか、両親死んでるんだよとか言う噂まで。
しかし彼女は、本当のことを言わないので、今でも噂は流れ続けている。
校内じゃ西園寺さんと同じくらいの有名人だ。
そんな委員長の顔が、今、俺の目の前にある。
うわ、委員長すげぇ良い匂いする!
俺が思わず、匂いにも姿にも見とれていると、委員長は
「藤丸くーん!ねえ、大丈夫?どうかしたの!?」
と、心配してくれる。
優しいな、やっぱ。
「あ、ううん。ちょっと考え事してただけ」
俺は慌ててホラを吹く。
「考え事って、もしかして、オリ会のこと?」
「うーん………そんな感じかな」
ほんとは、クラスメートの冬咲さんのことを考えてました。なんて、口が裂けても言えねぇよ。
「あ、藤丸くんって、オリ会、一緒に出る人決まってるの?」
「いや、決まってないけど」
委員長は少し躊躇い
「…………もし、もしだよ!?出てくれる人、いなかったらね……私、一緒に出るよ」
と、言う。
え?嘘!?
一緒に出てくれる人がいたとしても、委員長のこと誘いたいぜ!
「そんなこといってくれて、サンキュウな」
- Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.8 )
- 日時: 2016/06/22 20:21
- 名前: 葉月 (ID: z2eVRrJA)
「ううん。私も、一緒にオリ会出てくれそうな人がいないだけだよ!あ、じゃあ私行くね。藤丸くんも、早く教室入らないと、チャイム鳴っちゃうよ!?」
そう言って委員長は教室に入る。
って、委員長の言う通りじゃん!
もうすぐホームルームを知らせるチャイムが鳴る。
俺は慌てて教室に入った。
【第一話 夢の中の女の子 END】