二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.9 )
日時: 2016/06/22 20:41
名前: 葉月 (ID: z2eVRrJA)

【第二話 ちょっと不思議な委員長】

「〜で、あるからにして〜」
ねみぃな。
一時間目の授業は国語の古典。
国語・古典担当教師の通称は『お経』だ。
昔っからいるらしい、五十代後半のおっさん。
何と言っても、その名の通り、授業を、まるでお経を唱えるかのように進めていくのだ。
そんな授業だと、余計に眠気が誘われる。
ふわぁ。
俺は大きな欠伸をする。
と、自然に俺の右斜め前の席にいる冬咲さんが視界に入る。
その時、瞬間的に脳裏にある光景が浮かぶ。
白いキャミソールのワンピースを着た、茶髪の女の子。
桜色の唇に、白い肌。
くるりと一回転して、ワンピースがふわりと風に靡く。
それから彼女は言う。
「どう?可愛い?海斗くんのくれたワンピース、似合ってるかなぁ?」
無邪気な笑顔で。
まるで、夢の中の女の子みたいじゃないか。
………って、あれ?
俺今、何て思った?
夢の中の女の子?
そこで思い出す。
昨日の夜、自室で寝てから、今日の朝、起きるまでの出来事を。
あ、今考えてたのって、夢の中の女の子のことだったのか。
って俺も、変な夢見るな。
自分が妖精になって、女の子と脱出劇を繰り広げようとする夢見るとか。
と、夢の内容を思い出しながら思い出し笑いをしていると、不意に思い出す。
夢の中の女の子の名前を。
『私の名前は冬咲千春。宜しくね、妖精さん!』
そう言ったあの美少女の姿も、言葉も、雰囲気も、全部全部、思い出す。
待って待って、どういうことだよ?
今まで存在すら気付いていなかったクラスメートの冬咲さんが、知らない間に夢に出てきてるとか。
おかしいだろ、絶対。
と、そこで、冬咲さんの隣の席が、空席だということに気付く。
確かあの席は───宮見未来───つまり、委員長の席!
あの委員長がいないなんて。
何かあったのか?
確か、委員長はホームルームが終わった後、担任の前白に呼ばれてたっけ………。
まさか、そこで何かあったのか!?
俺は慌てるが、同時にお経の声が耳に入ってくる。
「〜で、あるからにして〜」
やべぇ!
俺は委員長の身の安全を願いながらも、お経の授業をBGMに、静かに眠りに落ちていった。

Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.10 )
日時: 2016/06/22 21:00
名前: 葉月 (ID: z2eVRrJA)


*****


ん………。
ここ、どこだ。
部屋にはちょうど十個、シャワーがある。
つまりここは、シャワールームだろう。
男子更衣室にシャワールームは付いてないけど、女子更衣室にはシャワールームは付いている。
つまり………つまりなんだけど………。
まさか、ここって女子更衣室なのか?!
何でこんな所に………。
しかも、扉には鍵が掛かっている。
今朝、夢の中で千春ちゃんが言ってた、大きな円盤状の鍵穴。
ってことは………また千春ちゃんがいるのか!?
おーい、千春ちゃーん!
いるなら返事してくれ!
と、俺は声にならない声を挙げる。
すると
「んー、ここのお湯も出ないみたい………困ったねぇ………」
と、誰かの声がする。
その声がしたところに、俺はふわふわふわふわ、宙に浮きながら飛んで行く。
そこにいたのは、一時間目の古典の授業に欠席していた、宮見未来──つまるところの、委員長だった。
おい、委員長!
俺は必死に宙返りを繰り返して、委員長にアピールをする。
えーっと、名詞しか喋れないんだよな。
俺は肩に力を入れて(実際は入ってないけど)声を出す。
「ミキ、ミキ!」
すると、委員長がスカートをふわり。と、浮かせながら俺の方に向く。
「………これ、もしかして蛍!?わぁ、綺麗だね………しかも、私の名前、知ってるみたい」
俺のことを両手で掬いながら、ふふっ。と、委員長は笑みを溢す。
委員長の手、暖かいな………。
にしても、何で委員長がこんな所にいるんだ?
そんな俺の疑問を悟ったのか、委員長が眉を寄せる。
「実は、前白先生に頼まれて、シャワールームの点検に来ていたんだけどね。でも、私がここにいるって知らない先生が、ここの鍵、外から閉めちゃったみたい」
あー、そういうことね。
ここの鍵、外からしか開け閉めできないタイプのやつだし。
「妖精さん、もしよかったら、ここから脱出するの、手伝ってくれる?!」
うん、いいぜ!
夢の中でも、俺、女の子には弱いみたいだな。
俺は手伝う意思を表して、宙返りを一度する。
「じゃあ、脱出開始だよ!」

