二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: パラレルワールド-幻想郷 ( No.15 )
- 日時: 2016/06/23 20:01
- 名前: ゆるトルト (ID: Ouicm1PF)
<紅魔郷〜四話(前編)>【二章】
互いの息が聞こえる程に静まり返る。
相手である、レミリアの従者__紅 美鈴...は
私達を睨み付けながら戦闘体形へと静かに入る。
不意に、美鈴が口を開いた。
「あれ?...咲夜さんも私の敵アルか?」
「あんたは美鈴じゃない。私はあんたの仲間じゃないわ」
咲夜が冷たい声で美鈴をあしらう。
見た目は美鈴な為か、少し声が震えていた気がする。
「そうですか。...まだ未練が見えるアルよ?」
美鈴はいつもの笑みを浮かべ、間合いを詰めて来る。
私はお払い棒で身を守るようにして、数歩下がった。
「.....随分と弱気ですねぇ!」
突如、声を張り上げ、魔理沙に向かって蹴りを入れる。
「......魔理沙!」掠れた声で魔理沙を呼ぶ。
「ぐ.....かはっ、う!?」
呼ぶと同時に、魔理沙は美鈴の手によって、殴られる。
その光景を見た途端、怒りが沸々と沸き上がってくるのが分かった。
「....弱いアル、こんなものですか」
「.......!?」
魔理沙は蹴られた勢いのまま体が飛び、地面へと叩きつけられた。
ドシン、と辺りの地面に強い衝撃を与える。
地震の様に小さく地面が数秒揺れた。
「やっぱり、可笑しい!!」
咲夜は我慢出来なかったのか青いナイフを数本、美鈴に
向かって投げた。
物凄いスピードでナイフが美鈴の後ろ、壁へと突き刺さる。
「な、何故!?」
「咲夜さんらしく無いアルよ?....仲間に向かってナイフを投げるとは....裏切りアルか?」
裏切り、と発した直後、背筋にとてつもない気持ち悪さが走る。
美鈴の顔が歪みきっていた。
悪いことを企てている時の悪い顔みたいな。
あり得ない、こんな美鈴なんて...。
驚きと吐き気が同時に襲う。
「...............」
咲夜は哀しみに染まった顔でナイフを投げ続けている。
無言のせいか、怒っている様にも感じた。
「...あの、霊夢さん。魔理沙さんの治療、終わりました....」
「げほっ、キツいぜ、美鈴、強い.....」
魔理沙が早苗に担がれ、やって来る。
無理矢理喋っている様に見えて、心が痛む。
だから、魔理沙に「無理して喋らないで」と言った。
驚いた様な顔をされたが、直ぐにはにかみ、頷いてくれた。
「...正直言って、美鈴の強さは意外よ。だけど...一つ、楽に倒す方法があるわ」
美鈴と咲夜の様子を尻目に見ながら、二人に話し掛ける。
美鈴はすばしっこい。
...まるで、初めて出会った咲夜のように。
じゃあ、似たような方法で倒せば良いんじゃないか。
そんな結論に至った。
「.....楽に、倒す方法.....ですか?」
「どんな方法なんだ?」
二人から僅かな期待が感じられた。
いや、それは私の過剰意識かもしれないけれど。
「んんっ」と咳払いをして、私は話を続ける。
「...分身囮作戦」
「「.........は?」」
- Re: パラレルワールド-幻想郷 ( No.16 )
- 日時: 2016/06/24 16:59
- 名前: ゆるトルト (ID: Ouicm1PF)
<紅魔郷〜四話(中編)>【二章】
「霊夢さんが何を伝えたいかは分かりました」
「じゃあ、一旦...戦闘を中止しないとね」
「はぁ...」と溜め息を吐き、咲夜達へ目をやる。
ああ、これは止められそうにない。
「マジカル☆咲夜ちゃんに連絡を入れるしかないな」
確かに、それしかないかもしれない。
しょうがない、陰陽玉から連絡を入れよう。
...あのマジカル☆咲夜ちゃんに連絡機能付いてたっけ......?
「あ、あー。咲夜、聞こえる?」
これで咲夜から返事がなかったら、私はただの恥ずかしい人だ。
「どうしたの?聞こえるわよ?」
「良かった。あ、そうだ、今から咲夜の分身そっちに送るから」
そう言い、一方的に切る。
咲夜は大体、大まかな流れは分かってくれただろうか。
最終的な結論は運任せだが、分身囮作戦に懸けるしかない。
「そういえば...分身はどうやって作るんですか?」
「え?あ、あぁ.....御札でよ」
霊気で分身を作っても良いが、美鈴にバレそうなので
御札で分身を作る。
霊気にしろ、御札にしろ、結局は霊気使うんだけどね。
*****
約一分程で分身が出来上がる。
売店に売ったら物凄い額を得られそうだ。
んまぁ、魔理沙達からは「副業始めたの?」って言われそうだけど。
確かに、副業として始めると良いかもしれない。
「.......頼む、勝ってくれ!!」
魔理沙が念じる様に言い、分身咲夜を放り投げた。
- Re: パラレルワールド-幻想郷 ( No.17 )
- 日時: 2016/06/25 16:07
- 名前: ゆるトルト (ID: Ouicm1PF)
<紅魔郷〜四話(後編)>【二章/咲夜】
「………………!」
これが霊夢の言っていた分身?
霊達から投げられた様に浮かんでいるから、
間違いない.....でしょう。
「......私は此処に移動して、分身を此処に....」
私の分身が時間停止により、その場に留まる。
動けるのは私だけ、時間を止めた者のみだ。
私と向かい合っている美鈴は面白可笑しい顔だ。
そんなこんなで、準備が整う。
スウゥー、と息を吸って時間を元通りにする。
「咲夜さんは終わりアル!!」
時間が刻み始めると同時に、美鈴は蹴りを入れる。
それが、私の分身と知らずに。
美鈴の顔が一気に変わる。
今までの余裕綽々な表情は跡形も無い。
焦りに染まった表情だ。
「ふふ、人形に騙された気分はどう?」
分身をそのまま分身と言うのはちょっとアレなので、
分身を人形と例えてみる。
何だかあの人形遣いになった気分だ。
「ぐぐ......動けない、アル........!!」
ギリギリと歯を鳴らしながら悔しそうに美鈴が言う。
そりゃあそうでしょうね。
意思を持たない者に制圧されるんだし。
「お疲れ、美鈴。.........幻符『殺人ドール』!!」
私の定番スペカを美鈴の直ぐ近くで発動する。
本当はメイド秘技verをお見舞いしたかったけど、
私もそんなに鬼じゃない。
「ぐ、ぐあぁ....うわああああああああ!!」
美鈴の悲痛な叫び声だけが辺りに木霊した。
*****
スペルカードの効果が切れ、しばらくした後、みんなが集まってきた。
美鈴は気絶している。
「.....これで、門番撃破..ね」
霊夢が美鈴を見ながら言う。
皆の手によって、美鈴を倒した。
それだけでとてつもない達成感を感じる。
「凄いわ、みんな」
「凄いのかぁ〜?」
突然、頭上から二人の声がした。
一人は紫、もう一人はルーミアだ。
「あ、ルーミアがあなた達と戦いたいらしいのよ」
「時間があれば、いつでも良いのだ〜」
「わはー、は?」
「わはー、は言った事無いのだ!!」
何なんだ、この二人。
こんなにも仲が良かったのね。
「あ、ルーミア帰って良いわよ。...それで、異変の事で分かった事があるのよ」
紫が改まって言う。
真剣な顔つきだから、冗談では無いのだろう。
「その、分かった事って言うのは〜...___」