二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: パラレルワールド-幻想郷 ( No.1 )
- 日時: 2016/06/25 16:08
- 名前: ゆるトルト (ID: Ouicm1PF)
<紅魔郷〜一話(前編)>【一章/魔理沙】
赤く染まる空。
更に空を赤く染める様な、紅い館が佇んでいた。
まるでドーンと構える力士の様に。
まるで「何があろうと動かないぞ」と言うように。
ただただ、佇んでいた。
*
夏の早朝の、独特な爽やかさ。
五月蝿く鳴く蝉達。
カンカンと眩しく地を照らす太陽。
それらが、私の身体を起こした。
「あー.......」
私、霧雨 魔理沙は今、目を開けた。
いや、前々から起きていたんだけど、太陽が眩しすぎて
起きれなかったのだ。
「んんっと.....」
今何時かを確認しようと、体を捩った瞬間__
「うおぉっ!?」
ベッドから転がり落ちた。
...シーツ、布団も巻き込んで。
アリスや霊夢に言ったら、「流石、魔理沙ね」等と
嫌味ったらしく言われそうだが......。
まぁ、そんな事はどうでも良い。
「六時二十...一分、か。早く着替えよ」
にとりが頭となり、大勢の河童が作った時計に目をやり、小声で呟く。
最近の河童技術は進歩した気がする。
今では普通にデジタル時計やカメラなんかも売っている。
*****
「んじゃあ、行ってくるぜぇ!!」
約一時間半掛けて朝の支度を終える。
飯もたらふく食ったし、準備万端!!....って訳じゃないみたいだ。
「おおっと、危ない....。八卦炉忘れかけてた」
箒に乗ったまま八卦炉を取りに家の中に戻る。
箒の勢いによって起こされた風で、家の中が散乱状態だ。
....いや、元々散らかってた、かな?
そうだなぁ、今は...、朝早いからパチュリーは起きてない筈だ、多分。
ようし、そうと決まったら、出発だ!
*****
ひんやりしていて気持ちの良い風を受けながら、
数分掛けてようやく着いた。
低速で飛んでいたためか、いつもより時間が掛かった...気がする。
「あれ.....可笑しい、な?」
門番の美鈴が居ない。
物音ひとつもしない。
ましてや、活性化している様子も無い。
.......どうなってるんだ?
- Re: パラレルワールド-幻想郷 ( No.2 )
- 日時: 2016/06/22 17:27
- 名前: ゆるトルト (ID: Ouicm1PF)
<紅魔郷〜一話(後編)>【第一章】
「あいやー!何やってるアルか?」
「おお、美鈴!!....って、お前本当に美鈴か?」
物音一つもしない門前で立ち尽くしていると、
美鈴が颯爽と現れた。
.....今は美鈴かすらも怪しいが。
「美鈴です、紅 美鈴!!覚えておくアルね!!」
おい、こいつは本当に美鈴か?
私の知ってる美鈴と違うぞ.....?
「で、何しに来たアル?」
「え?...いや、何でも無いぜ。じゃあな!」
いつもの調子を狂わせてくる門番だな...。
本来なら咲夜の目を掻い潜り、図書館に潜入してるのによ〜。
*
「んっと....。お〜い、霊夢、起きてるよな?」
やはり、紅魔館のアレは異変だ。
とはいえ、私は美鈴しか見てないがな。
そして、異変解決と言えば、博麗の巫女、霊夢だろう。
って事で、私は霊夢ん所にやって来たんだ。
「あぁ、魔理沙。いらっしゃい、遅いわよ」
「遅いってお前....お前も気づいてるのか?」
霊夢は珍しく私を歓迎した。
丁度、扇風機の風が当たる位置に移動し、そこで私は気付いた。
「咲夜も居たのか。...それに、早苗も」
輪を作るように座り、私は霊夢と向かいあう。
チリンチリン、と時々風鈴の音が鳴る。
...何となく、汗が退いていく気がする。
「ええ、咲夜達から聞いたわ」
「お前らは変わってない...って事は.....」
「恐らく、お嬢様達、妖怪に影響がある....?」
「でも、それを知った所で...」
それぞれが情報を整理するように、皆口々に言った。
でも、それだけじゃ状況は何一つ変わらない。
「はぁ...」と小さく溜め息を吐き、外を見る。
幻想郷は何も変わらなかった。
いつも見る太陽も、雲も、水も、木も。
何も変わらない。
まるで、同じような別世界に私達人間が飛ばされた様な。
そんな感覚に襲われる。
「私達だけが変わらないなんて、まるで私達がパラレルワールドに飛ばされた気分です」
落ち着いた様子で早苗が言った。
...パラレルワールド。
何処かで、パラレルワールドに飛ばされたとかなんだとか、そういう
本を読んだ気がする。
確か......アリスの所だったかな?
もしかしたら、アリスの家にヒントが有るかもしれない。
「んなぁ、私...行きたい場所があるんだが...」
「じゃあ、この話し合いが終わったら魔理沙の野暮用に付き合いましょう。..霊夢、良いよね?」
「別に、どっちでも良いわよ」
ナイスだぜ、咲夜!
私だけ言って、皆に言えずじまいだったら嫌だしな。
「そういえば...知らない人を見たような...」
「はぁ?こんな時に外来人?」
早苗の言葉に、霊夢が素早く反応する。
流石だ、自分の嫌いなことには敏感だな。
...しかし、この異変時に外来人ってのも変な話だ。
もしかしたら、早苗の見た奴は.....。