Re: 女の子と密室にいたら〇〇しちゃうかもしれない。 ( No.11 )
日時: 2016/06/23 07:00
名前: 葉月 (ID: z2eVRrJA)

俺は辺りを見回す。
左右の壁に、五つずつあるシャワー。
鍵の掛かった扉の横にあるのは───ゴミ箱?
何でこんな所にゴミ箱(ふた付き)があるんだよ。
しかも、ゴミ箱のしたには、炭酸ジュースのペットボトルが転がっている。
勿論、ペットボトルの中身は空だ。
待てよ、まさか、このペットボトルをゴミ箱に入れろってことか?
確か千春ちゃん、鍵はどこかに隠されている。って言ってたよな?
なんなら、鍵がゴミ箱の中に入ってても不思議じゃない。
「ペットボトル」
俺は委員長に向かって、無機質な声でそう伝える。
「ペットボトル?あー、これのこと?ダメだねー、今の若者は関心ならんよ。こんな所にゴミを捨てるなんてね」
いや、委員長も今の若者だよ?
と、委員長はゴミ箱にペットボトルを捨てる。
すると、少し眩しい光に包まれながらも、ゴミ箱の上に扇形の物が出てくる。
これが鍵なのか?
「あ、これ、鍵だよ!やったぁ、見つけたね。じゃ、はめてくるね!」
委員長は、扇形の鍵を持って扉のところに行き、円盤型の鍵穴にはめる。
かちっ。と、音を立てながら、ぴったりはまる。
まだその隣には、あと2個同じものが入りそうなスペースがある。
じゃあ、あと、2つ、これと同じ物を探せばいいんだな。
俺はもう一度辺りを見回す。
んー。
ゴミ箱とペットボトル以外に何かあるか………。
あ、シャワールームしかないな。
「シャワー」
俺は委員長に向かって、もう一度無機質な声で伝える。
すると委員長は、敬礼のポーズをしながらシャワーのある場所を、1つずつ、覗いていく。
そして、右側のシャワーの、一番奥のシャワーを見た時、委員長は
「あー!」
と、声を挙げる。
どうした!?
俺は、宙をふわりふわりと浮きながら、委員長の元にとんで行く。
そこにはなんと───壺があった。
シャワーの隣にある、小さな物置スペースに、大きな壺が置いてあった。
いやいや、何でこんな所に壺があるんだよ。
ゴミ箱見たときよりも驚いたよ。
で、委員長は壺を手に取り、中を片目で覗く。
すると、またさっきと同じように、辺りが光に包まれ
「鍵、こんな所にあったんだ!」
壺の中に鍵があったみたいだ。
そして、鍵穴に鍵をはめる。
よし、じゃああと一つだな。
試してないことといえば───あれしかないな。
うん、定番のあれしかない。
俺は思い切って言う。
「シャワー」
委員長は首を傾げて
「さっき、シャワーなら一通り見たよ?」
いや、そうなんだけど!
一つ、やってないだろ!
委員長はそこで、感づいたように声を挙げる。
「シャワーのお水、まだ出してないね!そのことかぁ!」
いや、ほんとはシャワーを浴びてほしかったんだけど───まぁいいか。